イベント
[G-Star 2011]韓国のモバイルゲーム市場はコア向けタイトルを求めている? NEXON MOBILEの代表取締役にインタビュー
そんなG-Star 2011の会期中,短い時間ではあるものの,NEXON MOBILEの代表取締役イム・ジョンギュン氏にインタビューする機会を得られた。NEXON MOBILEは,モバイルゲーム市場でどのような展開を予定しているのだろうか。
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。
イムさんは先日のプレスカンファレンスで,新作タイトル「Combat Arms: Zombies」を発表されましたが,日本ではベースである「Combat Arms Online」がサービスされていないので,イメージがつかめないという人がいるかと思います。まずはどういったタイトルなのか,改めてご紹介いだけますか。
はい。まず,ベースのCombat Arms Onlineは,欧米やブラジルを中心に世界で1000万人以上がプレイしているミリタリー系FPSです。割とリアル志向のタイトルで,実銃をもとにしたグラフィックスやサウンドが取り入れられています。
また,ゲームバランスがハードに調整されているためか,アジアよりはヨーロッパやアメリカで人気があるのも特徴といえるかもしれません。
その人気を生かして,同作のPvEモードをベースに開発したのが,今回のCombat Arms: Zombiesとなります。
4Gamer:
PvEモードということは,シングルプレイがメインのタイトルになっているのでしょうか。
イム氏:
ええ,シングルプレイ用として開発がスタートしており,現在ネクソンブースで展示しているデモ版も,シングルプレイ専用になっています。ただ,現在はランキングなどでほかのプレイヤーと争う要素を追加する予定でいます。なので,最終的にはシングルプレイだけのゲームにはならないかもしれません。
4Gamer:
本作は大量のゾンビを倒していくタイプのタイトルなので,争うだけでなく協力プレイができても面白そうな気はします。Co-opモードなどの実装予定はありませんか?
イム氏:
もちろん案としては出ているのですが,まだ検討中の段階です。
4Gamer:
分かりました。
ところで,私もネクソンブースでデモ版をプレイしてみたのですが,操作がかなり難しく感じました。PCで日ごろFPSを遊んでいるせいか,慣れていないとタッチパッドで敵に照準を合わせにくくて……。
イム氏:
そうですね,正直難しいと思います。そこは私も開発チームも,すごく悩んでいる部分なんです。
4Gamer:
開発チームも難しいという認識なんですか。
イム氏:
ええ。我々もそうですし,プレイしていただいた方からも言われます。そのためCombat Arms: Zombiesでは,できるだけプレイヤーそれぞれにあった操作を提供できるよう,操作方法を5種類から選べるようにしました。
4Gamer:
ああ,自分で選べたんですね。私がプレイしたときは,最初から操作タイプが選択された状態だったので,余計に難しく感じたのかもしれません。あたふたしているうちに,一番弱いタイプのゾンビに倒されてしまいましたよ。
イム氏:
ははは(笑)。操作感はまだ調整しているところなので,正式リリース時にはもっと快適に操作できるようになると思いますよ。
4Gamer:
操作法以外に注力した点はありますか?
イム氏:
もっとも重要視したのはグラフィックスですね。本作は,世界初というわけではありませんが,韓国内のスマートフォン向けタイトルとしては,初めてUnreal Engine 3を採用したタイトルになります。
また,グラフィックスクオリティの高さに見合うようなゲーム性が用意できるよう開発を進めていますので,期待してください。
韓国のモバイルゲーム市場はコア向けタイトルを求めている?
