プレイレポート
元極道の破天荒教師が生徒と“ガチ”でぶつかり合うアクションアドベンチャー「ガチトラ! 〜暴れん坊教師 in High School〜」のインプレッションを掲載
「ガチトラ! 〜暴れん坊教師 in High School〜」公式サイト
プレイヤーは,ひょんなことから高校教師となった元極道「梶 虎男」(通称:トラ)となり,彼の受け持つ3年D組の生徒全員と無事に卒業式を迎えるため,深い悩みを抱えるがゆえに反抗的な態度をとる生徒達相手に,ガチでぶつかっていくことになる。破天荒ながらも真っ直ぐに生きるトラや,それを取り巻くアクの強い脇役達の人間ドラマを,ときに真面目に,ときにコミカルに描く熱いストーリー展開が魅力的だ。
また,さまざまな人の悩みを解決するために,激論のイメージを具現化した「ソウルヌードバトル」や,街にある豊富なプレイスポットで実際に遊んだり買い物をしたりできる寄り道要素など,ストーリー以外でも注目すべき点が多い。本稿ではそんなガチトラの魅力を紹介していこう。
スクリーンショットやプロモーションムービーなどを見てもらえれば分かると思うのだが,PSP用ソフトとしてはかなり“頑張っている”グラフィックスを実現しているところにも注目してほしい。加えてイベント中は,豪華声優陣によるフルボイスが堪能できる。章の終わりにはスタッフロールや次回予告が挿入されるなど,演出面のこだわりも作風と合致していて実に気持ちいい。「GTO」や「ごくせん」などの学園ドラマ(漫画/アニメ含む)が好きな人であれば,物語に必要以上にのめり込めること請け合いである。
ちなみに街には,プレイスポットとしてサークルKサンクス,ステーキのどん,タックルベリー,Right-on(ライトオン),富士急ハイランドなど,実在の企業とのタイアップ店舗がズラリ。もちろん実際に入店し,買い物をすることもできる。コンビニではパラメータ回復のアイテム(食料品),アパレル関係の店では主人公の見た目にも反映される洋服などが購入できるので,ゲーム中はたびたびお世話になることだろう。
ガチでぶつかり合い,生徒の心の壁をブチ壊せ!!
ガチトラには,悩みを抱えた登場人物がたくさん登場する。そんな彼らの悩みを解決するべく,心と心でぶつかり合うシステムが,冒頭でも触れた「ソウルヌードバトル」だ。これは,トラと生徒達が実際に殴り合っているわけではなく,激論のイメージを具現化したものという設定になっている。プレイヤーとしては実際のバトル同様,パンチやキックなどを駆使して相手をKOすることになるのだが,それは直接的な暴力ではなく,相手と理解し合うための激論の激しさを表現したものなのだ。
ソウルヌードバトルでは,一定のダメージを受けた敵はブチキレ状態となり,身の回りに心の壁(バリア)を発生する。この状態になると,敵はより強力な特殊技で攻撃してくるため,より慎重な立ち回りが要求される。ちなみに,敵に攻撃を当て続けていると,トラ(主人公)のイライラ度が上昇してくる。これがMAXになると,一定時間行動不能になってしまうので,そういう時は深呼吸でリラックスしなければならない。もちろん敵はその間も待ってはくれないので,戦闘中にうまいことスキを見つけ,深呼吸をすることも戦略上必要となってくる。とまあ,このように,単純に攻撃を繰り出していれば勝ててしまう類のバトルではないので,アクションゲーム好きならきっと満足できるだろう。
一方,アクションに自信がないという人であれば,難易度設定でEasyモードを選択するといい。
筆者が個人的に感心したのは,バトルに負けたあとのプレイヤーに対する徹底したフォローの仕方だ。本作ではバトルに負けると,難度を落として再挑戦できるのだ……と,ここまではそう珍しくない。注目すべきは,同じ敵に2回負けると“勝ったことにできる”という嘘みたいなシステムが搭載されている点だ。
