インタビュー
「より遊びやすく、奥深く」――新フォートレスやバハムートが登場する「MONSTER×DRAGON」のアップデート「モンドラ2.0」について聞いてきた
前回のインタビューでは,モンドラのゲームデザインや今後の構想などについて聞いたが,それらがいよいよ具体的な形となったのだろうか?
前回と同様,本作のプロデューサー岡山博紀氏とマーケティングディレクター下平光峰氏に,その内容と狙いについて詳しく聞いてみることにした。
「MONSTER×DRAGON」公式サイト
想定以上の盛り上がりを見せた「ギルドウォー」に120ギルドが参戦!
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回は,モンドラで大規模なアップデートの計画に関して教えていただけるとのことですが。
はい。今回お伝えしたいのは「『モンドラ2.0』始動」です。
岡山博紀氏(以下,岡山氏):
そして,テーマは「より遊びやすく、奥深く」です。
4Gamer:
分かりました。
では「モンドラ2.0」の内容を聞く前に,まずはモンドラの現状から教えてください。
下平氏:
「MONSTER×DRAGON」の会員数ですが,おかげさまで20万人を突破しました。公式サイトのアクセス数を見ても,オンラインゲーマーの間でモンドラは「タイトルを聞いたことがある」レベルの認知度にはなったと思っています。
4Gamer:
最近の大きなアップデート項目としては,3月10日に「ギルドウォー」が実装されましたね。
岡山氏:
はい。ギルドウォーに関して改めて説明すると,ギルドごとに20名以上のメンバーを揃えて,トレーディングカードの大会などでよく採用されている「スイスドロー(※)」に近いマッチング方式で土日の夜に対戦していくコンテンツです。
メンバーを20人以上集めなければならず,非常にハードルが高いため,当初は「10ギルドくらい集まってくれたら嬉しいな」と思っていたんですが――蓋を開けてみれば,初回はトータルで120ギルド以上集まりました。
(※初戦は出場者がランダムにマッチングされ,2回戦以降は勝ち点の近い出場者同士が対戦するというトーナメント形式)
4Gamer:
それは凄いですね。少人数のギルドやコミュニティなら,そこそこの数が存在すると思うんですが,20人規模のギルドを,それも120余りも集めるのはかなり大変なことだと思うんですよ。
岡山氏:
ええ,ですから嬉しかったですね。こうしたギルド戦の場合,大規模なMMORPGでも1ギルドあたりのアクティブ数が少なく,複数のギルドが合同でチーム編成する……みたいな話をよく聞いていますので。
ただ,実装直後こそお祭りとして盛り上がっていますので,今後も盛上げていくことはきちんと考えていきたいですね。
4Gamer:
その盛り上がりを維持するための,何らかの施策が必要になってくると思われますが。
下平氏:
そうです。新規に「俺達もギルドを作ろうぜ!」みたいな人がどんどん増えていくような仕掛けを考えたいですね。
4Gamer:
ですが,エンドコンテンツに熱中するコアプレイヤーが多いと,逆に初心者が入り辛いという部分もあると思います。
岡山氏:
皆さんご存じのとおり,このゲームは,誤解を恐れずに言うと少し不親切なんですよ。ソロプレイだけでは運次第になってしまう要素も多く,みんなで連携をとればお互いに回避できるようなゲームとして設計してあります。ですが,「今日からモンドラ始めます」という人達がその中に入るには,ちょっと勇気が要る場合もあります。
4Gamer:
100人が一斉に戦っている中に一人で放り込まれて,初心者はどうすればいいのか分かりませんね。
岡山氏:
これはプレイヤーさんからも指摘されています。今まではエンドコンテンツを中心に駆け足でアップデートしてきましたが,今後は初心者の方も含めプレイヤーの皆さんが気軽に遊べるコンテンツを追加すること,加えて,これまでのモンドラの常識を覆すような奥深いコンテンツを追加することに注力たいですね。そしてこれが,「モンドラ2.0」のテーマになります。
ユーザー投稿も可能な「ミッションクリエイト」が登場
4Gamer:
では,モンドラ2.0について聞いていきたいと思うのですが,すでに公式サイトでは「ミッション」システムを予告していますね。これは従来のチュートリアルを発展させた,1人用のモードになるんでしょうか。
将来的にはギルドメンバーと一緒に遊べるものを目指していますが,モンドラ2.0ではシンプルに1人で遊べるミッションをプレイヤーさんが自由に投稿できるシステムを実装しようと計画しています。
4Gamer:
なるほど。なんというか雑誌や新聞に載っている,詰め碁や詰め将棋みたいな印象ですね。では,プレイヤーが投稿したミッションをクリアすることで,何か報酬は手に入るんでしょうか。
下平氏:
はい,何かしらの報酬は付けようと思っています。詳細は,今はまだヒミツとさせてください。
また,YouTubeやニコニコ動画などのように,投稿されたミッションに対してコメントを残したり,お気に入りに登録することができ,新着のミッションやよく遊ばれているミッションのランキング機能も用意する予定です。もちろん,オフィシャルからも主に初心者の方に向けたチュートリアルミッションを追加していく予定です。
4Gamer:
プレイヤーが作るミッションは,どんなものでも公開できるんですか?
岡山氏:
できます。まずは制限を設けずに,自由に投稿していただこうと考えています。練習して作るのがうまくなっていく部分をきちんとフォローしたいので。
4Gamer:
なるほど。ミッションをプレイするときに,プレイヤーは自前のデッキを持ち込むのでしょうか。それとも詰め将棋の持ち駒のように,プレイヤーのデッキの中身は決められているんですか?
