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北米や日本のソーシャルゲーム市場は,今,どんなことになっているのか? ロックユーアジアのCOO,石塚 亮氏に聞いた
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印刷2010/08/31 17:00

インタビュー

北米や日本のソーシャルゲーム市場は,今,どんなことになっているのか? ロックユーアジアのCOO,石塚 亮氏に聞いた

ソーシャルゲームは,
まだ“ソーシャル性”を生かし切れていない


4Gamer:
 これもちょっと素朴な疑問なんですが,ソーシャルゲームにおける“ソーシャル性”というのは,一体どこにあるんでしょうか。単純に,SNS上で繋がりのある人々と,ゲーム上で一緒に何かをするということだけですか?

画像集#011のサムネイル/北米や日本のソーシャルゲーム市場は,今,どんなことになっているのか? ロックユーアジアのCOO,石塚 亮氏に聞いた
石塚氏:
 現状,基本的にはそうですね。
 例えば育成系のゲームでよく行われているのは,友人間でギフトを贈り合ったりする行為です。それを促進するために,コレクション要素を持たせたり,友人から5種類のアイテムをもらわないとスペシャルなアイテムが手に入らないとか,そういう仕組みを持たせたりしています。
 もう一つの方向性は,「Restaurant City」などに見られる,友達を自分が経営するレストランの従業員として雇って,コックをやらせたりとか,トイレ掃除をさせたりとか,そういった役割を振るというものですね。

4Gamer:
 なるほど……。
 実はちょっと気になっているのが,日本の状況を見る限りだと,ソーシャルアプリによってSNS上のコミュニケーションが活性化したり,広がったりしているかというと,そうでもないような気がしているんです。思ったより,狭い範囲で決まったメンバーが交流しているだけというか。

石塚氏:
 おっしゃるとおりだと思います。実は北米でもソーシャルゲームといいつつ,ソーシャル性を生かし切れていないんですよね。せいぜい,バーチャルなギフトを贈ったり,雇ったりという程度ですから。
 ただ,これをもっと面白くすることはできると思います。そのためには,プラットフォーマーにもっと広範なAPIを公開してもらったり,開発環境を整備してもらったりといった部分での協力が必要になるとは思うんですが。

4Gamer:
 そのあたりがクリアになるとして,どんなアイデアがありますか?

石塚氏:
 例えば,リアルな場でのリアルな交流を,ゲームとひも付けるようなことはやりたいですね。
 SNSにアップしてある写真をゲームで使ったりするのも一つの方法ですし,一緒に遊びに出かけたら,ゲーム内で何かがプラスに作用するような仕組みがあっても面白いかもしれません。

4Gamer:
 そういうことが可能になってくると,新しいコミュニケーションの形も生まれてきそうですね。

石塚氏:
 ええ。おそらく今後1〜2年で変わってくると思いますよ。そういう認識は,プラットフォーマーもデベロッパも共通して持っていますから。

4Gamer:
 おお,それは楽しみですね。


リアルとの連動を上手く活用できれば
ソーシャルゲーム市場はまだまだ伸びていく


4Gamer:
 こうしたブラウザゲーム市場の中で,RockYou,そしてロックユーアジアは,どういった戦略をとっていく予定ですか?

石塚氏:
 RockYouの強みは,模倣ではなく,オリジナルのゲームを生み出せるというところにあります。
 そして,リリースしたゲームのチューニングに関しては,先ほどお話ししたとおり,独自のユーザートラッキングシステムを使って,素早く行っていきます。今こうしている間も,もの凄い勢いでノウハウを蓄積していますから,そういった部分でもZyngaを追い抜いていきたいですね。
 Zyngaほど大きな規模の会社ではありませんが,常にヒット作を2〜3本運営していくような体制を目指していきます。

4Gamer:
 先ほどZyngaにはゲーム開発経験者が多いということをお聞きしましたが,RockYouにはゲーム開発経験者はどれぐらいいるんですか?

