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稲船敬二氏の完全新作「海王」のショートインタビューも掲載。盛りだくさんのタイトルが発表されたマーベラスAQL 新タイトル制作発表会をレポート
同社は,マーベラスエンターテイメント,AQインタラクティブ,ライブウェアの3社が2011年10月1日に合併し,発足した新会社である。今回の発表会では,既報のとおり,稲船敬二氏率いるcomcept/interceptが開発を手がけるニンテンドー3DS用ソフト「海王」をはじめ,マーベラスAQLが各プラットフォーム向けにリリースするタイトルのプレゼンテーションが行われた。ここでは,トピックごとにまとめて,発表会の模様をお伝えしていこう。
なお4Gamerでは,発表会終了後にcomcept CEO/コンセプターの稲船敬二氏に,短い時間ではあるが,インタビューする機会を得た。本稿末に掲載しているので,ぜひ最後まで読み進めてほしい。
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・comceptの稲船敬二氏による,ニンテンドー3DS向け新作「海王」が2012年内に発売予定。マーベラスAQL新タイトル制作発表会で明らかに・マーベラスAQL,制作発表会を開催し,稲船敬二氏の新作「海王」など,発売予定のタイトルをまとめて発表
許田氏曰く,今回発表されたタイトルはすべて合併することが決まったあとに企画されたもので,短期間でクオリティの高いタイトルを揃えられたのは,パートナーとなるデベロッパ各社の協力があったからこそであると,関係者に向けて謝辞を贈った。
またその背景には,ビジネスを離れて,日本のゲームクリエイターの優秀さを再び世界に広め,今元気のない日本に,少しでも明るさをもたらしたいという思いがあるとも話していた。
「海王」は稲船敬二氏率いるcomcept/interceptが開発。海賊+三国志をモチーフに
発表会では,マーベラスAQL 取締役 執行役員 兼 コンシューマ事業部長の青木利則氏から,マーベラスAQLの目標は世界中の人々に驚きと感動を与えることであり,「世界中の子ども達に夢と勇気と感動を与えたい」として,そのパートナーとなるcomcept CEO/コンセプターの稲船氏を招き入れた。
登壇した稲船氏は,2012年に発売予定の「海王」を発表。このタイトルは,海賊と三国志をモチーフにしたゲームで,稲船氏がCEOを務めるもう一つの会社,interceptが開発を手がけている。
なお会場では,青木氏に加え,“業界のご意見番”として,ゲームショップ「ゲームズマーヤ」店長の秋谷久子氏が登壇。来場者代表として「海王」に関する質問を稲船氏に投げかけた。
稲船敬二氏(comcept CEO/コンセプター) |
青木利則氏(マーベラスAQL 取締役 執行役員 兼 コンシューマ事業部長) |
秋谷久子氏(ゲームズマーヤ 店長) |
本作に登場するキャラクター達は擬人化された動物で,会場ではまず,刀を掲げたペンギンが披露された。稲船氏曰く,このペンギンが主人公というわけではなく,「どのキャラクターが主人公といってもおかしくない」内容になっているとのこと(※詳細は稲船氏へのインタビューで確認してほしい)。
また,キャラクターによっては衣装にウェスタンっぽい要素が加えられているなど,海賊色一辺倒というわけではないようだ。
稲船氏は,動物を擬人化したゲームが少なくなっていることについて,ここ数年,ゲーム業界ではリアル志向が強くなっており,別の世界を想像することができなくなっているのではないかと指摘。想像力豊かな世界観をもう一度提示したいと述べた。
また,人と人との関係,友情や裏切りを通じて,敵だと思っていた人物が味方になる(あるいはその逆)といった世界を描き,子ども達に“社会を学んでもらえるようなもの”にしたいと,展望を述べた。
