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本日OBT開始「ブラウザ カルネージハート」はどこまでカルネージハートなのかをNHN Japanに聞いてきた。極秘入手した課金アイテムリストも公開しよう
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印刷2011/08/11 15:44

インタビュー

本日OBT開始「ブラウザ カルネージハート」はどこまでカルネージハートなのかをNHN Japanに聞いてきた。極秘入手した課金アイテムリストも公開しよう

 自律型ロボット設計/バトルシミュレーションゲームとして,確固とした地位を確立している,アートディンクの「カルネージハート」シリーズ。そのオンライン版ともいえる,ハンゲームの「ブラウザ カルネージハート Programming Soldier」(以下,ブラウザCH)が,2011年6月30日にクローズドβテストを終え,本日8月11日からオープンβテストに突入した。また正式サービスは,8月18の予定となっている。
 4Gamerでは,その合間を縫ってブラウザCHの運営を手がけるNHN Japanにインタビューを行った。

画像集#001のサムネイル/本日OBT開始「ブラウザ カルネージハート」はどこまでカルネージハートなのかをNHN Japanに聞いてきた。極秘入手した課金アイテムリストも公開しよう

「ブラウザ カルネージハート Programming Soldier」公式サイト



 さて,今回のインタビューは,以下に挙げる3つの切り口で,このブラウザCHというタイトルに迫ってみた。

(1)なぜハンゲームでカルネージハートなのか
(2)本当にカルネージハートなのか
(3)ブラウザ版はどんなカルネージハートになるのか


 CBTに参加できなかった人にとっては,ゲームのディテールが気になるだろうが,それ以上に「ハンゲームで,それもブラウザでカルネージハートってどうなの?」という“そもそも”の部分に関心を持っている人も多いと思う。
 「なぜ,こんなニッチなタイトルを?」「人は集まるのか?」「これってカルネージハートのカジュアルゲームなの?」といった点は,ゲームシステムそのものがすでに確立されてしまっているカルネージハートにとって,とても重要になってくるポイントだ。

ブラウザCHのメイン画面。右下の女性キャラクターは,成長要素や着せ替え要素を持ち,OKEの能力さえも左右する,過去のシリーズ作品にはないシステム「Pドロイド」だ
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 というわけで,CBT時点で判明しているゲームのディテールはインタビュー内のトピックに織り交ぜつつ,ブラウザCHとは一体何者なのかを中心に話を聞いてみた。
 インタビューに応じてくれたのは,本作のプロデューサーである,NHN Japanコンテンツ営業企画事業部の及川信正氏だ。


(1)なぜハンゲームでカルネージハートなのか?


「オンライン版カルネージハートの登場は必然」
「メインターゲットは既存のファン」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは簡単に及川さんの経歴を教えてください。カルネージハートを担当されるということは,なんとなくですが,どちらかというと開発畑の出身とか?

NHN Japan コンテンツ営業企画事業部 及川信正氏
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及川氏:
 そうですね。ゲーム業界には20年ぐらいいて,最初は某シューティングゲームの――グラフィックスの――ドット打ちとかをやってたんですよ。もともと企画がやりたかったのですが経験がなかったので,デザインでゲーム会社にもぐり込みました(笑)。
 企画に転職してからもしばらくはコンシューマ中心に活動してきましたが,やがてオンラインゲームの開発が回ってきました。NHN Japanに入社してからは,カジュアルゲームの運営を経て現事業部に移り,本作を担当することになりました。

4Gamer:
 そして今はカルネージハートのシリーズ作品をサービスプロデューサーとして手がけてらっしゃる,と。失礼ですが,カルネージハードは過去にガンガンやり込んだクチですか?

及川氏:
 これまで何作品かに挑戦しましたが,なんというか,やはりコアなカルネージハートファンのところまではいけなかった,というところですかね。難しくて(笑)。
 ただ,今回この作品を手がけるにあたって,私が上級プレイヤーではないということは,サービスを設計するうえで,いい視点を与えてくれているとは思っています。

4Gamer:
 たしかに,そもそもゲームの構成要素が複雑なので,のめり込みすぎると変なこだわりが生じてしまい,それが運営に影響を与えてしまいかねないタイトルかもしれません。
 ではそれを踏まえたうえで,単刀直入に聞かせていただきます。なぜ「ハンゲームでカルネージハート」なんでしょうか? この“難しいゲーム”を御社でサービスすることの強みとは,なんでしょう?

