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外国の人に日本の戦国時代はどう映ったのか。今週の「海外ゲーム四天王」は,Paradox Interactiveの最新作「Sengoku」で,日本統一じゃー
歴史マニアがグッとくるようなPC向けストラテジーをコンスタントに制作するスウェーデンのParadox Interactive。彼らの新作「Sengoku」は,タイトルを見れば一発で分かるように,日本の戦国時代を舞台にしたものだ。いつものように,豊富なデータを基にした作品になっており,ズラッと並んだ数字の列や,大量の英文,たくさんの窓が開くユーザーインタフェースなど,通好みの作品である。
今週の「海外ゲーム四天王」では,そんなSengokuの概要をライターの朝倉哲也氏が紹介する。めちゃくちゃハンサムな織田信長とかは出てこないが,パラドゲーの新たなラインに加わった戦国ストラテジーに興味のある人はチェックチェック。
やり込めば,やり込むほど,奥深さが分かる戦国ゲーム
Sengokuは,室町幕府第8代将軍の足利義政の後継者争いに端を発した政争が,時の有力大名家を巻きこんでの大戦争となった「応仁の乱」(1467年)から始まる。そのため,割拠している大名家に,戦国の炎の中で歴史の表舞台から消えていった守護大名の名前が目立ち,興味深い。
例えば四国から京都,大阪あたりを細川勝元,山陰地方を中心にした中国地方の大半を山名宗全が治めるといった具合に,応仁の乱の立役者が広大な領地を誇っているかと思えば,尾張地方は織田氏ではなく斯波氏がいたり,信濃には小笠原氏,美濃を支配するのが土岐氏だったりなど,いつものパラドゲーらしく,さまざまな資料を基に開発された様子がうかがえる。
「Sengoku」公式サイト
舞台となるマップは,北海道と沖縄を除く本州,四国で,国は“郡”(KORI=こおり)という単位によって分けられている。例えば現在の山梨県付近の甲斐国などは,山梨,巨摩,八代,都留の4つの郡に別れているなど,その分け方はかなり細かい。
大名の直轄領を除いたそれぞれの郡には,「国人」という,その地域を支配する領主が存在し,プレイヤーはそれら国人領主を配下武将として抱えることで,一国から数か国を支配する守護大名として君臨しているという構図になっている。この点も,当時の日本における御恩と奉公による領地支配を再現しているといえるだろう。
さまざまデータがとても豊富なのはいいのだが,パッと見,あまりにも数字の羅列が多く,とっつきにくい印象を与えてしまうかもしれない。
とはいえ,例えば他国に攻めこむときには,侵攻部隊をクリックしてから攻め込みたい地域をクリックするだけでOKだったり,国力を上げる内政は,あらかじめ指名しておいた内政担当の武将に地域を指定してやるだけで大丈夫といった具合に,かなり簡略化されおり,実際の操作は見た目ほど難しくない。
合戦シーンがシンプルな演出になっているので,その点,少し物足りないが,忍者を雇用して敵将の暗殺や敵地の撹乱ができたり,外交を駆使して戦わずして他国を併呑できたりなど,硬軟とりまぜた幅広い戦略を展開できるところが面白い。
ほかにも,自国内の浪人を登用したり,政略結婚で同盟を強化したり,特定の宗派を援助することで,そこから恩恵を受けられたりなど,大名であるプレイヤーができることは多い。
戦国時代を代表する(と日本人が考えがちな)織田信長や武田信玄などの有名武将がゲーム中盤まで登場しなかったり,ちょっと分かりづらいユーザーインタフェースだったり,多量の英文を読まねばならなかったりなど,やはり,プレイする人を選ぶゲームであることは事実だ。その反面,豊富なデータ量に裏打ちされたやり込み要素は,ハマる人にはとことんハマり尽くせるものを持っているだろう。
公式サイトなどでデモ版がリリースされているので,興味のある人は,まずデモ版をプレイしてみよう。デモ版には1467年からスタートするシナリオが収録されており,少弐教頼または大内政弘のどちらかを選択して,15年間のプレイが可能となっている。
■■朝倉哲也(ライター/四天王)■■
アクションゲームからMMORPG,アドベンチャーからストラテジーまで,なんでもプレイする雑色系ライター。年季の入ったPCゲーマーでもあったが,最近はコンシューマ機のゲームもプレイするようになったので,そのオールラウンダーぶりをますます強くしている。
- 関連タイトル:
戦国【完全日本語版】
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