次に,なぜ稲船氏が,今こうして子ども向けのタイトルを手がけるのかという質問が上がった。
稲船氏が手がけたタイトルには,侍やゾンビを扱ってきた大人向けのイメージがあるが,それは最近のことで,自身の原点にはむしろ子供志向があると,稲船氏は回答。今回は初心に戻って,自分のゲーム作りに挑戦するのだと説明した。
さらに稲船氏は,子供達には「海王」で三国志の面白さの片鱗を味わってもらい,大人になったら,あらためて本物の三国志に触れてもらいたいという,自身の希望も語っていた。
なお,「海王」には300体に及ぶキャラクターが登場するそうだが,それだけの数になると,「1本のタイトルに収まりきらないのではないか?」と秋谷氏が指摘。
それに対し稲船氏は,本作を3部作で構想しているということを明らかにした。しかしあくまでも稲船氏の構想で,マーベラスAQLとの契約は現時点では1タイトルのみとのこと。青木氏からは,「先走りしすぎないでください」と,冗談交じりに諭されていた。
稲船氏曰く,ゲームのジャンルはアクションRPGで,マルチプレイによる遊びも盛り込まれるそうだ。
ゲームにはさまざまな勢力が登場するが,どこに所属するかはプレイヤーに任されるとのこと。さらに稲船氏は,大作感のあるゲームになると述べ,アニメなどのメディアミックス展開も視野に入れていると述べた。
稲船氏は最後に,2011年10月の独立以来,自身が手がけるコンシューマゲームタイトルをようやく発表できたことの喜びを語るとともに,子供から大人まで楽しめるゲームにするので,2012年の発売に期待してほしいとまとめた。
また青木氏も,「海王」をマーベラスAQLを象徴するタイトルとして育てていきたいと述べ,全力でサポートしていくことを宣言した。
Vita版「ブラウザ三国志NEXT」は基本プレイ無料/アイテム課金でVita発売同日にサービスイン。今後もVita向けタイトルのリリースを明言
1本めは,PlayStation Vita用ソフト「ブラウザ三国志NEXT」。本作はPlayStation Vita本体の発売日である2011年12月17日にサービスが開始され,基本プレイ無料でアイテム課金方式が採用されるダウンロード専用タイトルだ。
基本的な遊び方こそブラウザゲーム版と変わらないものの,グラフィックス面で立体感と臨場感を強調し,イメージを一新した。タッチパネル操作や通信プレイなど,Vita版ならではのオリジナル要素も追加されるほか,武将カードやクエストなどの要素が,定期的に実施されるアップデートで追加されていく予定だ。
また青木氏は,マーベラスAQLでは今後もVita向けタイトルをリリースしていくので期待してほしいとまとめた。
シリーズ15周年記念タイトル「牧場物語 はじまりの大地」はニンテンドー3DSで発売
1. 好きな牧場を作っちゃおう
従来シリーズよりさらに自由度が高くなり,建物などを自由にレイアウトが可能となる。また和風や北欧風といったさまざまな雰囲気の建物が登場する。
2. 3Dを活かした,新しい畑
通常の畑に加えて段々畑が登場。段々畑にすることで,畑が拡大していく様子をより視覚的に確認しやすくなる。
3. 牧場物語初! キャラメイク搭載
性別,髪/肌の色,服装などを自由に選べるようになり,プレイヤーごとの個性を演出できる。
4. そして新動物の登場
シリーズに登場してきた動物に加え,新しい動物の飼育が可能となる。
「スーパークリエイターズ」企画では,稲船敬二氏,須田剛一氏,中 裕司氏,船水紀孝氏が進捗をプレゼン
2011年7月25日に発表された,マーベラスAQLとMobageの共同事業「スーパークリエイターズ」企画では,スマートフォン向け5タイトルの発表が行われた。今回は,以前の発表会で登壇したゲームクリエイター達によって,そのうち4タイトルの進捗が紹介された。
