イベント
来場者には体験版が先行でプレゼントされた,「戦場のヴァルキュリア3」プレミアム先行体験会。プロデューサー本山氏とディレクター小澤氏への合同インタビューを掲載
「戦場のヴァルキュリア3」は,シミュレーションとアクションの要素を融合させた,独自の戦闘システム“BLiTZ”や,魅力的や登場キャラクターが織りなす人間ドラマで人気を博したシミュレーションRPGのシリーズ最新作。処女作「戦場のヴァルキュリア」はPlayStation 3向けにリリースされたが,第2作「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」に続き,「3」はPSPプラットフォームでのリリースとなる。
会場には事前に公式サイトで応募した人の中から選ばれた100名が来場(関連記事)。さらに先行体験会終了後には,11月9日に配信開始となる「3」の体験版データがお土産としてプレゼントされ,一足早くやり込めるという,ファンにとっては嬉しいイベントとなった。本稿では3回に分けて実施された本イベントのうち,初回の模様をお伝えしていこう。
「戦場のヴァルキュリア3」公式サイト
イベントの最初は,「戦場のヴァルキュリア3」プロデューサーの本山真二氏と,同ディレクターの小澤 武氏が登壇し,来場者に向けて挨拶した。
本山氏は,「今日は皆様に一足早く体験版をプレイしていただいて,『戦場のヴァルキュリア3』ってこういうゲームなんだよ,ということを実感していただきたいです。プレイしたあとには質疑応答の時間を設けていますので,疑問に思ったことを何でも聞いていただければと思います」と来場者に向けてコメントした。
なおこの先行体験会では,11月9日からPlayStation Storeで,11月11日から公式サイトで配信される体験版をプレイできた。その内容は,東京ゲームショウ2010でプレイできたバージョンに「その後の物語」が追加されたもので,合わせて二つのミッションが楽しめるというもの。さらには,体験版をクリアしてセーブデータを作成すると,製品版で限定武器を使用できるようになるという。
なお,詳細なプレイレポートはあらためてお届けする予定なので,もう少々お待ちいただきたい。
会場でプレイできた時間は約40分間ということもあり,二つのミッションを両方ともクリアできた人はあまりいなかった模様。筆者もこのときプレイさせてもらったのだが,フルボイスで展開されるイベントシーンの尺も長めだった(と思う)こともあり,じっくり見ていたら,二つめのミッションをプレイする時間が十分取れなかったという感じ。一般の来場者達も,筆者と同様,イベントシーンに見入っていたのではないだろうか。
――今作ではルート分岐があるとのことですが,エンディングはマルチエンディングになるのでしょうか?
本山氏:
これ,どこまで言っていいのかな(笑)。
ヒロインが二人いますので,ちゃんと違った終わらせ方というのを考えています。ただ,僕達は恋愛シミュレーションを作りたいわけではないので,恋愛の要素をメインにはしていません。あくまで戦場ドラマの一つの視点,そういう風に考えてもらうのがいいんじゃないかと思います。
――主人公のクルトは「戦場のヴァルキュリア」の主人公ウェルキンや,「戦場のヴァルキュリア2」の主人公アバンに比べると現実主義のような感じですけど,作戦とかも全部自分で考えているんですか?
小澤氏:
クルトはシリーズ初の,正規の軍人出身の主人公なんです。なので,過去二作の主人公とは違った印象を受けるんじゃないでしょうか。あと,彼自身が完璧主義者というのもあるので,そういった意味でも今までとは違った主人公像を描けたかなと思っています。
――「2」では武器を強化・生産するのに大量の素材が必要でしたが,「3」では武器強化に関してはどのようなシステムになっているのでしょうか?
小澤氏:
「3」では素材という要素は存在しません。
「2」では,チャレンジの一つとして「こういう遊び方もどうだろう」という一つの提示をしたんですけど,ユーザーさんからのご意見を含めて考えると,ヴァルキュリアというゲームの流れにそぐわないところもあったのかなと。
本作で一番に考えたのはストーリーへの没入感でしたので,そこを阻害する要素は省くことにしました。ただ,設計図などの要素は「2」から引き継いでいる部分もありますので,一概にやり込み要素が減ったということにはならないと思います。
――アリシアベーカリー特製パンみたいな食品は発売されないんですか?
小澤氏:
僕も食べたいです(笑)。
本山氏:
これ,質問じゃなくて要望ですよね(笑)。
ここにパン屋さんとかいませんよね? いたらその人にお願いして発売したいなと思いますので,善処します。あと,今回クルトは飴が好きという設定なので,そういった部分も商品に絡めていけたらいいですね。ここに飴屋さんの人とかいませんか?(笑)
商品化に向けて何か動くかもしれないですし,要望があればドンドン言っていただきたいですね。
――「3」にガッセナール家の人物達は登場しますか?