4Gamer:
そういえば,今年のG-Starのネクソンブースを見ていると,モバイル方面にかなり力を入れているように見えるのですが。
そうですね。国内はもちろん,世界的にiOS向けのタイトルを展開し始めているタイミングなので,急に力を入れだしたように見えるかもしれません。
日本市場でも,現在はMobageでメイプルストーリーを,GREEで「涼宮ハルヒの団結」をリリースしていますが,今後も積極的にタイトルを展開していく予定です。
4Gamer:
日本では,モバイルゲームが手軽にプレイできる環境が普及したことで,携帯ゲーム機を使わなくなるのではないか,という声や,子供がのめりこんだ結果,高額の請求が届いてしまうといった,ネガティブな話もあります。韓国ではそういった問題はありませんか。
イム氏:
ネガティブな話はオンラインゲームに集中しがちなので,あまり問題にはなっていないかもしれません。例えば韓国では,子供のオンラインゲーム中毒を防止するために,0時から6時まで16歳未満によるオンラインゲームへの接続を禁止する法案が施行されます。
4Gamer:
モバイルゲームは対象に含まれていないんですか?
イム氏:
ええ。モバイルゲームよりもオンラインゲームの人気が圧倒的に高いせいか,今のところモバイルゲームは該当しません。今後どうなるかは分かりませんが……。
4Gamer:
それはそれで,別の議論を呼びそうですね……。ともあれ,韓国ではモバイルゲームやソーシャルゲームは,日本ほど爆発的に普及しているわけではないということですよね。そんな中で,今回モバイルゲームを強く押してきたのは,どういった理由によるものなのでしょうか。
韓国でもスマートフォンユーザーが増えてきた,というのが大きな理由ですね。携帯電話の所有者のうち,スマートフォンユーザーの割合はどんどん高くなってきています。ようやく,韓国にもスマートフォン向けゲームの市場が出来てきた,といったところだと思いますよ。今後は,積極的にモバイルゲームを展開していきたいです。
4Gamer:
日本におけるモバイルゲームのプレイヤー層というと,割とカジュアル寄りな人が多く見られるのですが,韓国でもそのあたりは同じ傾向ですか?
イム氏:
いえ,日本とは違って,コアなRPGやシミュレーションゲームを好む傾向があります。
4Gamer:
え,そうなんですか?
イム氏:
日本の場合,おそらくコアなゲームを持ち歩いて遊びたい層は,ニンテンドーDSやPSPを持っているので,モバイルゲームを遊ぶのがカジュアルな層になりがちなのだと思います。一方韓国では,日本ほど携帯ゲーム機が普及していないので,その代わりにスマートフォンなどでコアなゲームが遊びたい,という声が上がっているのではないでしょうか。
4Gamer:
なるほど,納得のいく話です。
これは個人的な意見ですが,近いうちに,日本でもスマートフォン用のコア向けなゲームが求めらるようになるのではないかと考えています。近年,コンシューマゲームがスマートフォン向けに移植されるケースも増えていますよね。それを見ていると,スマートフォンが携帯ゲーム機の代わりになっていくのではないかと。
4Gamer:
スペック的にも,スマートフォンはものすごい勢いで進化していますからね。おっしゃりたいことは理解できます。ただ,操作面では携帯ゲーム機のほうが圧倒的に快適なので,その点でゲーム機の優位は揺るがないかな,とも思うのですが。とくにCombat Arms: ZombiesのようなFPSやアクションゲームをタッチパッドで操作するのは,やはり厳しい部分もありますから。
イム氏:
それはそのとおりだと思います。ただ,タッチパッドで遊べるようにしていくのが我々の仕事でもあります。皆さんが快適に操作できるよう,頑張って開発していきたいところです。
NEXON MOBILEは,G-Star 2011で発表したタイトルに限らず,今後もスマートフォンでプレイできるクオリティの高いゲームをたくさん用意していきます。もちろん,日本の方々にお届けする計画もありますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
モバイルゲームは,普段はあまりゲームで遊ばない層がプレイするカジュアルなもの,というイメージを持っているのは,おそらく筆者だけではないと思う。だが,韓国ではむしろコアなゲームが求めれているというのは,なかなか興味深い話だ。
NEXON MOBILEのタイトルの場合,韓国市場向けに開発したコアなタイトルが,日本向けにローカライズされる可能性も十分にあると思われる。日本での展開にも期待したいところだ。
- 関連タイトル:
Combat Arms: Zombies
- この記事のURL: