インタビュー
[gamescom]Wargaming.netが新規タイトルを多数展開予定。CEOのVictor Kislyi氏に現在の状況を聞いた
WargamingがVRやクラウドゲームサービスとどのように向き合っているかなどを含めて,インタビューの模様をお届けしたい。
Wargaming.net公式サイト
新技術に対する取り組みと期待
4Gamer:
まず,技術関係のことからお聞きしたい思います。最初はVRです。
「World of Tanks VR」は本当に素晴らしいプロダクトで,ファンの夢が具現化したという印象を強く受けました。ですが,唯一の弱点として,「どうやらあれが家で遊べるようになるのは,まだまだ先のことになるようだ」という感触があります。
Wargamingとして,VRを使ったゲームを大規模にサービスしていく予定はあるでしょうか。
Victor Kislyi氏(以下,Kislyi氏):
Free to Playのゲーム市場を考えた場合,VRは十分に普及しているとは言えません。ロケーションベースVRならば可能性はありますが,F2PのVRゲームとなると難しいと言わざるを得ないですね。
もちろん,技術的な話だけなら「もう可能だ」と言えます。また,VR技術に対するリサーチも継続的に行っています。ですので回答としては「今はまだ無理だが,考えている」ということになるでしょうか。ARについても,「技術デモの範囲を抜けておらず,コマーシャル版には遠い」というのが素直な答えになるかと思います。
4Gamer:
タブレットを使ってWorld of Tanksの世界を覗けるデモは素晴らしかったのですが。
Kislyi氏:
とはいえ,まだケーブルの類がわずらわしいですよね。ですから,完成度はさらに高められると考えています。
4Gamer:
分かりました,期待したいと思います。
もう1つ,技術関係の質問ですが,Googleをはじめとしてクラウドゲームサービスのローンチが続いています。一方で,Wargamingは強力なバックエンド技術を有していますし,低スペックのPCでも設定を落とせば問題なく遊べます。スマホでリラックスして遊びたければモバイル版がありますから,クラウドゲームの流れに乗る必要はないと言えます。
コアゲーマーにとって現在,クラウドゲームはあまり意味がないという事情もあります。コアゲーマーが高解像度でWorld of Tanksが遊びたければ,それができるPCやグラフィックスカードを買ってしまいますので。
とはいえ,これから大きな技術的潮流となりそうなクラウドゲームサービスに対して,Wargamingはどのような見方をしているのでしょうか。
Kislyi氏:
状況はまったくご指摘のとおりなのですが,さらに加えるなら,クラウドゲームは都市部が中心になるサービスです。ロシアや中国はほとんどカバーされていませんし,またその特性的に不向きでもあります。
もちろん5G以上の通信技術が大規模に普及すれば話は変わってくると思いますが,私もやはり,最新の「Call of Duty」が遊びたいときは,まず最新のPCを買ってくるタイプですので(笑)。
そのうえで,これはまったく個人的な意見なのですが,クラウドゲームサービスには成功してほしいと思っています。これによってゲームのマーケットチャンネルが増えるということは,文句なく素晴らしいことですから。
もちろん,明日にもこれらのサービスが大成功するだろうとまでは思ってはいませんし,Wargamingのタイトルがそこに参入する予定も今のところありませんが,なんにせよ成功してほしいですね。
新規大型タイトルが4本!
