テストレポート
最強CPU&GPU搭載のAcer「Predator Helios 18」の実力を検証
Acerの「Predator Helios 18」2024年モデル(型番:PH18-72-90C9,以下 Helios 18)は,その代表格とも言える製品で,CPUに第14世代Coreプロセッサの「Core i9-14900HX」を,GPUにNVIDIAの「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」(以下,RTX 4090)を採用する高いスペックが見どころである。
今回は,国内発売に先駆けて,Predator Helios 18をテストする機会を得たので,写真とベンチマークテストを中心に,その特徴を紹介したい。
Helios 18は,Acerが展開するゲーマー向け製品ブランドのうち,高性能を追求した「Predator」ブランドのフラグシップモデルだ。とくにeスポーツゲーマーなど,勝負にこだわる人向けの製品と言える。
まずは,Helios 18の主なスペックを表にまとめてみよう。
CPU | Core i9-14900HX(24C32T, |
---|---|
メインメモリ | DDR5 32GB |
グラフィックス | GeForce RTX 4090 |
ストレージ | SSD 容量2TB(M.2/PCI |
液晶パネル | 18インチIPS液晶パネル |
無線LAN | Wi-Fi 7(IEEE 802.11be) |
有線LAN | 1000BASE-T |
外部 |
Thunderbolt 4×2 |
キーボード | 英語配列 |
スピーカー | 内蔵2chステレオ |
マイク | 内蔵アレイマイク |
インカメラ | 搭載 |
バッテリー容量 | 90Wh |
ACアダプター | 定格出力330W(19.5V 16.92A) |
公称本体サイズ | 約404.9(W)×342.4(D) |
公称本体重量 | 約3.25kg |
OS | Windows 11 Home |
2024年前半での最強CPUと最強GPUを搭載
Helios 18が採用するCore i9-14900HXは,高性能CPUコアの「P-core」を8基,低消費電力で高効率のCPUコア「E-core」を16基という計24コア32スレッドに対応するCPUだ。前世代の同クラスCPUと比べると,P-coreとE-coreの数がそれぞれ増えたのに加えて,P-coreの最大動作クロックが5.4GHzから5.8GHzへと引き上げられており,CPU性能の向上が期待できる。
その分,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は55Wと高く,性能を引き出すには,出力の大きな電源(ACアダプター)と,高い性能を備えた冷却機構が求められるだろう。
GPUのRTX 4090は,ノートPC向けGeForce RTX 40シリーズの最上位モデルである。Helios 18の2023年モデル(関連記事)では,1つ下のグレードである「GeForce RTX 4080 Laptop GPU」までだったので,この点でもパワーアップしているわけだ。さらに,NVIDIAのGPU制御技術「Advanced Optimus」に対応しており,CPUの内蔵GPUとGeForceの切り替えを,より賢く行う。
なお,Predatorのゲーマー向けノートPCでは,独自の総合設定ソフトウェア「Predator Sense」を使用することで,高性能側から順に「ターボ」「パフォーマンス」「バランス」「静か」という4種類の動作モードを切り替えられる。工場出荷時の標準設定は,バランスだ。
高性能かつ消費電力の高いCPUとGPUを冷却するために,強力な冷却機構を内蔵しているのも,Helios 18におけるポイントだ。独自の空冷ファンである第5世代「AeroBlade 3D」ファンと7本のヒートパイプにより,プロセッサとその周辺部を冷却する。加えて,CPUとヒートシンク間の熱伝導素材(Thermal Interface Material,TIM)に,液体金属グリスを採用するのも見どころと言えよう。
実際にゲームをプレイしていると,高負荷時には空冷ファンの音がかなり耳に付く。キーンという甲高いノイズではないものの,単純にファンの音が大きいので,ゲームに集中したいときは,ヘッドフォンやイヤフォンの利用をおすすめする。一方,ゲームを終了すると,ほどなくしてファンの動作が止まるあたり,冷却性能はかなり高いようだ。
試用機のメインメモリは,動作クロック5600MHzのDDR5メモリで,容量は32GBだ。内蔵ストレージは,PCI Express 4.0 x4接続に対応した容量2TBのSSDで,重量級のゲームタイトルを複数保存しても,かなり余裕がある。
18インチ級はさすがに大きい!
