インタビュー
「誰もが持つ子供の心を呼び覚ましたい」一風変わった童話世界を展開する「Dream Drops」開発者インタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず,PlayCooはどのくらいの規模の会社なんですか?
150人くらいの会社ですね。Dream Dropsには30人前後が関わっています。
4Gamer:
Dream Dropsは童話がモチーフとなっているのがユニークですが,なぜ童話を題材としたのでしょう?
チェン氏:
すべての人に馴染みがあるものをテーマにしたかったんです。「白雪姫」や「ピーターパン」といった話は,誰もが小さい頃に親しんでいるでしょう。皆さんが心の中に持っている子供の心をもう一度呼び覚ましたいと考えて童話をテーマとしました。
4Gamer:
本作では童話をテーマにしつつも,王子様が自立した姫から捨てられるなど,現代的な要素が多く含まれていますが,童話のメルヘンな世界にこうした視点を盛り込んだ理由はどういったものでしょう。
馴染みのあるものであっても,新しい要素は入れたかったので,現在のような形になっています。ストーリー面では結構工夫していまして,エコ問題や,現実社会の人間関係など,プレイされた皆さんが思わず笑ってしまうような要素を入れたいと考えているんです。
チェン氏:
メインとなるのは皆さんお馴染みのメルヘンの世界です。言わばスイートな世界ですね。そこに現実社会のビターな部分を取り入れて,ほどよくブレンドしているという感じです。コーヒーとガムシロップの組み合わせみたいなものでしょうか。
4Gamer:
なるほど。キャラクターデザインはかなり可愛らしい感じですが,童話のキャラクターをデザインするうえでの苦労や,プレイヤーさんにここを見てほしいというポイントはありますか?
チン氏:
デザイン上で難しかったのは,自分自身も子供の頃の気持ちに戻らなければならなかったことです。デザインの際には子供のときに楽しんだ遊びは何だったかということを考えていて,積み木やお絵描きなど,子供のする遊びのテイストを取り入れています。
制作のうえでは,昔の遊びをどうゲームに活かすか,ということを考えました。「トイソルジャー」という「くるみ割り人形」の人形をモチーフにしたプレイヤーキャラクターがいるんですが,これを木馬に乗せるというアイデアは,誰もが子供の頃に木馬に乗ったことがあるんじゃないかというところから出ています。
同時に,プレイヤーさんの年齢を考慮した表現も行いました。例えば30〜40代のプレイヤーさんなら,子供の頃に木でできた木馬に乗ったことがあると思います。一方,若いプレイヤーさんは時代が進んでいるので,玩具が電動だったりするんですね。そこで,トイソルジャーはレベルが低いと木の木馬に乗るんですが,高レベルになると電動の乗り物に乗る……というような表現を取り入れてみました。デザイン面でも時代の流れが反映されているんです。
男女双方の感性を活かしての開発
4Gamer:
日本で行われた発表会では,ゲームに出てくる白雪姫やアリスをモチーフとしたiPhoneケースを開発スタッフが自作している,というエピソードが語られましたが,開発チームの士気はかなり高いんでしょうか。
チェン氏:
そうですね。テーマ的にも開発スタッフの心を捉えているようで,やる気を出してくれています。そのiPhoneケースも,パーツを自分で探してきての手作りなんです。スタッフの平均年齢は25歳くらいで,ほぼ半分が女性です。Dream Dropsは女性もターゲットにしたいと考えていますので,そうした意味でも女性スタッフは多くなっています。
4Gamer:
では,開発中に女性スタッフの意見を受けて変更・改善された部分などはありますか?