4Gamer:
続いて,新規IPの予定について教えてください。Wargamingのブースに行ったところ,見慣れないタイトルが2つありました。
Kislyi氏:
「Pagan Online」と「Caliber」ですね。順番に説明します。
まずPagan Onlineですが,セルビアのMad Head GamesとWargamingが共同で開発したハック&スラッシュタイプのアクションRPGです。プロジェクトが始まったのは2年半ほど前のことで,アーリーアクセスが行われていますが,予定どおり8月27日に正式リリースされます。
4Gamer:
2018年11月の発表以来,新情報があまり出てこなかった作品ですが,日本語には対応するのでしょうか。
Kislyi氏:
Pagan Onlineは,ハック&スラッシュタイプのゲームとしては操作系がとてもユニークです。一般的なハック&スラッシュRPGと同様,マウスクリックで移動と攻撃を行い,キーボードでスキルの発動を行うこともがきますが,W/A/S/Dキーで移動してマウスエイム+クリックでスキルを発動したりすることも可能です。もちろん,ゲームパッドなどのコントローラにも対応しています。
4Gamer:
個人的にもハクスラは大好きなので,とても嬉しいニュースです。
Kislyi氏:
もう1つのCaliberですが,こちらはgamescom 2019に合わせて発表したばかりです。世界の特殊部隊をテーマに,4人でチームを組んで戦うTPSですが,ゲームのバランスとしては,反射神経を競うよりも,チームワークと戦術が重要になるように作られています。まぁ,あえて言うなら,私やあなたのような年齢のプレイヤーにとっても快適なゲームですね(笑)。
4Gamer:
反論したいところですが,オンラインFPSで出会い頭の射撃戦に勝てなくなってきたのは事実です(笑)。
Kislyi氏:
Caliberはロシア国内でテストが進んでいますが,テストを行う地域を増やしていくのに合わせて,登場する特殊部隊の国籍も増やしていく予定です。もちろん,日本の特殊部隊も登場する予定ですよ。
それから実はもう2つ,まだ具体的に「こんなゲーム」と言えない作品を作っています。
4Gamer:
そちらも可能な限り,教えてもらえますか。
Kislyi氏:
開発中の作品は,どちらもAAAクラスのタイトルです。
1つはF2PのFPSで,こちらはキエフのスタジオが作っています。まだ開発中のため,これくらいしかお伝えできません。
もう1つもF2Pでミリタリーをテーマにしたゲームで,こちらはロンドンのスタジオが「Unreal Engine 4」を使って作っています。西側諸国の市場をターゲットとした作品で,Electronic Artsで活躍していたショーン・デッカーが,40人くらいのチームを率いています。
4Gamer:
インディーズゲームのような,小さなプロジェクトはあるでしょうか。世界のゲーム市場を見たとき,インディーズゲームの影響力は無視できないものがあります。
Kislyi氏:
小さなスタジオを支援するために,ミンスクを中心に「Wargaming Nexus」というプログラムが動いています。基本的にはモバイルゲームが中心となりますが,コンソールやPCも視野に入れています。すでに5〜6つのプロジェクトが動いている状態です。
ただ,やはりWargamingとしては,大人数が遊ぶ予算をかけたタイトルを作るのが得意だという意識があり,会社としても,その領域に集中していきたいという気持ちが強いですね。
4Gamer:
最後になりますが,日本のファンにメッセージをお願いします。
Kislyi氏:
Wargamingが日本にオフィスを置いて長い時間が経ち,さまざまな展開してきました。我々は日本が重要な市場であると考えていますし,私自身,できる限り東京ゲームショウに行きたいと思っています。
日本のオフィスが積極的に行っているアニメや漫画とのコラボレーションは,本当に魅力的ですし,Wargamingがまるで日本の会社であるかのように動けていることを,とても嬉しく思っています。
日本のファンに対しては,「World of Warships: Legend」(PS4 / Xbox One)が良いプレゼントになったかなと考えています。そのうえで「Xbox One版とPS4版のクロスプレイがしたい」という意見をしょっちゅう聞いているのですが,これについては「やりたいと思っています」の一言につきます。いいことしかないので,やらない理由がないんですよね(笑)。
もちろん技術的にもすでに可能なので,あとはプラットフォーム側がやらせてくれるかどうか,という問題になります。そういう状況を踏まえて,期待してもらえればありがたいですね。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
思いがけず新作情報がてんこ盛りとなったインタビューだったが,この直後には,Pagan OnlineとCaliberの開発者に話を聞く機会が得られた。ゲームの詳細については,掲載予定のインタビューを合わせて参照してほしい。とくに,Pagan Onlineは日本語でのプレイ環境が整った状態でのリリースになるので,ハクスラ好きは要注目だ。
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