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・稲船敬二氏,須田剛一氏,中 裕司氏,はしもとよしふみ氏,船水紀孝氏はどのようなスマートフォン向けアプリを作ろうとしているのか――Mobage新企画「スーパークリエイターズ」プレス発表会レポート稲船氏がプロデュースする「J.J.ROCKETS(仮)」は,必ずしもアクション操作に向いているわけではないスマートフォンに合わせたアクションゲームで,「少しカッコ悪い主人公がカッコよく活躍するゲーム」を目指しているという。
ゲームの舞台となるのは1950年代のアメリカ合衆国で,ある町に隕石が落ちたことをきっかけに世の中が変わってしまうという設定だ。そこでアメリカ大統領が少しレトロなロボットを思わせるスーツに身を包み,世界を救っていくような内容になるとのことである。
稲船氏は,自身が「ロックマン」シリーズでデビューしたことや,幼少の頃に「マグマ大使」「ゲッターロボ」「ジャイアントロボ」といったコンテンツに親しんでいたことに触れ,それらの要素をふんだんに取り入れた,新しいゲームにしたいと述べた。
このタイトルは,相棒となるモンスターとのコミュニケーションを楽しみながら世界を冒険していくという,スマートフォン向けゲームである。
上映されたイメージ動画では,主人公を乗せたワイバーンが,ナ・パリ・コーストをモチーフにした海岸線上空を飛行する様子などが確認でき,中氏はそうした世界観を,スマートフォンの機能を活かした3DCGで表現したいと述べた。
なお,相棒となるモンスターにはさまざまな種類が存在し,さらにプレイヤー同士が協力して挑むようなイベントも登場するとのこと。
船水氏曰く,開発チームから「あまり詳しく説明するな」と釘を刺されたとのことで,会場では,タッチしてコンボを決め,その結果を利用してソーシャルゲーム的な要素に繋げていくという説明が含まれた,イメージ映像の上映にとどまった。もちろん詳細な内容については,追って公開していくとのことである。
須田氏からは,ソーシャルゲーム版「NO MORE HEROES」が紹介され,ソーシャルゲーム版では,シリーズの主人公・トラヴィス・タッチダウンではなく,プレイヤー自身が一人の殺し屋となり,世界中のプレイヤーとランキングを競うこととなる。
雑魚バトルでは画面をタップしたりスライドしたりして攻撃し,シリーズに登場した殺し屋とのボスバトルでは,コンシューマ版と同じようにさまざまなアクションを駆使した展開を楽しめるものになるそうだ。
最後に須田氏は,「NO MORE HEROES」シリーズが世界各国で高い評価を得ていることに言及し,ソーシャルゲーム版でも広く海外に展開したいと抱負を述べた。
また小林氏は,これまでのソーシャルゲームには,1ボタンだけで操作できるような簡素なイメージがあったと言及。それはフィーチャーフォンの仕様から生ずる限界だったわけだが,その枠組みの中でMobageは,いかに多くの人に親しまれるものを作るかノウハウを蓄積してきたと述べた。
そしてその成果は,スマートフォンという過去にないスピードで拡大しているプラットフォームで,新しいエンターテイメントとして大きく開花する可能性があると,小林氏は続ける。そのためにはクリアしなければならない課題もあるが,ぜひ日本初のコンテンツを世界に広めたいと,意気込みを見せた。
「剣と魔法のログレス」「SASUKE」「ブラウザヱヴァンゲリヲン新劇場版(仮)」などで,ブラウザゲームの展開を強化
照井氏は,オンライン事業部の手がける「ブラウザ三国志」「ブラウザプロ野球」のサービスが好調であることに加え,スマートフォン向けの新規タイトルのリリースも順調であると紹介し,海外展開も視野に入れていると説明。また新規事業部門を設置することで,斬新かつ多角的なサービスを展開していきたいと述べていた。
