「東方Project」ファン必携のカードゲーム
「東方祀爭録 〜東方紅魔郷編〜」を入口に,デッキ構築型カードゲーム「ドミニオン」の魅力に迫る連載
「徹底解説:ドミニオンのひみつ」。さっそく第2回を始めていこう。
前回は本作の概要をマンガで説明したが,今回はその遊び方について紹介していく。単なるルール解説に留まらず,本家「ドミニオン」との関係や,本作の持つ中毒性の秘密にまでみっちり触れていくので,初心者はもちろん,中級以上のプレイヤーもぜひ期待してほしい。読んで遊べばますます面白いはずだ。
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実際のプレイ風景。これはサプライを配置してゲームの準備が整ったところ
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これが「東方ドミニオン」こと「東方祀爭録」だ!
本作は「東方Project」シリーズの第6作(Windows版第1作)「東方紅魔郷」を原作としたカードゲームだ。舞台となるのは,原作ファンにはお馴染みの「幻想郷」。プレイヤーは「信仰を失って幻想郷に流れ着いた小神」となり,自らの信仰の力を取り戻すべく,霊夢や魔理沙といった幻想郷の住人達の力を借りながら,幻想郷に祭祀場を建てていく,という設定になっている。
全種類書きおろしカード500枚,ストレージボックス入り/価格:5500円(税込)/人数:2〜4人用/時間:1プレイ30分程度/対象年齢:8歳程度から大人まで |
仕切り板が入っており,カードを種類別に分類してストレージボックスにしまえば,必要なカードだけをスムーズに出し入れできる仕組みになっている |
■「東方祀爭録」とはどんなゲームか
それでは,まず
「東方祀爭録」の遊び方について,改めて説明していこう。前回のマンガでレミリアが説明しているように,本作は買い物によってカードを入手し,自分の山札=デッキを強化していくという
“デッキ構築型カードゲーム”だ。
プレイヤーは全員同じ内容のデッキからゲームを開始し,毎ターン手札の中からリソースを支払って,場からカードを購入していく。購入したカードはデッキに組み入れられ,次の買い物の際に有利になったり,対戦相手を邪魔したりできるようになる。これを繰り返してデッキをどんどん強くしていくわけだ。
そしてゲームが終了となったとき(買い物によって特定のカードが尽きたとき),自分のデッキの中に組み入れられている「勝利点カード」の点数を数え,最も多かった人が,最終的な勝者となる。ただし勝利点カードはゲーム中は役に立たない邪魔なカードだ。ここに
「勝利点カードを買わないと勝てないが,買いすぎるとデッキが弱くなる」というジレンマがあり,本作を一筋縄ではいかない奥深いゲームたらしめているのだ。
マンガと合わせて読もう,「東方祀爭録」の基本ルール
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■ターンの手順
- 手札からアクションカードを1枚使う(使わなくても良い)。
- サプライからカードを1枚買う(買わなくても良い)。手札にあるリソースを支払い,コストがそれ以下の好きなカードを買える。買ったカードは捨て札へ置く。
- 使ったアクションカードや支払ったリソースカード,使わなかった手札をまとめて捨て札へ置き,手札を5枚引き直す。これでターン終了。
■カードの種類
1) アクションカード
ゲームのキモとなるアクションカード。基本的に毎ターンのアクションフェイズに1枚だけ使用できる。アクションカードには,本当にさまざまな効果があるが,「+1カードを引く」「+1アクション」「+1カード購入」「+(2)」などが代表的だ。
このほかにも,対戦相手を攻撃するカードなどもあり(アタックカードと呼ばれる),相手の手札を減らしたり,山札を操作したり,後述のマイナスカードを押しつけたりもできる。
「紅魔館地下室」。デッキを構成するカード枚数が多いほど高得点になる,特殊な勝利点カードだ
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2) 勝利点カード
