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[TGS 2010]開発スタッフの河津氏&三浦氏にインタビュー。「サガ3 時空の覇者 Shadow or Light」は,まさに“「サガ」シリーズ最新作”であることが判明!
かつて河津氏が関わりが薄かったこともあり,「サ・ガ」シリーズでも異色作といえそうな,ゲームボーイ版「時空の覇者 サ・ガ 3」。そのリメイクとなる本作は,どのようにして作られたのだろうか。そして,その面白さはどこにあるだろうか。
河津秋敏氏 |
三浦宏之氏 |
「サガ3時空の覇者 Shadow or Light」公式サイト
「サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY」の流れをくむ「サガ3 時空の覇者 Shadow or Light」
4Gamer:
「サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY」(以下,GOD)に続いてのリメイクですが,サガ3 時空の覇者 Shadow or Light(以下,サガ3 SOL)を作ることになった経緯を教えてください。
三浦宏之氏(以下,三浦氏):
GODの開発の後半くらいから,次は何を作りましょうという話を河津としていて,その中でやはり新しいサガ3を,という話が出て進めることになりました。
4Gamer:
GODを作ったから,次もという流れだったんですね。
元になる「サ・ガ 2」と「サ・ガ 3」はまったく別のゲームなので,システムにはかなり手を入れなければならないのは分かっていたんです。けれど,「2」までリメイクをやっておいて(「魔界塔士Sa・Ga」はワンダースワンカラーや携帯向けにリメイクされている)サ・ガ 3をやらないのも変だろうと。
当初,まったく違うので,GODからサ・ガ 3を本当に作れるものかどうか,どうすればGODの流れで作ることができるか,元の「3」のオリジナルのままで良いところをどう残すかを検討しました。そして,こうすれば今風のサガ3になると言う目処が立ったので,「やろう!」ということになったんです。
4Gamer:
ちなみに,前もまったく違ったのだから,今回も流れを無視してまったく違うものにするという考えはなかったのでしょうか,
河津氏:
そうすると,また一から作り直しになってしまうんです。そこは資産を生かしながらやりたいというのがありました。また,せっかくユーザーがGODを遊んで慣れてくれているところで,まったく違うものを提供するのもどうかなと。
それに,ここで,ニンテンドーDSにおける「サガ」の完成型を作りたいという気持ちもありました。
4Gamer:
元になったゲームボーイ版の開発には河津さんはあまり関わっていなかったわけですが,それを自ら手がけるということについて,やはり何か特別な想いなどありましたか。
河津氏:
ゲーム自体は今回もゲームボーイ版の時のスタッフも入ってやってくれていますから,オリジナルの良い部分は生かしながら,DS版という形にしています。ストーリーはオリジナルを生かした形で,僕も今回は,システムに関しては意見を出させてもらっているので,納得のいく形にできたと思っています。
ユーザーに分かりやすいシステムを目指して
4Gamer:
今回はGODからの順当進化と言うことになると思うんですが,逆に大きく変わったと考えているところはどこでしょう?
GODのときに分かりにくいといわれていたところを分かりやすくして,さらに新要素を入れたことですね。もちろん,ゲームボーイ版の「サガ3」とはがらりと変わっています。
4Gamer:
もとは経験値制でしたものね。変わったところといえば,具体的には?
三浦氏:
例えばシナリオ・シンクロ・システムは,GODでは話の流れで自然に変化が起こるようにしてあったので,ユーザー自身が変化に気づきにくかった部分があるんです。その切り替わりの場所を敢えて伏せていたのですが,今回は選択肢が増えることでユーザーがシナリオの変化を意図して選択できるようにしています。
4Gamer:
選択肢という形で明確に分岐点も見えるようにしたわけですね。前作では「運命の糸」でそのシナリオの変化を実現させていましたが,今回は?
三浦氏:
タイムズ・ギアというゲージを使います。バトルを繰り返していくとゲージが溜まっていくようになっています。そのゲージの溜まり具合で選択肢が増えるようになっています。
4Gamer:
シナリオの展開が広がることを優先してゲージを温存するか,有利に戦うことを優先するかはユーザーの判断ということですか。
三浦氏:
そうですね,バトルとシナリオと両方に絡んでくるようになっています。
4Gamer:
あのゲージですが,マイナスにもなりますよね?
