レビュー
くろねこさんちーむのデビュー作にして代表作がフルリメイクで登場
リトルウィッチ パルフェ
黒猫魔法店物語
いくつもの開発チームが存在する工画堂スタジオの中でも,最も多くの作品を世に送り出してきた「くろねこさんちーむ」。そのデビュー作が,1999年に発表されたWindows用ソフト「リトル・ウィッチ パルフェ 〜黒猫印の魔法屋さん〜」だ。経営シミュレーションゲームをベースとしながら,高いキャラクター性,ストーリー性をあわせ持ち,多くのファンから支持を受けた作品である。
2012年3月22日発売のPSP用ソフト「リトルウィッチ パルフェ 黒猫魔法店物語」は,そのフルリメイク作品となる。
13年前の作品のフルリメイクということで,リファインされた部分は多岐にわたる。まず,グラフィックス部分は全面的に変更。キャラクターの立ち絵,イベント絵はもちろん,背景やアイテムに至るまで,すべて描きおこしだ。
ゲームシステムも,基本的な部分はオリジナルと同じだが,細部やバランスは今風にアレンジされている。また,シナリオにも大幅な追加・改修が施された。
さらには声優陣も一新され,オープニング,エンディングも新しい曲になるという具合に,とにかくあらゆるパートに徹底的に手が加えられている。
「リトルウィッチ パルフェ 黒猫魔法店物語」公式サイト
天涯孤独な見習い魔法少女の借金返済物語
花と水の国「フロルエルモス」。この城下町に,一人の少女が住んでいた。彼女の名前はパルフェ・シュクレール。14歳の見習い魔法使いである。
父親を早くに亡くしたパルフェは,魔法使いである母親と二人,この町で暮らしていた。ところがつい先日,母親は謎の病気で天に召されてしまった。
パルフェに残されたものは,母親が経営していた「黒猫魔法店」と,100万ゴルダという途方もない額の借金だった。しかも,借金は年内にすべて返済する必要があるという。さもないと,店は借金のカタに取られてしまうのだ。
母親との思い出の店を守るため,パルフェは使い魔である黒猫のサケマスとともに,魔法店の経営を始める。年末まで10か月。果たしてパルフェは,100万ゴルダを稼ぎ出し,借金を返済することができるのだろうか?
というわけでパルフェの借金返済生活がスタート。ここから先は時間との戦いとなる。
ゲーム中では,町中の移動に1時間,魔法薬の調合は10個ごとに数時間,魔法の勉強には1回2時間という具合に,何か行動を起こすたびに決められた時間が過ぎていく。一日は24時間からなるが,パルフェが行動できるのは基本的に,朝の9時から夜の10時まで。時間を無駄にしないよう,計画的に行動していきたい。
ちなみにフロルエルモスでは,1週間は6日からなり,1か月はちょうど4週間。返済期限までの10か月間は,3月1日から12月24日までの正味240日間となる。このあたり,我々の世界とはちょっとズレがあるので注意が必要だ。
城下町には,城や中央広場,魔法学院や公園などがある。この中での移動は通常1時間かかる |
|
町の外には,主に魔法薬の材料の採取に出かける。場所により,移動には1〜3時間かかる |
夜の10時の段階で自宅にいると,パルフェは自動的に眠りにつき,翌朝9時から再行動開始となる |
材料集め→調合→販売を繰り返して
魔法店を経営していこう
システムの基本部分は経営シミュレーション。魔法薬やアイテムの材料を集め,調合を行って商品を作成,店頭に並べて販売し,お金を稼いでいく,というのが一連の流れだ。
城下町の周囲には,多くの材料集めスポットがある。場所によって,採集できる材料は違ってくるので,あちこちで材料集めをする必要がある | |
市場では,毎日ランダムに5種類の材料が売りに出される。中には,市場でしか入手できない品物もあるのだ |
材料の多くは,野外のさまざまなスポットを訪れ,採集しておく必要がある。スポットによって採れる材料は決まっているが,その中でどの材料が採れるか,いくつ見つかるかはランダムだ。
1回の採集にかかる時間は1時間だが,通常は欲しい数が集まるまで何度も採集を繰り返し,移動も含めると半日から一日は楽に消費することになる。この日は材料集めの日,と先に決めておいたほうが効率はいいだろう。
ちなみに,材料は市場で購入することも可能だが,欲しい材料が売りに出ているとは限らないため,あまりアテにはならない。