西岡氏は,このタイトルは旧AQインタラクティブとAiming,そして旧マーベラスエンターテイメントのコンシューマ部門が共同で開発していると説明。ブラウザゲーム史上最高額の開発費がかかっているかもしれないことに触れつつ,ブラウザゲームでありながらコンシューマゲーム並みのクオリティを誇っているとまとめた。
次に,モンスター・ナイン 代表取締役CEOを務める樋口 潮氏と,TBS テレビメディアビジネス局 デジタルビジネス推進部長 杉田謙二氏が登壇。
樋口 潮氏(モンスター・ナイン 代表取締役CEO) |
杉田謙二氏(TBS テレビメディアビジネス局 デジタルビジネス推進部長) |
樋口氏から紹介されたのは,TBSで放映されているスポーツエンターテイメント番組「SASUKE」をモチーフにしたFacebook向けソーシャルゲーム「NINJA NATION」だ。
元「SASUKE」のプロデューサーである樋口氏は,リアルでは不可能な表現をバーチャルで表現したいと述べ,このゲームが,各国にある「鋼鉄の魔城」を舞台に,プレイヤーが技を駆使しながら進んで行く内容であることを説明した。
また,プレイヤーがコースを作成することも可能で,フレンドが作ったコースを遊べるほか,定期的なチャンピオンシップ大会なども開催されるそうだ。
樋口氏は,「SASUKE」が世界153か国で放映されていることに触れ,「NINJA NATION」でも世界展開をしていくと抱負を述べた。
杉田氏も,グローバル展開に言及するとともに,スマートフォン版「NINJA NATION」を開発中であることを明かした。
照井氏からは,発表会でのサプライズとして,「ブラウザヱヴァンゲリヲン新劇場版(仮)」が紹介された。公開された情報は,アニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を題材にしたブラウザゲームで,2012年サービス予定ということだけではあったが,どのような内容になるのか,今後の情報公開に期待したいところだ。
乙女向けゲーム「薄桜鬼」がミュージカル化
プレゼンに登壇したマーベラスAQLの松本慶明氏は,同シリーズが累計60万本セールスを記録していることや,アニメなどのメディアミックス展開が好調であることを紹介。今回のミュージカル化に関しては,マーベラスAQLの得意とする音楽やダンスの要素を盛り込み,殺陣などのアクションシーンを盛り上げたいと意気込みを述べた。
ここで,原作となるゲームをプロデュースしたデザインファクトリーの藤澤経清氏と,ミュージカルのアクション部分を手がける30-DELUX代表の清水順二氏が登壇した。
藤澤氏は,「薄桜鬼」シリーズが,新撰組と吸血鬼を組み合わせたダークファンタジーであると紹介。ミュージカルには,ゲームの2Dグラフィックスでは表現しきれない,人間が織り成すドラマに期待しているとコメントした。
清水氏は,「薄桜鬼」が持つ美しいビジュアルの世界観に,アクションを加えることで生の人間の力を表現したいと意気込みを見せた。また主人公の斉藤 一役を演じる松田 凌さんと沖田総司役の廣瀬大介さんも来場しており,それぞれ大役に抜擢された喜びを述べていた。
藤澤経清氏(デザインファクトリー 取締役開発部長) |
清水順二氏(30-DELUX 代表) |
斉藤 一役を演じる松田 凌さん |
沖田総司役を演じる廣瀬大介さん |
みんながやっていないことにヒットがある――「海王」では,皆が知っている物語をモチーフに新しい物語を生み出す
発表会終了後,4Gamerでは稲船氏に短い時間ではあるが,「海王」のコンセプトや気になる部分について話を聞くことができた。以下に掲載しておくので,注目している人はぜひ目を通してほしい。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,今回マーベラスAQLと組んで,「海王」を開発することになった経緯を教えてもらえますか?
