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グラスホッパー・マニファクチュアが贈る「Black Knight Sword(ブラック・ナイト・ソード)」は,難しくても繰り返し挑戦したくなる現代の2Dアクションだった
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印刷2013/01/09 17:00

プレイレポート

グラスホッパー・マニファクチュアが贈る「Black Knight Sword(ブラック・ナイト・ソード)」は,難しくても繰り返し挑戦したくなる現代の2Dアクションだった

 グラスホッパー・マニファクチュアは,配信専用2Dアクションゲーム「Black Knight Sword(ブラック・ナイト・ソード)」PlayStation 3 / Xbox 360)を,1月10日(木)にリリースする。価格は,PlayStation 3版が1000円(税込),Xbox 360版が800マイクロソフトポイントだ。

ステージの幕にスポットライトで映し出されるタイトル画面
画像集#001のサムネイル/グラスホッパー・マニファクチュアが贈る「Black Knight Sword(ブラック・ナイト・ソード)」は,難しくても繰り返し挑戦したくなる現代の2Dアクションだった

 一昨年9月の東京ゲームショウでの同社プレゼンにて,ハンガリーの開発会社Digital Realityとの共同開発が発表され,一部内容なども明らかにされていた(関連記事)が,それ以降は沈黙が続いていた本作をプレイできる日が,ついにやってくるわけである。

 今回このブラック・ナイト・ソードの日本語版サンプルを,リリース前にプレイさせてもらうことができたので,その独自の世界観や演出,そして2Dアクションゲームとしてのプレイフィールなどをお伝えしよう。なお今回は,PS3バージョンにてプレイをしているので,記事中の操作系等についてはPS3のボタン配置に準じた表記となっている。

ロード中は,観客のシルエットが投影される小粋な演出が光る
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「Black Knight Sword」公式サイト



Unreal Engineによって描かれる美しいグラフィックス


 冒頭から,俳優の本田博太郎さんの個性的な語り口調でプロローグが語られる。その内容は,華やかな生活の裏で残虐無比の限りをつくす姫を討つべく,剣(つるぎ)の精“ブラック・ヘレボルス”が,黒の騎士“ブラックナイト”とともに旅に出るというもの。王道のファンタジーならば救うべき対象のお姫様が,本作ではかたき役という,ブラックユーモアあふれる設定となっている。
 さらに各ステージ冒頭に挿入される,ストーリーとは直接関係のない絵本で語られるエピソードが,これまたかなりブラックなので,そういったテイストが好きな人ならば,独特の世界観に魅了されていくだろう。

首吊り男が剣を手に取り,ブラックナイトに変身するショッキングなオープニングシーン。ステージ上のネオンが操作を表すのも面白い
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 ゲームがスタートして,まず目に付くのは,その独特のグラフィックスだ。線画に着色をほどこした多関節のキャラクター達が,スポット処理された背景の中でカクカクと動き回る様子は,前時代の紙芝居か影絵劇場といった趣を感じさせる。
 シーンごとにパタパタと入れ替わる書き割り風の背景を見ているだけでも楽しく,ユニークかつグロテスクな敵キャラクターと共に,本作の見どころとなっている。
 これらのグラフィックス表現にはUnreal Engineが使われているとのことで,3Dとはまた違う,現代の最新2D表現をゲームをプレイしながらじっくり堪能してみよう。

第1幕の序盤にはチュートリアルが用意されている。ここでのナレーションも,もちろん本田さんが担当している
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正統派の2Dジャンプアクションが展開


 ゲーム本編は,ジャンプや剣で攻撃をしながらスクロールするステージを進んでいくという,かつてファミコンやアーケードゲームの時代に人気を集めた「魔界村」や「悪魔城ドラキュラ」といった,2Dアクションの名作を彷彿させる内容となっている。

