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  • 発表日:2011/12/22
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「ゲーム機への最適化=Radeonへの最適化」の時代が来る!? AMDに聞く「ゲームへのさらなる注力」
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印刷2013/02/13 00:00

インタビュー

「ゲーム機への最適化=Radeonへの最適化」の時代が来る!? AMDに聞く「ゲームへのさらなる注力」

Devon Nekechuk氏(Product Manager, Desktop Graphics Product Management, Global Business Unit, AMD)
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 速報記事でお伝えしているとおり,AMDは2013年いっぱい,現行のRadeon HD 7000シリーズを継続する。これはAMD本社でGPU部門のプロダクトマネージャーを務めるDevon Nekechuk(デヴォン・ネケチャク)氏が4Gamerの取材に対して明らかにしたものだ。
 氏は「我々AMDとしては,『2013年中,Radeon HD 7000シリーズに変わりはない』ということをユーザーにアナウンスしたい」と,あくまで前向きなメッセージとして語ってくれたのだが,AMDから,少なくともデスクトップ向けでは2013年中に新しいGPUが出てこないというニュースには,Twitterの反応を見ていても,賛否両論があった。

 この点についてNekechuk氏は,競合に対してRadeon HD 7000シリーズが持つ,性能と価格面での優位性を盛んに強調し,「新たなGPUを投入せずとも2013年は戦っていける」と述べていた。投入が噂されている競合の新しいGPUに対しても「まったく恐れてはいない。なぜなら,(その製品は)もともとTeslaであって,グラフィックス処理に向いているとはとても言えないからだ。『グラフィックスカード』として世界で最も速いのは我々の製品だ」と強気だ。

 ただ,そうはいっても,新たなGPUが出ないということは,話題の中心が競合になりかねないわけで,本当に大丈夫なのかと心配になるのが,AMDファンやRadeonファンの正直な心境だろうと思う。
 そうした心配への“回答”が,今回,Nekechuk氏が4Gamerに対して語ってくれた,2013年のAMDが展開するGPU戦略だった。

速報記事:AMD,次世代デスクトップ向けGPUが2013年中に登場しないと明言。「今年1年,Radeon HD 7000で行く」



次世代ゲーム機に向けてゲームを開発すると

自動的にRadeonへの最適化になる!?


 Nekechuk氏はまず,2013 International CESでAMDが公開した「4本の柱」を示した。4本の柱というのは,Client Component(クライアントコンポーネント,Radeonのこと)とContent(コンテンツ,ゲームタイトルのこと),Cloud(クラウド),Console(コンソール,ゲーム機のこと)を指すが,Nekechuk氏は「4本の柱で,ユーザーにベストのゲーム体験を打ち出し,AMDとしてはゲーム業界で勝利を収めていきたい」と述べている。
 CPUとGPU,両方の技術を持つAMDは,「ベストのゲーム体験をユーザーへ提供するにあたって,競合よりもよい位置にいる」(同氏)とのことだ。

2013 International CESのタイミングでAMDが掲げた「ゲームにおける4本の柱」(Four Corners of Gaming)。Client ComponentとContent,Cloud,Consoleの4部門でAMDは業界のリーダー的立場にあるという。ただ今回,Cloudに関する話は,ほとんど何もなかった
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 今回,Nekechuks氏は4本の柱それぞれについて言及を行ったが,なかでも時間を割いたのが,Contentとして挙げられている領域への取り組みだった。
 「AMDは『Gaming Evolved』というプログラムを2年前から始めている。今後,より多くのリソースをこのGaming Evoluvedにつぎ込んでいく計画だ。その結果,よりよいゲームやよりよい技術が世に出てくることになる」(Nekechuk氏)。

 Gaming Evolved(ゲーミングイヴォルヴド)は,AMDが積極的にゲーム開発に関わっていく総合的なプログラムといったところだが,すでに多くの成果が出ているという。
 その好例として氏が真っ先に挙げたのが「DiRT Showdown」だ。「DiRT Showdownは従来のレンダリング技術に代わり,AMDが開発した『Forward+』というレンダリング技術を使っている。その結果,性能と画質が従来以上に高いものになった」(Nekechuk氏)。