ゲームの勝敗に直接関わる勝利点カード。「博麗神社」「霧の湖」「紅魔館」の3種類がある(設定的には,これらの土地が小神たるプレイヤーの祭祀場となるわけだ)。
なお上記の3種類のほかに,特殊な勝利点カードとして「紅魔館地下室」がある。必ずゲームに登場するカードではないが,プレイヤーの戦略を大きく変える重要なカードだ。
3) リソースカード
購入フェイズでカードを購入する際のお金として使えるリソースカード。「お賽銭」「奉納米」「御神酒」の3種類がある。またアクションカード中の「+(2)」なども,仮想的のリソースとして扱われる。例えば「奉納米」2枚に加えて「+(2)」のアクションがあれば,コスト6までのカードを購入できる。
マイナスカード「そして誰もいなくなるか?」。デッキに紛れ込んでしまったら,なんとか破棄していきたい
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4)マイナスカード
デッキに1枚あるごとに勝利点が-1されるというお邪魔カード。アタックカードの効果として,デッキに加えられることになる。増えるとデッキを圧迫するうえ,勝利点まで持って行くというたいへん厄介な存在。
■ゲームの終了条件
- 場にある「サプライ」のうち,3つが品切れになったとき。
- 「紅魔館」カードが品切れになったとき。
■ゲームの勝利条件
ゲーム終了時に,デッキ中の勝利点カードを数え,点数が高かったプレイヤーが勝利となる。
霊夢vs.レミリア,ガチンコ対戦リプレイ
ここからは霊夢とレミリアの実際のプレイ風景に沿ってルールを説明していこう。まずはゲームの下準備から。
最初に行うのは25種類あるアクションカードから使用するカードを
10種選び,場に並べることだ。選んだ10種類以外のカードはそのゲームでは使わないので,箱にしまっておこう。またそれぞれ3種類の勝利点カードとリソースカードも同様に場に並べておく(これらを全部まとめて「サプライ」と呼ぶ)。
この後それぞれのプレイヤーがリソースカード
「お賽銭」7枚と勝利点カード
「博麗神社」3枚を場から取って,自らのデッキとする。デッキはシャッフルしたのち山札として伏せておき,そこから5枚のカードを手札にする。これがゲームの初期状態だ。
リソースカードと勝利点カードは,プレイする人数によって使用枚数が変わる。このあたりは説明書を参照のこと
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■使用サプライ
闇符「ディマーケイション」/湖上の氷精「チルノ」/魔法の森/大妖精/知識と日陰の少女「パチュリー・ノーレッジ」/ミニ八卦炉/夢符「封魔陣」/小悪魔/紅魔館のメイド「十六夜咲夜」/永遠に紅い幼き月「レミリア・スカーレット」
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■ターン1
■霊夢の手札:「お賽銭」x4,「博麗神社」x1
■レミリアの手札:「お賽銭」x3,「博麗神社」x2
ゲームは最初にじゃんけんをして勝った人からスタートし,以後は座席の順に時計回りに進んでいく。今回は霊夢からのスタートだ。ターンは「アクションフェイズ」→「購入フェイズ」→「クリーンアップフェイズ」の順で進んでいくのだが……。
霊夢「今度こそ勝って見せるわ! 最初はアクションカードなんて持ってないから,いきなり購入フェイズね。1コストの『お賽銭』が4枚あるから,『パチュリー・ノーレッジ』を買うわ。」
レミリア「ふん,また蹴散らしてあげるよ。私は3コストで『奉納米』を買ってこのターンは終わりね」
■ターン2
■霊夢の手札:「お賽銭」x3,「博麗神社」x2
■レミリアの手札:「お賽銭」x4,「博麗神社」x1
霊夢「このターンもアクションカードはないわね。次は3コストだから……『魔法の森』にするわ」
レミリア「私は4コストで『ミニ八卦炉』を買うことにしたわ」
ここで全員のデッキが尽きたので,捨て札をシャッフルして新たなデッキを作り直すことなる(実際はクリーンアップフェイズに行うので,次のプレイヤーにターンが回る前に作り直す)。これでさっき購入したカードが,初めてデッキに組み込まれることになるのだ。