及川氏:
 はい。簡単に経緯から説明しますと,スタジオアートディンク様から「何かオンラインゲーム一緒にやりませんか?」と打診がありまして,「だったらカルネージハートが良い」という話から始まりました。
 これは個人的に思っていることですが,カルネージハートという作品の素晴らしいところは,プレイヤーがゲームのシステムを飛び越えて,独自にコミュニティを形成しつつルールを設定して遊んでいるところだと思うんです。ゲーム大会なども自分達で仲間を集めて開催したりしていますし。であれば,その場をハンゲームで提供するというのはどうかと考えまして。

4Gamer:
 なるほど。たしかに,カルネージハートの弱点として,コンシューマ機というプラットフォームが持つ宿命的な「対戦インフラの弱さ」が,これまで常にあったと思います。シリーズ最新作の「カルネージハート エクサ」では「SATLOKE」というデータのアップロードサイトが登場しましたが,それでもまだ「対戦が楽になった」と言うには程遠いと個人的には思ってしますし。

CHエクサの発売と同時にリリースされた,OKEチームデータのアップロードサーバ−。チームデータをダウンロードして対戦させ,その結果をアップロードすることで,チームの強さがレーティングのポイントとして算出される仕組みとなっている
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4Gamer:
 逆にコンシューマゲームで,データ交換などを行って対戦するというコミュニティが存在していること自体が驚異的ですが,それがオンラインだったら……と自然に思いますよね。

及川氏:
 ええ。それを考えれば,もしハンゲームがやらなかったとして,どこか別のサービスが出てきても全然不思議じゃない状況だったと思うんですよね。私個人としては,カルネージハートのオンライン版が出てきたということは,「必然」だと思っています。

4Gamer:
 プレイヤーからも,対戦インフラの整備のしやすさや,キーボードにマウスというインタフェースとカルネージハートの親和性の高さから,「ぜひPCでカルネージハートを!」という声はずっとありました。
 ただ,カルネージハートというブランドは,そのゲーム内容から宿命的に「圧倒的なプレイヤー数」を獲得しにくいとされているゲームですよね。もっと平たくいうと,「オンラインゲーム化して,商売として成り立つのかな」という疑問があるのですが。

及川氏:
 そのあたりも,もちろんスタジオアートディンク様と相談しています。実はカルネージハートは,初代が10万本以上出ていて,それ以降のシリーズ作品も,数万本という単位でほぼ安定して同じぐらいの本数を売り上げているんですよ。

4Gamer:
 なんだか分かる気がします。

及川氏:
 つまり,このゲームの魅力を一度理解したファンは,それ以降ずっと付き合っているんだと思います。そこにはやはり明確なニーズがあって,なら弊社でサービスしても問題なく成立するだろう考えました。

4Gamer:
 ニーズに応えるという形となると,つまりターゲットは……。

及川氏:
 ええ,ブラウザCHのターゲットは,基本的に「既存のカルネージハートファン」です。

4Gamer:
 この手の質問では,「新規ファンの獲得を主軸に……」という答えが多いので,ちょっと意外な答で驚きますね。

及川氏:
 ええ。ところで,「カルネージハートを“ブラウザゲーム”にする意味はあるのか?」とは思いませんでしたか?

4Gamer:
 ゲーム内容が損なわれないと仮定すれば,ブラウザゲーム化はプレイのハードルを下げる有効な手段だとは思います。が,やはり何かしらの要素はきっと失われますよね。事実,ブラウザCHには「3Dバトル」がありませんし。

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及川氏:
 そうですね。個人的には,熱心なカルネージハートファンであれば,「クライアントプログラムのダウンロード」程度ならハードルにはならないと思っています。ダウンロード不要であることがブラウザの強みですが,ブラウザにすることで別の制限が出てしまうなら,がっつりダウンロード版でいいじゃないか,という気持ちは当然あります。

4Gamer:
 ええ。ではなぜブラウザゲームに?

