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いよいよ佳境に入ってきた「The Witcher 2」の洗いざらいを紹介する,今週の「海外ゲーム四天王」
前回の「海外ゲーム四天王」では,ポーランドのCD Projektが開発したファンタジーRPG「The Witcher 2: Assassins of Kings」の概要について紹介したので,今回は,さらに詳しいストーリーやゲームシステムについてグッと突っ込んでみよう。主人公であるモンスタースレイヤー,Geralt of Riviaがどういうわけで地下牢に閉じこめられているのか? 果たして,彼が直面するのはどのような物語なのか,というあたりがすっかり分かったような,そうでもないような気分になれるはずだ。
すでに発売された海外での評判も非常に高く,日本語版の発売も決定。また2011年6月3日に掲載した記事でもお知らせしたように,Xbox 360版のリリースも発表された本作を,前回に引き続き,4Gamerのデーモンハンターと呼ばれたいと考えているgingerが紹介する。
その世界に生きて,冒険しているという実感が味わえる
……ということで,何だかよく分からないうちに,気づくと地下牢にぶち込まれてしまっていた主人公のGeralt。元から,記憶に関してはだいぶ危なっかしいところがあるというか,ぶっちゃけ記憶喪失なのだが,それにしたって,ここ最近は謂われもなく牢屋に入れられるようなことをした覚えはない……と思う。からっきし自信は持てないけど。
うーん,どうしよう。こりゃまた,やっちゃったかなあ,おつむを。などと筆者がGeraltの身を案じていると一人の男が現れ,Geraltを別室に連行し,覚えていることを洗いざらい話せとか言い始めた。そうして状況がさっぱり飲み込めないうちに話は少し過去にさかのぼり,Geraltの記憶を辿る形で物語がスタートする。
話を進めていくうちに,Geraltを尋問しているこの男はTemeria王国の特殊部隊,Blue Stripesの指揮官であるVernon Rocheという人物で,どうやらGeraltはTemeria国王であるFoltest王殺害の容疑で取調べを受けているらしいことが分かる。なーんだ,サブタイトルにある“Assassins of Kings(王の暗殺者)”てのは自分のことだったのか……って,マジですか!?
「The Witcher 2: Assassins of Kings」公式サイト
とまあ,ここまで読んできて何の話をしているのかさっぱり分からないという人はいないと思うが,皆さんすでにご存じのとおり,前回に続いて「The Witcher 2: Assassins of Kings」の紹介の後編をお届けすることになっていたのだった。2週間も前のことなんて,いい加減もう覚えてないというGeraltなアナタは,まずは「こちら」の記事で前回の内容をおさらいしておこう。
さて,一通りGeraltの話を聞き終えたRocheは,どうやらFoltest王を殺したのはGeraltではなさそうだと得心し,その代わりに王を殺した暗殺者を捕まえるように命ずる。その後,GeraltはRocheの手引きで脱獄し,船着場で待っていたRocheと,前作からの仲間である女魔法使いのTrissと合流したのち,王殺しの真犯人を追う旅に出ることになる。そう,ここまでが本作のプロローグだったのだ。
ゲームを始めてまず気づくのが,前作と比べてグラフィックスが格段にブラッシュアップされていること。おかげで,主人公のGeraltはますます渋みがかったいい男になった。Trissもますます色っぽくなって,いいこと尽くめだ。だが,前作と最も大きく異なる点は,本作の戦闘システムである。
前作もジャンルとしてはアクションRPGと言えないこともなく,戦闘シーンにアクション要素が存在していたが,前作の戦闘は1回クリックするだけで複数回剣を振り,カーソルの形が変わったときに再度タイミングよくクリックするとコンボを繰り出すというものだった。
それが本作では,クリックした回数が剣を振るアクションにダイレクトに反映される,完全なリアルタイムアクションに変更されている。また,今回からゲームパッドにも対応し,Xbox 360コントローラを使うことで,コンシューマゲームと遜色ない操作が可能になっている。
そして,もう一つゲームプレイに大きな影響を及ぼす変更点は,会話中の選択肢に時限式のものが登場したこと。これがなかなか厄介で,素早く選択しないと,まるで意図しない不本意な選択肢が自動的に選ばれてしまうこともある。
The Witcherシリーズは,会話での選択によって,その後のキャラクターの態度やストーリーが変化していく,マルチストーリー/マルチエンディングが特徴のゲームなので,これは痛い。筆者もしばしば,英語の解読にまごついているうちに,選ぶつもりのなかった選択肢が選ばれてしまい,自分の英語力のなさにショックを受けた。
このほかにも,本作からはいわゆるクイックタイムイベントが導入されているのも特徴だ。これは主に,相手との1対1での対決シーンで採用されており,画面に表示されたキーを素早く正確に押していくことでクリアできる。
その一方で,対人間用のスティールソードと,対モンスター用のシルバーソードという2本の剣を使った戦闘スタイルや,瞑想によって新たなタレント(スキルや能力のこと)を獲得したり,さまざまなハーブなどを集めて薬品を調合したりといった,本シリーズならではの要素もしっかりと受け継がれている。ちなみに瞑想は,前作のように焚き火などの近くでする必要はなく,どこでもできるようになったため便利だが,ちょっぴり趣に欠ける気がして残念だ。やっぱり瞑想は火のそばでやらないと。
残念といえば,前作で女性NPCとムフフなことをしたときにもらえた通称セックスカードは,本作では廃止された。あれはあれで味わい深かったのに,実にまったく返す返すも残念でならない。その代わり,本作ではムフフな場面でカットシーンが流れるので,そちらをお楽しみに。とくに前作からいい雰囲気だったTrissなどは,ゲーム開始早々5分もしないうちにムフフなことになっているので,やるなあTriss。
なお本作には,上述のTrissのほかに,吟遊詩人のDandelionやドワーフのZoltanなど,前作からの仲間も引き続き登場するので,できることなら本作のプレイ前に,前作にも触れておきたいところ。さすがに今から前作をプレイするのは大変だが,前作までの物語の流れを軽くおさらいしておきたいという人は,前回の海外ゲーム四天王にも目を通していただきたい。
前作からの世界観や設定を引き継ぎつつ,完全なアクションRPGとしてさらに完成度を高めてきた本作。テキストの量がかなり多いため,英語版でのプレイは結構大変だが,2011年7月28日にはサイバーフロントより「ウィッチャー2 王の暗殺者【完全日本語版】」が発売される予定なので,今からプレイする人はそちらを心待ちにしておこう。
「ウィッチャー2 王の暗殺者【完全日本語版】」公式サイト
■■ginger(デーモンハンター/4Gamer編集部)■■
「隣に座っている男」としてごく一部のニッチ層にわずかに知られる4Gamer編集者。「Witcher 2って,面白そうですね,あははは」と担当編集者にうっかりしゃべってしまったことから,前後編に分けて紹介させられることになってしまった不運さは,本作の主人公であるGeraltを思わせずにはいられない。
- 関連タイトル:
The Witcher 2: Assassins of Kings
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