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「龍が如く OF THE END」の発売記念抽選会を訪れた,名越稔洋氏へのショートインタビューを掲載
これは,該当店舗で本作を購入した人を対象に,「龍が如く特製麻雀牌」や「龍が如くOF THE END Tシャツ&タトゥーステッカー」,「龍が如くOF THE END特製カードケース」といったグッズが抽選でプレゼントされるというものだ。
なお,取材時に現場のスタッフに聞いたところ,抽選会に参加した人は午前中だけで200人以上とのことで,滑り出しは好調といったところだろう。
また,6月7日からアメリカで開催されているE3 2011から帰国したばかりという,「龍が如く」シリーズ総合監督の名越稔洋氏が抽選会の会場を訪れていた。短い時間ではあるが,名越氏に話を聞くことができたので,「龍が如く」シリーズのファンは,ぜひ目を通してほしい。また4Gamerでは,別途本作に関するインタビュー記事を掲載しているので,興味のある人は,「こちら」もチェックしてほしい。
名越氏:
本当にこの日が迎えられて良かったというのが,率直な感想です。
シリーズ初のという言い方も変ですけど,震災の影響で一度延期をさせていただいて,ちゃんと発売できるかどうかも微妙という時間を過ごしてきたので,嬉しい限りです。
ちょうどロスで大注目のE3ショウが行われていますけれど,僕としては,どうしてもこちらを優先したかったので帰ってきました。今日自分の目で見て,発売されたのを実感できたので,帰って来てよかったなと思いました。
――6月6日からアメリカに行って,6月9日に日本に戻ってくるとは,かなりの強行軍ですね……。
名越氏:
1泊3日というスケジュールは久々でしたが,無事に帰って来られました。本当にこれが見たくて今日はこの場にやって来たので,この場で元気が出た気がします。
E3でも「龍が如く OF THE END」を気にかけてくださる方が多くて,元気付けられた気持ちでいっぱいだったので,本当に嬉しいです。
――本作はシリーズのナンバリングタイトルとは異なるベクトルの作品ですが,ソフトの受注状況など,発売前の感触はどうでしたか?
名越氏:
ビジネスだけの話でいっても,前作に負けない数字は来ていましたし,延期してあらためて受注を取り直しても,延期前よりさらに負けない数字が来ていました。
こうやって発売されて,着々と数字が積み重なっているという話を聞くと,僕らも当然時間をかけて努力はしてきましたが,「龍が如く」というIPが本当に愛されていて,その証明がいまできているんだなと,あらためて感じています。
――「龍が如く OF THE END」は,前作の任侠ものからゾンビものに様変わりしていますが,タイアップ企業や出演俳優に打診したときの反応はどうでしたか?
名越氏:
認知の高いタイトルでしたし,そんなに苦労はなかったですね。「ああ聞かれたらこう答えよう」と,事前にしっかり準備していたんですけど,先方から「どうしてこうなの?」というような質問は出なかったですね。最初から「あ,今回はこういうのなんだ」って受け止めていただいたのは,すごくありがたかったなと。
――タイアップ企業は「4」の時と同じくらいか,それ以上なんでしょうか?
名越氏:
増えていますね。そこは本当に,理解をしていただいているんだなと。
交渉していくうえで驚きがなく受け入れられたということは,「そういうこともやってのけるタイトルに見えた」ということであるとも思うんです。
僕はもともと,「龍が如く」というIPがいろいろなことにチャレンジできるからこそ,こういうものを作ったんだと言っていたんですが,その段階で少し自信が持てていましたね。
――素人考えだと,任侠ものよりゾンビもののほうが海外に受け入れられやすい気がするのですが,実際のところ,海外での反応はどうなんでしょうか?