及川氏:
 少し海外を意識した,というのがあるんです。

4Gamer:
 なるほど! 海外展開を見据えてのブラウザでしたか。

及川氏:
 まだ,具体的な計画が立っているわけではないんですが(笑)。ただCBTを発表したときに,海外のパブリッシャさんから「これはどういうゲームなの?」といった問い合わせは来たりしているんです。

4Gamer:
 ターゲットがコア層なのに,なぜブラウザゲームなのかという部分について,「矛盾しているのではないか」とは思ってたところです。

及川氏:
 そういった事情なので,「カルネージハートがカジュアルゲームになった」とは認識してほしくないんですよね。

4Gamer:
 とりあえず,それを聞いてホッとしました。



(2)本当に(ちゃんと?)カルネージハートなのか その1


「コンシューマ版−αにはしない」
「無料でひととおり遊べることが大原則」


4Gamer:
 ブラウザCHが,既存ファンをメインターゲットにした“ガチ”な作品を目指していることは分かりました。であれば次に気になるのが,ガチ層が満足できる仕様かどうか,という点です。

及川氏:
 はい。

4Gamer:
 基本的なところから確認していきますが,ブラウザCHのベースとなっているのはたしか,「カルネージハート ポータブル」(以下,CHポータブル)でしたよね?

及川氏:
 そうです。

4Gamer:
 登場するOKEやプログラムチップの種類,対戦アルゴリズムなども,CHポータブルとまったく同様と考えていいですか? あとCHポータブルにはもちろん,明確に強い,あるいは弱い機体がありましたが,そのあたりのバランスは変えられたりしていますか?

及川氏:
 基本的にはすべて同様と考えてください。ただブラウザCHには,有料でさらに上位の機体が登場することもありますし,OKEの強さという意味でのバランス調整は多少行っています。

4Gamer:
 なるほど。そういえば素朴な疑問ですが,なぜシリーズ最新作「カルネージハート エクサ」(以下,CHエクサ)がベースではないのでしょうか?

及川氏:
 簡単にいうと,開発時期の問題ですね。最初にブラウザCHの開発の話が持ち上がったのは,2010年10月28日(CHエクサの発売日)よりずっと前だったんですよ。

4Gamer:
 ああ,CHエクサが新しすぎたんですね(笑)。でもアグリオスやアビスパといったCHエクサ用のOKEが登場しないのは,ちょっと残念です。

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アグリオス
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ケイローン
CHポータブルに対して,CHエクサで追加された5つのOKE(関連記事)はひとまず登場しない
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グレイストーン
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ゲイザー
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アビスパ

及川氏:
 もちろん運用に入った段階で,反響やプレイヤーさんの要望次第で,そういった新機体の実装も考えていこうと思っています。
 それと関連する話なのですが,実はスタジオアートディンク様と決めているルールが一つあってですね。「OKEに限らず,すべての装備を無課金で,一通り触れられる状態にする」というものです。

4Gamer:
 その“一通り触れられる”とは,「CHポータブルと同じOKEや装備/チップでハードウェアとソフトウェアの設計ができる」と受け取っていいですか?

及川氏:
 はい(キッパリと)。すでに発表されているとおり,8月11日に始まるOBTで,OKEや武装をかなり開放します。さらにバランスを見たうえで,8月下旬のメンテナンスで基本的に“全部”を開放しようと思っています。つまり8月中に“全部”ですね。

4Gamer:
 それはプレイヤーにとっては,非常に喜ばしいことですが。ただ,オンラインゲームのサービスでは「次の大型アップデート新たなOKEが開放!」みたいな感じで,徐々にアップデートしていくのが定石ですよね。変な質問ですが,もったいなくないですか?

及川氏:
 カルネージハートはもうコンシューマ機,PC合わせて6作品も世に出ていて,これまでプレイヤーさん達はOKEやチップをフルに使える状態で腕を競ってきました。先ほどもお話ししたとおり,今回のこのタイトルは,既存のファンをターゲットにしていますし,彼らが遊ぶときにプレイに制限があると,その時点でストレスになってしまいます。

4Gamer:
 実は今回のインタビューで一番聞きたかったことの一つは,その点なんです。なんといっても,基本プレイ料金無料のアイテム課金制ですから,無料分と有料分の境界線はどこに置くのだろうかと。

