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[SPIEL’16]いよいよ開幕するアナログゲームの祭典「SPIEL'16」。ドイツ・エッセンの現地から最新のボドゲ情報をお届け
同イベントはその規模が拡大に向かっている最中であり,出展ブースも2014年の832ブースから,2015年は908ブースに増加。そして今年2016年には,ついに1000の大台を超え,1021ブースの出展が予定されている。参加者数も16万人超えは確実(昨年は16万2000人)といったところで,使用ホールも今年は3つ増え,ボリュームアップが図られている。1000ブースともなれば,仮に1ブースを5分でめぐったとしても4日間ですべてを回ることは不可能であり,持ち込まれるゲームを数えれば,1200を超える作品が一堂に会する。ともあれ,アナログゲームの祭典と呼ぶに相応しい規模のイベントなのである。
「Internationale Spieltage SPIEL’16」公式サイト(英語)
多様化を深めるESSEN SPIEL
もとよりボードゲームは,多様性が幅広いジャンルだ。年季の入ったコアゲーマーが半日以上かけてプレイする重厚長大なゲームが「名作」として評価されれば,初対面の人達が5分で遊び方を覚え,15分程度で楽しい1ゲームを体験できるような作品も「傑作」として讃えられる。ゲームを構成する要素も,カードを使ったり木のコマや天然石コマ(要は石ころ)を使ったりは当たり前。粘土や積み木に鏡を使うものもあれば,あるいは近年ではPC(とくにスマートフォンやタブレット)を併用する動きも盛んである。
それを踏まえ,SPIEL16の出展タイトルのリストを眺めると,大人数が同時に楽しめる,つまりパーティゲームが盛り上がりを見せているように感じられる。日本でも「汝は人狼なりや?」に代表される正体隠匿系ゲームが,大人数で楽しめるパーティゲームとして人気が集まっているが,どうやらこのムーブメントは日本だけではないらしい。いわゆる,リアル脱出ゲームなどの謎解きゲームは海外でもすでに定番であり,こうした流れを汲んだ作品が次々と登場しているようである。
さらに国際的なイベントという意味でも,今年はより多様化している。
SPIEL16の出展ブースを国別に見ると,出展国は昨年の41か国から9つ多い50か国となった。とくにスペイン語圏からの参加が増えているようで,かつてはドイツゲームと呼ばれ,いまではユーロゲームと称されるこの界隈にも,さらに新しい名前が必要なのではと思わされる。
もちろん日本の出展ブースも増えてはいるのだが,どちらかといえば,最近は日本のクリエイターが直接作品を売り込みに来るというよりも,権利を獲得した海外のパブリッシャが,日本の作品を世界に紹介するというケースが増えてきている。
このように,現代ボードゲーム世界の多様性を凝縮したかのようなSPIELは,「何が飛び出すか分からない」イベントでもある。「ボードゲームといえば,これこれこういうもので,このように楽しめるゲーム」という概念が,根底から覆りかねない可能性を秘めた場――それがSPIELなのである。
ボドゲファンから,デジタルカードゲーマーまで
SPIELといえば,前夜祭におけるドイツゲーム賞の受賞式も忘れてはならない。
ドイツゲーム賞は,ユーザー投票によって決まるアワードであり,それゆえに若干セレクションがコアゲーマー寄りになりがちな側面があるものの,その信頼度はいまもって非常に高い。今年は,残念ながら日本人デザイナーによる作品が入選することこそなかったが,ラインナップに入っている作品のほとんどが,すでに日本語化されていることを鑑みるに,日本から来ているバイヤーの目の確かさが証明されたとも言えるだろう。
順位 | タイトル | デザイナー | メーカー |
---|---|---|---|
大賞 | MOMBASA(邦題:モンバサ) | Alexander Pfister | eggertspiele, Pegasus Spiele |
2位 | CODENAMES(邦題:コードネーム) | Vlaada Chvatil | Heidelberger Spieleverlag, Czech Games Edition |
3位 | T.I.M.E STORIES(邦題:タイムストーリーズ) | Manuel Rozoy | Space Cowboys |
4位 | PANDEMIC LEGACY(邦題:パンデミック:レガシー) | Matt Leacock, Rob Daviau | Z-Man Games |
5位 | MYSTERIUM(邦題:ミステリウム) | Oleksandr Nevskiy, Oleg Sidorenko | Libellud |
6位 | KARUBA | Rudiger Dorn | HABA-Habermaas |
7位 | ISLE OF SKYE | Andreas Pelikan, Alexander Pfister | Lookout |
8位 | IMHOTEP(邦題:イムホテップ) | Phil Walker-Harding | Kosmos Verlag |
9位 | 7 WONDERS DUELL(邦題:世界の七不思議:デュエル) | Bruno Cathala, Antoine Bauza | Repos |
10位 | NIPPON(邦題:ニッポン:明治維新) | Nuno Bizarro Sentiero, Paulo Soledade | What's Your Game |
子供向け部門受賞作品 | |||
LEO MUSS ZUM FRISEUR | Leo Colovini | ABACUSSPIELE | |
金の羽根賞(模範ルール部門) | |||
STONE AGE JUNIOR | Marco Teubner | Hans im Gluck |
4Gamerでは,ドイツゲーム賞の授賞式も含め,SPIEL16の模様を現地から順次お伝えしていく予定だ。ボードゲームファンはもちろん,スマートフォンのデジタルカードゲームに熱中する読者にも,「本場の熱気」をお伝えしたいと思っているので,ぜひ期待してほしい。
「Internationale Spieltage SPIEL’16」公式サイト(英語)
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