本山氏:
登場します。「3」は独立した一つの物語ですけど,征暦1935年という「1」と同じ時代の物語です。PVなどから,「1」のキャラクター達と絡むだろうということはなんとなくお分かりかもしれません。2年後の「2」についても,本編の中に関連性を匂わせるエピソードが入っています。その中で,ガッセナールさんがあんなに屈折する前の姿というのを見られるんじゃないかな,と思います。
最後に本山氏と小澤氏は,それぞれ来場者に向けて感謝の意を述べると共に,以下のようなスピーチで体験会を締めくくった。
「今は最後の調整,作り込みをしている最中です。ファンの皆様からのご意見も,ギリギリまで吸い上げられるものは吸い上げていきたいと思っていますので,公式ブログなどに,ご意見をいただければと思います。あと,11月9日には秋葉原で発表会を行いますので。そちらにもぜひいらしてください」(本山氏)
「我々はテストプレイのしすぎで感覚が麻痺しているところがあって,体験版も簡単かなって思っていたんですけど,皆さんのプレイを見ていると,意外に手強いんだということを,あらためて実感しました。こういった部分も本編に反映させていきたいと思います。シミュレーションゲームとしての手応えを向上させたいなという部分もありましたので,半分は思惑どおりかなとも思っています」(小澤氏)
体験会終了後には,プレス向けに合同インタビューが実施された。その模様を,本稿の締めとして掲載しよう。
――「戦場のヴァルキュリア3」をユーザーがプレイするのは,東京ゲームショウ2010以来の2回めとなりますが,先行体験会の1回めを終えての率直な感想を聞かせてください。
本山氏:
ゲームショウでは15分くらいで回していかないといけなかったので,そんなに難しくできなかったんですね。なので爽快感重視にして。
今回の体験版では,二戦めについては歯ごたえのあるものを用意しようということで,開発チーム一丸となって体験版を作りました。やり応えに関しては十分だと思います。また製品版に関しては,今後チューニングしていって,やりごたえをもう一段二段上げていく感じになると思います。
小澤氏:
今回は,未発表のものを含めてサブキャラクターを使えるようになっていたので,皆さんそのあたりをチェックしていたようですね。中には,ポテンシャルを熱心にメモしている方もいたので,やはりヴァルキュリアはキャラクターも愛されているんだなと再認識しました。あと,今回はダブルヒロインなんですけど,人気に関しては現状ではイムカが優勢なのかなと。今後の人気がどうなるかも気になりますね(笑)。
――今回プレイできた体験版は,11月9日からPlayStation Storeで,11月11日から公式サイトで配信されます。体験版のポイントを教えてください。
本山氏:
今回は,各兵種の個性をキーワードとして挙げています。ミッションに登場できるキャラクターを増やしたというのもあるので,より多くの兵士を使って戦線を押し上げていくという,シミュレーションゲーム独自の考える面白さを感じていただけると思います。
――体験版でルート分岐もあるということですが。
小澤氏:
本作にはイベントの分岐と,ミッションをいかに解くかという,二種類の分岐があります。体験版に関しては,後者のいかに解くかという分岐が二戦目に仕掛けられています。勝利条件が二つあって,どちらでクリアするかによって展開が少し変わるということが,体験版でうっすら分かるようになっています。ぜひ試してほしいですね。
――体験版をプレイしておくと,いいことがあるとか。
本山氏:
はい。体験版でしか手に入らない武器があります。クリアするとセーブデータが作れて,それを製品版と連動させると,本編のほうで特別な武器が手に入るようになります。これは体験版でしか手に入りません。シミュレーションゲームでは武器は重要な要素ですし,序盤ではなかなか優秀な武器なので,ぜひ手に入れてほしいですね。
――「3」は「2」の発売から約1年という期間で発売されますが,このペースに関して,お二人の感想を聞かせてください。
本山氏:
大変ですよ(笑)。実質,開発期間は1年未満なんですけど。なので,スピードが上がったというのも,シリーズを重ねて熟成してきた成果かなと思っています。
「2」で「こういう部分は達成できた」「こういう部分は次作に生かしたいよね」という部分は,見えてはいました。「こういう部分をベースにしつつ,驚きのある要素をどう入れようか」ってことの積み重ねなんですよね。
小澤氏:
開発チームによっては,ある意味「3」が初めての“続編”なんですよね。「1」から「2」はPS3からPSPにハードが変わったので,我々も試行錯誤の面が多かった。ですが,今回はハードが同じPSPということで,本当の意味での続編なので,開発で得たノウハウを発揮できてますし,悔いの残った部分を改善できています。
そういった意味ではスピードも上げられましたし,悔いの残った部分を改善できたということで,楽しく作れたと思います。
――前作ではダウンロードコンテンツのミッション配信がありましたが,「3」でもそういったことは予定されていますか?
本山氏:
予約特典として,クルトの初陣である0章が楽しめるプロダクトコードが付くというのはお伝え済みなんですけど,ダウンロードコンテンツをどういう風にしていくかというのはまだ未定です。
本編の中には,「1」でいうところの「断章」にあたるエクストラエピソードが入っているので,ゲームクリア後のお楽しみ要素もあるにはあるんですね。ですので,ユーザーさんから「こういった話が見たい」といったご要望があれば,フィードバックとして吸い上げてみたいなとは思っています。
――ありがとうございました。
「戦場のヴァルキュリア3」公式サイト
- 関連タイトル:
戦場のヴァルキュリア3
- この記事のURL:
キーワード
(C) SEGA