岡山氏:
最終的にどの形が良いのか,面白さを優先して検討中です。
4Gamer:
では,ミッションクリエイトの方法についても教えてください。
岡山氏:
ミッションクリエイトは,凝ったUIを用意するのではなく,設定の自由度を優先して,テキスト形式で設定ファイルを編集できるようなものを検討しています。
4Gamer:
具体的には,どれくらい自由に作れるんですか?
岡山氏:
プレイヤーが使えるカードやフォートレス,敵フォートレスと持っているカード,配置,そして地形効果,鉱床の数。それらすべてを自由に設定できるように考えています。用意されているマップチップを組み合わせてマップも自由に設定できるようにしたいですね。
下平氏:
もしかしたら「痛マップ」みたいなものも出てくるかもしれません。よく見ると手の込んだドット絵になっていて……。「これ,攻略に関係ないよね?」みたいなマップとか(笑)。
岡山氏:
あとは,制限時間とミッションのクリア条件も指定できます。クリア条件については,「フォートレスを全滅させろ」「特定のフォートレスを倒せ」「一定数以上のクリスタルを集めろ」とか,あらかじめ用意されている中から選んで指定する形になります。
4Gamer:
敵のカードについては,ミッションの作者が持っていないカードでも設定できるんですか?
岡山氏:
もちろんです。「強いデッキを持ったやつをどう倒すか?」といった練習ミッションなども自由に作っていただきたいですね。
初心者の上達の足がかりから,上級者同士の競技としての役割まで果たす新たな戦場「少人数戦」
4Gamer:
モンドラ2.0で登場するそのほかの要素に関しても教えてください。
実はモンドラ2.0に向けて,1国10人や15人といった少人数に絞った戦争を,プレイヤーさんに付き合っていただきながら,ランキング戦の時間帯の一部で現在試しています。
4Gamer:
それは,どういった目的によるものですか?
岡山氏:
これまで「もっと複雑な戦争ルールで遊びたい」という声も多くあったのですが,通常の100人戦でテクニカルなマップを用意してしまうと,ギルドでちゃんとコミュニケーションがとれるチーム以外は,わけが分からないうちに終わってしまうだろうとずっと懸念していまして。
4Gamer:
意思の疎通がうまくいかないと,テクニカルなマップは辛いと。
下平氏:
そうです。そこでモンドラ2.0では,例えば1か国10人の2か国で対戦するような「少人数戦」のレギュラー化も検討しています。
岡山氏:
なぜ,多人数だとわけが分からなくなってしまうのか。例えばゲーム画面に表示される情報,判断材料が少なければ少ないほど,「この人はレベルが高いから強そうだな」と簡単に判断できます。
しかしモンドラは,山札以外のカード情報がすべて公開されています。これは,プレイヤーがTPOに合わせてデッキ運用が楽しめる仕組みなのですが,逆に基本的な情報が多すぎてどれを基準に判断すれば良いのか,いま何が起こっているのかが分からなくなってしまうんです。
4Gamer:
100人もいるわけで,もう大混乱ですね……。でも20人くらいの少人数戦があれば,なんとか情報の整理はできそうです。
岡山氏:
それに,僕が少人数戦をプレイして感じているんですが,初心者の方に教えやすいんですよ。ターゲットが少なくなるので,やるべきことが明確になりますから。
4Gamer:
人数が少ない分,意思疎通も楽になりますし教えやすそうです。
岡山氏:
先ほど話したように,今のモンドラは,チュートリアルやミッションで「ああ,こうやって戦うんだ」と分かった頃に,いきなり100人がいる場に放り込まれます。その中間に少人数戦を配置したいなと考えているわけです。初めてモンドラの戦争を経験する場であったり,コミュニケーションが取りやすく,より複雑なルールを用意できる場として少人数戦が機能してくれることを期待しています。
4Gamer:
少人数戦が中間ということは,100人戦はちゃんと残るんですね。
下平氏:
ええ。モンドラをやり込んでいただいたプレイヤーの方にしてみれば,競技性の高い少人数戦,「お祭り」となる100人戦,両方とも必要だと考えています。
4Gamer:
しかし,人数が少なくなれば,その分プレイヤー個人の力量が大きく影響してくるので,逆にゲーム自体は難しくなると思います。そうすると,初心者と上級者の実力差が当然ながらハッキリと表れるはずなので,気になるのはマッチングの方法です。少人数戦でも,100人戦と同様にエントリー制でマッチングを行うのでしょうか。
初心者と上級者をあまり明確に分けてしまうと,そもそも上級者が初級者に教えるということもできないですし。
岡山氏:
プレイヤーの実力は「称号」で分けられます。ですが「称号順に同じレベルのプレイヤーと戦いたい」という人もいれば,「ギルドで固まって遊びたい」という人もいるはずです。ですので,どの基準で戦いたいのか,プレイヤーがマッチング方式を選択できるようにしていきます。
4Gamer:
ちなみに,少人数戦に合わせて,細かなゲームバランスも調整されていくんですか?
岡山氏:
はい。マップの形や大きさや鉱床の配置,欲張りかもしれませんが,NPCの動きを含め,すべてをテクニカルに変えていければと思います。順を追ってですが。
4Gamer:
少人数戦も,基本的なルールとしては100人戦と同様なんでしょうか。例えば制限時間ですとか。
岡山氏:
まだ検討中ですが,制限時間については少人数戦だけでなく,100人戦も早めても良いかなと思っています。例えば少し早回しの15分戦とかですね。
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