■ターン3
■霊夢の手札:「魔法の森」x1,「お賽銭」x3,「博麗神社」x1
■レミリアの手札:「ミニ八卦炉」x1,「お賽銭」x3,「博麗神社」x1
霊夢「よし『魔法の森』がさっそく手札に来たから使うね。まず1枚引いて……アクションがあと2回できる。じゃあ今来た『パチュリー』を使ってさらに3枚。アクションはあと1回できるけど,もうアクションカードがないからおしまいね。6コスト払って『御神酒』を買ったわ」
■霊夢のコンボ(+はドローしたカード数)
■アクションフェイズ終了後の手札:「お賽銭」x6,「博麗神社」x1
レミリア「私の番ね。『ミニ八卦炉』で『博麗神社』をさっそく燃やすよ。廃棄した『博麗神社』の代わりに4コスト分のカードがもらえるから,さらに『ミニ八卦炉』を追加。最後に3コスト分のリソースで『奉納米』を買った,と」
霊夢「くっ,また私の神社が……」
■アクションフェイズ終了後の手札:「お賽銭」x3
といった感じで,霊夢はこのあとも
『魔法の森』と
『パチュリー』を買い足していき,リソースはあまり買わずに途中で
『十六夜咲夜』を織り交ぜるデッキ構築を目指していく。
対するレミリアは
『ミニ八卦炉』で淡々と
『博麗神社』を燃やして
『ミニ八卦炉』に替えたり,
『お賽銭』を破棄して
『ディマーケイション』に替えたりを続け,デッキに
『ミニ八卦炉』が増えてくると,今度は
『ミニ八卦炉』を
『御神酒』に替えてデッキ内のリソースを濃くしていく。
そしてしばらく経ち,デッキが完成に近づいてくると……
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■ターン16
■霊夢の手札:「魔法の森」x1,「パチュリー」x1,「お賽銭」x2,「奉納米」x1
■レミリアの手札:「小悪魔」x1,「奉納米」x2,「御神酒」x2
霊夢「よーし,見てなさいよ。『魔法の森』で1ドローからの『パチュリー』で3ドロー,アクションが余ってるから『魔法の森』を2枚打って2ドロー,『パチュリー』で3ドロー,『十六夜咲夜』で1ドロー。まだアクション2回余ってるよね? じゃあさらに『十六夜咲夜』打って1ドロー,また『パチュリー』を引いたわ。その『パチュリー』を打って3ドローと残りアクション1回。デッキがなくなったから捨て札をシャッフルして,ここで『魔法の森』を打って1ドロー,『パチュリー』打って3ドロー。ふー,これでおしまいね。ふふ,手札が持ち切れないくらい。えーと,『十六夜咲夜』2枚でリソースが(2)増えてるから,全部で17コスト分あって,カードは3枚買えるわ。8コストの『紅魔館』を一気に2枚買いよ!」
■霊夢のコンボ(+はドローしたカード数)
■アクションフェイズ終了後の手札:「お賽銭」x5,「奉納米」x2,「御神酒」x2,「博麗神社」x3,「紅魔館」x1
レミリア「負けないよ。私のデッキはリソースがギッシリだから,少数精鋭で勝負。まず『小悪魔』で2枚引いてから,引いてきた『ミニ八卦炉』で『御神酒』を『紅魔館』に交換するわ。それでもまだ2,2,2,3と合計9コスト分リソースがあるから,『紅魔館』をもう1枚買っておしまいね」
■レミリアのコンボ(+はドローしたカード数)
■アクションフェイズ終了後の手札:「奉納米」x3,「御神酒」x1
2人はそれぞれ違うアプローチから
「紅魔館」を買って勝利点を増やしていく。数ターン経つと
「紅魔館」は買い切られてなくなり,ゲームは終了となった。
霊夢「じゃあデッキをばらして得点を計算しましょうか」
レミリア「えーと……『紅魔館』の数はお互い4枚で同じね」
霊夢「いい勝負だったものね。でも,私は『博麗神社』を燃やしたりしてないから初期の3点が残ってるわ」
レミリア「私は途中で苦し紛れに『奉納米』を『ミニ八卦炉』で『霧の湖』にしたのが1枚。あと『博麗神社』も1枚あるから+4点」
霊夢「ぐぬぬ,じゃあ1点差でレミリアの勝ち……」
レミリア「惜しかったね,霊夢」
霊夢「きぃ,次こそ負けないから! もう1回やる!」
■霊夢の勝利点カード
■レミリアの勝利点カード
こんな感じで1ゲームが終わった。2人だと,かかる時間は準備を含めて30分かからないくらいなので,すぐに次のゲームが始まりそうだ。