CEDEC 2012のレポート記事より,Forward+の特徴
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 ちなみにこのDiRT Showdown,GeForce GTX 600シリーズではまったくといっていいほどフレームレートが上がらず,「GeForce GTX 680」が「Radeon HD 7870」に太刀打ちできない事態も4Gamerでは確認しているのだが,その原因がForward+(フォワードプラス)にあるというのなら納得だ。実際,Nekechuk氏も,Forward+の存在が,DiRT ShowdownにおけるRadeonの優位性につながっていることを認めている。
 Forward+については,CEDEC 2012のレポート記事内でも紹介しているが,簡単にいえば,Forward+というのは,AMDのラボが提唱したもので,複数の光源を扱うにあたって,DirectComputeを用いるのが大きな特徴となる。

 よく知られていることだが,NVIDIAのGeForce 600シリーズは,3Dグラフィックス処理に特化したGPUとなっており,DirectComputeなどといった汎用演算処理は苦手だ。そのため,Forward+を使うと,GeForce 600シリーズは不利になる可能性が高いと筆者は想像していたのだが,それが分かりやすい形で表面化したのがDiRT Showdownだった,というわけである。

 このように,AMD発の技術が実際のゲームタイトルで使われていくことは,AMDにとって大きな力になり,Radeonの魅力を増す要素にもなっていくわけだが,Nekechuk氏はそのほかにも具体的なタイトルを挙げて,AMDとゲームデベロッパの協力がもたらす成果を説明してくれた。

TOMB RAIDERのPC版ではAMDが多くの技術を提供したとのこと
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 たとえば,欧米市場で2013年3月,日本でも4月25日の発売が予定されている「TOMB RAIDER」にもAMDの技術が入っているという。「もともとゲーム機がターゲットで,DirectX 9ベースとなっているTOMB RAIDERだが,PC版ではDirectX 11の要素を組み込むためにAMDが技術協力を行っている。テッセレーション,アンチエイリアシングといった技術の実装は弊社のエンジニアがサポートしており,結果,メインキャラクターとなるララをはじめ,画質は大幅に向上し,(シリーズ従来製品とは)違うゲームのように見えるほどよくなった」とNekechuk氏は述べている。

TOMB RAIDERの映像は,AMDが2012年10月に開催したLANパーティイベント「Radeon ExtravaLANza」で初めて公開された。スライドは,AMDがTOMB RAIDERの開発で協力した内容が列挙されているが,シルエットエンハンシング・テッセレーション,ピクセル単位のディスプレースメントマッピング,モーフォロジカル・アンチエイリアシング(MLAA),ハイディフィニション・アンビエントオクルージョン(HDAO)など,最先端の技術がPC版には投入されているという
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 そしてNekechuk氏はTOMB RAIDERについてさらに,「PC版には,まだ秘密の要素が実装されている。それに関しては今後数週間のうちに発表できる予定だが,これまでのゲームでは行われたことのない要素がPC版だけに組み込まれた。これはRadeonだからこそ実現できるもので,TOMB RAIDERは,Radeon HD 7000シリーズの素晴らしい技術ショウケースになるだろう」とも続けていた。氏は「本当にエキサイティングだ」と何度も繰り返していたので,これは期待していいのではなかろうか。
 なお,続報はgame.amd.comなどで公開される予定という。

 同様に,欧米市場で2013年3月26日に発売予定となっている「Bioshock Infinite」の開発にもAMDが協力しているそうだ。「TOMB RAIDERと同様,Bioshock Infiniteもゲーム機をターゲットに開発されており,DirectX 9ベースとなっている。そこで,AMDがDirectX 11の要素を実装するのに協力した」(Nekechuk氏)とのことである。