当時はAQインタラクティブさんでしたが,最初から,マーベラスAQLさんと一緒にやっていこうという話をしていたんですよ。
最初に,自分で温めていた一番いいプロジェクトを「どうですか?」とお見せしたら気に入っていただけて,即「やりましょう」ということになりました。
4Gamer:
comcept設立後,最初に動き出したプロジェクトが「海王」だったと。
稲船氏:
カプコンを辞めてから,最初に作った企画が「海王」です。最初にAQインタラクティブさんにお見せしたのは,ある程度のプロットを作った本当に早い段階だったので,契約はもうちょっとあとでしたけど。
4Gamer:
稲船さん個人としても感慨深いタイトルというわけですね。
稲船氏:
新しい第二の人生の始まりみたいなところなので,「海王」が発表できたというのは,すごく感慨深いですね。
独立して1年以内にコンシューマで何か発表をしたいと思っていたので,ちゃんと1年以内に実現できて,よかったなと思っています。
4Gamer:
「海王」のプラットフォームにニンテンドー3DSを選んだ理由を教えてもらえますか?
稲船氏:
3DS自体は,やっぱり絶対に普及するハードだと僕は思っています。また,任天堂さんのゲームっていうのは,子供にも向いたタイトルがたくさんあるじゃないですか。
そこに自分達も同じように,いい形で乗っていきたいというか,任天堂さんのタイトルと違わないくらいのクオリティで作っていこうと思っています。
それでいうと,3DSがベストのプラットフォームなんじゃないかなと思います。
4Gamer:
海賊と三国志をミックスしようというのは,以前から考えていたことなんですか?
稲船氏:
僕は,本の中でも書いているんですけど,クリエイティブっていうのは,ゼロから生まれるものじゃなくて,あるものの組み合わせで新しいものが生まれるものだと思っているんです。
そういう意味で言うと,三国志自体はすごく面白い話だし,世界観もいいんだけど,やっぱり人を選んじゃうんですよ。ですから,その良さだけを抜き出しました。
海賊もそうなんですよね。「海賊のやれることってこんなでしょ」と決めつけられている部分があります。それを変えようとすると,「ONE PIECE」のようになっていくわけです。僕はその変え方の部分で,三国志をベースにしたということです。
4Gamer:
なるほど。
稲船氏:
参考になる例で一番分かりやすいのが「ドラゴンボール」なんですよ。
「ドラゴンボール」って,最初に始まったときは,キャラクターとか雰囲気は明らかに西遊記がベースなんだけど,ぜんぜん違う話になっていますよね。
物語に入るうえでは,みんなが知っている物語というのは,すごく入りやすいんです。それを狙いつつ新しい物語を生み出す,そういう持っていき方をしたいなと思っているんです。
4Gamer:
発表会でCGムービーが公開されましたが,実際のゲームでも,同程度のクオリティで再現されるのでしょうか?
稲船氏:
インゲームであのまま,というのはなかなか難しいと思います。
アニメを作りたいという気持ちがあったので,ムービーはアニメが作れる状態,相当ハイポリゴンで作り込んだんです。
ただ,ハイポリゴンをベースに,きっちりとあのデザインを3DS用に落とし込む形で考えています。別物を作るわけではなく,あのままポリゴンを減らしていくという感じなので,あのイメージのまま,3DSで遊べるのは確かです。
4Gamer:
ゲームシステムのコンセプトはもう固まっているんですか?
稲船氏:
まだまだこれから煮詰めなきゃならないんですけど,大きく2種類の戦いがあるのは確かだと思います。要は,船による戦いと,人同士の戦いをやっていくということですね。 また,三国志をベースにしているということで,キャラクターを300体出したいと思っています。キャラクターそれぞれに「個人として強い」「組織として強い」といった個性があって,どちらに向いているのかといった形で,「どのキャラクターを選ぶのか」という楽しみ方を持たせるようなゲームシステムにしたいなとは思っています。
4Gamer:
プレゼンでは,「海王」は全3部作で構想していると話していましたが。
稲船氏:
そうですね。元が本当に長い物語なので,実は3部作でも収まらないかもと思っているんですけど,5部作とか6部作と言ってしまうと,マーベラスAQLさんが引いちゃうじゃないですか。なので一応「3部作くらいで」と言っています(笑)。
4Gamer:
1本ずつで完結はするんですよね?