Helios 18で,ひときわ目を引くのは,筐体サイズだ。本体サイズを実測すると,約405(W)×342.5(D)
天板はマットな質感で,手の跡や指紋などが目立ちにくい。中央に配置されたPredatorのロゴマーク部分と,ヒンジ後方にはLEDを内蔵しており,Predator SenseからLEDイルミネーションの設定を変更可能だ。
ディスプレイパネルには,18インチサイズで解像度2560×1600ドット,アスペクト比16:10で,最大リフレッシュレート250Hzに対応するMini LED液晶パネルを採用している。応答速度はオーバードライブ時で最小3ms,NVIDIA独自のディスプレイ同期技術「G-SYNC」にも対応する。
また,デジタルシネマ向け色空間規格「DCI-P3」のカバー率も100%を実現しており,ゲームだけでなく動画視聴などにも活躍しそうだ。
試用機のキーボードは,10キーを備えた英語配列で,キーとキーとの間に隙間を設けたアイソレーションタイプとなっている。筐体サイズに余裕があるためか,キー配列やキートップのサイズにきゅうくつなところがない。キーストロークも,ノートPCとしては深めに感じる。
各キーには,それぞれバックライトLEDが組み込まれており,Predator SenseからLEDの色や発光パターンを変更可能だ。
インタフェース類にも目を向けよう。Helios 18では,左側面に,有線LANポートとUSB 3.2
背面には,HDMI出力端子と2基のThunderbolt 4ポートを配置する。最近は,周辺機器でもUSB Type-C対応の製品が増えているのだが,たとえばUSBメモリなどを,いちいち背面に取り付けるのはちょっと面倒だ。左右のどちらかにでも,1基くらいUSB Type-Cポートがあってもよかったのでは? と感じる場面もあった。
2つの動作モードでHelios 18の性能を検証
ここからは,ベンチマークテストでHelios 18の性能を検証したい。先述したように,Helios 18には4種類の動作モードがあり,今回は,ターボとパフォーマンスという2つのモードでテストを実施した。どちらもCPUやGPUの動作クロックを引き上げるものだが,ターボの場合は,空冷ファンを常に最大で駆動させるのが,ほかの動作モードにない特徴だという。冷却機構をフル回転させることで,それだけCPUとGPUのクロックを引き上げて性能を絞り出せるというわけだ。
テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション28から,「3DMark」「Call of Duty: Modern Warfare III」(以下,CoD:MW3)「バイオハザード RE:4」「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」を選んだ。
なお,Call of Duty: Modern Warfare IIでは,DLSS使用時の性能を見るために,オプションのグラフィックにある品質タブで,「アップスケーリング/シャープニング」から「NVIDIA DLSS」を選択。「NVIDIA DLSSフレーム生成」をオンにして計測している。
3DMarkの結果から順に見ていく。グラフ1は,「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。ターボとパフォーマンスのどちらも,テスト解像度が3840×2160ドットとなるFire Strike Ultraで,1万を優に超えるスコアを示しており,性能の高さがうかがえる。ターボとパフォーマンスのスコア差は,無印のFire Strikeで約7%,Fire Strike Extremeで約9%,Fire Strike Ultraで約10%と,負荷が上がるにつれて広がっている。
続いてグラフ2は,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の総合スコアだ。ターボのスコアは,無印のTime Spyで2万を,より負荷の高いTime Spy Extremeで1万を超えた。パフォーマンスとのスコア差は,Time Spyで約10%,Time Spy Extremeで約12%となり,やはり高負荷なテストになるほど,CPUとGPUのクロック向上の効果が表れてくる。
もうひとつのDirectX 12のテストである「Speed Way」の結果を,グラフ3にまとめている。Time Spyよりもさらに負荷が高いテストなので,スコアの絶対値としては低めだ。ターボとパフォーマンスの差は約12%で,Time Spy Extremeと同様に,グラフィックスの負荷が高いほど,クロック向上が効いてくる傾向にある。
リアルタイムレイトレーシング性能を計測する「Port Royal」の結果が,グラフ4だ。こちらのスコア差は約13%と,やはり高負荷なテストほど,差が開く傾向に代わりはない。
次は,CINEBENCH R23でCPU性能をチェックした。CINEBENCH R23は,マルチスレッドでの性能を検証する「CPU(Multi Core)」テストと,シングルスレッドの性能を見る「CPU(Single Core)」テストの2つがある。それぞれの結果をまとめたのがグラフ5だ。シングルスレッド性能はほとんど横並びとなった。
一方のマルチスレッド性能も,ターボとパフォーマンスで約3%の差に留まった。動作モードの変更は,GPUと比べてCPUに与える影響が少ないのかもしれない。
続いては,ゲームにおける性能を見ていきたい。まずは,まずは,CoD:MW3からだ。結果をまとめたのがグラフ6〜7となる。DLSSを無効にした状態でも,2560×1600ドットで平均フレームレートが100fpsを超え,1920×1200ドットでは150fps前後となった。
また,DLSSの効果は絶大で,2560×1440ドットで約67〜72%,1920×1200ドットで約61〜63%と,フレームレートが大幅に向上している。ゲームプレイ時には欠かせないと言っていいほどの効果だ。
バイオハザード RE:4の結果をまとめたのが,グラフ8〜9だ。すべての結果で,レイトレーシングが有効となる「限界突破」プリセットでも,快適なプレイの基準として定めた平均80fps以上を超えているのが見どころである。ターボとパフォーマンスのスコア差は約12%で,ターボによる性能向上ははっきりと出ている。ただ,パフォーマンスでも十分快適なので,このゲームでどちらを選ぶかは,ファンの騒音をどれくらい許容できるかで決まりそうだ。
最後に,ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレベンチマークテストを実施した。画面解像度を2560×1600ドットに,画質設定を「最高設定」にして,テストしたスコアをまとめたのがグラフ10だ。ターボとパフォーマンスのどちらも,4Gamerが快適にゲームをプレイできると定めた「15000」を超えている。
平均および最小フレームレートをまとめたグラフ11でも,最小フレームレートが60fpsを超えおり,快適なプレイができそうだ。
とにかく最高性能のゲームノートPCが欲しいなら,選ぶ価値がある
難点を挙げるとすれば価格面だろう。発売前とあって,国内における想定売価は明らかになっていないが,北米市場では3799.99ドル(約57万6600円)と,かなり高価で,国内価格も相応のものとなるはずだ。
とはいえ,性能を重視するゲーマーにとっては,この高性能ぶりは魅力的だろう。予算に糸目は付けず,とにかく最高性能のノートPCが欲しいという人におすすめしたい。
AcerのHelios 18製品情報ページ(英語)
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