イベント
須田剛一氏,三上真司氏,山岡 晃氏に聞く「シャドウ オブ ザ ダムド」開発秘話。主人公・ガルシアには「トランスフォーマー」のオプティマス・プライムになってほしい?
「こちら」の記事で詳細をお伝えしたとおり,このイベントでは“地獄のパンクホラーアクション”「シャドウ オブ ザ ダムド」(PS3 / Xbox 360,以下「ダムド」)が,2011年9月22日に発売されることや,本作のボイスキャストを浅野忠信さんや栗山千明さん,我修院達也さんらが担当することなどが発表された。
今回は,イベントのあとに本作のエグゼクティブディレクターの須田剛一氏(グラスホッパー・マニュファクチュア),エグゼクティブプロデューサーの三上真司氏,サウンドディレクターの山岡 晃氏(グラスホッパー・マニファクチュア)の3人に,インタビューをさせてもらった。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
海外ではありますが,「シャドウ オブ ザ ダムド」の発売おめでとうございます。
「ダムド」はグラスホッパー・マニファクチュア初のHDタイトルですが,配慮した点や苦労した点などがあれば教えてください。
やはり最初は,Unreal Engine 3のオペレーションにそれなり時間がかかってしまいました。ただ,ミドルウェアは一度覚えてしまえばノウハウが溜まっていきますから,ビルドが上げていきやすいという利点はありましたね。
4Gamer:
今回のイベント会場では日本語版を試遊できましたが,どのくらいまででき上がっているんでしょうか?
須田氏:
ほぼ終わっていますね。
4Gamer:
試遊台で遊べるのは,本編でいうとどのあたりになんですか?
須田氏:
ほぼ序盤で,導入部が終わったあとのあたりですね。
山岡氏:
最初の山場といえるかもしれません。
4Gamer:
今回はUnreal Engine 3での開発とのことですが,PS3とXbox 360のどちらかを開発のベースにしたということはありましたか?
須田氏:
Unreal Engine 3の場合は,PCベースで開発して両方にポートできるので,どちらかがメインということはありません。PS3のいい面,Xbox 360のいい面の両方があって,ほとんど遜色はないですね。
嘘偽りなくほぼ一緒で,細かいところで違いはあるかもしれませんが,ほぼ気付かない程度ですね。最近は開発もマルチプラットフォームに慣れてきているので,最初から同じクオリティを目指してやっていると思います。
Xbox 360ベースだと作りやすいところもあるんですが,PS3にはピーキーな使い方をするところがあるので,開発がXbox 360オンリーだと差が出てしまうことがあるんです。なのでPS3から開発すると,同じクオリティにするためのバランスを取りやすいというのはあります。
ただ,「ダムド」は本当に直前までPCの状態でチェックしているので,強いて挙げるならPCがベースですかね(笑)。現場は人知れず苦労しているとは思いますが,違いは物理的な容量くらいじゃないでしょうか。
4Gamer:
Xbox 360版のメディアは1枚で収まっているんですか?
三上氏:
そうです。開発終盤は少し問題もありましたが,収まりました。
山岡氏:
それほど大きな問題じゃありませんでしたからね。
須田氏:
あとはどちらの色合いが好きかくらいでしょうね。そういう基準で選んでもらってもいいと思います。
三上氏:
発色が若干違っていて,PS3はくっきりはっきり系が好きな人向けの綺麗さで,Xbox 360はバランスが取れた綺麗さという感じですけど,人それぞれの好みというか。今だと,液晶ディスプレイ側の性能による影響のほうが大きいと思います。
4Gamer:
なるほど。どちらを選んでもかまわないと。
須田氏:
プレイヤーの皆さんには,どちらのコントローラに慣れ親しんでいるか,実績とトロフィーのどちらがいいかで選んでもらえればいいんじゃないかなと。
4Gamer:
それでは,ゲームの楽曲について教えてください。
山岡さんは今回250曲から260曲も楽曲を用意した,という話をトーク中にしていましたが,プレイの仕方によっては,曲全体を聞かないままにゲームが進んでしまうこともあるんですか?