及川氏:
 でしょうね(笑)。もちろん,性能の高いパーツや経験値ブーストといった有料のアイテムは用意しますが,少なくともCHポータブルに相当する部分は無料で楽しめるようになります。
 とくに,カルネージハートの一番大きな特徴でもある“ソフトウェア設計”の部分にはかなり気を使っていて,チップを課金アイテムにすることはもちろんないですし,性能もプレイヤー間で差はなく一律になるようにしています。

CHポータブルに登場する武装(強化されていない武装)は,ゲーム内ポイント,つまり無料で入手可能だ。なおCBTバージョンとは異なり,OBTバージョンからは,武装の購入時に100発程度の弾丸がついてくる
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4Gamer:
 「高性能なチップ」みたいなものの販売予定は?

及川氏:
 上位チップに関しても,想定していないですし,予定もありません。

4Gamer:
 なるほど。つまり本当に,CHポータブルと同等のものが無料のままで遊べるのですね。

及川氏:
 そうです。有料アイテムについては,それを使っているかどうかで分けて,それぞれ別にトーナメントを実施したりということを考えております。

ブラウザCHには最大256人が参加できるトーナメントシステムが実装されている。定期的なもの,突発的なものなど,さまざまな種類の企画が考えられているという。トーナメントで優勝すればアイテムなどの賞品がもらえたりするが,大会にエントリー中は,当該機体を設計でいじることができなくなる。ちなみに,OKE同士の強弱関係がハッキリしているカルネージハートなら,トーナメントよりもリーグ戦の方が……という気持ちも?
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4Gamer:
 しかしそうなると,有料アイテムを使うモチベーションはどこに出てくるんでしょうか?

及川氏:
 その点は,ボクシングの階級みたいなものと考えてください。ボクシングにはミドル級やライト級,ヘビー級などの階級があって,なんだかんだでヘビー級が花形だったりしますよね。そういった大会は有料アイテムがないと,とてもじゃないけど勝てない,といった形の大会を開けば,それに合わせた形で需要は出てくるのではないかと。
 あとは,無料分だけでもじゅうぶん強いOKEを作れる上級者に,経験の浅いプレイヤーが挑むための措置,という側面も考えています。

4Gamer:
 そのあたりは運営しながら調整,といったところもあるでしょうね。

及川氏:
 どういった課金アイテムが正式サービス後に用意されるのか,今回は特別にお見せしましょう。

◎「有料ポイント/ゲーム内ポイントで購入できるアイテム」の一覧
※「G」……ゲーム内ポイント 「PG」……ハンコインで購入できる有料ポイント
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(2)本当に(ちゃんと?)カルネージハートなのか その2


「バトル画面の表現力向上は大きな課題」
「無限のトライ&エラーは可能」


4Gamer:
 ブラウザCHではCHポータブル相当のものが遊べると標榜されるなら,やはりバトル画面に触れないわけにはいけません。ズバリ,なぜバトル画面は2Dで,真上からの見下ろし視点なんでしょうか? あと,それについてどう思われますか?

及川氏:
 当初,カルネージハートのプレイヤーは,自分の組んだプログラムが正しく動作するかどうかの検証用プレビューとして,バトル画面を見るのだなという認識が強かったんです。

4Gamer:
 検証用のみということはないでしょうが,たしかにそういう側面が強いとは思います。

及川氏:
 ですよね。つまり,それが伝われば2Dでも問題ないんじゃないか,と思ったわけです。

4Gamer:
 伝わるのであれば問題ないですが,カルネージハートは空間やオブジェクトを立体的に把握しなければいけない作品なので,Z軸方向で起こっていることをセンサーは感知できても,目視でチェックできないと問題がありますよね。例えば飛行型のOKEで,下から飛んでくるミサイルを回避する,あるいは最もギリギリのタイミングで弾をよける,といったプログラムを検証するのは,2Dだと骨を折りそうですよ。

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作り上げたOKEの検証を難しくしている,懸案のバトル画面
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参考までに,CHエクサの戦闘画面はコレ
ブラウザCH発表時,これを見て「お,なんだ。ブラウザ版も戦闘画面はちゃんと3Dじゃん」と思った人も多いはず。でもこれは無料や有料で挑戦できる,いわゆる「ガチャ」の画面だった。ブラジャー?
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及川氏:
 うーん,そこに関してはですね。「できると思っていた」というのが正直なところです。

