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逆転劇,女性王者,連覇と,ドラマチックな展開が続出。「KONAMI Arcade Championship 2012」決勝ラウンドの模様をレポート
この決勝ラウンドは,参加プレイヤーが1会場に集まって戦うのではなく,全国5か所+台湾の6会場をUstream中継で結んで進行するという形。本稿では11月23日に行われた「DanceDanceRevolution X3 VS 2ndMIX」「DanceEvolution ARCADE」「pop'n music 20 fantasia」という3タイトルの決勝ラウンドの模様を,関東エリア会場の視点からお届けしよう。
公式Usteram番組では,司会進行を森一丁氏と千石愛氏,ゲスト解説をDJ Yoshitaka氏が務めた |
関東エリア会場には,ゲストとしてBEMANIアーティストのdj TAKA氏とU1-ASAMi氏が登場 |
最終戦での大逆転で盛り上がった「DanceDanceRevolution X3 VS 2ndMIX」
課題曲/難度
1:PARANOiA Revolution/EXPERT
2:Valkyrie dimension/CHALLENGE
3:New Decade/EXPERT
4:PARANOiA Revolution/CHALLENGE
決勝ラウンドということもあって,課題曲となったのは,どれも高難度の曲ばかり。1曲目を終えた段階でのトップは中部エリア予選を勝ち抜いたRIN-GO!さんで,それを8点差で関東代表のGAHOUさんが追う形となった。2,3曲目も両者はスコアを伸ばし,3曲終了時でのスコアは6点差に。
そして運命の4曲目。順位の低いほうからのプレイとなったため,関東エリアでは先にプレイを終えた2位のGAHOUさんが,正座して中部会場の中継を見守った。RIN-GO!さんは好調にプレイしていたが,なんとプレッシャーからか,曲の終わり間際に手痛いミス。その結果,GAHOUさんが逆転優勝を勝ち取った。
「DanceEvolution ARCADE」は,審査員絶賛のパフォーマンスで女王誕生!
Kinectを使い,ボタンもパネルも使わずに画面に向かって踊るだけでゲームが楽しめる「DanceEvolution ARCADE」。今回のKAC2012から採用されただけに,初代チャンピオンが誰になるか,注目が集まった。決勝ラウンドは,全員が共通の課題曲「華欄漫 -Flowers-(2nd EDITION)」/難度:EXTREMEによるスコア評価に加えて,プレイヤーが任意に選んだ曲でのパフォーマンス評価の合計によって順位が競われた。
関東エリア代表として決勝にコマを進めたのは,予選通過者で唯一の女性プレイヤーとなったまろさん。解説のdj YOSHITAKA氏は「女性プレイヤーでここまで試合度胸がある人は初めてみた。これはひょっとしたら……」と評し,会場の期待を煽った。それに応えるように,課題曲終了時のスコアはまろさんがぶっちぎりでトップ。優勝への期待が高まった。
続いてのパフォーマンス審査は,当日の来場者から抽選で選ばれた10名による投票で,票数の多い順にポイントが与えられるというルール。スコアは関係ないフリースタイル競技のため,座禅からスタートしたり,画面に背を向けてオーディエンスを煽ったりと,プレイヤーごとに趣向を凝らしたダンスとなっていたのが印象的だった。そして最後に登場したまろさんは,「A Geisha's Dream」を選択し,和風の曲調に合わせてのびのびとした演技を披露。プロダンサーの3人も思わず唸るほどの高いパフォーマンスとして最高評価の5ポイントをゲットし,完全優勝を成し遂げた。
前回優勝者の2連覇がかかった「pop'n music 20 fantasia」
タイトル名どおりに,ポップな楽曲とキャラクターが特徴の「pop'n music 20 fantasia」。参加プレイヤーがそれぞれ1曲ずつ選んだ課題曲をプレイし,合計スコアがもっとも高いプレイヤーがチャンピオンとなるルールにて行われた。
1:シューゲイザー/chilblain
2:クラシック9/Hell? or Heaven?
