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これぞ,ロックスター・ゲームス流オープンワールド系ゾンビアクション!「レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア」のレビューをムービー付きで掲載
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印刷2011/02/26 10:00

レビュー

最高のオープンワールドゲームにゾンビを投入……面白いじゃないか!

レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア

Text by Alexander服部


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 「レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア」PlayStation 3 / Xbox 360,以下アンデッド・ナイトメア)は,元々海外版「レッド・デッド・リデンプション」PlayStation 3 / Xbox 360,以下RDR)のダウンロードコンテンツとして登場した追加シナリオだ。しかし,今回レビューで使用したものは日本語ディスク版で,これはすでに配信済みの4種類のダウンロードコンテンツ(Co-opやギャンブルなど)が一つになった,非常にお得なパッケージとなっている。
 その4つめのDLCにしてもっとも特異なコンテンツが,パッケージの名称にもなっている「アンデッド・ナイトメア」だ。
 ほかのダウンロードコンテンツは,オンラインCo-opを追加したり,そのための特別なミッションを追加したりするものなのだが,アンデッド・ナイトメアに関しては,これ自体が一つのゲームとして成立するほどの内容とボリュームを誇っている。

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「レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア」公式サイト


 アンデッド・ナイトメアのストーリーは,時系列としてはRDR本編の終盤あたりからスタートする。RDR本編での活躍を通じて家族を取り戻したジョンだったが,その幸せを噛みしめる間もなく,ある日突然死者が蘇り,人間を襲う異常事態が各地で発生した。ジョンは家族を護るために,大規模なゾンビ禍の原因を探す旅に出る。


RDR本編からの逸脱。荒唐無稽ながら説得力に満ちた世界


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 アンデッド・ナイトメアの世界では,ゾンビは無制限に現れるし,倒しても倒してもきりがない。そう聞くと,圧倒的な数の暴力でゾンビやクリーチャーが襲いかかってくるFPS「Left 4 Dead」シリーズや,自由度の高さからくる攻略ルートの多彩さが特徴的な「デッドライジング」シリーズなどを思い浮かべる人が多いだろう。しかしアンデッド・ナイトメアは,“西部劇版GTA”とも言われるRDRの基本システムをベースとした,ロックスター流のオープンワールド型ゾンビTPSとなっており,例に挙げた2シリーズとはプレイフィールが大きく異なっている。

 RDRの時代考証に説得力を付与していた,無法者や詐欺師などが闊歩するオープンワールドの魅力は,なんとアンデッド・ナイトメアでも健在。その雄大な大自然の営みや見事な景観もそのままだ。しかしアンデッド・ナイトメアでは,墓場から次々とゾンビがわきだし,襲われた人はゾンビになるという,RDR本編で提示されたリアリティをひっくり返すような要素がメインに据えられているのである。

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 この要素が,RDRの説得力を台無しにしているかというと,意外にもそんなことはない。(ゾンビという存在の説得力に関しては置いておくとして)RDRの世界では,銃を所持してそれをぶっ放すことが当然とされるわけで,世界の住人(NPC)達も,ゾンビがいれば当然のように頭をぶっ飛ばす。だからといって,ゾンビ相手に無限に弾丸を撃ち続けることはできないので,数の暴力に押されてしまい,ほとんどの街が壊滅状態になっている。
 そういった事情により,今まで以上に治安が悪くなっている世界では,ゾンビだけでなく,火事場泥棒よろしく悪さをしでかす連中もうようよ出てくる。人間のたくましさだけでなく,恐ろしさも垣間見える展開が,プレイヤーにこれでもかという具合に襲いかかってくるわけだ。
 本作をプレイする前に,プレイヤーの誰もが「RDRにゾンビを出したら一体どうなるのか?」と考えるだろうが,ストーリーを追う過程で広大な世界を旅していれば,想像以上に“しっくり”きていることに気付くだろう。なるほど,こうなるのか。


変わらない世界の変わった人々


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 ジョンは,一般的なゲームの主人公と比べて倫理観や行動に問題があるタイプだが,西部劇の主人公としては,周囲の登場人物達の個性に飲み込まれることもままあった。存在感で主人公を圧倒する登場人物達は,アンデッド・ナイトメアにももちろん登場するのだが,ゾンビの登場により,彼らの生活や考え方も少々変化してしまったようだ。
 ゾンビを金儲けに利用しようと考えるタフな連中もいれば,死者が蘇るという現実に精神が崩壊しかける者もいる。生々しいストーリーを支えていたRDRの登場人物達も,アンデッド・ナイトメアではジョンと同様,ゾンビありきの奇妙な世界を生き抜くので精一杯なのだ。そして,家族との平和を取り戻すために奔走するジョンは,たとえ面倒だろうと,よりアクの強くなった愉快な面々と付き合いながら,事の真相に迫らなければならない。

