プレイレポート
「イクシオン サーガ」タクティカル・バトルテストのプレイレポートを掲載。新たに追加されたオンライン対戦“本拠地戦”(Crush or Build)の評価は?
本作は,カプコンと開発隊員(テスター)で一緒に作り上げていくというコンセプトを掲げており,「バトルαテスト」(2011年7月実施),「第2次バトルαテスト」(2011年11月実施)と,開発初期から一般テスター参加型のテストを積極的に実施。開発隊員から募った意見や要望を元に,正式サービスに向けて改修を重ねている。
公式サイトの「こちら」にある集計データによれば,タクティカル・バトルテストには2182人のテスターが参加。初回バトルαテストの2912人には及ばなかったが,第2次バトルαテストの1188人から,参加者数は大きく盛り返した。
今回は,2012年5月10日から5月14日にかけて実施されたこのテストをレポートしよう。
なお本作では,ストーリーを描くシナリオミッションや,コミュニティ機能なども盛り込まれる予定だが,現在は,オンライン対戦の要素にのみフォーカスしてテストを行っているという段階のため,これらの要素は実装されていなかった。
「イクシオン サーガ」公式サイト
まずは,「イクシオン サーガ」の特徴を簡単におさらいしておこう。
本作は,チーム対戦に特化したオンライン専用アクションゲームで,最大8人対8人の対戦を楽しむことができる。
選べるキャラクターの職業(クラス)は,剣で戦う「ストライカー」,銃を扱う「ブラスター」,魔法使いの「キャスター」の3種類だ。
今回のタクティカル・バトルテストで,トピックとなるポイントは以下のとおりである。
・新たな対戦ルール「本拠地戦(Crush or Build)」の導入
・パラメータ補正システムの導入
・新スキルの追加
・新施設の追加
・模擬戦のリファイン
・装備の追加,リファイン
本拠地戦は,敵/味方チームそれぞれの「拠点」と「本拠地」をめぐって攻防を行うというもの。チームそれぞれのスタート地点にある「本拠地」を破壊する,またはステージ内に存在する3つの「拠点領域」すべてに,自軍の「拠点」を設営すれば勝利というルールだ。
なお本拠地戦は,4人チームでの戦闘バランスの変化とルーム数による通信負荷を確認するという意図で,5月10日から11日15:00までは最大8人対8人,11日16:00以降は最大4人対4人というルールで行われた。
本拠地戦では,「敵を倒す」「拠点を設営する」「敵拠点を破壊する」「本拠地を守る」「敵本拠地を攻める」というように,行うべきことが多岐にわたる。そのため,ストライカーは敵の撃破,ブラスターは拠点の攻撃,キャスターは拠点の防衛や仲間のサポートというように,チーム内での役割分担が必要になってくるのだ。
既存の「チームデスマッチ」では,クラスを選ぶ意味合いはプレイスタイルによるところが大きかったが,本拠地戦では3つのクラスの役割りが明確になったことで,本作の特色がより強く現れているといえるだろう。
本拠地戦では,大きく分けて「自軍の本拠地を守る」「自軍の拠点を設置/防衛する」「敵の拠点を破壊/制圧する」「敵の本拠地を攻める」という4つの目的があるが,4人対4人の対戦では,すべての目的にはどうしても手が回らない。
個々のプレイヤーが行き当たりばったりで行動するのではなく,チーム内でうまく連携を取る必要があるため,1人1人のプレイヤーに対する責任が格段に重いという印象だ。
また,8人対戦では戦場にいるプレイヤーの絶対数が少ないので,敵と1対1で戦う場面が多くなる。
今回のテストでは,レベルが低いキャラクターの攻撃力/防御力がプラス補正されるようになっていたが,1対1の局面では,テクニックの差が勝敗に直結することのほうが多い。そのため,初心者が手も足も出せないまま上級者に倒されるというパターンが多い……というか,筆者がそのパターンにハマってしまい,チームに貢献することができなかったことが少なからずあった。
ある程度のテクニックを持ったプレイヤー同士でプレイする分には良いのだろうが,筆者のような初級プレイヤーにはハードルが高く感じられるほど,バランスはシビアなものだった。今後も4人対4人の対戦ルールを継続させるなら,マッチングなど何かしらの対策は必要だろう。
