プレイレポート
その後の話を始めようか――ガチ勢だけでなく格ゲー未経験者にも遊んでほしい「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」プレイレポート
本作は,シリーズおなじみのロールプレイングゲームというジャンルから一変,アトラスが誇るペルソナチームと,人気格闘ゲーム「BLAZBLUE」シリーズを制作したアークシステムワークスがガッチリとタッグを組み,2D対戦格闘ゲームとして開発されている(関連記事【1】【2】)。
今回,格闘ゲームと「P4」をこよなく愛し,「P4U」に関してはアーケード版からみっちりとプレイし続けている筆者が,本作の特徴と魅力を紹介していこう。
「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」公式サイト
ロールプレイングゲームと2D対戦型格闘ゲームの融合
もちろん,「P4」のコマンド選択式のバトルを,そのまま2D対戦格闘ゲームで再現したわけではないし,キャラクターの成長システムが盛り込まれているわけでもない。本作には,登場キャラクターのイメージを損なわない通常攻撃,使用可能なスキル(一般的な格闘ゲームでいうところの必殺技),「氷結」「激昂」「魅了」といった状態異常(バッドステータス)の数々が,違和感なく盛り込まれているのだ。「P4」「P4G」では,選択したコマンドに応じた一定のアクションしか見せなかったキャラクターを,自分の思うがまま,自由自在に動かせる喜びは,アクションゲームになったからこそ味わえるものであり,「P4U」最大の魅力と言えよう。
2D対戦格闘ゲームということで,+ボタンや+ボタン,溜め+ボタンといったコマンド入力が必要となるが,(「BLAZBLUE」シリーズ含む)一般的な同ジャンルのゲームと比べて,それほど複雑なものではない。CPUキャラクターとの対戦であれば,オプションで難易度を調整すれば,ボタンを連打しているだけで十分クリアできるはずだ。
「P4」の正統続編――アクションゲームの常識を超えたストーリーモード
ストーリーモードでまず選択できるのは,メインキャラクターである鳴上 悠,花村陽介,里中千枝,天城雪子の4人。そのほかのキャラクターの視点で描かれるエピソードは,この4人のストーリーを進めていくことで,段階的に選択できるようになる。
ストーリーモードのシナリオは,アトラスのペルソナチームが担当しており,一本のノベルゲームとして楽しめるほどのボリュームとクオリティに仕上がっている。ストーリー途中での保存機能はもちろん,既読スキップや文字表示速度の調整も可能で,ストレスなくプレイできる点に好感が持てる。
ストーリーの内容に関しては,ネタバレ必至なので多くは語れないが,「P4」の後日談というだけあって,なじみのある固有名詞や背景が多数登場。「P4」「P4G」をプレイした人や,TVアニメを見た人ならば,ノスタルジックな気分を味わいつつ,新たなストーリー展開に浸れるだろう。
レッスンモード,チャレンジモードで格闘ゲーム初心者も安心!
「そもそも格闘ゲームをほとんど遊んだことがないんですけど」という格ゲー初心者には,「P4U」のバトルルールを学べる,レッスンモードを試してみることをオススメする。
レッスンモードでは,主人公の鳴上 悠を使用し,「歩き」「ジャンプ」といったキャラクターの移動から,「通常技」「SPスキル」などの攻撃方法まで,キャラクターの動かし方のコツを段階的に学ぶことができるのだ。ストーリーモードやアーケードモードでのバトルに勝てないプレイヤーは,まずはこのモードで基本操作を覚えてから,再チャレンジしてみるといいだろう。
なお,本作が“初心者にやさしい格闘ゲーム”と語られるゆえんは,Aボタン連打コンボの存在によるところが大きい。キャラクターが地上にいる状態でAボタンを連打するだけで,通常攻撃からスキル,さらにはSPスキルまでが自動的につながり,派手なコンボを繰り出せる。連続技を成立させるのが難しい,または連続技の構成を覚えるのが面倒という人でも,気負うことなくプレイできるはずだ。
便利なトレーニングモードで上級者も満足!?
そして,本作のトレーニングモードに対する筆者の率直な感想は「機能が充実しすぎ!」の一言。体力ゲージ,SPゲージといったゲージ類の調整や,ガード,ジャンプなどCPUキャラクターの状態を設定できるのはもちろん,使用キャラクター固有の能力(陽介のスクカジャゲージ,雪子の火炎ブースターレベルなど)も,自由に設定可能だ。
数ある機能の中でも注目したいのは,CPUキャラクターの動きを自由に設定できるレコーディング。一度に3種類の行動をCPUキャラクターに記憶させられるうえ,それをランダムで再生できる。これを上手く利用すれば,苦手なキャラクターの対策を練るのも簡単。プレイヤーとの対戦を勝ち抜くためには必須の機能とも言える。
気になるネットワーク対戦は……?
ネットワーク対戦の印象は,ゲームセンターでの対戦と比べてわずかなラグは感じるものの,基本的には違和感なくプレイできるレベル。筆者は真田明彦を使用しているが,連続技も高いレベルでひと通りこなせる。また,アークシステムワークスが「BLAZBLUE」シリーズで培ったノウハウがあるからか,回線環境の良い相手のみ選択できるなど,ユーザビリティの面でもとくに不満を感じる点はない。
そして,ネットワーク機能の中でも筆者がとくに嬉しかったのは,トレーニングモード待ち受け(トレーニングモード中,ネットワーク対戦の待ち受けができる機能)。もはや,格闘ゲームのネットワーク対戦は当たり前の時代になってきたが,トレーニングモード待ち受けとなると話は別だ。これがあるおかげで,ネットワーク対戦の合間に連続技やキャラクター対策の練習ができ,直前の対戦を次の対戦に活かしやすくなっている。テクニックの向上には欠かせない機能と言えるだろう。
なお,本作のXbox 360版では,当初「ネットワークを利用した「通信対戦」時に、想定以上のタイムラグが発生する場合がある」ことが確認されていたが,8月9日より,その問題を解決する修正パッチが配信されている(詳しくはこちら)。Xbox 360版のプレイヤーは,これを忘れずに導入しておこう。
さぁ,戦いの渦へ飛び込んでみようか!
また,2D対戦格闘ゲームを普段プレイしているが,「ペルソナ」シリーズは未プレイだという人は,この作品を通じてキャラクターの魅力や,スタイリッシュな作風に惹かれたのではないだろうか。「P4G」や「P3P」をプレイして,より深く本作の世界観に浸ってみるのも一興である。
また,アニメやアドベンチャーゲームといった,格闘ゲーム以外のジャンルも好きな筆者としては,この作品の成功を受けて,別メディア,別ジャンルの格闘ゲーム化が増えることにも期待したいところ。自分が大好きなキャラクターたちを自由自在に動かせるなんて,ゲーマーにとっては夢のようなことじゃないですか! そんな「ペルソナ」ファンにとっての夢を具現化してくれた「P4U」には,今後も末永く楽しませてもらうことになりそうである。
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(C)Index Corporation 1996,2011 Produced by ATLUS
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