Bioshock InfiniteでもAMDの技術者が開発に協力。DirectComputeを使ったアンビエントオクルージョンとなるBilateral Filter(DirectCompute bilateral AO filters)などは,DirectComputeの性能に優れるRadeon HD 7000で効果を発揮しそうだ
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 ただ,ここまでの説明は「まあそりゃ,Radeonに最適化されたタイトルもあるでしょうよ」という話である。重要なのはここからで,今回Nekechuk氏は両タイトルのアピールと合わせて,かなり意味深な発言をしているのだ。いわく,「AMDは4つある据え置き型ゲーム機のうち,3機種――WiiとWiiU,Xbox 360にGPUを提供している。ゲームデベロッパはゲーム機に向けてゲームを開発するので,つまりはRadeon上で,Radeonで動くように開発していくことになる」。
 ここで重要なのは,ソニー・コンピュータエンタテインメントとMicrosoftの次世代ゲーム機が,いずれもAMDのGPUを採用すると噂されていることである。仮にこの噂が本当だとすれば,主要3社における据え置き型ゲーム機のすべてがRadeon系のGPUを搭載することになるわけだ。

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 Nekechuk氏は,次世代PlayStationと次世代XboxがともにAMDのGPUを採用するとは一言も述べなかったが,次世代ゲーム機の存在も踏まえて氏の発言を解釈するなら「AMDはすべての据え置き型ゲーム機にGPUを提供している」ということになるだろう。TOMB RAIDERやBioshock Infiniteなどと同じく,次世代ゲーム機の開発においてもAMDの技術者が,デベロッパを支援することになるはずで,そうなれば,「ゲーム機向けにゲームを開発すれば,自動的にRadeonへの最適化が進む」可能性がある。
 このことは,今後のPCゲーム市場,そしてGPU市場において,かなり大きなインパクトをもたらすことになるのではなかろうか。


「ドライバの最適化で,HD 7000シリーズの性能はまだ上がる」


 今後のゲームタイトルがRadeonに向けて最適化される(かも?)というのはRadeonユーザーにとって大きなトピックになりそうだが,一方,2013年中に次世代GPUの投入がなく,ラインナップにも大きな変動がない以上,Radeonファミリーとしての大幅な性能向上は見込めないことになる。

ASUSTeK Computerが2011年末に世界市場で発表した,「Radeon HD 7970 GHz Edition」を2基搭載カード「ARES II」。「世界最速のグラフィックスカード」と宣言されている
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 デュアルGPUカードとして,Radeon HD 7970の発表に合わせて告知されたまま,AMDリファレンスデザインのカードが登場しない「New Zealand」(ニュージーランド,開発コードネーム)はどうなったのか。アレがついに出てくるのではないかと聞いたところ,Nekechuk氏は「New Zealandは,(AMDのリファレンスカードではなく)デュアルGPUカード計画自体のコードネームだ。すでに,PowerColorやClub3D,ASUSTeK Computerが,New Zealand計画に沿ったカードを投入している」と述べていたので,いつの間にやらNew Zealandは“そういうこと”になってしまったようだ。
 氏は,New Zealandに留まらず,今後もOEMメーカーが独自に性能向上を果たしたカードを投入していく見込みを示していたが,それでも競合に対するインパクトとして,やや弱くなる印象は否めない。

 ではどうするのか。Nekechuk氏は,競合へ対抗するにあたって,戦略面での重要な要素になるのが価格であるとしたうえで,「これまでどおり,同価格帯では競合に対して常に高い性能を提供していく」と述べている。競合が新しいGPUを投入してきた場合でも,この戦略を維持していくという。

2月9日掲載の記事でも使ったスライドだが,新世代「3DMark」の「Fire Strike」スコアを基準にしたGPUの序列。「絶対性能では常に上回りつつ,同じ価格帯では競合よりも高い性能の製品を投入する」戦略をAMDは続けていく
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 そしてNekechuk氏は,12.11 Betaリリース以降,ユーザーの評価が高まってきているグラフィックスドライバ「Catalyst」も,性能向上のカギだと位置づけていた。最初に例として挙げられたのが,北米&欧州市場で2013年2月下旬,日本でも3月7日に発売予定の「Crysis 3」(邦題 クライシス 3)だ。