三浦氏:
それは今後明らかになっていきますが,マイナスになっていることで発生する出来事もあったりします。
4Gamer:
敢えてマイナスのままで進めていくこともできるわけですね。
三浦氏:
とはいえ,一番面白いところは,バトルの結果で溜まったゲージをバトルで使うことがシナリオに影響を与えるというところなので,そこはひとつ,楽しみにしておいてください。
「サ・ガ 3」は物語の設定が時間モノなので,ストーリー的にはいろいろなことができるんですよね。そこで新しい要素として「タイムズ・ギア」というものを加えることで,現在や未来に影響を及ぼせるわけです。
4Gamer:
タイムズ・ギアのゲージの状態で,物語の流れが大きく変わることがあるのでしょうか。
河津氏:
基本のストーリーは変わらないです。
4Gamer:
では,サブシナリオ部分の展開が変わってくると。
河津氏:
そうですね。
4Gamer:
今回,「サ・ガ 3」の特徴でもありますけど,プレイヤーキャラクター達の姿が大きく変化しますよね。モンスターの姿のままでシリアスなシーンに入ってしまったり(笑)。
三浦氏:
それがこのシリーズの面白いところなんですよね。可愛い女の子もスライムになっちゃったりしますし(笑)。
シナリオでも感じられるサガの自由度
ところでメインのシナリオですが,基本のストーリーラインは変わらないと言いましたが,いろいろ肉付けはされていて,かなりのボリュームになっています。
4Gamer:
以前しゃべらなかった,仲間のキャラクターにもセリフができてたりしますね。
三浦氏:
そこも,メインシナリオに加え,シナリオ・シンクロ・システムにも関わるようなところで,キャラクターがどんどんしゃべるようになっていますので,そういうところで彼らのセリフを楽しむことができると思います。
4Gamer:
展開次第で,彼らのいろいろな個性を見ることができたりするわけですね。
河津氏:
ええ,しかもオリジナルよりは自由度の高い印象になっていると思います。
4Gamer:
肉やネジはどんどん食べさせちゃうというのが,推奨プレイですか。
河津氏:
そうですね。
意外と重要な行動順
4Gamer:
バトルでは,連携するかどうかも事前に分かるので,コマンド入力段階での戦略の幅が広がりますね。
(連携は)表示されたとおりに確実に発生するとは限らないのですが,ある程度見えていて,確率も上がるというようになっています。
河津氏:
行動順も,コマンドで変わってきますしね。
4Gamer:
あれで敵に割り込まれないように,連携の準備ができるのはいいなと思いました。ボス戦でも割り込まれないように,倒しやすい雑魚を先に倒したりと……。
三浦氏:
順番が分かるのも重要です。行動があとになりがちのキャラクターは,先に敵を倒されてしまって,成長しにくくなる可能性があるため,行動の順番をうまく調整してバランスを取るなんてこともできるんですよ。
4Gamer:
なるほど! やはりサガシリーズといえば自由度の高さ,という印象ですが,そういった部分は意識されているのでしょうか。
河津氏:
プレイヤーが「こうしよう」と自分で考えたことを実現してもらうというのがゲームの楽しさだと思うので,そこを最大限出せるように常に考えています。
4Gamer:
今回に限らず,シリーズ全体でいつも考えていますか。
河津氏:
自分自身がそういうプレイが好きなんです。何回か戦って,決まった形に強くなっていくよりは,どうやって育てていこうかと自分で考えながら遊ぶのが楽しいんです。
忘れちゃイケナイ音楽の話と,シリーズ最新作のアピールポイント
最後にユーザーにこれは伝えておきたいということがありましたら,ぜひ。
河津氏:
今回,作曲はオリジナルに携わった笹井(隆司)君もやっています。もちろん,ハードの性能が違うので,ゲームボーイ版とDSとではまったく異なるんですが,オリジナルを作ったとき,彼は本当はこういう音が出したかったんだなというのが,今回の曲を聴いて分かりました。
4Gamer:
なるほど。
河津氏:
あと,シリーズを担当しているイトケン(伊藤賢治氏)の曲も入ってますから,両方楽しみにしていただければなと思います。
三浦氏:
新曲が入っていますからね。
4Gamer:
三浦さんは,いかがでしょう?
三浦氏:
いかにシリーズらしさというものを出せるか,ということに挑戦したいと思ってやってきました。いわば、新作をつくるつもりで開発していますので,オリジナルとの違いも楽しんでもらいたいと思っています。
4Gamer:
シリーズファンには,あえて,ゲームボーイ版との違いを感じてほしいというわけですね。本日はどうもありがとうございました。
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- 関連タイトル:
サガ3時空の覇者 Shadow or Light
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(C)SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved. キャラクターデザイン:小林 元
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