石塚氏:
 実はゲーム開発経験者より,Web開発経験者の割合のほうが多いんです。

4Gamer:
 そこを弱点であるとは感じませんか?

石塚氏:
 とくに感じませんね。というのも,ソーシャルゲームに関しては三つの要素が重要であると,我々は考えているんです。
 一つは,ゲームメカニクス。これはまあ,そのゲームがどれだけ面白いか,どれだけプレイヤーを引き付けられるのか,といったものです。

4Gamer:
 従来のゲーム全般に当てはまることですよね。

石塚氏:
 はい,ですが残る二つは,コンシューマゲームなどとは大きく違います。それは,集客とマネタイズです。とくに集客に関しては,いかにバイラル要素を活用できるかによって大きく変わります。

4Gamer:
 実際,コンシューマゲームの開発経験が豊富な方が関わっているソーシャルゲームでも,集客をうまくできず,マネタイズに結びつかないケースはままあるようですね。

石塚氏:
 そうですね,従来型のスタンスだと,マーケティングを駆使して,CMや雑誌に向けていかに露出するかがポイントになっていたと思います。
 ですがソーシャルゲームの場合,既存のプレイヤーがいかに周囲の友人達を巻き込んでくれるかという部分が重要になるんです。

4Gamer:
 それも,ただバイラルチャネルを使えばいいということではなく,既存のプレイヤーに対して,誰かと一緒に遊びたいと思わせるような仕組みが必要になるわけですよね。そうなってくると,確かに従来のゲーム開発とは考え方を変えなければならなそうです。
 ところで,最近はブラウザゲームと呼ばれるものも数多くサービスされていますが,ソーシャルゲームとブラウザゲームの違いはどこにあるとお考えですか?

石塚氏:
 おそらくゲームメカニクス,マネタイズという部分に関しては,共通していると思います。
 ですが,集客の点については違いますね。ブラウザゲームの場合,多くは4Gamerさんのような情報サイトに情報を掲載してもらったり,広告を出稿したり……といった形で集客をするという,いわば従来型のビジネスをやっているわけです。
 一方,ソーシャルゲームは,根っこの部分にSNS特有のバイラル性があります。ソーシャル性を使った集客の有無という部分が,現状,ソーシャルゲームとブラウザゲームを大きく分けているものではないでしょうか。

4Gamer:
 なるほど。では,既存のSNSとは違う形……例えばTwitterを経由した情報の伝播というものも,バイラルチャネルとして看過できないものになっていると思います。こうしたものについて,ソーシャルゲームを提供する側としてどのようにお考えですか?

石塚氏:
 少なくとも北米では,今まで意識していませんでした。
 というのも,例えばFacebookの外に広告を出すなり,クチコミを仕掛けるなりしても,見る側はFacebookユーザーではない可能性があります。その広告をきっかけにFacebookに登録,ログイン,アプリのインストールというステップを踏ませるのは,なかなか難しいんですよね。それよりも,SNS内部でユーザーを集めることに専念したほうが,効率的だったんです。

4Gamer:
 ただ,それが通用するのは,Facebookの登録者数がこの7月で5億人というとてつもない数になっているからこそ,ですよね。

石塚氏:
 ええ。日本のSNSの場合,例えばmixiは2102万人もの登録者がいますが,さらにソーシャルゲームというものを広めていくためには,SNSの外側でも何らかの仕掛けをしていく必要があるだろうというのは,かなり本気で考えているところです。

4Gamer:
 やはり,そういった手を打っていかないことには,ソーシャルゲーム市場の伸びが頭打ちになってしまうということでしょうか。

画像集#010のサムネイル/北米や日本のソーシャルゲーム市場は,今,どんなことになっているのか? ロックユーアジアのCOO,石塚 亮氏に聞いた
石塚氏:
 そうですねぇ……ただ,これは僕の予想なんですが,ソーシャルゲーム市場自体はまだまだ伸びていくと思います。だから,我々もここにいるわけなんですけど(笑)。
 ただ,伸び方,広がり方については,これまで同様にバーチャルなフレンドの繋がりを重視したものだけでは,早々に限界がくるでしょう。そこで,先ほどもお話ししたとおり,リアルといかに関連付けられるかが重要になると考えています。
 実生活とひも付けられたソーシャルゲームがヒットすれば,実生活とソーシャルゲームの両方を同時に楽しめるような感覚が生まれると思うんです。そうなれば,バイラル性もより強くなるでしょうし。

