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[SPIEL’15]ボードゲームの祭典「SPIEL’15」がまもなく開幕。ドイツゲーム賞授賞式から「1000人カタン」まで,年に一度の“お祭り”にファンが集結
ドイツ国内はもちろん,世界中から熱心なファンが集まるSPIELは,まさにボードゲームの祭典と呼ぶに相応しいイベントだ。2014年の来場者数は16万人超,出展数は832ブースにおよび,今年は41か国から908ブースが出展となる。
もともとドイツはボードゲームの盛んなお国柄だが,とくに1995年の「カタンの開拓者たち」の世界的なヒット以降,ドイツで作られているボードゲームが「ドイツゲーム」というジャンルとして定着するくらい,認知度を高めた(もっとも,最近ではドイツ以外の国でデザインされることも多いため,「ユーロゲーム」と称されることもある)。ドイツゲームの定義は曖昧ではあるものの,よく見られる特徴としては,以下のものが挙げられるだろう。
- ルールがシンプルで分かりやすい。
- ゲームに勝つためには運と技術の双方が必要となり,そのバランスがゲームデザインの一部として設計されている。
- 家族で楽しめる題材を扱うことが多い。
- 色とりどりの立体のコマ(木製のキューブやプラスチックのポーンなど)を多用する。
もちろん,毎年膨大な数のゲームが出版されているので,この特徴は絶対のものではないのだが。
日本でも,ドイツゲームに端を発したボードゲームブームが広がっており,近年では「ゲームマーケット」のような展示即売会に多くのファンが足を運ぶようになった。また,コンピューターゲームに比べると遥かに低予算でゲームを完成させられるため,いわゆるインディーズの市場が世界的にも盛り上がりを見せている。そうやって作られたインディーズ・ボードゲームが,プロが作った作品を押しのけて高い評価を集めるようなことも,決して珍しくないのである。
とくに日本のボードゲームは,世界的に見ても特徴的なミニマリズム――なるべく小さな備品とルール,そして短いプレイ時間で,ゲームの楽しさや奥深さを存分に味わえる――という特徴を持ち,注目を集めている。2014年にはカナイセイジ氏の「ラブレター」がドイツゲーム賞で4位を獲得し,2015年の今年も菅沼正夫氏の「街コロ」がノミネート,8位を獲得したことからも,それは明らかだ。
また,アワードを獲得するところまではいかずとも,ゲームマーケットで高い評価を集めたゲームが,海外パブリッシャの目にとまって英語版が出版されたり,あるいは日本側で最初から,海外での販売を視野に入れたデザインと展開を行ったりすることも,もはや珍しくない。もちろん今年も,日本から多くのデザイナーが参加,ブースを構えているようである。
「Internationale Spieltage SPIEL’15」公式サイト
世界中のボードゲームファンが集まる“お祭り”
さて,そんな盛り上がりを見せるボードゲームの祭典「SPIEL’15」だが,今年は新作ボードゲームの発表や試遊,販売のみならず,さまざまなステージや大会イベントの開催が予定されている。
今年で10年目を迎える「カルカソンヌ」の世界大会のほか,ドイツ統一25周年を記念した「1000人のプレイヤーで特別製の『カタンの開拓者たち』をプレイする」イベント(複数卓で同時プレイでなく,1000人で1つの「カタン」をプレイするとのこと),賞金1500ユーロの「RISK」大会など,まさにSPIELならではの催しだ。
もちろん,前夜祭として行われたドイツゲーム賞の授賞式も忘れてはならない。ドイツゲーム賞は,その年に発表されたユーロゲームから最も優れた作品をファン投票によって選ぶ形式のアワードで,入賞作はもちろんのこと,選考の対象となっただけでも,かなりの名誉と言える。ボードゲームの本場だけあって,ノミネート作品であればその面白さは保証されたも同然で,ドイツゲーム賞はそれだけの権威と信頼を兼ね備えた賞なのだ。
4Gamerでは,ボードゲームファンにとってまさに夢のようなイベントであるこのSPIEL’15のレポートを,現地であるドイツ・エッセンから順次お届けしていく予定だ。とくに,日本のいわゆる“ゲームのイベント”とは違う,ドイツならでは会場の空気を,写真と共にお伝えしていくつもりなので,ファンはぜひ楽しみにしていてほしい。
■ドイツゲーム賞2015受賞リスト
順位 | タイトル | デザイナー | メーカー |
---|---|---|---|
大賞 | 「The Voyages of Marco Polo」 | Daniele Tascini / Simone Luciani | Hans im Gluck Verlag |
2位 | 「ORLEANS」(邦題:オルレアン) | Reiner Stockhausen | dlp games |
3位 | 「COLT EXPRESS」(邦題:コルト・エクスプレス) | Christophe Raimbault | Ludonaute / Asmodee |
4位 | 「MURANO」 | Inka und Markus Brand | Lookout |
5位 | 「Fields of Arle」 | Uwe Rosenberg | Feuerland |
6位 | 「FIVE TRIBES」 | Bruno Cathala | Days of Wonder / Asmodee |
7位 | 「CACAO」 | Phil Walker-Harding | ABACUSSPIELE |
8位 | 「街コロ」 | Masao Suganuma | Kosmos Verlag |
9位 | 「AQUASPHERE」(邦題:アクアスフィア) | Stefan Feld | Hall Games / Pegasus Spiele |
10位 | 「PATCHWORK」 | Uwe Rosenberg | Lookout |
子供向け部門受賞作品
タイトル | デザイナー | メーカー |
---|---|---|
「Spinderella」 | Roberto Fraga | Zoch Verlag |
金の羽根賞(模範ルール部門)
タイトル | デザイナー | メーカー |
---|---|---|
「Alchemists」(邦題:アルケミスト) | Matius Kotry | Heidelberger Spieleverlag |
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