また,混戦では敵の隙を突いて攻撃できるチャンスも多く,パラメータ補正システムの恩恵もあって,アクションゲームが得意でない筆者でも,まずまずのキル数をたたき出すことができた。敵を撃破した際の手応えやエフェクトも気持ち良く,手軽に対人戦の面白さを味わえるモードだと言えよう。
ただ,敵の大技に巻き込まれてしまったり,ターゲットにしていた相手を見失ってしまったりと,多人数であるがゆえの“大味”な部分があったのも事実。シビアな駆け引きを求めるプレイヤーには,4人対4人の対戦のほうが向いているかもしれない。
本作にはレベルの概念があるが,レベルアップの恩恵は,使用できる武器種が増えたり新しいスキルを利用できるようになったりと,キャラクターの強さというよりは,戦略の幅を広げるほうで受けられる印象が強い。
一方,鍛冶屋で買える武器は高レベルの武器のほうが強かったり,装備品の強化を行えたりと,いわばキャラクターの性能を底上げすることができるようになっていた。
先に述べたとおり,本作ではレベルが低いプレイヤーでも即戦力で活躍できるよう,パラメータ補正システムが実装されていたが,パラメータ補正対象外のプレイヤー同士では,キャラクターに性能差が生じることになるわけだ。
仮にプレイヤースキルが同じだとすれば,対戦においてキャラクターの性能差が勝敗に影響を与える部分もある。対戦を軸に据えたゲームでは,勝敗がゲームの楽しさに直結するところであり,今後のテストで,どのようにバランスを取っていくのかは,気になるところだろう。
新たに追加された施設「鍛冶屋」では,装備品の購入と強化が行える | |
「神殿」では,レベルアップで貯めたスキルポイントを消費し,新たなスキルを習得できる |
「雑貨屋」では回復アイテムや,ブラスターが使用する貫通弾や散弾を購入できる |
公式サイトのアンケートデータを見ると,“本拠地戦の満足度”は「満足」が9%,「やや満足」が25%となっている。残りの66%は「不満」「やや不満」なので,まだまだ改善の必要性ありといったところだろうか。
ただ,このアンケートは8人対8人/4人対4人の人数違いではなく,“本拠地戦”としてまとめて集計したものなので,個別の集計結果であれば,評価は変わっていたかもしれない。
公式ブログの「こちら」のエントリーでは,本拠地戦実装の狙いの一つとして,「不慣れな初心者でも,ミニマップを頼りに敵の防御が薄いポイントを狙っていけばチームの勝利に貢献できること」を挙げている。
16人対戦においては,その意図どおり,幅広い層のプレイヤーが楽しめるように感じられた。役割分担もはっきりしていてどのクラスでも遊びやすく,狙いは成功したといえる。
しかし,8人対戦は,初心者が遊びたくなるようなバランスではなかったので,参加できる人数を調整するなり,拠点数を減らすなりなどすれば,評価は変わってくるだろう。また,初心者向けのマッチングやコミュニティ要素が入れば,グッと遊びやすくなるはずだ。
「イクシオン サーガ」はまだまだ開発途中のタイトルで,公式ブログの「こちら」のエントリーによれば,進捗状況は全体の30〜40%程度とされている。越えるべきハードルは多いが,“検証”に至っていない“開発”段階のテストであるため,評価を下せるのはまだ先になるだろう。
αバトルテストから第2次αバトルテストの3か月間で大きく様変わりした部分があるように,今回不満に感じられた点も,今後のテスト時には解消されていることもあるだろう。
公式サイトのレポートにあるように,本作の次回テストは2012年夏に実施予定とされている。フィードバックシートによれば,次回テスト以降で実装される仕様や検討状況として挙げられている項目が,少なくとも80以上あるので,まだ正式サービスに向けての道のりは遠そうだが,まずは,次のテストでどれだけ改善されるか,期待して待ちたいところだ。
「イクシオン サーガ」公式サイト
- 関連タイトル:
イクシオン サーガ
- この記事のURL:
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.