実際には負けてしまったバトルを“勝ったこと”にして,そのまま先へ進むことができるというシステムは,アクションゲームが苦手な人にとっては,まさに究極の救済システムと言っても過言ではない。ストーリー面に注力しているアクションゲームに起こりがちな,「ストーリーが見たいのに,アクション部分がクリアできずに先に進めないもどかしさ」を感じることは,筆者はほとんどなかった。
なお,トラにはレベルの概念が存在し,移動したりミニゲームをプレイしたりすることで経験値を得ることができる。経験値を一定量得るごとにレベルが上昇し,体力の最大値が上昇していくのだ。またトラの成長に伴って,ソウルヌードバトルで使用可能な「虎語録」も習得できる。虎語録をたくさん覚えることによって,戦い方のバリエーションも大幅に広がっていく。
ミニゲームで悩みを解決
授業,クラブ活動で学園ライフを満喫しよう
ミニゲームが豊富に用意されている点も,ガチトラの特徴の一つだ。パパラッチを追跡する「追跡! パパラッチ!!」や,シューティングゲームの「STAR CHALLENGER」,3年D組の生徒である“黒木悠美”に羞恥心を抱かせるために,彼女の恥ずかしい動画を配信して,流れるコメントから羞恥心をくすぐるものを選んでいく「ライブ配信動画!」などなど,その内容はバラエティに富んでいる。「こんなシチュエーションをミニゲームにするか!?」と,思わず製作者の性癖を疑ってしまう(ほめ言葉),遊び心溢れるミニゲームの数々が楽しめるのだ。
ちなみに個人的なお気に入りは,生徒の母親をラブホテルに誘い込む,筆者のような熟女好きにとってはご褒美としか言いようがない「ママさん誘導大作戦!」というミニゲーム。こちらは割と序盤でプレイできるので,そういうのが嫌いじゃないという人は,「ママさん誘導大作戦!」を堪能してほしい。
また,学園モノには欠かせないクラブ活動も,空手部,野球部,プロレス同好会,ボクシング部,テニス部など,さまざまなものが用意されている。もちろん,部活ごとに違ったミニゲームが楽しめるので,お気に入りクラブを見つけて部活指導に励んでほしい。
「主人公が教師」ということで,自ら「授業」を行うことも可能だ。授業を行うと生徒の能力がアップし,ゲームの目的(生徒の卒業)に近づけることができる。卒業できた生徒とは,卒業後の集合写真に一緒に映ることができるので,「教師」として,一人でも多くの生徒が卒業できるように頑張って授業をしてほしい。ただ授業を行うには,人助けやミニゲームで「教材」を入手する必要があるので,プレイ中は,それを意識した行動を心がけるようにしたほうがいいだろう。
「スパイクの学園モノ」の新たな柱となるか?
遊びやすく,純粋に面白い秀作アクションアドベンチャー
一見すると,割とよくあるタイプのアクションアドベンチャーに見えるかもしれない本作だが,極道の世界に生きる男を「教師」にするという,ゲームではあまり見られない設定や,激論のイメージを実際のバトルのように表現した「ソウルヌードバトル」,負けても「勝ったことにできる」システムなどなど,制作者のチャレンジ精神/サービス精神がふんだんに盛り込まれた,実にスパイク作品らしい内容に仕上がっている。
スパイクの学園モノといえば「喧嘩番長」シリーズが有名だが,「ガチトラ!」は「喧嘩番長」シリーズとはまた違った切り口で,波瀾万丈の学園生活を味合わせてくれる秀作だ。ガチトラ公式サイトで本作の体験版が配信されているので,気になっているという人はぜひプレイしてみて,購入を検討してみてほしい。
「ガチトラ! 〜暴れん坊教師 in High School〜」公式サイト
- 関連タイトル:
ガチトラ! 〜暴れん坊教師 in High School〜
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