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「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
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印刷2010/11/25 13:00

インタビュー

「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた

 マーベラスエンターテイメントは,本日(11月25日),ブラウザゲーム「みんなで牧場物語」のオープンサービスを開始する予定だ。
 このタイトルは,その名の通り同社の人気コンシューマ用ソフト「牧場物語」シリーズをオンライン化したもの。開発を担当したのは,「ブラウザ三国志」「戦国IXA」など,国内でも有数の人気ブラウザゲームを生み出してきたデベロッパ,ONE-UPだ。
 そこで今回,人気IPをブラウザゲームとして投入するに至った経緯や,オンラインならではの要素などを聞いてみた。お答えいただいたのは,マーベラスエンターテイメントから平田 真氏,ONE-UPから廣田隆行氏,稲本 崇氏の3名である。
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ONE-UP 「みんなで牧場物語」プロデューサー 廣田隆行氏
画像集#001のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
マーベラスエンターテイメント 「みんなで牧場物語」プロデューサー 平田 真氏
画像集#002のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
ONE-UP 「みんなで牧場物語」ディレクター 稲本 崇氏

「みんなで牧場物語」公式サイト



もともとあった「牧場物語」のオンライン化構想

時流に合わせブラウザゲーム化することに


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは,「牧場物語」という人気IPを「みんなで牧場物語」としてブラウザゲーム化するに至った経緯や意図などを教えてください。

画像集#004のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
平田 真氏(以下,平田氏):
 ご存知のとおり,マーベラスエンターテイメントでは牧場物語シリーズをはじめ,長年コンシューマゲームを取り扱ってきました。
 そうした中で,ある時期から牧場物語をオンライン化できないか? とも考えていたんです。

4Gamer:
 つまり,もともとオンライン版牧場物語の企画は進めていたわけですね。

平田氏:
 ええ,一部開発にも着手していました。現状のスタイルとは大きく違って,もっとMMORPG寄りのものでしたね。その時点では,ブラウザゲームではなく,クライアント型のオンラインゲームを想定していました。
 オンライン化に当たっては,ONE-UPの椎葉社長のアドバイスを受けていたんですが,その過程で,ONE-UPさんが開発した「ブラウザ三国志」のサービスが始まり,非常に大きな注目を集めました。
 そこで,牧場物語もブラウザゲームにすると面白いのではないか? という話になったんです。

4Gamer:
 オンライン版牧場物語の企画とブラウザゲームの台頭のタイミングが重なった,と。

平田氏:
 そういうことです。

廣田隆行氏(以下,廣田氏):
 ちょうど,Flash上で動作するブラウザゲームが増えてきた時期でもあるんですよね。弊社でもFlashでどこまでできるのか検証したところ,かなりいろいろなことができることが判明しました。
 これだけできれば,牧場物語も大丈夫だろうと判断したんです。

4Gamer:
 そもそも,牧場物語をオンライン化しようと考えたきっかけは何だったんですか?

平田氏:
 以前から社内では「複数のプレイヤーで牧場物語を遊べたら面白そうだ」という話をしていたんです。コンシューマゲームですと一人用の遊びですが,そこにリアルの人間同士のコミュニケーションを持ち込みたいという考えです。
 これは10年近く牧場物語の課題として挙がっていたもので,今回,ようやく形にできたというわけです。

4Gamer:
 ブラウザゲームにしようと決まってからの開発期間はどのくらいですか?

画像集#007のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
廣田氏:
 ブラウザゲームとしての企画書を本格的にまとめ始めたのが,2009年末ですね。そして開発に入ったのが今年の2〜3月頃です。
 当初は今年の夏にβテストを開始する予定でしたが,それを延期して開発を続け,現在に至っています。なので,実質的な開発期間は8〜9か月といったところです。

4Gamer:
 開発期間を延長した理由を教えてください。

平田氏:
 最も大きな理由は,複雑なゲームになり過ぎていた部分を修正していたからです。
 開発していく中で,スタッフの視野が狭くなってしまい,ほかのゲームにある要素を「アレも入れよう,コレも入れよう」となってしまったんですね。
 もちろん,それはそれで遊べなくはないんですが,とても“初めてプレイした人にも簡単”とはいえない内容になっていました。

