イベント
[CJ 2010]完美時空の新作は,なんと金庸氏の代表作「笑傲江湖」
だが現地で取材中,ふと連絡通路の脇に置かれた立て看板を見ると,そこに読みにくい文字で「笑傲江湖」とあって「え?」と立ち止まり,立て看板の一番下に「完美時空」と入っているのを見て,また「え?」と驚くことになった。
知っている人には説明不要だろうが,「笑傲江湖」(邦題:秘曲 笑傲江湖)は,武侠小説の第一人者である金庸氏の代表作だ。令狐沖や東方不敗といった癖の強いキャラクター,とくに令狐沖の口八丁手八丁が痛快な物語ではあるが,その背景世界も非常に魅力的である。
同名のPC版ゲームが,その昔発売されていたのを覚えている人もいるのではないだろうか。すでに非常に多くの作品がオンラインゲーム化されている金庸作品だけに,たしか笑傲江湖も(当然のように)オンラインゲーム化されてたような気がしたので調べてみると,やはり2007年のChinaJoyで「新笑傲江湖」というMMORPGが天暢科技から出展されていた(関連記事)。
このあたりの権利関係はどうなっているのか不明だが(そもそも新笑傲江湖自体がサービスされたのかも不明),完美時空版「笑傲江湖」の発表自体は6月に行われていたことが判明。完美時空が大々的に発表しているわけだから,権利関係はクリアされているのだろう(このあたりについては「雪山飛狐」の記事を参照)。
なにしろ情報がほとんど出ていないゲームなので,関係者に話を聞かないとどうしようもないわけだが,なかなか関係者を見つけることができず,3日目の今日になってようやくある程度内容の分かる人を見つけられた。やれやれ。
さて,完美時空の最新作となる「笑傲江湖」は,同名の武侠小説を下敷きとしたMMORPGである。ゲームの特徴を聞いて真っ先に返ってきたのは,ゲーム画面が「2.5D」タイプになるということだった。
伝統的には,2.5Dというとハイトマップを取り入れて3次元的変形をさせた2次元のことなのだが,最近中国で使われる2.5次元というのは,3D空間だが視点変更の自由度を少なくして,斜め見下ろし視点に固定されたタイプのゲームを意味している。
3Dゲームなんだけど,Diabloみたいに固定された(不自由な)視点で遊びたいという需要が高いのだそうだ。個人的には,液晶パネルをグレア仕上げするのと同じくらい馬鹿げていると思うが,人の好みというのは理屈では分からないものである。
ムービーを見る限り,かなりアクション性の高い戦闘システムになりそうだったので,いろいろ聞いてみたのだが,この部分は最後までよく分からなかった。完美時空には「SEKIHEKI」という,アクション性を追求したタイトルがすでに存在するので,同様なものが実装されているのではないかと予想していたのだが,そうではないという。
ノンターゲッティングでもない,SEKIHEKIのようでもない,もちろん従来型でもない。少なくとも,相手の攻撃を避けることは可能。……今回得た情報は以上のとおりだ。この部分については,今後もっと情報を仕入れてからお伝えしたい。
ただ,戦闘システムで確実なのは,自分で技を組み合わせたマクロのようなものを作って,使用できるということ。格闘ゲーム風にいえば,オリジナルコンボみたいなもの,武侠風にいえば,独自の奥義を組み立てられるといった感じか。コンボが確実に決まるのかどうかなど,自動実行では問題もいろいろ出てきそうな気はするのだが,仕上がり具合に期待したい。
以上,戦闘システムについては,ムービーを見つつ,いろいろ想像してみるのもよいだろう。
武侠系MMORPGでは,しばしばクラスと同一視されるのが「門派」だ。原作の笑傲江湖にも門派は出てくるというか,非常に重要な要素であるわけだが,ゲーム内では全部で10種類の門派が実装される予定とのこと。小説に出てきた門派と,そうでないものが半々くらいになりそうだ。
なお,小説では正派と邪派が激しく争っており,この対立が笑傲江湖の誕生や物語の導入として重要な設定ではあったのだが,ゲーム内では対立は設定されていないとのこと。門派ごとにキャラクターの特徴が変わってくる(CHUSENのような)システムであるなら,対立関係はないほうが遊びやすくはなるだろう。
世界観は笑傲江湖がベースというのは分かるが,小説の前半と後半とで状況がものすごく違うので,原作を読んだ人は気になるところだろう。聞いてみると,前後に関係なく全体的に取り入れられるようで,登場人物は,そのままNPCとして出てくるとのこと。
特徴的なのはNPCのAIで,それぞれ独立したファクションを持っているというか,クエストなどの形式になっていなくても,例えば襲われているところを助けるか見過ごすかで,その後の展開が変わってきたりするという。
ゲーム的には,助けようが助けまいが,どちらが正解というものはないのだが,そのNPC個人については感謝されるか恨まれるかといった違いが出てくる。もしかしたら,対立関係にある相手を助けると,別のところで恨まれるなどの状況にもなるかもしれない。
こういった要素が,具体的にどうゲームに影響するのかは不明だが,ゲームの細かい部分の進行で実験的な試みがいろいろと行われるようだ。
また,アクション性にもつながってくる部分として,ゲーム内では物理エンジンが取り入れられているという。これも使い方次第ではゲームが化ける可能性がある要素なのだが,詳細はまだ不明である。
ムービーを見る限り,かなり期待できそうな雰囲気があるのだが,今回は不明な点が非常に多くて申し訳ない。まだ開発段階のゲームでもあり,全貌が見えてくるのは,もう少し先になるだろう。公開は来年の第3四半期くらいになるのではないかという見通しも聞こえているので,来年のChinaJoyでは,おそらくほぼ全貌が解明されることであろう。今後の情報に期待してほしい。
- 関連タイトル:
笑傲江湖
- 関連タイトル:
VANITY of VANITIES
- この記事のURL:
Copyright (C) 2014 C&C Media Co., Ltd. (C) Perfect World Co., Ltd.