剣で敵を突くと血しぶきが上がり,倒すと心臓が手に入る。敵の見た目だけでなく,演出までとことんグロテスクだ
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 主人公のブラックナイトは,ガシャガシャと音を立てる鎧を着ているが,ことのほか身軽で,ジャンプ攻撃や下突き,緊急回避などのさまざまななアクションを見せてくれる。ブラックナイトの剣での攻撃は突きが基本なので,攻撃範囲はさほど広くはない。また,ジャンプ攻撃などには若干のクセがあるものの,アクションの手触りとしては概ね良好だ。筆者個人としては,アナログスティックより,方向キーのほうが操作しやすいように感じられた。
 そんなブラックナイトのアクションに合わせて,ステージには狭い足場やトゲの床,落とし穴など,2Dアクション定番の仕掛けが待ちかまえている。仕掛けとして目新しいものは多くないが,ステージごとに異なる凝った演出やグラフィックスは,プレイヤーを飽きさせない。筆者自身もボスの姿や,それを倒した次のステージがどんな雰囲気なのかを楽しみにしながらプレイを続けることができた。

鳥かごに捕まった“スズ目”を助け出すと,ショップを呼び出せる。手に入れた心臓と引き替えに,体力の回復やパワーアップが可能だ
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 本作で特徴的なギミックとして挙げられるのは,剣の精ブラック・ヘレボルスを使ったアクションだ。彼女(ルックスからして,恐らく女性)は,R2ボタンで前方に飛ばすことができ,離れた敵を攻撃したり,遠くにあるアイテムを取るための飛び道具として使えたりする一方で,ステージ中のスイッチブロックに接触させることでギミックを動かしたり,それ自体を足場にして高所へ上がることなどにも利用できる。
 このギミック自体が必要な場面はそれほど多くなく,味付け程度に考えるのがいいが,飛ばしたブラック・ヘレボルスの攻撃力を上げる方法も存在するので,攻撃手段としてうまく使いこなせば,攻略につながることがあるのかもしれない。
 ちなみに彼女は剣の精であるため,飛ばしている間は剣を使えなくなることも覚えておこう。

小さくて妙に可愛いブラック・ヘレボルス。R2ボタンを押して放すと,前方へ飛んでいく。ステージが進めば△ボタンで魔法を発動することも可能になる
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デフォルトでもかなり歯ごたえのある難度


ステージクリア後,“チャージアタック”や“風車蹴り”などの新しい能力が一つずつ使えるようになる。ただしこれらを使わなくてもゲームクリアは可能だ
画像集#012のサムネイル/グラスホッパー・マニファクチュアが贈る「Black Knight Sword(ブラック・ナイト・ソード)」は,難しくても繰り返し挑戦したくなる現代の2Dアクションだった
 難度に関しては,ゲームを最初から始める場合,「かんたん」「普通」「難しい」の3段階から選択できる。筆者はデフォルト設定である「普通」を選んで進めていたが,これでも手を焼く難しさで,第2幕(ステージ2)あたりから早くもゲームオーバーの繰り返しだった。
 本作はゲームオーバーになった場合,ステージ最初からのやり直しとなり,それまでのパワーアップなどがすべてリセットされてしまう。セーブは手動で,ステージ中のチェックポイントを通ったときの状態を保存できるが,そこからのコンティニューはタイトルメニューからしかできない。
 筆者はプレイ中,このコンティニューに頼ることが多かったが,ポーズメニューからタイトルに戻り,タイトルメニューからコンティニューで続きをプレイするのは一手間以上かかってしまう。ということは,セーブはあくまで中断用のものと考えるのが正しいのかもしれない。ただ,ゲームオーバーになったとき,ステージ最初からのやり直しを前提にプレイするとなると,総合的にはかなり難度が高いゲームという印象を受ける。

ステージに置かれた電子レンジは,壊すと中からアイテムが出てくる。なぜ電子レンジなのかはあとで考えることにして,ぜひ取っておきたい。ちなみにドクロは回復アイテムだ
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ステージの最初に挿入される絵本風のエピソードでは,そのステージのボスをイメージしたストーリーが語られる
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 一方「かんたん」を選んだ場合,配置されている敵の一部が弱いものに変更され,ボスなどの耐久力もかなり低く設定される。「普通」の各ステージをクリアできる程度にプレイしたあとに「かんたん」をプレイしてみると,コンティニューせずに最終面までたどり着けるほどの変わり方だった。
 アクションはちょっと苦手だけど,本作の世界観などが気に入ってプレイするという人ならば,「かんたん」で進めていくのがいいだろう。もっとも,ステージ自体のレベルデザインはほかの難度と変わらないため,足元には気をつける必要があるのだが。
 ちなみに「難しい」では,敵はより強いものが配置され,一部の敵は攻撃方法まで変わるため,生半可ではない歯ごたえを感じられることだろう。