名越氏:
すでに,いろいろと意見は出ているんですよ。不思議なもので,海外の人から見ても,ちょっとぶっ飛び過ぎな感じがあるらしいです。多分,「龍が如く」自体の浸透度の違いだと思うんですけど,むしろ日本人のほうが受け入れようとしてくれているという。
僕は,欧米ってエンターテインメントに関して割と寛容だと思っているんですけど,日本が舞台のクライムものというエッジの立ったジャンルに,さらにエッジの立ったネタを掛け合わせているので,そういう人達から見ても「なんじゃこりゃ」っていう感じになるみたいです(笑)。
僕は,「やってもやらなくてもいいようなタイトル」を作る気はないので,彼らが「食べる気にもなれない」というのなら,それはそこまでだと思います。ただ,その「なんじゃこりゃ」が育っていけば,いい展開ができるかもしれません。海外も,日本の中でどのように受け入れられるか注目していると思うので,それ次第かなという感じです。
――その「龍が如く OF THE END」ですが,注目のポイントを教えてください。
名越氏:
ざっくりしているんですけど,リアルな街というのが,龍が如くの一つのビジュアル的なウリなので,普段ないような状況に置かれたときのコントラストは,リアルであればあるほどインパクトが強いですよね。
知らない惑星に知らないクリーチャーがいても,別にインパクトはないですけど,知っているところに知らないものが出てくるというのは,いろんな意味でアドレナリンが出てくるというか。
「龍が如く」自体,どちらかというと,静の部分と動の部分のコントラストを見せていたんですけど,今回は基本的にアクションゲームですから,ドラマのテンポ感というか,テンションの高いビジュアルの連続を楽しんでほしいなと。
それに負けないくらい銃をぶっ放して,最後までバタバタバタバタっと展開していく様子を楽しんでもらえたらな,と思います。
――本作では銃撃戦がメインになりますが,アクションゲームが苦手な人でも楽しめますか?
名越氏:
僕は,「ちょっと触って面白かった」ではなく,最後まで遊んでもらって全体で評価してもらうタイトルを作りたい,という気持ちがすごく強い人間なんです。
今までの「龍が如く」も,基本的にバトルでゲームを進めるようなところはありますが,苦手だという人もバトルが好きになってもらえるよう,すごく気遣いをして作ってきました。
今回,それがガンショットバトルになりましたけど,そういうジャンルをあまりやったことがない人も,ちゃんと最後までやってもらえるような,気遣いにあふれた1本になっていると思っています。ドラマものなので,ぜひ最後まで楽しんでもらいたいです。
また,今後またそういうジャンルを作るときに向けて,コメントをもらって勉強させてもらいたいという気持ちも,同時に持っています。
――やはり,プレイした人の感想を聞くというのは大事なことなのでしょうか。
名越氏:
いろいろな感想を聞かせてほしいですね。
買っていただいた以上は,僕らも聞く義務がありますし,今後どうなるかは分からないですけど,このIPが成長していくことにも,僕がクリエイターとしていろいろと作っていくことに対しての刺激にもなってくれると思うので。
――「OF THE END」というタイトルが気になるんですけど,この先も続くと期待してもいいんでしょうか?
名越氏:
1年という単位はこのIPの象徴だったので,続けると宣言すれば,それは守らなきゃいけなくなります。ただ,助走期間って絶対に必要じゃないですか。何かいいアイデアが浮かばなかったらその助走も無駄になっちゃうし,そのあたりはまだ「分からない」ですね。
少なくとも100%嘘じゃないのは,システムにしてもプログラムにしても,いろいろな意味で,今後このままの形で続けるというのはないかなと。
愛されてきた部分というのは,なんらかの形で返していきたいですが,ただ,それは「龍が如く」というIPに限らないと僕は思っています。培った力とか自信とかが,また新しい,感動できる作品につながっていけば,少なくとも,その義理は果たせているのかな,と思っているので。
――最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
名越氏:
本当にお待たせして申し訳ありませんでした。ちゃんとこういう日が迎えられたことを,あらためて感謝しています。延期したのは僕らなんですけど,本当に発売日を迎えられるかどうかを決めたのは,ユーザーの方の意見だったと思っています。
震災とゲームをつなぎ合わせるようなつもりはあまりないですけど,予期せぬことが起きたときのエンターテインメントの存在意義みたいなものを含めて,究極の場面として,僕だけではなくスタッフ皆もいろいろな経験をしました。そこであらためて,モノづくりに対して気合の入ったというか,思い出になった1作です。
「龍が如く OF THE END」は震災が起きる前に作ったものですけど,そういう後に出して恥ずかしくないものを作りました。決めてもらうのはユーザーの方ですが,遊んでみたあとに,「ここまできちんとしたメッセージがある作品だったら,出しても良かったじゃん」と評価されるようなものだったら嬉しい気がしますね。
僕らは精一杯がんばりました。最後まで思いっきり楽しんでもらえたらと思います。
――ありがとうございました。
「龍が如く OF THE END」公式サイト
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