稲船氏:
もちろん,物語の完結はきっちりしていきます。皆さんご存じのように,三国志は百年にもわたる話なので,ペンギンの劉備に子供が生まれたりしますし。物語をどこで区切るのかという話ですね。
4Gamer:
プレゼンでは,ペンギンの“劉備”やワシの“曹操”など,「どのキャラクターが主人公でもいいくらいの作りになっている」との話でしたが,具体的に,プレイヤーキャラクターはどのような形になるんでしょうか?
稲船氏:
本当の三国志に出てくるキャラクターを操るのではなく,透明性のあるキャラクターが主人公になるシステムにしようかなと思っています。
たとえば,自分が曹操になっちゃうと,「曹操が困っているから助けたい」という思いは叶えられないじゃないですか。ですから,曹操を演じるというよりは,曹操の物語の中に入っていくという形に持っていきたいなと。
三国志がベースだと,ファンはそれぞれの登場人物達にすごく思い入れがあると思うんです。物語がどう展開していくか分からない中,自分はどこに所属するかで「劉備を助ける」「曹操を助ける」「孫堅を助ける」などを選べるような形にしたいですね。
4Gamer:
子供向けということもあると思いますが,最近のゲームではあまり見られない,キャラクターの擬人化に踏み切ったのはなぜでしょうか。
稲船氏:
僕は「みんながやっていないことにヒットがある」と思っているんです。
もちろん,「やっていないこと」には,「みんながやっていないのは,ウケないから」という危険な部分もあります。
でもそうじゃなくて,成り立たせるような努力をちゃんとして,みんなにアピールできれば,それはポケモンとは違う見え方に必ずなります。そこに持っていきたいんですよ。
4Gamer:
目指すは,打倒ポケモンという感じですか?
稲船氏:
打倒という言い方だと変ですけど,やはりポケモンよりもヒットするゲームを作りたいというのは考えなきゃいけないところです。ただ,ポケモンと同じ形で勝負しても意味がないとも思っているので。
4Gamer:
では,どのあたりが“違う形”になるんでしょう?
稲船氏:
人と人との物語を描いたうえでモンスター達がいると,モンスター達の“性格”までは描きづらいんですね。それをポケモンなどでは,アニメで補完しているという部分があります。もちろん,アニメでも補完できるならそれもいいんですけど,僕は,ゲームの中でちゃんと見せたいなと。
キャラクター達それぞれの個性とか性格をきっちり見たうえで,誰を仲間にしたいとか,誰を切り捨てたいとか,そういう風に考えていけるようなゲームにしたいので,キャラクターを擬人化して,本人と直接対話していくような形に持っていきたいんですよ。
4Gamer:
キャラクターとして,深みを持たせるための擬人化であるということですか?
稲船氏:
大事なのは,いかにそこに入り込めるかなんです。
逆に言うと,ウケないものは,入り込めるだけのキャラクターを作れていなかったというだけで。昔はそれを作ってくれていた,僕らはそれを見て育ったんで,それにならって作ればいいと思っています。
4Gamer:
それでは最後に,稲船さんの新作に注目している読者にメッセージをお願いします。
稲船氏:
当然,賛否はあると思います。
もっと大人向けを作れとか,もっと血まみれのゾンビを作れとか,いろんな人はいると思うんですけど,まずは僕自身がやりたかったことをやると。
もちろん,これだけをやりたかったわけじゃなくて,これからもっともっとたくさんのタイトルを発表していきたいのですが,第1弾として,しっかりと「海王」をやっていきたいなと思っているので,できる限り応援していただきたいと思っています。僕は褒められて伸びるタイプなので(笑)。
4Gamer:
ありがとうございました。
- 関連タイトル:
海王
- 関連タイトル:
ブラウザ三国志 NEXT
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牧場物語 はじまりの大地
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