材料が集まったら,次は魔法薬の調合だ。自宅の大きな壷の前でメニューを出して,作りたい魔法薬と作成個数を決定しよう。調合難度が高いアイテムほど高く売れるが,作るのに時間がかかるうえ,失敗の確率も上がる。
魔法薬の調合をするには,あらかじめレシピを覚えておかなくてはならない。レシピは,勉強してレベルを上げたあと,地下室で母の日記を読むことで増えていく。また,たまに移動中に新レシピが閃くこともある。
調合レシピは,このように表示される。10〜40個まで,10個刻みで作成数を設定できる |
魔法薬の調合難度に比べ,自分の魔法レベルが低いと,完成する魔法薬の数は減ってしまう |
できた魔法薬は店頭に並べて販売する。展示スペースには限りがあるので,商品の価格や人気,世間の流行などを気にしつつ,どの商品を並べるかを決めていこう。売り場中央の「めだま棚」,レジ横の「おすすめ棚」に並べた商品は売れやすくなるが,セール商品として定価より安い値段での販売となるので気をつけること。
店が開いているのは,休日以外の午前10時から午後7時まで。商品の入れ替えができるのは,それ以外の時間だけとなる。お客の声を聞きつつ,機会損失がないよう,こまめに在庫チェックと入れ替えをしていこう。
一日一回は売れ行きをチェックしよう。売り切れる商品が出ないよう,補充や棚の入れ替えを忘れずに |
店頭の棚は,「めだま棚」「おすすめ棚」を含めて全部で10。どの魔法薬を並べるか,しっかり考えよう |
今何が流行しているかという情報は,中央広場の掲示板で確認できる。こまめにチェックして商売に役立てよう |
閉店直後にしばしばやってくる直接の大口注文は,いい収入になる。積極的に受けていこう |
堅実な経営を続けることで店の評判が上がり,お客は増え,売り上げも次第に増加していく。最初のうちは月の売り上げもわずかで,完全返済など夢のまた夢に思えるが,ゲームを進めていけばだんだんと目標額が見えてくるはず。くじけず地道に努力していこう。
自宅と地下室や魔法学院の図書館では,魔法の勉強ができる。勉強で経験値が溜まると魔法レベルが上がり,調合の成功率が上がるため,早めに勉強をしておくとあとあとの展開が楽になる | |
中央広場など,町中のスポットで売り子をすることも可能。なかなか売れないが,店の評判が上がりやすい |
随時挿入される数々のイベント
フラグの立て方によっては個別ルートへの分岐も
ゲームをプレイしていると,しばしばイベントが発生する。日付によって自動的に発生するものもあれば,特定の場所への移動や,何らかのフラグが必要なイベントもある。
また,ある条件を満たすと,特定のキャラクターとの関係が深まる,特別なエンディングへ向かうルートに入る場合がある。恋愛ゲームでいうところの個別ルートというわけだ。「パルフェ」未プレイでも,くろねこさんちーむのほかの作品をプレイした人なら予想がつくとは思うが,「攻略対象」には,当然のように同性も含まれる。むしろ攻略可能キャラクターの割合的に,そっちのほうがメインと言えなくもない。
13年の時を経ての復活ということで,システムに多少クラシカルな雰囲気を残すものの,ネガティブな古臭さを感じることはない。
オリジナルで12か月(1月1日〜12月24日)だったゲーム期間は,10か月(3月1日〜12月24日)に短縮された結果,ストーリーの密度が上がり,全体のテンポも良くなっている。
また,オリジナルがそうだったように,ゲームバランスもそれほどシビアではなく,経営シミュレーションゲーム未体験のプレイヤーでも気軽に楽しめるはずだ。
とはいえ,シミュレーション部分とストーリー部分を合わせるとかなりのボリュームで,全ルートクリアを目指すとなるとなかなか手応えがある。あまり焦ってプレイせず,ゆったりと世界観を楽しんでほしい作品だ。
「リトルウィッチ パルフェ 黒猫魔法店物語」公式サイト
- 関連タイトル:
リトルウィッチ パルフェ 黒猫魔法店物語
- この記事のURL:
キーワード
(C)1999,2012 KOGADO STUDIO,Inc (C)CYBERFRONT
- リトルウィッチ パルフェ ~黒猫魔法店物語~(通常版) 特典 Amazon.co.jp限定 Webラジオ「黒猫ラジオ 魔法店再生計画」オリジナルCD付き
- ビデオゲーム
- 発売日:2012/03/22
- 価格:¥7,000円(Amazon) / 7685円(Yahoo)