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[gamescom]「『World of Warships: Legends』は,PS4を購入させるには十分すぎるタイトル」。 Wargaming.netのCEOにインタビュー
「World of Tanks」公式サイト
「World of Warships: Legends」公式サイト
Wargamingの設立は1998年で,ベラルーシからその名が聞こえてきたのは,2009年にスクウェア・エニックスがリリースしたRTS「Order of War」からだ。
たくさんある東欧のデベロッパの1つだったWargamingは2010年,ロシアで「World of Tanks」のサービスを開始する。アジアでは一般的だったが,欧米では成功するかどうか未知数だったFree-to-Playというビジネスモデルを使った「World of Tanks」は,たちまち人気を獲得し,2011年にはヨーロッパや北米に進出して足場を築いた。
2018年にはVRコンテンツを提供するNeurogamingを設立し,gamescom 2018で「World of Tanks VR」のプレイアブル展示を行ったのは,8月22日に掲載したレポート記事で紹介したとおりだ。
gamescomではまた,6月に制作をアナウンスしたコンシューマ機専用のオンライン海戦アクション「World of Warships: Legends」の最新トレイラーを公開している(関連記事)。
キスリー氏とのインタビューでは,Wargamingというゲームメーカーの20年を振り返ると同時に,新作の話などを聞いてきた。
4Gamer:
Wargamingがスタートして今年で20年ということで,まずはおめでとうございます。
ビクター・キスリー氏(以下,キスリー氏):
ありがとうございます。1998年にミンスクで小さなゲーム開発スタジオとして出発して以来20年,振り返れば短かったような気もします。「Total War: ARENA」から「Master of Orion」まで,我々のゲームがあつかうテーマは人類の歴史,数千年分にもおよびますが,わずか20年でFree-to-Playジャンルにおいて世界でもトップデベロッパと呼べるほどまでに成長できたことを誇りに思います。
4Gamer:
「World of Tanks」の場合,アーリーアクセス版がロシアで公開されて以来,8年が経過しますが,2018年3月にようやくバージョン「1.0」がリリースされたことに驚きました。正直,まだβだったのかと。
キスリー氏:
ナンバリングは,まあ,シンボリックな意味が強いわけですが,7年間にわたって110回ほどアップデートを繰り返してゲームシステムをチューンアップし,さらに独自開発のゲームエンジン「CORE Engine」に置き換え,物理ベースレンダリングやシェーディングを実現したことで,一応の区切りが付いたかと思っています。しばらくプレイしていなかったという人が久しぶりにアクセスしたら,大きな変化に驚くと思いますよ。
25種類のマップは1からデザインし直されていますし,グラフィックスだけでなくオーディオ面も大きく進化しています。もちろん,これで終わりというわけでなく,「World of Tanks」はこれからの8年,10年を目指して進化を続けていきます。
4Gamer:
「World of Tanks」の成功は予想していましたか。
キスリー氏:
もし,我々が8年かけてやってきたことが成功と言えるなら,その原点は,「戦車のゲームを作ってみよう。そして,(セルフパブリッシングがそれほどゲーム産業に受け入れられていなかった時代に)自分達だけでサービスしてみよう」と思ったことかもしれません。
会社を作って20年間,「World of Tanks」のサービスを開始して8年ですが,「朝起きると,リッチ&フェイマスになっていた」というのが正直なところですね。いつの間にか,ビジネス専門のものを含めて世界に20の支社を置き,4500人ほどが働く企業に成長していました。我々の15のタイトルを,のべ2億人がプレイしているのです。
4Gamer:
なるほど。ところで最近,クリス・テイラー(Chris Taylor)氏が率いていたWargaming Seattleが閉鎖されましたね。
キスリー氏:
ええ,残念ですが。大きくなるにつれて企業としての方向性を見きわめていかなければならず,難しい選択を行う必要も出てきました。「Excalibur」というコードネームの作品を作っていたことは知られていますが,その開発も中止しています。
4Gamer:
一方で,モバイルゲームや,gamescom 2018にも出展されていたVR/AR分野への進出も始められていますね。
キスリー氏:
VRやARはまだゲームエンターテイメントとして始まったばかりで,これからどのように進化していくのかは分かりません。ですが,我々のゲームとの親和性は高いと考えています。また,「World of Tanks Blitz」でモバイルゲームへの進出はうまくいったのではないでしょうか。
4Gamer:
Wargamingタイトルの,どのへんがゲーマーにアピールしていると思いますか。
戦車でも戦艦でも,素材としてはいわゆる「ニッチ」と呼ばれるものです。ただ,こうした機械を目の前にすると,誰でも乗って,撃って,相手を倒したいという気持ちになるでしょう。
我々人類は,原始時代から戦いを繰り返してきたと言われています。そうした「戦う意識」は,現代人の我々にもDNAレベルで色濃く残っているのではないでしょうか。戦車に乗って戦うというコアメカニズムは,とくに説明されなくても,ある程度の年齢になれば誰でも分かります。
そうした単純なゲームを,Free-to-Playというハードルの低いビジネスモデルで誰でもプレイ可能にしたことが,多くの人に受け入れられたのではないでしょうか。
4Gamer:
Wargamingの企業姿勢として素晴らしいのは,博物館などに盛んに寄付していることだと思います。
キスリー氏:
ありがとうございます。たとえ戦争が目的だったとしても,先人が築いたもの,この場合は軍事遺産と呼ぶべきでしょうが,「過去の遺物」として忘れられようとしていると思います。
戦車や戦闘機は我々が勝手にゲームにしたわけですが,それらによって受けた恩恵を寄付という形で各地の自治体や個人所有者に返すのは,当然だと思うのです。
Wargamingのゲームで戦車や戦闘機に興味を持ったというティーンエイジャーが増え,来場者が増加しただけでなく世代が一気に若返った博物館もあるそうですから,我々もある程度貢献できているのかも知れません。
4Gamer:
それは興味深い話です。ところで,今年のgamescomでは「World of Warships: Legends」のβ版が9月に公開されるというアナウンスがありましたね。
キスリー氏:
そうですね。私は根っからのPCゲーマーなのですが,サンクトペテルブルクスタジオで開発を進めてきた「World of Warships: Legends」は,私にPlayStation 4の購入を決意させるに十分なほど,面白いゲームです。Wargaming作品の魅力をコンシューマ機で十分に表現できていると思います。プレイヤー数を9人対9人に限定しているぶん(PC版のランダム戦は基本,12人対12人),一艦ずつのモデルをさらに細かく表現しており,見とれてしまうほどの美しさです。
4Gamer:
日本でも展開する予定ですか。
キスリー氏:
今のところ日本でもβテストを行う予定で,その結果を見て,どれだけ修正を加えるべきか,そして2019年のどの時期にリリースするのかを決定したいと思っています。コンシューマ機向けですし,日本の建艦技術は戦車とは比較にならないくらい世界に誇れるものですので,日本のゲーマーの皆さんにも受け入れていただけると思っています。もちろん,Free-to-Playです。
4Gamer:
なるほど。ところで話は変わりますが,「World of Tanks」では,ドイツの試作重戦車マウスが得意だそうですね。
キスリー氏:
ええ,この1年ほどずっと日本のType-5を使っていましたが,最近またマウスに戻ったんです。
4Gamer:
重戦車が好きなんですね。「World of Warships: Legends」ではいかがですか。
キスリー氏:
島風です。スピードもあって楽しすぎます。
4Gamer:
私もプレイを楽しみにしています。本日はお忙しいところ,ありがとうございました。
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