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「Nexon Developers Conference 2012」基調講演。韓国のカリスマ開発者が語る,スマートフォン時代のオンラインゲームのありかた
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印刷2012/04/24 16:24

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「Nexon Developers Conference 2012」基調講演。韓国のカリスマ開発者が語る,スマートフォン時代のオンラインゲームのありかた

画像集#001のサムネイル/「Nexon Developers Conference 2012」基調講演。韓国のカリスマ開発者が語る,スマートフォン時代のオンラインゲームのありかた
NDC 2012の会場となった,韓国のソウル市内にあるコンベンションセンターCOEX
 2012年4月23日から25日にかけて,ゲーム開発者向けの発表会「Nexon Developers Conference 2012」(以下,NDC 2012)が,韓国のソウル市内にあるコンベンションセンターConvention & Exhibition(COEX)で開催されている。

 NDCは2007年から毎年開催されていたものの,当初はNexon Koreaの関連企業に向けたものだった。だが,昨年(2011年)から一般公開のイベントとなっている。
 NDC 2012のセッションに登壇する主な企業には,Nexon Koreaならびにそのグループ会社のほか,NCsoft,Bluehole Studio,IDENTITY GAMES,Neowiz Games,Epic Games Koreaなど,韓国内に拠点を置く会社が名を連ねている。

 扱われるテーマは,PCオンラインゲームを筆頭に,ソーシャルゲームやスマートフォン向けゲームなどのほか,今年からはインディーズゲームが追加され。3日間で計144ものセッションが予定されている。韓国有数のゲームカンファレンスといっていいだろう。

 NDC 2012のオープニングスピーチには,Nexon Korea代表のソ・ミン氏が登壇。メーカーの垣根を越えて開発ノウハウを共有することが,韓国のゲーム産業をさらに飛躍させるために必要だと述べ,「Go together」をNDC 2012のスローガンとして掲げた。

Nexon Korea代表のソ・ミン氏
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NDOORS代表のキム・テゴン氏が語る「スマートフォン時代のPCオンラインゲームのありかた


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NDOORS代表のキム・テゴン氏
 NDC 2012の基調講演を行ったのは,NDOORSの代表を務めるキム・テゴン氏だ。キム氏は「君主 online」や「アトランティカ」などで知られる,韓国ではかなりの有名人。日本のゲーム業界で例えるなら,宮本 茂氏といったところだろうか。
 そんなキム氏が,スマートフォンの台頭によりゲームの開発環境が急変しつつあるなか,PCオンラインゲームを作るメーカーはどう対応していくべきなのか,開発中の「三国志を抱く。」の事例を交えながら語った。

 「三国志を抱く。」は,クライアント型のPCオンラインゲームと遜色のないグラフィックスを,ブラウザゲームとして実現するというタイトルで,2010年のG★で公開されて以来,かなり注目されている。

 キム氏は,従来型のPCオンラインゲームがいかに危機的状況にあるかを,統計を交えつつ説明した。スマートフォンの利用率は,韓国で急激に上昇しており,PCの利用率が減少しているという。10代から50代までにアンケートを採ったところ,すべての世代にまんべんなく影響が表れており,とくに若い世代ほどスマートフォンへと流れているという。

 環境の急激な変化は,過去にも何度かあった。例えば,OSがMS-DOSからWindowsに変わったときや,グラフィックスが2Dから3Dに,クライアントの提供方法がパッケージ販売からオンライン配信に,ビジネスモデルが月額定額からアイテム課金に。そういった変化にうまく適応できる会社だけが生き残ってこられた。そして今回のスマートフォンの到来でも,それが求められるとキム氏は語る。

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 ところが,PCオンラインゲームの開発者の多くは,実績がある人ほどスマートフォン用ゲームの分野に飛び込もうとしない傾向があるのだという。
 スマートフォン用ゲームの開発は参入しやすいが,そのために競争過多になりやすい。一方,PCオンラインゲーム分野はスマートフォンのゲームに比べると開発費は圧倒的に高く,個人どころか小さな会社も参入しづらいという状況だ。
 また,一度成功したオンラインゲームは,ゲームとしての寿命が長く,他国でのサービス展開などでさらなる収益へのチャンスが生まれやすい。実際,「リネージュ」や「カートライダー」などは,サービス開始から何年経っても安定して高い収益をあげ続けている。そういった現状を考慮すると,あえて競争が激しい分野に挑戦するのはリスクが高いと考える開発者が多いという話だろう。

 だが,そういった状況の上にあぐらをかいていては,いつか足下をすくわれかねない。例えば,かつての韓国産PCオンラインゲームは,中国でのローカライズ展開が好調だったが,近年は現地開発によるタイトルのシェアが伸び,陰りが見え始めているそうだ。

 スマートフォンは急激に普及しており,このまま進めば,スマートフォン用ゲームのシェアが,PCオンラインゲームのそれを上回る可能性があるとキム氏は危機感を抱いているそうだ。

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 スマートフォン流行は,もはや止められないところまで来ている。したがって,この流れをどのように受け止めるかが大きなポイントになる。
 まず,大前提として,PCオンラインゲームメーカーは,決してスマートフォンを無視したり,敵対視してはならない。PCオンラインゲーム作りのノウハウを,スマートフォンに適応させていくことが大切なのだとキム氏は語る。PCのオンラインゲームがすぐになくなることはないだろうが,これからは事情が違う。

 キム氏は,PCオンラインゲーム開発者にとっての回答として,「正解とは限らない」と前置きしつつ,PCオンラインゲームとスマートフォン双方のメリットを併せ持つ,「ハイブリッド型」のゲームを紹介した。これは,外出している間はスマートフォンで,帰宅してからはPCで遊べるというゲームだ。

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 ハイブリッド型を開発するにあたり,スマートフォン版を作るさいにPC版からコンテンツを一部削減するか,あるいは全機能をスマートフォン版で遊べるようにするかが問題になる。キム氏は「三国志を抱く。」の場合,後者を採用したが,次から次へと問題が出てきたそうだ。

 例えば,スマートフォンはPCと比較してCPUやメモリなどのスペックがかなり低いこと,画面が小さすぎてUIが収まりきらないことなどが挙げられた。また,データをストリーミング形式で提供するときの最適化,回線切断時における安定性の向上,消費電力を節約するためにプレイヤーが操作する回数を減らす手法,戦闘結果などをプッシュ提供することなど,PCオンラインゲームを作っていたときには想像もしなかったことに,気をつかう必要があったそうだ。

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 ほかにもUnity(ゲームエンジン)のリファレンスが十分でないことや,AppleやGoogleなど,プラットフォーマーによってレーティングが異なるなど,ケアする事項が多く困難の連続だったという。これらを一つずつ解決していくことで,開発期間は当初の予定からすでに1年をオーバーしているという。

 しかし,これらの試行錯誤は,スマートフォン全盛の時代にPCオンラインゲームが生き残るため,誰かが行わねばならない。そして今後どのようなトレンドが訪れても対応できるように,開発戦略に融通を利かせるスタンスが大切だと述べ,キム氏は基調講演を締めくくった。

 「三国志を抱く。」は2012年の上半期に韓国でサービスが始まり,2012年下半期には日本でのサービスが予定されているという。キム氏が目指している「ハイブリッド型ゲーム」が,どのような姿で現れるのか,楽しみに待ちたい。

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「三国志を抱く。」のスクリーンショット
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  • 関連タイトル:

    三国志を抱く

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