4Gamer:
 今までの牧場物語らしさが損なわれてしまった,という判断があったんですね。
 実装を見送ったシステムには,どんなものがあったんでしょうか。

平田氏:
 例えば,コロボックルに「スキルパネル」を付けたりしていたんです。そうすることでゲームとしての奥深さは生まれますが,本当にブラウザゲームの牧場物語に求められている要素かというと疑問ですよね。
 そこで,この3〜4か月間は徹底的に見直しを図り,とにかくシンプルなゲームを目指しました。パッと見はあまり変わっていないのですが,内部には抜本的な変更を加えています。

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競争/対戦要素を排除したゲーム性で

癒しと安らぎを与える“動く壁紙”に


4Gamer:
 それでは,現行のバージョンは,具体的にどんなゲームになっているんでしょうか。

画像集#008のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
稲本 崇氏(以下,稲本氏):
 コンセプトは,ずっとPCの画面上に表示しておけて──いわば“動く壁紙”として,癒しや安らぎを与えるものでした。今回,延長した開発期間では,そこに重点を置いて企画を練り直しています。
 ゲームとしては,プレイヤーが何か操作をすると,コロボックルが賑やかに動きまわるという内容です。

4Gamer:
 壁紙にしておけるほど,のんびりしたゲームというわけですか。



稲本氏:
 ええ。多くの人にとっつきやすいものにするために,他人と争ったり,殺伐としたりするような要素を排除し,癒しと安らぎを与える一方で,ゲームとしての面白さを失わないバランスを目指しました。

平田氏:
 コンシューマ版のストーリー性や恋愛ゲーム的な要素などは省略しているんですが,牧場物語本来の“のんびり牧場生活”という部分はまったく変わっていません。

4Gamer:
 とはいえオンラインゲームですから,ほかのプレイヤーとの関係性も重要ですよね。

稲本氏:
 本作の基本的な楽しみ方は,プレイヤー各自が牧場を作り,お互いに鑑賞しあうというものです。しかし,それだけでなく,ほかのプレイヤーが所有する牧場の「お手伝い」をすることもできます。
 お手伝いした場合には,した側とされた側の双方にメリットがありますので,プレイヤーは積極的にお手伝いをしたくなるでしょう。その過程の中で,ほかのプレイヤーの牧場を参考にしたり,全く別の方向性を模索したりという遊び方になると考えています。

画像集#009のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
平田氏:
 そこまでは,ほかのゲームとあまり変わらないのですが,本作独自の要素として「コレクションアイテム」を用意しました。これは農作物などをお世話していると手に入るもので,牧場の傾向によって,何になるかが変わります。
 例えば,ヤギばっかりを育てている牧場では,関連した特定のコレクションアイテムしか入手できませんが,どこかにそれを必要とするプレイヤーがいるはずです。そこでお互いにコレクションアイテムを交換したりしながら,交流を深めていただこうというわけですね。
 牧場を育てていく過程で,ビジュアル面の変化を楽しむのはもちろんですが,ほかのプレイヤーと交流して,いろんなコレクションアイテムを集めるというのも大きな特徴になっています。

4Gamer:
 ほかのプレイヤーの牧場をお手伝いする場合,具体的に何ができるのでしょう?

稲本氏:
 動物や作物をクリックすると,その対象の育成が促進されます。育成のブーストというイメージです。

4Gamer:
 勝手に牧場そのものを操作できるわけではないんですね。
 それでは,争いを排除したとおっしゃっていましたが,競争の要素はまったく存在しないんですか?

稲本氏:
 表立ったものはありません。基本は,プレイヤー同士が協力して遊ぶという内容です。

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4Gamer:
 世界的な傾向として,人気のブラウザゲームというと何らかの競争要素がベースにありますよね。

稲本氏:
 現状で強いて順位がつくものを挙げるなら,フレンドリストをレベル順でソートするといったところでしょうか。
 レベル以外に,何らかのランキング要素がほしいという要望が強ければ,すぐに入れることはできます。

4Gamer:
 なるほど。「アイツがずい分レベルを上げているから,オレも頑張るか」みたいな感じですね。
 レベルに応じて,できることが増えたりしていくのですか?

