連載
15年ぶりにあの男が帰ってきた。ついに日本語版が発売された「デューク ニューケム フォーエバー」を紹介する「海外ゲーム四天王」。カウアーバンガー!
第121回ぐらいを迎えたこの「海外ゲーム四天王」だが,今回で最終回となった。大人の事情というヤツだ。記念すべき最終回は,4Gamer編集部の松本が「デューク ニューケム フォーエバー」を紹介する。1996年にリリースされた前作「Duke Nukem 3D」から15年,七転八倒の紆余曲折の末,ようやくリリースされた続編。
15年前,Duke Nukem 3Dを遊びまくって,本まで書いたけど,ちっとも売れなかったという松本の節穴のような目に,この最新作はどのように映ったのだろうか。ぜひ,肩の力を抜いて読んでみよう。
新しい彼は,どこが変わったのか,あるいは変わってないのか
1996年に3D Realmsからリリースされた「Duke Nukem 3D」は,世界累計で350万本のセールスを記録したタイトルだ。今から20年前のゲーム市場は,たぶん現在よりずっと小さかったはずなので,これはかなりの大ヒット作といえるだろう。残念ながら日本での知名度はあまり高くないかもしれないが,筆者はその昔,Duke Nukem 3Dにすっかりハマってしまい,仕事もしないで遊び続け,勢い余って本まで書いたが,さっぱり売れなかったんだなこれが。
「デューク ニューケムフォーエバー」公式サイト
1993年の「DOOM」,そして1994年の「DOOM II: Hell on Earth」によって,欧米ゲーム市場は嵐のようなFPSブームに突入した(らしい)。ちなみに“FPS”などというこじゃれた呼称も当時はなく,筆者は当時働いていた職場でFPSの記事に書くとき「DOOM風のゲーム」としていた記憶がある。ヘンなの。
そんな欧米FPSブームの中に颯爽と登場したのがDuke Nukemその人だったのだ。ちなみに,デュークはいいとして,当時の日本では彼の名前が“ニュッカム”とか“ニュッケム”とかいろいろな呼ばれ方をしていたような記憶がある。これから紹介しようと思っている日本語版「デューク ニューケム フォーエバー」(PlayStation 3/Xbox 360)の公式サイトがニューケムなので,今後はニューケムでいこうと思うが,その頃の筆者はニュッカム派だった。まあ,どうでもいいですけど。
余談だが,このDuke Nukem 3Dのせいで,その後のFPS人生が変わってしまった人も多い。王道路線としては,DOOMでFPSに目覚め,「Quake」でマルチプレイFPSに進むというコースがあるわけだが,Duke Nukem 3DでFPSに目覚めた筆者は,続いて「Shadow Warrior」「Redneck Rampage」などの,ちょっとグニャっと曲がった方向にまっしぐら。現在,歴史的名作として認知されているいくつものゲームをプレイし損なっており,ああ,Duke Nukem 3Dが憎い! って,そういう話ではなかったね。
当然,Duke Nukem 3Dの続編にも大きな期待がかかったのだが,その後の遅延に次ぐ遅延や3D Realmsの倒産,そして権利問題にまつわる裁判騒ぎなど,いろんなドタバタをご存じの読者も多いだろう。4Gamer最長寿連載である,「奥谷海人のAccess Accepted」の第218回と第219回ではそれらのトピックを取り上げているので,興味のある人は一読してほしいと思う。
かくして,いろんな意味でダメかもしれないと思われていた次回作Duke Nukem Foreverだったが,そこへテキサスのデベロッパ,Gearbox Softwareが名乗りを上げ,さまざまな困難を排してついに完成にこぎ着けたのだ。Gearboxの名物CEOであるRandy Pitchford氏はかつて3D RealmsでDuke Nukem 3Dの制作にも携わった人物。Duke Nukemには特別な思いがあったようで,そんなPitchford氏の活躍により実に15年の歳月を経てDuke Nukem Foreverが帰ってくることになったのだ。
欧米での発売は2011年6月で,たちまち大人気大爆発。デューク様デューク様と女子高生は大騒ぎ……そういうわけにはいかず,欧米メディアの評価はいささか厳しめだ。
理由としては,新しさに欠けるというものがある。
デューク ニューケム フォーエバーのオープニングでデュークの境遇がなんとなく分かるのだが,それによると彼は,エイリアンを地球から撃退したスーパーヒーローとして全米で大人気になり,そのほかにもいろんな偉業を達成して,今やラスベガスで巨大なカジノホテルを経営するリッチマンになっている。そこへ,再び地球にやってきたエイリアンが再び女の子をさらっていったので,再びデュークは地球の平和を守るために戦いに赴くというお話。なるほど,同じかも。
余談ながら「Duke Nukem II」(1993年)の冒頭では,1991年にリリースされた前作,「Duke Nukem」のことを書いた本「どうしてオレはこんなにすごいのか」がベストセラーになって金持ちになっていたので,昔からそういう感じだったと言えなくもないかも。
ゲームが始まると,いきなりこれ |
大統領からは,エイリアンに手を出すなと怒られる |
ビールを飲んでゲップしたり,トイレでおしっこをしたり,ストリップクラブでお下品なことをしたり,アダルト雑誌を読んだりと,デュークのおふざけぶりは健在,というかパワーアップしている。かつては2Dグラフィックスに過ぎなかったベイブ達も3Dになり,高い露出度と共に,かなりウフフな感じだ。
マップのところどころにあるピンボールマシンやエアホッケー,スロットマシンなどで遊んだりできるし,ラジコンを使ったパズルなど,それなりに面白い謎解きも用意されている。また,バギーで走り回ったり,小さくなってラジコンカーに乗ったりといった,プレイヤーを飽きさせない工夫も施され,さらに,何かするたびにカッコイイ(と本人が思っているらしい)セリフを決めるもの,昔のまま。
今,伝説的なタイトルとされるDuke Nukem 3Dだが,個人的な印象を言えば,登場当時からそんなに大人気だったわけではなく,操作が面倒とか,ふざけ過ぎとか,DOOMと同じとか,そういう批判も割とあったような気がする。出始めから「新しい」と評価されたわけではなく,そんなDuke Nukem 3Dの続編が新しくなければいけないというのは,ちょっと違うのかも。少なくとも,Gearboxの取った制作方針もあっていいと思う。敵の正面に立ち,撃ちまくってゴリゴリ進んでいくようなFPSって,最近はほとんどなくなったし。
「15年ぶりの超大作FPS」を期待するとやや肩すかし感を覚えるかもしれないが,デュークのキャラ立ちのよさは相変わらずで,FPS部分以外にもさまざまなお楽しみが用意されている。バカバカしいけど,そこがまたいい,とニヤニヤしつつ,あちこち探索しながらまったりプレイするにはもってこいのゲームだ。日本語版には,欧米で予約特典として用意されたDLCが同梱されており,とくに敵の頭が大きくなりヘッドショットが狙いやすくなる「Big Heads」はとてもデュークっぽいかもしれない。
■■松本隆一(4Gamer編集部/四天王)■■
4Gamer編集部が誇る海外ゲーム四天王の一人……だったはずなのだが,最近はアイドル育成ばっかりしてて,戦場にはちっとも立たなくなってしまった。とはいえ,たとえ戦場に立ってもそれほどたいしたことがなかったので,結果としてプラスマイナスゼロという感じだ。「明日4月3日は会社を休む! 休んで祝う!」とさかんに主張しているのだが,誰も理由を聞こうとしないので,手持ちぶさたの様子。たぶん,またアレ関係なんでしょうね。
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デューク ニューケムフォーエバー
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