3:トイコンテンポラリー/シュレーディンガーの猫
4:サイレント/音楽
5:ノマティックネイション/カラルの月
注目を集めていたのは,前回大会の優勝者であるTATSUさんが,再び決勝にまで勝ち残ってきたということ。前回のチャンプが連覇を果たすか,はたまたほかのプレイヤーが阻止するか,オーディエンス達は固唾を飲んで見守った。
TATSUさんは1曲目を終えた直後「やばいかも」とつぶやく場面もあったが,集計の結果はトップに。それを僅差で中部代表のしょこらさんが追う形となった。2曲目,3曲目と高難度の課題曲が続くなか,TATSUさんは安定したプレイで,ジリジリと後続プレイヤーとの差を広げていく。
4曲目では5人中4位と,やや振るわないスコアに終わったTATSUさん。だが残す5曲目は,TATSUさん自身が選んだ曲だ。当然ながら得意の一曲ということで,1200以上のクール判定を叩きだしてフィニッシュ。1位を獲得して逃げ切り,みごと連覇の偉業を成し遂げたのだった。
大逆転あり,初の女性優勝者あり,連覇ありと,かなりドラマチックな展開となったこの日のKAC2012。しかも関東エリア代表3人すべてが優勝するという結果に,関東エリア会場にかけつけたオーディエンスは非常に盛り上がっていた。真剣勝負はたいがい面白いものだが,この日あったのは単なる勝負事を超えた“楽しさ”に満ちたイベントだったといえるだろう。
会場ゲストdj TAKA氏,U1-ASAMi氏による大会総括
大会終了後,ゲストのdj TAKA氏とU1-ASAMi氏にインタビューできたので,その模様をお届けしよう。
たいへんドラマチックな大会となりましたが,大会を終えてのご感想を聞かせてください。
dj TAKA:
大会参加者の超一流のプレイと,お客さんの歓声。このふたつが合わさって,ものすごい感動が生まれたと感じました。大会ごとにそう思うのですが,サッカーや野球といったスポーツでの大逆転の瞬間に匹敵するような感動的なイベントでしたね。
U1-ASAMi:
自分とTAKAはどちらもBEMANIシリーズに10年以上関わっているベテランですが,大会ごとになにかしら新しい感動が必ずあります。DDRやpop'n musicはもちろん,DanceEvolutionのような新生代のゲームにまで,それぞれのプレイヤーがいる。それが,10年以上の歩みと重なった瞬間があって,こみ上げるものがありましたね。感動もしたし,自分たちのやってきたことが肯定された喜びがありますね。
4Gamer:
3タイトルの中で,印象に残ったプレイはありましたか
U1-ASAMi:
甲乙つけにくいですが,DDRでの逆転劇ですね。優勝者のGAHOUさんは優勝候補の1人だったのですが,そのプレッシャーの中でしっかりと結果を出したというのがすごかった。もちろんそれは,連覇を成し遂げたpop'n musicのTATSUさんも同様です。DanceEvolutionでは,何より女性王者,クィーンが現れたのが衝撃的ですね。私達としても嬉しかったです。これまではプレイヤー人口や体力面で,どうしても女性は不利でしたから。
U1-ASAMi:
DDRの最後の逆転は,かっこよくてシビレましたね。DanceEvolutionは,アーケード化することに社内で反対の声があったのですけど,それを押し返してリリースまでこぎつけただけに,リリースできてよかったなと思った瞬間でした。まろさんが頂点に立ってくれたのも,ある意味我々がDanceEvolutionに込めた思いを実現してくれたのではないかと思います。
4Gamer:
今日の大会結果を踏まえて,BEMANIシリーズの今後の展望をお聞かせください。
U1-ASAMi:
1つは,今BEMANIシリーズを愛してくれているプレイヤーの皆さんに満足していただくこと。何度も繰り返し遊んでもらって,競技という山を登ってもらい,KACのようなイベントが盛り上がる。それを見てまたプレイヤーさんが熱中するという,いいサイクルを生み出したいです。
もう1つは裾野です。とくにアミューズメントのゲームはマニアが遊ぶものだという印象を持たれがちですが,そうじゃなくて,よりたくさんの人が楽しめるものだということを訴えて,裾野を広げていくことでBEMANI全体を盛り上げていければいいなと考えています。
dj TAKA:
KACに限った話ですが,昨年は2タイトルの応援で駆けつけて,その両方からチャンピオンが誕生したんですよ。さらに今年は3人がチャンピオンとなって,僕が応援すると100パーセント優勝者がでる。やっぱりこれは……「俺はBEMANIのために生まれてきたのかな」と思ってしまいました(キリッとした表情で)。
U1-ASAMi:
記事のシメ,完全にその発言じゃんかよー! 俺,マジメに喋ったのに(笑)。
各タイトルの優勝者インタビュー
関東エリアから誕生した3人の優勝者にもインタビューできたので,喜びの声をお伝えしよう。
4Gamer:
皆さん優勝おめでとうございます。関東大会から3人の王者が誕生ということで,会場は盛り上がりました。まずは,大会を終えた今のお気持ちを聞かせてください。
GAHOUさん:
正直,あまり実感がないんですよ。というのも,DDRって個人が主催している大会がすごく多くて,僕は昨年だと年間で10以上の大会に出場しているからなんです。もちろん,KONAMI公式で大きなタイトルという気負いはありましたけど,それ以上に「せっかくここまで来たのだから楽しもう」と思った結果生まれたものなので,「勝った」というよりは「楽しかった」という気持ちが大きいんです。
まろさん:
DanceEvolutionは今回のルールが,スコアのほかにパフォーマンス審査もあって,正直ダンスは全然自身がなかったんです。大会前は,どうなるか分からないなという心境だったのですけど,まさかの高評価をいただけて,これまで頑張ってきてよかったという気持ちが大きかったです。
TATSUさん:
連覇というのがうれしいです。大会前には「次も頑張ってね」みたいなことを言われて,プレッシャーはありました。けれど,最終決勝の5曲は最初から最後まで楽しんでプレイできて,すごく気分がよかったです。
4Gamer:
GAHOUさんが劇的な逆転勝ちをしたことで,会場の温度が高まったのを感じましたが,それが続くまろさん,TATSUさんにも良い影響を与えたのかもしれませんね。
まろさん:
あれはすごい感動しましたー!