稲本氏:
 レベルによる行動制限はありません。レベルは牧場の広さと収入の量を示しています。

廣田氏:
 明確な優劣がないのも,牧場物語らしさだと思うんですよ。「あの人のようになりたい」とか,逆に「あの人とは違う方向で頑張りたい」といったモチベーションを持っていただけるんじゃないかと。

平田氏:
 どうしても対戦がしたいという要望が多ければ,何か考える用意はありますが。

稲本氏:
 それでも「誰が一番多く牛を育てたか」みたいな,仲間内で遊んでいるような感じになると思います。やはり明確に勝ち負けを決めるのは避けたいですね。

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オープンサービス以降は,コミュニティ機能を強化

牧場の方向性を左右するクエストも登場


4Gamer:
 それでは,オープンサービスで実装される要素を教えてください。

画像集#013のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
稲本氏:
 全体マップが導入され,ほかのプレイヤーがどこにいるか確認できるようになります。これはブラウザ三国志の全体マップをイメージしていただくと分かりやすいのですが,これを経由してほかのプレイヤーの牧場を訪れることができます。
 またフレンド登録していれば,フレンドリストから即座に牧場を訪問できます。

廣田氏:
 フレンドリストに付随して,メール機能も実装しました。

4Gamer:
 農場型のゲームでは,ゲームを進めていくうちに何をやっていいか分からなくなることがありますが,プレイの指針はゲーム内で示されますか?

稲本氏:
 クローズドβテストから,クエストを導入しました。序盤のクエストはチュートリアルを兼ねており,順次クリアしていく過程でゲームの進行を習得できます。本作にはいろいろな要素を用意していますので,それらをまんべんなく楽しめるような内容となっています。
 またクエストはツリー形式に展開していきます。あるクエストをクリアすると,ツリーの繋がった先のクエストを受けられるようになります。ツリーのルートによって,作物を育てたり,動物を育てたりというように傾向が決まっていきますので,それに沿って牧場の方向性も決まります。

画像集#014のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた

4Gamer:
 途中で,牧場の方向性を変えることはできるんでしょうか。

平田氏:
 ええ,クリアしたクエストの履歴がツリー上に残りますので,いつでも戻れます。

稲本氏:
 クエストは同時に3つまで受けられるんですよ。クエストのキャンセルもできますので,いつでもルートを変えられます。

4Gamer:
 今回,クエストにツリー形式を採用したのには,どういった意図があるんでしょうか?

稲本氏:
 まずは,今,どのクエストに専念すればいいのか,分かりやすくするためです。
 そして,皆さんそれぞれに目指したい牧場の方向性があると思うんですが,そのガイドになるものを目指しました。

画像集#015のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた

4Gamer:
 「動物ルート」「農作物ルート」みたいに,ルートの内容は明示されるのですか?

平田氏:
 クエストの内容から何となく分かるようになっています。

稲本氏:
 また,ショップで購入できるアイテムには,当初ロックされているものがあるのですが,クエストをクリアするとアンロックされていきます。
 何がアンロックされるかは,ツリーで確認できますから,例えば羊が必要な場合は,それに合わせてルートを選ぶこともできます。

平田氏:
 あとは自分が今までクリアしたクエストを,ツリーとして見ることができるのもポイントです。牧場がどういう過程を経て現在に至っているのか,確認できますから。

4Gamer:
 それでは,今後追加される要素について教えてください。

平田氏:
 協力プレイ要素の一つとして,「おじゃまコロボックル」が登場します。

稲本氏:
 牧場に突然現れたコロボックルが,勝手に牧場を操作してしまうんです。必ずしも迷惑な行為だけをするわけではないんですが,放っておくとプレイヤーの意図と異なることをやりますから,何とか説得して帰ってもらうんです。

4Gamer:
 どうやって説得するんですか?