ストーリーにも女性の発想が活かされています。例えば,王子様がシンデレラに捨てられる,という設定も女性スタッフの発案です。男性スタッフは熱血マンガ的というかパワフルな要素を入れたがるんですが,女性スタッフはラブストーリーなど感情の機微を好む傾向にあります。ですので,両方の意見を取り入れて開発を続けていますね。マップなどのデザインは女性スタッフが行っています。女性のほうが細かい点に気がつく傾向にあるので,スイートな雰囲気のマップを仕上げてくれています。
4Gamer:
男女のスタッフで意見がぶつかることもあったりしたんでしょうか。
チン氏:
メインキャラクターの性格をどうするか,というのが男女で一番意見が違っていた部分ですね。例えば,ピーターパンのフック船長をどうするかという議題では,男性スタッフは彼を力強いキャラクターにしたがったんですが,女性スタッフからは,それだと普通すぎるんじゃないか,という意見が出ました。そこで斬新さを取り入れなければということで,フック船長には子供に戻ってもらったんです。
4Gamer:
開発の舵取りも大変そうですね。
チェン氏:
女性スタッフはソフトなやり方で男性スタッフを説得していますね。意見が対立したときも,お母さんが子供に物語を語るようにしてコンセプトを話しますので,意外とぶつかることはないんです。
子供の頃の遊びをゲームに活かす
4Gamer:
ゲームを遊んだうえでの感想なんですが,お菓子で仲間を回復する「パティシエ」と,絵を描いて魔法を使う「ピクトメイジ」がとくにユニークに感じられました。
先ほども話したように,企画を進めるうえでは,子供の頃に何をして遊んでいたかを考えました。ピクトメイジは,ある開発スタッフから「うちの子は壁に絵を描きたがっているんだ」という話を聞いたことが着想のきっかけです。
パティシエは,女性はスイーツが好きだろうということからの発想で,スキルを使うたびにお菓子が出現するようにしました。HP回復の際に,頭上に牛乳パックが現れたりもします。この二つの職業は先行サービスされている香港でも好評でした。
4Gamer:
パティシエは日本のβテストでも多かった職業です。プレイヤーさんが食いつくところはどの国でも同じようですね。
では今後,どういった方向性でのアップデートが行われていくんでしょう。
チェン氏:
童話をモチーフにするという部分は現在と変わりはありません。現在でも30ほどの物語が入っているのですが,これをもっと増やしていきたいですね。開発では童話同士をリンクさせていくことを重視していて,少しダークな部分を削るようなこともしています。
4Gamer:
ダークな部分ですか。
チン氏:
はい。現在はグリム童話がメインになっていますが,ダークな部分は割愛しています。今後は世界各国の童話を取り入れていこうと考えています。
4Gamer:
制作上で一番苦労したキャラクターは誰ですか?
チン氏:
ハートの女王と白雪姫を企画するときが一番大変でしたね。性格やファッションなど,今までのものといかに違った形にするかで苦労しました。ハートの女王はゲーム内で一番スタイルがいいんですが,これはいかに印象的な外観を作るかと考えた結果です。原作では太った意地悪な女性なんですけどね。
チェン氏:
今までと同じような,弱々しい白雪姫が提案されたときもボツになったりしています。
4Gamer:
全体的な絵柄など,日本市場を意識している印象を受けましたが,PlayCooにおける日本市場の位置づけはどういったところなのでしょうか?
日本市場とは「ルーセントハート」以来のおつきあいになります。Dream Dropsも日本市場の好みを意識しながら開発していきました。日本のプレイヤーさんはゲームの品質に関してかなり厳しい目を持っていますので,日本市場で我が社のゲームが好まれているというのは嬉しいことだと思っています。これからも日本市場に認められるように頑張っていきたいです。
4Gamer:
PlayCooから見た日本のプレイヤーさんというのはどんな人たちなんでしょう。
チェン氏:
日本のプレイヤーさんは,ゲームの中でも礼儀正しくて,少しシャイだという印象を受けます。アバターへのこだわりも強いですし,ストーリー性にも注目していただけていますね。今後はプレイヤー間の交流を図るようなシステムを考えていきたいです。
4Gamer:
では,日本のプレイヤーへのメッセージをお願いできますか?
チェン氏:
オープンβテストまでにコンテンツの追加やシステムの改善を行いますので,オープンβテストのときにはもう一度遊びにきてください。子供の頃の楽しさを味わえるゲームですので,まだ遊んでいただけていない方もぜひ一度遊んでみてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
今回の開発インタビューからは,Dream Dropsが,かなりアットホームな雰囲気で作られている様子がうかがえた。「童話」という題材を使いつつも,独自にヒネリを利かせたストーリーはこのような環境から生まれてきていたのだ。
今後予定されているオープンβテストでは,Dream Dropsの世界がどう進化していくのだろうか。オープンβテストの日程については現時点ではアナウンスされていないが,誰もが新規のスタートとなるため,クローズドβテストに参加できなかった人もゲームを遊ぶチャンス。これからの情報にも要注目だ。
「Dream Drops(ドリームドロップス)」公式サイト
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