山岡氏:
ありますね。本来3〜4分あるのに,ゲームでは5秒とか(笑)。
須田氏:
マップを走っていて,この曲カッコイイなと思った瞬間に「今の曲,もう終わっちゃった」みたいな(笑)。
250曲というのも,Unreal Engineで作っているというのが大きいんです。Unreal Engineにはランダム再生じゃないですけど,コールしていろんな曲を再生する機能があるので,それにチャレンジしてみたかったんです。
4Gamer:
イベント中に須田さんは,山岡さんの音楽を絶賛していましたね。
須田氏:
自分の作品で音に完璧に満足できたことってなかなかなかったんですが,「ダムド」では満足というか,文句のいいようがないです。「ここまでやったの?」とあきれるくらいやっているので,音としても最高ですね。
4Gamer:
でも,250曲も入っているというのは,須田さんも三上さんも今まで知らなかったんですよね?
三上氏:
数字はさっき聞いたんですよね。250曲もあるんだったら,もっと簡単にしておくべきだったかな(笑)。
須田氏:
僕も今日初めて知りました。そんなに書いていたんだって(笑)。
三上氏:
普通のゲームの2倍ですよね。普通はだいたい50曲くらい,大作でも100曲前後から多いもので150曲くらいで,250曲というのはないですね。
山岡氏:
なんでしょうね,湧いてくるんですよ。このゲームをやって,いろいろ感じてもらいたいんですよね。毎回同じじゃなくて,何度噛んでもおいしいみたいな。
須田氏:
山岡はグラスホッパーに来てから,海外でライブをやるとか海外出張が多かったんですよ。「ダムド」だけじゃなくてほかのプロジェクトもあるんですけど,そっちがおざなりなのかと思えばそうでもなくて。社内でやるミーティングにもガッツリ出ているのに,いつこの男は作曲しているんだろうと(笑)。
三上氏:
曲の書き溜めはしないタイプでしょ?
山岡氏:
しないですね。インスピレーションは常に湧いていて,本当に悩まないんです。ゲームをやりながら「このときこうしたら面白い」とか,例えばアクション性の強い場面で「あえて曲であおらないで抑えたら,その感覚って面白いな」とか,その場ですぐに作っていっちゃうんです。
4Gamer:
すごいですね……。残念ながらそろそろ時間のようなので,あと一つだけ教えてください。「ダムド」は“須田剛一が描く初めてのラブストーリー”とのことですが,どのようなイメージの物語になるんでしょうか?
僕の中では「トランスフォーマー」のようなイメージですね。僕はオプティマス・プライムが大好きなので,ガルシアにもああいうヤツになってほしいなと。そういう思いで。本当にマジなんですけど。
4Gamer:
今の言葉を聞いて,“須田剛一の美学”に貫かれたゲームになっていると確信できました。それでは最後に,日本で2011年9月22日に発売される「ダムド」に期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
山岡氏:
今回,日本語版で声を担当する俳優さんを発表させていただきましたが,単なるアテレコじゃありません。ガルシアとポーラのラブストーリーが日本語で,俳優さんの生きた力強い演技で聴けるので,そこをぜひ味わってもらいたいなと思います。
三上氏:
良くできたゲームはたくさんあるんですけど,ゲームをした人が「今年はどんなゲームが印象に残ったかな」と考えたときに,「ダムド」はけっこう記憶に刻まれるタイトルになると思います。ゲーム生活の思い出の1ページにぜひどうぞ。
須田氏:
「ダムド」の本当の原点の部分が楽しめるのは,日本語版だけです。海外版がオリジンじゃないという意味ではありませんが,やはり日本人が作って日本語でボイスを入れたものを聞いて楽しめるのは日本語版だけです。期待してほしいですし,ぜひ予約をして発売を待っていただけると嬉しいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
「シャドウ オブ ザ ダムド」公式サイト
- 関連タイトル:
シャドウ オブ ザ ダムド
- 関連タイトル:
シャドウ オブ ザ ダムド
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(C)2011 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. Shadows of the Damned is a trademark of GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.
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