4Gamer:
 あのバトルシーンは3Dを上から見ている形ですか? であれば,カメラをちょっとだけ傾けるとか。

及川氏:
 内部の計算自体は3Dで行っていますが,描画は2Dなんですよ。具体的にいうと,3Dのモデルを使って真上から見て,そのデータのパターンをキャッシュに読み込んで2Dで描画している,という感じです。

4Gamer:
 なるほど。

及川氏:
 今はこういう仕様です。ただ,課題にはしていますよ。

4Gamer:
 何か良い手があれば,ということですかね。

及川氏:
 ええ。プレイヤーさんからのご意見で,例えば2Dでもいいから真横からのビューも用意して,真上からと真横からの様子を同時に確認したい,というのがありました。

4Gamer:
 3Dにせず,2Dのまま要件を満たすという折衷案……。私が言ってもアレですが,頭いいですねその人!(笑)

及川氏:
 たしかに(笑)。カルネージハートには,こういったご意見をくださるプレイヤーさんが非常に多いですね。CBTでいただいたご意見も,具体的かつ有効なものが多かったです。
 ただそれでも,見せ方の課題は残りそうですね。雑談ではUnityを使えばなんとか3Dで……という話も出ていますが。

4Gamer:
 なるほど。
 話は変わりますが,ブラウザCHでトライ&エラーを延々と繰り返すことは可能なのでしょうか? 個人的には,OKEとソフトウェアの設計で2日ぐらい寝ずに遊べるタイプのプレイヤーなので,気になっています。とくに本作は弾丸がアイテムという扱いで,戦いによって消費するという仕様ですよね。ゲーム内ポイントで購入できるとはいえ「弾がないからトライ&エラーができない」という状況になるとしたら残念なのですが。

及川氏:
 そこは大丈夫ですよ。例えば,メインミッション(※:CHエクサなどでいう「バトルアリーナ」のようにプリセットされたチームと戦うモード)には,「シミュレーション」「訓練」そして「実戦」の3モードがあります。訓練はCBT時点ではなかった要素で,まぁチュートリアル用のミッションといったところです。シミュレーションと訓練では,弾は減りませんよ。

4Gamer:
 OBTでは実装されるのですね。

及川氏:
 ええ,ずーっとトライ&エラーで遊ぶことは問題なくできます。

ブラウザCHに用意されている掲示板は単なるコミュニケーションツールではなく,プレイヤーのチームデータを添付して公開するという役割も果たしている。自分で作ったチームを相手にシミュレーションをする場合には,こちらの掲示板にまず標的用に作ったチームデータを自分でアップロードし,ほかのプレイヤーが作ったデータだとシステムで認識させて,それを再び手元にダウンロードして対戦する。まだ若干まどろっこしいかな
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4Gamer:
 それを聞いて安心しました。ちなみに,本作の開発体制はどうなってるんでしょうか?

及川氏:
 ゲーム本体の開発はスタジオアートディンク様で,弊社はプラットフォーム(ハンゲーム)との繋ぎ込みの部分と,サービス全体の設計を行っています。役割は完全に切り分けられています。

4Gamer:
 そういえばカルネージハートの産みの親こと飯塚氏は,今回はノータッチとのことですが。

及川氏:
 ええ。伺っているお話ですと飯塚さん的には,企画書にちゃんと目を通したうえで「好きにやってごらん」というスタンスのようです。



(3)ブラウザ版はどんなカルネージハートになるのか


「CBTを経てUIやローディング時間は大きく改善」
「プレイヤーが賞賛される場を積極的に作る」


4Gamer:
 ではブラウザCHのサービスまわりについてのお話をうかがいたいと思います。まずCBT時点での反響を教えていただけますか?