Crysis 3の開発にAMDは多くの協力を行い,Radeonで最高のグラフィックス品質と性能を実現したNekechuk氏
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 「Crysis 3の開発においても,TOMB RAIDERやBioshock Infiniteと同様に,AMDが密にCrytekと協力し,素晴らしいグラフィックスを実現できている。先の2タイトルと同様,Crysis 3でも,近いうちにAMDの技術力をアピールするスクリーンショットやビデオを皆さんにお届けできると思う」「Crysis 3においても,Radeonこそが,最高の性能を実現できるGPUだ。先にリリースした『Catalyst 13.2 Beta』はCrysis 3に向けて強力に最適化されている。製品版が登場するまでの間に行うアップデートでさらに速くなるだろう」と,Nekechuk氏の鼻息も荒い。

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AMDは,Crysis 3の発売に向けて,スクリーンショットやビデオを公開する計画があるという
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Crysis 3のβテスターに向けて,AMDは最新版のβドライバを使うよう推奨している
Catalyst 13.2 Betaを導入したRadeon HD 7970 GHz EditionはGeForce GTX 680より10%,Radeon HD 7870 GHz EditionはGeForce GTX 660よりやはり10%,Crysis 3のマルチプレイβテストで性能が高いとするスライド
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 ドライバで性能が引き出されるというのは,先にリリースされたFuturemark製ベンチマークソフト「3DMark」でも同様だという。「3DMarkには3つのテストが含まれているが,そのなかでも『Fire Strike』が重要だと(AMDのRadeonチームは)考えている。Crysis 3など,いまのタイトルを代表するスコアが得られるからだ」と述べた氏は,3DMarkもドライババージョンの影響を受けるため,テストするときはできるだけ新しいドライバを使ってほしいと,ユーザーに呼びかけていた。

4Gamerのテストレポートでもお伝えしているとおり,2013年2月現在,Radeonは3DMarkにおいて競合よりも高いスコアを示している
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 ちなみにCatalystについては,最近やたらとβドライバがリリースされる一方,βの取れた正式版はなかなか出ないことにやきもきしている人がいるのではないかと思われるが,その点を聞いてみたところ,それはドライバ開発スケジュールの見直しが影響しているとの回答が返ってきた。

 「正式版のCatalystをリリースするためには,MicrosoftのWHQL(Windows Hardware Quality Labs)から認証を受ける必要があるというのはご存じだと思うが,これには6週間が必要だ。つまり,(かつての)月例Catalystアップデートでは,ある月にリリースしたバージョンで問題が見つかっても,翌月の正式版Catalystには反映できなかった。その仕組み上,どうしても2か月以上かかってしまう」(Nekechuk氏)。

ソースコードを1か月おきに固めてブランチさせる開発スタイルに,WHQLの認証スケジュールが加わると,行うべき修正が,次のバージョンに反映させられなくなる
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 このあたりは,ソフトウェア開発のバージョン管理を少し知っていると分かりやすい。ソフトウェアのバージョンを上げながら開発を継続するときには,次のバージョンに組み込むべき機能や修正点をソースコードに反映させていくが,ある時点で反映を停止させ(フリーズという),正式リリースのためのテストと微修正に入る。そして,そのソースコードから分岐(ブランチという)させて次のバージョンの開発ベースにするというのが一般的だ。
 1か月おきという短期間のリリースにおいては,1か月単位でソースコードをフリーズさせてブランチさせなければならないが,それにWHQLの6週間を加味すると,「修正&改善点を,次のバージョンに組み込めない」結果になってしまうわけである。

 この問題を回避するため,正式版のリリースタイミングを2〜3か月おきに変更し,その間,必要に応じてどんどん修正をかけ,β版として公開することにしたのだという。Catalyst 12.11 Beta以降のβ版ラッシュは,その結果なのだ。

現在のドライバリリース方針。「Catalyst 年.月」という表記は維持しつつ,β版で細かくアップデートしていく方針に改められた。β版である程度の完成度に達したらWHQLに出し,その間に次のβ版をスタートさせる,という流れだ
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 ちなみに,最新β版となるCatalyst 13.2 Betaシリーズでは,Display Driverの内部バージョンがそれまでの9.xxから一気に12.xxへの引き上げられたが(関連記事),これは「ドライバリリース方針の変更などを受けて,内部的に変更したもの。とくに意味があるわけではない」(Nekechuk氏)とのことだった。

Display Driverのバージョンが8.xx〜9.xxのものは,月例リリースを引きずっていたという。今後はCatalystと同じように,Display Driverのバージョンも整数部分が「年」になるそうだ
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Radeonのバンドルゲームも大幅にリニューアル

日本だけのサプライズも!?