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稲本氏:
 操作としてはマウスのクリックですね。一定回数クリックすると説得が成功し,おじゃまコロボックルは帰っていきます。しかし,一人でクリックするだけでは必要回数に達しないよう設定していますので,フレンドや近隣のプレイヤーに応援を求めなければなりません。
 説得に成功すると,協力したプレイヤー全員に何かいいことがあります。

4Gamer:
 おじゃまコロボックルの出現には,何か条件があるんですか?

稲本氏:
 ええ。一定の条件が満たされると出現します。どこに出現するかはランダムですが,どのプレイヤーにも偏りなく訪れるようになっています。
 そして,最も大きな追加要素が「合成」です。これは先ほどお話したコレクションアイテム二つを合成して,違うアイテムを作るというものです。組み合わせに応じて,何ができるか3種類の候補と,合成確率も表示されます。
 ハズレもあって,その場合には何も手に入らず,素材にしたコレクションアイテムも失われます。


平田氏:
 組み合わせを探すのではなくて,素材を集めてチャレンジするという遊びですね。

稲本氏:
 レアなコレクションアイテムを素材にすると,貴重なアイテムが合成されます。

4Gamer:
 合成で入手できるアイテムは,例えばどんなものがありますか。

稲本氏:
 育成促進アイテムと,牧場を飾る設置アイテムなどです。また,レアリティの異なるコレクションアイテムになることもあるので,更なる合成にチャレンジすることもできます。
 また,合成したアイテムは1個の場合もあれば,5個10個と複数の場合もあります。

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画面上をワラワラと動き回るコロボックルは

「牧場物語」シリーズのファンなら必見


4Gamer:
 ブラウザゲーム/ソーシャルゲームにおいて,農園系はスタンダードなジャンルですよね。その中で,みんなで牧場物語ならではのポイントを教えてください。

画像集#018のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた
廣田氏:
 決定的に違うのは,とにかくよく動くことです。ゲームを開始するとコロボックルがワラワラと出てきます。コロボックルは全部で5種類いて,それぞれ役割とグラフィックスが異なり,プレイヤーが指示したお世話の内容に応じて牧場内を走り回ります。先ほど稲本が言ったとおり,“動く壁紙”になっていて,ボーっと見ているだけでも楽しいんです。
 もちろん一般的な農園系ゲームのように,何かを植えると次にアクションするのは8時間後,みたいな長いスパンでプレイすることもできますし,ずっと張り付いて逐一指示を出すような遊び方もできます。

4Gamer:
 コロボックルが動き回ると簡単におっしゃっていますが,そういう仕組みを入れるとゲームの動作が重くなったりしそうです。そのあたりの開発には,苦労されたりしたんじゃないでしょうか。

廣田氏:
 確かに大変です。コロボックルが増えれば,それだけ動きが重くなりますからね。
 実際のところ,最大何体出すかについては,現状でも調整の余地があるというのが正直なところなんです。とはいえ,ワラワラ感を出したいですから,さまざまなテクニックを駆使してなるべく多く表示できるようにしています。

平田氏:
 序盤はいいんですが,ゲームの性質上,牧場などが賑やかになっていきますから,それに伴って処理も増えていきます。必然的に全体の動作が重くなりますが,かといってコロボックルや設置物を減らしてしまっては本末転倒なんですよね。どうしたものかと頭を悩ませています。
 これはサービスを続けていくうえで,永遠の課題となるだろうと考えています。

廣田氏:
 皆さんがお使いになるPCのことも考えなければなりませんしね。なかなか頭の痛いところではあります。

4Gamer:
 そういえば,コロボックルのデザインも,以前発表されたものと変わっていますよね。

平田氏:
 ええ。コンシューマ版と同じく,キャラクターデザインとイラストに,まつやま いぐささんを起用しています。
 3Dモデルに起こしたものを動かしたり,あるいは2Dっぽい表現に落とし込んだりと試行錯誤を繰り返してきました。シリーズのファンの方には,ぜひコロボックル達が動く姿に注目してください。きっと新鮮な気分に浸れます。
 あとはコロボックルの声もそうですね。ブラウザゲームとしてウリになるかというと少々疑問ですが,このゲームは音も賑やかです。仮に職場で遊ぶようであれば,音量に気をつけていただきたいな,と(笑)。