及川氏:
 はい。数字の面で言いますと,弊社の想定よりは上回っています。今回のCBTでは5000人のプレイヤーを募集したのですが,それよりも多くの方にご応募いただきました。
 面白いのは,だいたいこの手の募集をかけると,通常なら実際の定員の約3割ぐらいの方がプレイされるものなんですが,今回はずっと多くの方がプレイされています。やはりほかのタイトルのプレイヤーに比べると「熱心」という感じがしますね。

4Gamer:
 “カルネージハート”という言葉に引き寄せられる人達を想像すると,分かる気がします。

及川氏:
 あと,先ほども申し上げたように,頂いた意見も参考になるものが多いですし,マナーも良かったですね。CBT中にアナウンスツールの調子がちょっと悪い時期があって,スタッフがGMとしてプレイヤーさんをサポートしたりしていたんですが,ゲーム内でも好意的に受け入れてくれて,意見や提案を頂いたと報告を受けています。

4Gamer:
 このCBTで,一番多かった要望はなんでしたか?

及川氏:
 やはりユーザーインタフェースまわりです。せっかくマウスを使えるのに,ソフトウェア設計のチップ配置で,ドラッグ&ドロップで動かせないというのはどうなのと。というわけで,この部分はさっそく改善して,OBTではチップをマウスで動かせるようにしています。

マウスでチップの移動などができるようになったソフトウェア設計画面。この画面だけは,極限までストレスフリーな状態を目指してほしいところ
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4Gamer:
 「押し出し」や「引き寄せ」などの機能はどうですか?

及川氏:
 それも要望はあったんですが,今のところ未実装ですね。ただUIに関してはOBTや正式サービス開始直後のものでFIXというわけではなく,今後もどんどんブラッシュアップしていきたいと思っています。

4Gamer:
 まだCBT段階ですし改善項目はどうしても多岐にわたってしまうと思いますが,ブラッシュアップの基本方針みたいなものはありますか?

及川氏:
 そうですね。個人的にはカルネージハートは,これまでの作品で基本的なところがすでに完成されていると思っています。なのでブラッシュアップや運営の方針としては“カルネージハートの部分におかしなちゃちゃを入れない”ということを重要視しています。

4Gamer:
 おっしゃることはよく分かります。ただ,だとすれば,ハンゲームはどういった形で“らしさ”を出していくことになるんでしょう?

Pドロイドの存在は“らしさ”の一つ
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及川氏:
 カルネージハートを野球に例えますと,野球のルールってすでに不変ですよね? ではそこでハンゲームは何をするのかというと,パ・リーグやセ・リーグ,さらにWBC(World Baseball Classic)みたいな感じで,プレイヤーさん達に活躍の場を提供しようと考えているんですよ。

4Gamer:
 そういえば最初のほうでも話に出てましたね。

及川氏:
 ええ。正直いって,コンシューマ版のカルネージハート,例えばCHポータブルやCHエクサなどは,4〜5千円あれば買えます。なので,このブラウザCHを成り立たせるには,プレイヤーさんのモチベーションを特別な何かに置き換える必要が出てきます。それが,プレイヤーさん達が「賞賛される場」だと考えているんですよ

4Gamer:
 それは,大会開催などの形で,ですか?

及川氏:
 公式大会はその一つでしょうね。ハンゲームとして,ものすごい成績を収める人はどんどんプッシュしていきますよ。

4Gamer:
 プッシュ……そのあたりを,もう少し具体的に教えてもらえますか?

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及川氏:
 ハンゲームは1日に多いときで85万人のユーザーがログインしています。ですが,そのほとんどはカルネージハートをプレイしない可能性が高いと思っています。
 そこで,今度はプロレスをイメージしてください。

4Gamer:
 プロレス?

及川氏:
 ええ,プロレスはいろんな街で興業して,そこには大勢の人が見に来ます。でもそれはあくまでも見に来ているだけで,別に彼らがプロレスをするわけではありませんよね。
 それと同じで,ブラウザCHの公式大会決勝なんかを,見て応援してもらおうと考えるわけです。

4Gamer:
 つまり“ショウ化する”というわけですね。

及川氏:
 そうです。ハンゲームのIDさえあれば誰でも見られるような形で,プレイヤーを応援してもらって,応援したプレイヤーが勝てば,応援した側になにかしらのプレゼントを用意する,といったことも考えています。

4Gamer:
 それは具体的な企画として,すでにあるんですか? ブラウザCHだけで完結していないだけに,ハンゲームのホーム側からのサポートも必要になりそうですが。

及川氏:
 はい。そもそも,そういうことを想定してサービスをしようと思っていたタイトルですから。プレイヤーにしてみれば,例えば自分が応援されているというカウントが上がっていけば,「ああ,私は支持されてるんだな」とモチベーションを高めてもらえるはずです。