4Gamer:
 そういったヒット作が生まれれば,市場規模も拡大していきそうですね。

石塚氏:
 ええ。現時点でも,ケータイ系のものも含めると1000億円近い市場に育ってきています。これが今後の2〜3年で,2倍,3倍になっていくだけの可能性はあると信じています。そして,それに向けた最初のステップとして重要なのが,リアルとの連動でしょう。
 あとは……やはり,Facebookの方向性に日本のソーシャルゲーム市場が左右されるのは,今後も続くと思いますので,Facebookの動向は非常に興味深いところですね。

4Gamer:
 やはりFacebook次第という部分もあるんですね……。
 今日はいろいろと教えていただき,ありがとうございました。


ロックユーアジア最新作「ZOO☆World」は
気軽に楽しめる動物園経営シミュレーション


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 さて,そんなロックユーアジアは,7月にmixiアプリ「ZOO☆World」のβ版サービスを開始した。先行してサービスされているFacebookでは,なんと7000万人以上の登録者を抱える人気コンテンツである。
 その内容は,来場者から入場料を徴収しつつ,その資金で動物の種類や施設を増やし,動物園を発展させていくという“動物園経営シミュレーション”である。過去に「Zoo Tycoon」シリーズなどで遊んだことのある人ならば,すぐにイメージを掴めるはずだ。

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 動物園を開設したら,チュートリアル形式のミッションに沿って動物や施設を配置。マイミクを従業員として雇ったりしつつ,特定の条件を満たすとアンロックされる新たな動物や施設を購入し,さらに動物園内を充実させていくという流れ。
 登場する動物やアイテムの種類は,実在のものから架空のものまで幅広く用意されており,その数はなんと300以上とコレクション要素も豊富。また,同じ種類の動物を2匹以上飼っていれば,ブリーディングも可能となっている。
 そのため,例えば,特定の動物だけを集めた動物園を作ってみたり,架空の動物だけを集めてみたり……といったように,プレイヤーごとに個性的な動物園を作り上げられるのが,大きな魅力だ。
 もちろん,ほかのプレイヤーにブリーディングで増やした動物をプレゼントできるなど,ソーシャルゲームらしい仕組みも随所に盛り込まれている。

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 また,本日(8月31日)のアップデートで新機能「ZOOガチャ」が導入された。1回につき8ワイルドライフポイント(200円相当)が必要となるが,ショップに並んでいないアイテムや,新規追加アイテム,さらにショップで販売中だが8ワイルドライフポイントでは購入できないものなど,全15種類のアイテムが手に入るという。
 しかも,ZOOガチャで得られるアイテムは重複することがないとのこと。つまり,懐に余裕があるなら,15回挑戦すると必ず15種類のアイテムをコンプリートできるというわけだ。

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 経営シミュレーションと聞くと,少し構えてしまう人もいるかもしれない。しかしZOO☆Worldは,シミュレーション要素より,どちらかというと可愛らしい動物達を集めて楽しむゲームという色合いが強いため,かなり気軽に遊び始められる。
 そして,一度始めてみると,何かしら“やるべきこと”や“やってみたいこと”が見えてくるため,ついつい時間を忘れて没頭してしまいがちな作品でもある。
 そういう意味で,ライト層だけでなく,ゲーマー層にとっても受け入れやすいソーシャルゲームといえるだろう。

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ZOO☆World公式サイト


  • 関連タイトル:

    ZOO☆World

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    mixiアプリ

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