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特定のステージをクリアした時点で出現する「アーケードモード」は,難度「難しい」よりもハードな敵の配置がなされ,コンティニューもできないコアゲーマー用モードだ
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「チャレンジモード」は,通常とはまったく違う構成のステージをクリアするまでの時間を競うモード。クリアにはそれまでのプレイで培ったテクニックが必要となる

 本田さんのナレーションもさることながら,ゲームの不気味な雰囲気にマッチしたサウンドにも注目したい。本作の場合,ブラックナイトのガシャガシャ歩く音や,異形の敵たちから発せられる不快な声,チェックポイントを通ったときの鳥の声のような謎の音声など,BGMよりもむしろ効果音のほうが耳に残るかもしれない。
 シーンごとに背景が入れ替わるカラクリにもちゃんと効果音があてられているといった凝りようで,プレイするときはできるならヘッドホンを用意して,これらの細かい音までしっかり逃さず聴いてみてほしい。

背景や敵キャラのデザインにも独自のセンスが光る。その不可解さは,昔のアーケードゲーム「トリオ・ザ・パンチ」(データイースト)や「プリルラ」(タイトー)に通じるものがあると思ってしまったのだが,どうだろうか。最も謎だったのは,チェックポイントを通過したときに画面右下に現れるサバだったり
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何度も繰り返して挑戦したくなる,懐かしい面白さ


 プレイ中に何度もゲームオーバーになり,トライ&エラーで攻略法を掴んでいく感覚は,最近のゲームでも味わえる。だが,それを新作の2Dのアクションで体験できたのは本当に久しぶりだった。実際筆者も,第4幕のボスあたりには相当手こずらされたのだが,プレイを何度か重ねるうちに,攻略法がぼんやりと見えてくるという作りには感心させられた。

見た目だけでなく,背景に沿ったギミックも登場する。穴に落ちると通常はダメージをくらうだけだが,場所によっては即死することも
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各ステージのボスもまた個性的。巨大な強敵が多いのだが,動きをよく観察するのと,回避などのアクションを使いこなすことで,必ず攻略方法が見つかるはず
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なんとシューティングになるシーンも!? 巨大なニワトリにブラックナイトが乗っているのが分かるだろうか
画像集#027のサムネイル/グラスホッパー・マニファクチュアが贈る「Black Knight Sword(ブラック・ナイト・ソード)」は,難しくても繰り返し挑戦したくなる現代の2Dアクションだった
 ゲームオーバー後,ステージを最初からやり直しとなる仕様は,不親切といってしまえばそれまでだが,ファミコン時代のアクションゲームを意識したものと考えれば,妙に納得ができてしまう。本当に進めないと思ったときは,こまめにセーブをしてコンティニューで進むという逃げ道も用意されているし,それでもダメなら難度を下げてやり直してみるのもいいだろう。
 前世紀のゴシックホラーを思わせる,怖いながらもどこか面白くて,ブラックな世界観に,ドラマなどでもよく耳にする本田博太郎さんの超個性的なセリフ回しがマッチし,それを体験するだけでも価格以上の価値ある一本といえる本作。
 テレビという箱の中に広がる小さなシアターで,コントローラから手に伝わってくる2Dジャンプアクションの懐かしい感触を,とくに筆者と近い世代のアラサー〜アラフォーのアクションゲーマーにはぜひ味わってみてほしい。もちろんそれ以外の世代にも十分に楽しめる作品なのでご安心を。

各ステージに隠されている“猫頭草”は,ゲームクリアには関係のないコレクションアイテム。取ったものは,タイトルメニューから眺めることができる
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