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 西部劇をテーマとしたオープンワールドゲームとして絶賛されているRDRだが,アンデッド・ナイトメアのストーリー展開は,それにB級ホラーテイストが盛り込まれたものと考えると分かりやすいかもしれない。この世界にはゾンビだけではなく,ビッグフットやチュパカブラ,ユニコーンといった,UMAや伝説上の生物まで登場するのだから,そのサービス精神は相当なものだ。そのB級テイストを思いっきり満喫するのか,それともスタンダードな西部劇の世界に戻るために最速クリアを目指すのかは,プレイヤーの望み次第だ。

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 ではゲームの代名詞とも言える広大な大自然はどうなっているのだろうか。これもゾンビ禍の影響なのか,世界には暗澹とした空気が漂っており,RDR本編のように乾いた明るさというものは感じられない。荒野に生息する動物達にしても,ゾンビオオカミやゾンビクーガー,ゾンビグリズリーなど,より危険度を増している。
 ちなみに街では,対ゾンビの防衛戦が日常的に行われている。ゾンビの頭を吹っ飛ばすのは簡単だが,その数があまりにも多く,弾丸不足の恐怖が常にある。基本的に,防衛でもらえる報酬では弾丸補給がままならないので,多少なりともゾンビの死体(?)から回収しなければならない。
 ほかにも,ゾンビが沸いてくる墓場の“浄化”も頻繁に行うことになるのだが,さすがゾンビの本拠地,敵の数がハンパではなく,出向けば弾丸不足に陥ること請け合いだ。筆者は数回ほど弾が足りなくなり,仕方なくたいまつを振り回して大立ち回りをする羽目になったので,これからプレイする人は準備をしっかりしてから,任務に当たってほしい(恐怖と絶望感を満喫したいなら,準備をしないほうがいいかもしれない)。



オンラインモードでの愉快な旅路


 冒頭でもお伝えしたが,パッケージ版アンデッド・ナイトメアには,複数のダウンロードコンテンツが収録されており,オンラインモードがかなり充実している。これらは,気の合う仲間とプレイするととんでもなく楽しめる内容で,これも遊ばなければソフト代金の7割くらいは損をしてしまうのではないかと思ってしまうほどの重要コンテンツなのだ。映像をあわせて確認してもらいたい。


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 まず一つめは,最大4人で楽しめるオンラインCo-opモードについて。これはミッションクリア形式で楽しめる。上の映像を見てもらえれば分かるだろうが,シナリオの説明からして雰囲気満点で,目的がはっきりしていることもあって非常に盛り上がる。
 そのほか,複数のCo-op専用シナリオもプレイ可能だ。ミッションクリア形式と比べてお手軽さはないが,強襲,人質確保,川下りなど状況や目的がかなり異なっているので,飽きることなく楽しめるはずだ。

 そして,本作らしいゲーム展開が楽しめるゾンビ超過モード。俗に言うHORDEモードのような感じで,波状攻撃をしかけてくる敵の大群を全滅させれば,次のラウンドに進めるというルールになっている。ラウンドが進むにつれて,敵の数や耐久力が増していく絶望感がたまらない。

 絶望感という意味では,敵から武器や弾薬を入手することが出来ないという点にも注目したい。各ラウンドに一つだけ出現する棺桶を燃やすことで,弾薬の補給は可能なのだが,棺桶は必ず敵のリスポーンポイント(つまり危険度の高いポイント)付近に出現する。棺桶から弾薬を得るために頑張りすぎると,次のラウンドへ進んでしまい弾薬が回収できない。つまり,危険地帯のまっただ中で敵を全滅させないよう逃げ回りながらでないと,まともに弾薬補給ができないのだ。序盤ならまだしも,ラウンドを重ねて敵の数と強さが増してくると,自然と阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されるという寸法だ。ゾンビというテーマとも非常に相性のいいゲーム性なので,ぜひプレイしてもらいたいところだ。

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本格的オープンワールド系ゾンビアクション!


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 海外版の情報を追っていた熱心なファンの中には,「日本語パッケージ版は単なるDLCの詰め合わせだよね」と考えている人もいるだろうが,ゾンビというテーマをきっかけに興味を持った人にとって,本作は非常にお得なパッケージとなっている。アンデッド・ナイトメアのストーリーモードのボリュームは,さすがにRDR本編と比べるとやや物足りない面があるものの,充実したオンラインモードがそれを補って余りある。この点のコストパフォーマンスをどう考えるかによって,お買い得感に多少の差が出てきそうだ。
 海外版RDRをプレイしていた筆者としては,フレンドとも気軽に遊べることを考えれば,極めて安いと断言できる。いずれはデジタル配信版(プレイするためにRDR本編のディスクが必要)も発売される予定となっており,オンラインモードのプレイヤー人口にも困らないだろう。とんでもなく完成度の高い本格的オープンワールド系ゾンビアクションといえる内容に仕上がっているので,まだ試していないという人は,ぜひ購入を検討してみてほしい。

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