 本稿の序盤で触れたGaming Evolvedの話には続きがある。ゲーム開発にAMDが協力し,(1)技術提供を行いつつ,(2)Radeonに向けた性能最適化の手伝いもするというのとは別に,3つめの要素としてNekechuk氏が挙げたのが,「エンドユーザーにゲームを届ける」という活動だ。そして,その目玉と位置づけられているのが,Radeon搭載グラフィックスカードのバンドルゲームである。

 2012年夏頃以降にRadeon搭載グラフィックスカードを購入した人なら体験的に知っている人もいるのではないかと思うが,AMDは,Radeon HD 7900シリーズのタグライン(=キャッチコピー)でもある「Never Settle」のキーワードを用いたキャンペーンとして,フル版のゲームタイトルをダウンロードできるクーポンコードを,Radeon搭載グラフィックスカードに同梱させてきた。年末商戦向けのNever Settleキャンペーンでは,「Far Cry 3」「HITMAN ABSOLUTION」「Medal of Honor: Warfighter」「Sleeping Dogs」と,一気に4本,金額にして170ドル分のタイトルをバンドルするに至ったほどだ。「あまりにも素晴らしいバンドルキャンペーンだったので,これ以上にするにはどうするか悩むほどだった(笑)」(Nekechuk氏)。

 ただ,AMDはこの春,それ以上のキャンペーンを「Never Settle Reloaded」として展開するという。同梱されるクーポンは,Radeon HD 7900シリーズ向けがCrysis 3とBioshock Infinite,Radeon HD 7800シリーズ向けがBioshock InfiniteとTOMB RAIDERになるとのこと。さらに,Radeon HD 7900を2枚購入した人には,一挙6タイトルを無償で提供するそうだ。たしかになかなか強烈なキャンペーンだといえるだろう。

Never Settle Reloadedの対象GPUと対象ゲームタイトル(左)。Radeon HD 7900シリーズ搭載カードを2枚購入した人には6タイトル分のダウンロードコードが無償提供される(右)
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 しかも,である。ここ最近のAMDにはなかった動きが,ここには加わる。Never Settle Reloadedプロモーションでは,「まだタイトル名は明かせないが,日本市場だけのバンドルタイトルが用意される」と,Nekechuk氏は明らかにしている。そのタイトルではAMDがやはり開発協力し,AMDの技術が投入されており,「ゲームパブリッシャとAMDの共同で,日本国内のローンチイベント開催を予定している」(同氏)とのことだ。
 そのパブリッシャは,かなり驚きのところになりそう。Nekechuk氏は,バンドルキャンペーンの話のなかで,「日本市場を極めて重視している」「日本の市場は重要」と何度か繰り返しており,いつもなら「リップサービスですね」ということになるのだが,今回ばかりはいよいよAMDが本気になったかも……といった感じになってくる。
 このタイトルの詳細と,ローンチイベントについては,2月中旬のうちにも情報が明らかになる見込みだ。続報に期待してほしい。

The Way It's Meant to be Bundled(バンドルってのはこういうものだ)というスライド。何のもじりかは言うまでもないだろう
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 ところで,Nekechuk氏のインタビューに先立つ形で,4Gamerでは今回,AMDのRoy Taylor(ロイ・テイラー)副社長と挨拶をする機会も得られた。GPU業界に詳しい人なら「おっ」と思うかもしれないが,氏は以前,NVIDIAでコンテンツリレーション(※ゲームデベロッパなどと協力する業務)部門のトップを務めていた人物だ。すぐ上のスライドにはTaylor氏の影響も見て取れる(気もする)が,ともあれ,AMDのGPU部門が積極的な動きを見せていることは注目しておく必要があるのではなかろうか。

AMDの優位性を訴えるRoy Taylor氏(Corporate Vice President, Worldwide Content Channel Sales, AMD)。「6月くらいまでに,日本のデスクトップPC市場におけるRadeonのシェアを50%に引き上げると宣言していた
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AMD公式Webサイト(英語)

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