今週の「海外ゲーム四天王」は，知られざる基本料金無料の欧米産MMORPG「Faxion Online」を紹介。PvPファンは全員集合だ

　イギリスのUTV Ignition Entertainmentが開発した「Faxion Online」は，基本料金無料のファンタジーMMORPGだ。PvP/RvRをメインとした，なかなかハードなゲームシステムや，ちょっと古めでクセの強いグラフィックスなど，プレイヤーを選んでしまうタイトルであることは間違いないが，古くからMMORPGをプレイしてきた人にとっては，ゲームのツメの甘さなども含めて「懐かしい」と感じてしまいうかもしれない。
　そんな本作に，古き良きライターの朝倉哲也氏が当たって砕けてみた。

　永遠に続く，天国と地獄の勢力の戦い。そんな善と悪の対立を描いた基本料金無料のファンタジーMMORPGが「Faxion Online」だ。開発は，2002年にイギリスで設立されたUTV Ignition Entertainmentで，2007年には東京にもゲーム開発スタジオを設立し，コンシューマ機向けタイトルの開発などを行っている。


　本作は，プレイヤー同士による戦闘を前面に打ち出したゲームだ。天国側プレイヤーと地獄側のプレイヤーは，Limboと呼ばれるゲーム世界を舞台に，自らの所属する勢力拡大を目指して戦わなければならない。
　Limboは，マップ中央に位置する街「Purgatory」を除いて，すべてでPvPが可能という物騒な世界だ。Purgatoryの街の周囲には，キリスト教の教えである「七つの大罪」をモチーフにした地域が広がっており，ここでプレイヤーは敵対勢力のプレイヤーと個人戦（PvP）を行ったり，あるいはその地域を自らが所属する勢力で支配すべく，敵対する勢力のプレイヤー達との集団戦（RvR）を楽しめる。

「Faxion Online」公式サイト

　本作の特徴として，まずはキャラクターの職業による縛りがないという点を挙げておきたい。Faxion Onlineでは，キャラクター作成時にベースとなる基本職業としてFighter，Mage，Healerのどれかを選択しなければならないが，ゲームをスタートさせてしまえば，各職業が持つスキルやアビリティを自由に選んで習得していける。
　そのため，重装備の鎧を装備して巨大な剣を振り回しながら魔法を使いこなすキャラクターや，治療と攻撃両方の魔法が使えるキャラクターなど，プレイスタイルに応じたキャラクターを作り出せるのだ。

　また，魔法攻撃のスキルや重い鎧を装備するためのアビリティなどについては，上昇させたいスキル/アビリティを選ぶだけで，一定の時間が経過することで自動的にランクが上がって強力になるという，「EVE Online」のようなシステムが採用されている。つまり，ゲーム終了前に上昇させたいスキルやアビリティをセットしておくだけで，次の日にログインしたときにランクが上がっている場合もあるわけだ。


　ただしランクが上がっていくほどランクアップに必要な時間が増えていくのに加えて，一度にセット出来るスキルやアビリティは，デフォルトで2個まで（別途料金を支払って増やすことは可能）となっているので，そう簡単にすべてを最高ランクに上げられるわけではない。

　ひょろりとした体つきに，やけに細長い手足というキャラクターデザインも特徴的だ。ニンマリ微笑んだような顔つきのキャラクターなど，ほかのMMORPGでは見られない雰囲気だが，あまりにアクが強いアートワークは，好き嫌いがハッキリ分かれてしまいそうだ。欧米ゲームの，濃い顔立ちを嫌う人には受け入れてもらえないかもしれない。
　顔つきや体型などは，いくつか用意されたものから選択するようになっており，身体の各所を細かく調整するようなキャラクターメイキングはできない。


　ゲームとしてツメの甘さが散見されるものの，基本料金無料でもあるので，挑戦してみよう。ただ，プレイヤー数があまり多くなさそうなのは，PvPやRvRをメインとする本作にとって痛いところだ。日本時間の昼間という，北米地域のゴールデンタイムにあたる時間帯にもかかわらず，スタート地点となるPurgatoryの街に人影はまばら。チャットウインドウも静かなもので，日本はもちろん，欧米でもあまり話題になっていないらしい。とはいえ，簡単なユーザー登録ですぐに始められるので（クライアントのファイルサイズも1.3GBと小さめだ），パイオニアになるのは今だ。

■■朝倉哲也（ライター/四天王）■■
　アクションゲームからMMORPG，アドベンチャーからストラテジーまで，なんでもプレイする雑色系ライター。年季の入ったPCゲーマーでもあったが，最近はコンシューマ機のゲームもプレイするようになったので，そのオールラウンダーぶりをますます強くしている。