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あのFuturemark Games Studioの新作は,レトロなB級SFを思わせるタワーディフェンス。「Unstoppable Gorg」を紹介する今週の「海外ゲーム四天王」だ
今週の「海外ゲーム四天王」は,Futuremark Games Studioが制作した「Unstoppable Gorg」を紹介しよう。モノとしてはタワーディフェンスなのだが,「3DMark」シリーズで知られるFuturemark(の傘下のゲームスタジオ)が制作したというところが注目ポイント。同社の前作「Shattered Horizon」がシリアスな雰囲気のマルチプレイFPSだったのに対して,今回は,1950年〜60年代に量産されたB級SF映画をオマージュしたレトロな雰囲気の,ややコミカルな設定の作品になっている。
誰でもプレイできる手軽なゲームになったUnstoppable Gorgを,ライターの朝倉哲也氏が紹介しよう。
でも大丈夫。軌道上を移動して対処すればいいのだ
日本では大きく盛り上がっているとは言いにくいものの,欧米では人気の高いゲームジャンルとして「タワーディフェンス」ものが挙げられる。敵ユニットがわらわらと出現し,こちらに攻めてくるので,プレイヤーは各所にバリケードや砲台などを築いて防戦し,敵を全滅させられれば勝利というのが,おおざっぱすぎるゲーム内容だ。
「Unstoppable Gorg」公式サイト
この「Unstoppable Gorg」も,そういったタワーディフェンスに属するゲームで,地球に攻め込んできたUFOの大艦隊を迎え撃ち,これを撃滅するという内容。地球に攻めてくるUFOの大艦隊だなんて,なんとなく古臭い設定に聞こえるが,それも当然で,本作は1950〜60年あたりのモノクロSF映画(それもB級)のテイストを前面に打ち出した,レトロ感あふれる雰囲気のゲームに仕上げられているのだ。
開発は,PCの性能を測るベンチマークテストソフト「3DMark」シリーズなどで知られるFuturemark社のゲームスタジオである,Futuremark Games Studioが担当している。2009年には「Shattered Horizon」をリリースしているが,宇宙を舞台にしたDirectX 10専用の,硬派なマルチプレイFPSだったShattered Horizonは,残念ながら成功作とはいえず,そんな彼らが2012年を飾る新作として用意したのが,前作の対極ともいえるコミカル&レトロなUnstoppable Gorgだったわけだ。割と意外だ。
1950年,突如として未知の惑星XよりUFOの大軍団が地球に攻撃を仕掛けてきた。アメリカ大統領は,人類を守るために太陽系の各所に敵を迎え撃つ防衛ラインの構築を決定。プレイヤーにその指揮を委ねた。かくして,“Gorg”と名乗る冷酷非情な異星人を相手に,地球の平和を守るための一大決戦が開始された。
というわけで,ゲームの舞台となるのは,土星や宇宙ステーションなどの太陽系各所。地球めがけて押し寄せてくる異星人GorgのUFOを撃滅していかねばならないのだ。レトロな円盤型のUFOには,耐久力や攻撃力が低いザコのようなものから,かなり強力なものまで各種あり,プレイヤーは機銃掃射で敵を破壊するバルカンや,一撃必殺の威力を誇るブラストキャノン,長距離射程を誇るミサイルランチャーなどの防衛ユニットを配置して,彼らを待ち受けることとなる。待ってないで行けよ,と思う人もいるかもしれないが,それがタワーディフェンスのお約束なのだ。
本作で特徴的なのは,防衛ユニットの配置方法だ。プレイヤーが死守しなければならない拠点はマップ中央にあり,防衛ユニットをその拠点を中心とした複数の軌道上に配置する。このように配置できるポイントが決められているため,どこにどのユニットを置いていくかが非常に重要になるのだ。敵がやってくるルートはあらかじめ表示されているので,このラインに沿ったポイントに攻撃用ユニットを配置し,なおかつラインから離れた安全なポイントに,お金を稼いだりテクノロジー開発をするための施設ユニットを配置していくのが基本となる。
とはいえ,敵の侵攻ラインはゲーム中に突如変更されることがあるため,それまで安全地帯だった場所が突然侵攻ルートのど真ん中になったりすることがある。ああ,やばい。
でも大丈夫。そんなときは,各ユニットを軌道に沿って回転させてやればいいのだ。プレイヤー側のユニットは,いつでも自由に(たとえ戦闘中でも)軌道上を移動させられるので,手強そうな敵ユニットがやってくるルートに,別の場所に配置してあった強力なランチャーを持ってきたりといった具合に対処できる。ここが,本作の重要な要素であり,一度防衛ユニットを配置してしまったら,あとは見ているだけという一般的なタワーディフェンスものと違うところ。敵の侵攻ルートが変わるたびに,素早い対処が求められるのが面白いのだ。
ゲームモードは,異星人Gorgとの戦いをストーリーに沿って進めていくキャンペーン,好きなマップで敵と戦えるチャレンジ,無限に波状攻撃を仕掛けてくる敵の大群を相手に,いつまで防衛し続けられるかを楽しむアーケードの3種類で,マルチプレイは用意されていないようだ。人にもよるかと思うが,チャレンジを除いてワンマッチにかかる時間は短く,手軽にプレイできるのもタワーディフェンスならではだ。それだけに,はい次,はい次と,止めどきもなかなか見つからない。
Steamで9.99ドルという,低価格ゲームならではの(良い意味での)チープな雰囲気が漂う本作。ちょっと空いた時間にサクっとプレイできる。あんまり難しいゲームはどうも,という人や,B級SF映画のノリが好きという人には良さそうだ。
■■朝倉哲也(ライター/四天王)■■
アクションゲームからMMORPG,アドベンチャーからストラテジーまで,なんでもプレイする雑色系ライター。年季の入ったPCゲーマーでもあったが,最近はコンシューマ機のゲームもプレイするようになったので,そのオールラウンダーぶりをますます強くしている。
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