GAHOUさん:
僕は今回のKACのマスター部門(※BEMANIシリーズ全9タイトルすべてで競う部門)でも3位入賞しているんですけど,それでもお2人のプレイを見ているだけで,満足しちゃいそうでした(笑)。
4Gamer:
大会に挑むにあたって,心がけていたことはありますか。
GAHOUさん:
僕の場合は「ルールを熟読する」ですね。今回のDDRの集計方法はEXスコアといって,マーベラスが3点,パーフェクト2点,グレート1点になる評価方式なので,一番上の判定を取れば多少ミスをしても挽回できるんですね。予選を通過してからの3週間は,マーベラスを取ることを意識して練習しました。
まろさん:
練習ですね。DanceEvolutionは,スコアとパフォーマンスの両方があって,それぞれ複雑な採点方式でした。スコアの練習はもちろん,パフォーマンスは鏡の見ての毎日の練習が欠かせなかったので,とにかく時間がかかりました。
TATSUさん:
プレッシャーとかは全部さておき,大好きなゲームなので「楽しむ」ことを忘れずにしようと思ってました。
4Gamer:
ちなみに,皆さんのプレイ時間ってどのくらいなのでしょうか。
GAHOUさん:
僕はあまり体力がある方ではないので,1日に3,4クレジットプレイすると疲れきってしまうんです。なので大会前は4クレジットまでにして,次の日はプレイしない,というのを繰り返しました。1週間12クレジットの中で,どう成果を出せるかを意識しました。ゲーム友達とも,足の温め方や,どのドリンクがいいといった情報交換をしています。
まろさん:
私は逆に体力があるほうなので,1日4,5時間でもクレジットを入れ続けられるんですよ。なので,気がついたら一か月に費やしていた金額が数万円になってたりして大変でした(苦笑)。それと実は,地区予選を勝ち抜いてからダンススクールに通い始めまして。だってUstreamで全国に流れるんですよ? それなのにヘタなダンスをお見せする訳にはいかないので,付け焼刃なんですけどちょっとでもレベルアップしようと思って……。
TATSUさん:
僕は今年から社会人になったんですけど,学生の頃は学校帰りは必ずゲーセンが日課でしたが,最近は忙しくなって,休日を中心に2〜3時間のプレイを続けている感じですね。やっぱり練習をしないと,腕は衰えていくので。
4Gamer:
みなさんが考える,それぞれのタイトルの魅力ってなんでしょうか。
GAHOUさん:
DDRは,いろんな楽しみ方ができるのが一番の魅力だと思っています。スコアアタックにしても,今回のEXスコアと普通のスコアの2種類があって,それによって踏み方が違ってくる。難しいものをこなす方法もあるし,簡単なものを正確に踏むのかでも違います。「グッドアタック」といって,いかに低い点数でクリアをするかに挑んでいる方もいます。それ以外にも,パフォーマンスを競う文化もあったりで,ものすごくいろんな遊び方ができるのが面白いです。
まろさん:
DanceEvolutionは,画面を見たままに体を動かすというフィジカルなゲームなのが楽しいです。ハイスコアを狙うとすごくシビアになるので大変なのですけど,その分達成できたはすごくうれしい。逆に「今日はムシャクシャする。踊ってやれー!」みたいな心境でも楽しいしで,やっぱりいろんな楽しみ方ができますね。
TATSUさん:
pop'n musicは,ボタンがたくさんあって,叩いていて気持ちがいいとか,曲がいいというものがるんですけど,僕個人としてはキャラクターのデザインがお気に入りです。かわいいキャラクターが出てくると,プレイ中もチラチラ見てしまったり(周りから「見れるのかー」という驚きの声),それも続けるひとつの理由ですね。
4Gamer:
公式大会で優勝されたばかりですが,次の目標みたいなものはありますか。
GAHOUさん:
DDRっていうゲームを遊び初めてからずっと「いつ,誰に,どんなことを言われても,かっこいいプレイをやってみせるプレイヤーになりたい」と思っていて,それが大会だろうと,知らない人に「この曲をやってみて」と言われても即座にかっこいいプレイを披露できることをずっと目標にしているんです。今回の優勝でちょっとはそれに近づけたかなと思うんですけど,まだその先があるだろうという気がしているので,これからも頑張っていきたいです。
まろさん:
DanceEvolutionは,スコアを取ろうとするとダンスがおろそかになるので,「ダンス派」と「スコア派」で意見が分かれたりするんですね。なので私は,かっこよく踊って,なおかつスコアが取れるプレイヤーになりたいと思っています!
TATSUさん:
連覇というものは僕の中ですごい大きいので,ここまできたら3連覇を狙いたいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。改めて,優勝おめでとうございました。
「KONAMI Arcade Championship 2012」公式サイト
「DanceDanceRevolution X3 VS 2ndMIX」公式サイト
「DanceEvolution ARCADE」公式サイト
「pop'n music 20 fantasia」公式サイト
- 関連タイトル:
DanceDanceRevolution X3 VS 2ndMIX
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