4Gamer:
 それは面白いですね。カルネージハートが“外へ出て行く”という感じが,とくに。オンライン版のカルネージハートであっても,その中で限られた人々がクローズな遊びをするだけなら,結局これまでとあまり変わらないですもんね。

フレンド申請画面。なお本作には「ライバルリスト」という,気になるプレイヤーを登録しておく機能がある。ただ現在は「リストできる」という段階にとどまっているので,リストからのメッセージ送信や,直接的な対戦要求などが可能になることにも期待したい
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及川氏:
 ええ。サービス方法としても,ハンゲームとしても,ここまで1タイトルに集中して「ショウ」を作ろうという試みは初めてじゃないですかね。
 というか,そもそもカルネージハートを,こういう形でサービスするということ自体がチャレンジですけどね(笑)

4Gamer:
 異論はありません(笑)

及川氏:
 ちなみに今私が所属しているのはコンテンツ営業企画事業部というところですが,現在ハンゲームはスマートフォンのゲームや,リアルタイム性の高いゲーム「リアゲー」などをいろいろと展開しています。そちらは時代が求めているからですね。
 でもハンゲームって,やっぱりゲームポータルなんですよ。「ゲームが好きだ!」という人が集まってくる。だからやっぱり「これぞゲーム」といったものを提供したいという思いがありますし,その役割としては,カルネージハートがうってつけだなと考えます。

4Gamer:
 その流れで聞きますが,「新たなプレイヤーの獲得」については,何か考えていますか?

及川氏:
 まずはとっつきやすいように,Pドロイドといったキャラクターを用意しました。
 ゲーム内容については,あらかじめプリセットされたプレイヤー用のOKEやソフトウェアがあるので,初心者の方はそれを少しずつイジりながら本作に慣れていけると思います。
 あと,やっぱりオンラインゲームですから,ベテランのプレイヤーさんに質問などもしやすいと思いますよ。「ここはどうするんですか?」「これをちょっとコピーしてみれば?」といった形で。

「Pドロイド」は,今後バリエーションを増やしていくほか,有名なイラストレーターとのタイアップなどを考えているとのこと
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4Gamer:
 なるほど。そのとっかかりの1つとして,まずは大会などを開催して見てもらうということですね。
 では最後に4Gamer読者に一言お願いします。

及川氏:
 カルネージハートはアートディンク様が作って育ててきたタイトルではありますが,同時に多くのプレイヤーさんと共に歩んできたタイトルだと思っています。
 今回もサービスを展開するうえで,プレイヤーの皆さんの声をキチンと反映していきたいと思いますし,実際,すでにそういう体制で進めています。今後も,ファンの方といっしょに作り上げていきたいですね。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。


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 コアタイトルの「ショウ化」というのは,なかなかに面白い試みだ。カルネージハートにこれまでなかった要素なのはもちろん,多くの会員を擁するハンゲームの強みを最大限に発揮できる方法だとも思える。
 また,及川氏は「バトル画面さえなんとかなれば,これまでで最強のカルネージハートになると思うんです」と話していたのだが,グラフィックス面の違いこそあれ,CHポータブルの基幹部分をごっそり持ってこられると考えれば,それは決して誇張された表現ではないだろう。

 ただ一方で,「ショウ化」「最強のカルネージハート」を実現するうえでは,当然のごとく現状のバトル画面が足かせになってきそうだ。「Z軸が見られる別の2Dプレビューを表示する」「バトル画面のみ3D処理のできる専用クライアントで表示する」などの改善案も出ていると聞いたが,いずれもおいそれと実装できるものではないだろうし,コストの問題もあるだろう。

 我々プレイヤーとしては,とにかくプレイして要望を送り続けること,そして多くの友達を誘ってOBTを盛り上げていくしかない。幸い,現在出ている改善課題はUIやローディングなどが中心で,カルネージハートを再現するうえで技術的に致命的と思われる点はそれほどないとのこと。問題が「バトル画面」に集約されていることで,本作が“化ける”ポイントが明確化されていると,前向きに捉えてもいいかもしれない。

 ともあれ,まずは8月11日に開始されたオープンβテストに参加してみよう。

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