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[GDC 2011]須田剛一氏&三上真司氏が手がけるグラスホッパー・マニファクチュアの新作「シャドウ オブ ザ ダムド」。その概要が,“EA Partners Showcase”にて判明
本稿ではその内容をまとめて紹介しよう。また本作を手がけるクリエイター,Tango Gameworksの三上真司氏にインタビューを行うことができたので,その模様も合わせてお伝えする。
「シャドウ オブ ザ ダムド」公式サイト(英語)
「シャドウ オブ ザ ダムド」は,2008年にその存在が囁かれ,“東京ゲームショウ 2010”に合わせて開催された“EA Tokyo Showcase 2010”にて,タイトルが明らかになったアクションゲームだ。これまでは,いくつかのコンセプトアートとCGムービー,そして「地獄の世界を描いたホラーアクション」である,くらいしか情報がなかった本作だが,今回のイベントでは,プレイアブルな展示が行われ,ゲームのスクリーンショットも公開された。
本作を中心となって手がけているのは,グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏と,Tango Gameworksの三上真司氏だ。本作は,彼らのイメージする地獄の世界を描いた作品であるという。
ゲームの主人公は,ガルシアというライダースジャケットを着たデーモンハンターの男性。彼にはローラという金髪のガールフレンドがいるのだが,このローラが悪魔に惑わされてしまう。悪魔に操られて,行く先々で挑発しつつ姿を現すローラを追って,ガルシアは彼女を助けるために,地獄の世界を旅することになるのだ。
ガルシアの相棒は喋るたいまつのジョンソン。もともとデーモンだったジョンソンは人の姿はしておらず,通常時はガルシアが右手に持って歩くことになる。たいまつの先にはドクロがついていて,これが喋る感じだ。そして,ジョンソンはさまざまな武器に変身できる。本作でガルシアは,このジョンソンが変身した武器を使って戦っていくことになる。
本作の基本的な画面はTPSスタイルだ。画面のセンターにはジョンソン(武器)を持ったガルシアの背中が表示される。ジョンソンが変身する武器には「撃つ」タイプのものが多いようなので,シューターといって良さそうだ。
本作では「光と闇」が重要なフィーチャーになっている。本作において暗闇は悪魔(敵)の潜む場所であり,ガルシアは光の力を上手く利用することで,ステージを攻略していく。例えば,今回のデモプレイで体験できた,街の路地裏を進んでいくようなステージでは,ある路地から先が「闇」のゾーンになっていた。
闇のゾーンに足を踏み込むと,視界は真っ青になり,ガルシアのヘルスは徐々に減ってしまう。この闇を払うには光を利用する。デモのステージの場合,ところどころの壁に鹿の頭のトロフィーが掛けてあり,これを撃つことで光が満ちて,闇が払えるようになっていた。この「闇を払い,有利な状況を作りながら,敵を倒し,先へ進んでいく」というのが,本作の基本的なプレイスタイルとなっている。闇の払い方には色々なパターンがあり,ときには,あえて闇を払わずにいたほうが良い状況が用意されているなど,このあたりには,パズル的な要素もちりばめられているとのことだ。
画面の周囲に配置されたUIからは,保有するアイテムや弾薬,残りのヘルスなどが読み取れる。ユニークなのは体力回復の仕組みで,本作では「酒」が回復アイテムとなっている。ガルシアは洋酒を直接瓶からグイっとあおることで,体力を回復する。残った瓶は返す手で地面に叩きつける。このような破天荒な演出はゲームの随所に見られ,このゲーム全体に流れるパンキッシュな雰囲気を形作っている。
ステージとステージの合間のシネマティックでは,悪魔に操られているらしき主人公の恋人ローラが,主人公を翻弄するシーンが見られた。あるときはセクシーな衣装を着てバルコニーで踊ったり,またあるときは,これまた別のセクシーな格好で路地裏に逃げ込んだりする。追っていくと,今度は道ばたの露店の店先に,彼女の生首が置いてあって,それが突然しゃべり出すなど,なるほどホラーなテイストが感じられた。
もう一つ気になったのは,主人公の相棒ジョンソンの,ユニークな存在感だ。「お喋り好きなお調子者」という感じで,喋るときには早口でペラペラとまくし立てる。かと思えば,恐ろしい悪魔の存在にビビってガクガク震えだすなど,見ていて飽きない。常に主人公と共にいて,物語を盛り立ててくれる存在のようだ。
本作のアメリカでのリリース日は,2011年6月7日が予定されている。プラットフォームはPlayStation 3とXbox 360。日本でも発売される予定なので,続報を楽しみに待とう。
そして今回,本作の開発を手がけるクリエイター,Tango Gameworksの三上真司氏にインタビューを行うことができたので,以下にその内容を掲載する。
グラスホッパーらしい,クリエイティブでクレイジーなゲームを――Tango Gameworks 三上真司氏インタビュー
よろしくお願いします。「シャドウ オブ ザ ダムド」はホラー系のアクションゲームということですが,一言でホラーといっても「バイオハザード」や,最近では「Dead Space」など,さまざまなタイプがあります。本作は,どのタイプのホラーになるのでしょうか
三上氏:
僕らは“パンクホラー”と表現しています。ただ怖いだけでなくて,それにプラスしてユニークであったりコミカルであったりといったテイストを加えています。
4Gamer:
今回のプレゼンでは,映画監督のタランティーノや,ロドリゲスの映画の影響を受けているともおっしゃってましたね。
三上氏:
はい。グラインドハウスというか,B級ホラー的な雰囲気を感じ取れる作品になっています。コメディやユーモアの要素も含んだ,スタイリッシュなホラーですね。
海外市場と日本市場,どちらを意識したというのはありますか?
三上氏:
初めはそのような市場性も考慮に入れつつ進めていました。ですが,最終的には「グラスホッパーらしいものを」という方向性で固めました。ですので「攻めてる作り」になっています。クリエイティブでクレイジーなゲームデザインに期待してください。ですので,内外問わずハマる人にはバッチリハマって,喜んでもらえる作品です。
4Gamer:
この冒険における主人公の相棒であり武器でもあるデーモンのジョンソンですが,とてもユニークなキャラクターですね。
三上氏:
とてもお喋りで賑やかなキャラクターです。日本語版では日本の声優さんが声を担当しますが,こちらもかなり面白くなっています。この作品は英語バージョンを先に進めていたのですが,日本の声優さんが声を当てるバージョンは,英語とはまた違う味わいになっていて,僕も驚きました。
4Gamer:
開発にあたって苦労したところなどがあれば教えてください。
三上氏:
本作の特徴である,独自のホラーテイストを表現するのに苦労しました。例えば青い炎をまとった敵が出てきますが,それを思いついたのは結構制作も終盤に迫った頃で,そこに至るまで,何度も作り直しをしています。
また制作開始当初は,グラスホッパー・マニファクチュアとしては初めて使うUnreal Engineや,マルチプラットフォーム展開に絡む部分などでの苦労もありました。実はなかなか調整が難しくて,最終的にはUnreal Engineに合わせてゲームのほうをちょっと変更した部分もあります。
4Gamer:
4Gamer読者に向けてメッセージをお願いします。
三上氏:
ありきたりな言い方かもしれませんけど,プレイしてもらえれば,必ず「記憶」に残るゲームになっています。新しいものや変わったものが好きな人にピタリとハマる作品です。そういったものを求めている人は,もれなく買ってください(笑)。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
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(C)2011 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. Shadows of the Damned is a trademark of GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.
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