稲本氏:
 これだけコロボックルがワラワラ出てくる牧場物語は,今までになかったんです。設置物も全てコロボックルのサイズに合わせてデザインしていますので,きちんと揃えるとコロボックルの生活感が醸し出されるようになっています。

画像集#019のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた

4Gamer:
 お話を聞いてきて,ちょっと気になっているのが,やり込み要素についてです。
 結構やり込める仕様だと思うのですが,ブラウザゲームだと信じられないほどやり込むプレイヤーがいますよね。そういう人に基準を合わせた場合,のんびりという部分が損なわれてしまいそうです。

廣田氏:
 どこを基準にするかは確かに難しいです。これが対戦系のゲームだったら,トップランナーがいて,ほかのプレイヤーがそれに追従する形式になるでしょう。
 しかし本作の場合は,あとから始めたから不利ということがほとんどないんです。あとから始めた人というのは,周囲にたくさんの先輩がいるようなイメージです。そして先輩の牧場に遊びに行くと,自分だけでは入手できないものが手に入ったりします。なので,どこを基準にするというよりも,それぞれのペースで楽しめるようにしていきます。

平田氏:
 仮にレベルをカンストできたなら,ぜひお友達を手助けしてあげてほしいですね。

廣田氏:
 まあ簡単にカンストできないように調整していますけれども(笑)。
 設置物のデザインも一つのイメージに固定しないよう,たくさん用意しています。新しいアイテムを設置してみたら,全体の調和が崩れたのでほかの部分をもうちょっといじってみようとか,どんどん牧場に手を加えていただけると嬉しいです。

4Gamer:
 延期した開発期間中に削除した要素は,アップデートを通じて実装されていくのでしょうか?

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平田氏:
 もちろん可能であればそうしたいです。今回削った大きな要素は,コロボックルのスキルとアバター要素,そして「ギルド島」の三つなんですが,本来,みんなで牧場物語のウリとすべく企画・開発したものばかりなんです。

廣田氏:
 シンプルにするという意図でいったん削除はしましたが,より調整を重ね,時期を見計らって実装できればいいと思っています。

4Gamer:
 なるほど。例えばギルド島にしても,そもそもプレイヤーが積極的にギルドを組んでくれるかどうか分からないですよね。

平田氏:
 そうなんです。これがMMORPGならギルドはゲームを進めていくうえでほぼ必須になりますから,それに合わせたコンテンツの企画を進めやすいんです。
 しかし,本作のように簡単に遊べるゲームだと,逆にギルドでわざわざ人間関係を構築するのは面倒くさいと敬遠される方もいらっしゃると思うんです。こればっかりは,実際にゲーム内の動向を確認するまでは,何ともいえない部分です。

廣田氏:
 まあオンラインゲームですから,根っこと幹の部分さえしっかり作っておけば,枝葉の部分はあとから付け足しても大丈夫です。

平田氏:
 FarmVilleも最初はシンプルでしたが,今では結構ゴテゴテしていますよね。今は1か月経つごとに何か新しい要素が入っているような状態になっていて,まったくの初心者だと難しく感じる方もいるんじゃないでしょうか。
 なので,基本形はシンプルにして,皆さんのご意見に沿ってバージョンアップしていくようなイメージを持っています。


ほかのプレイヤーと一緒に遊ぶ

新しい「牧場物語」として展開


4Gamer:
 先日行われたクローズドβテストの反響はいかがでしたか?

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平田氏:
 実際に多くの方にプレイしていただいて,たくさんのフィードバックをいただけましたので,試みとしては成功したと捉えています。その一方では,サーバーに大きな負荷がかかり,動作が重くなってしまいました。また,コロボックルハウスが進化しないといったような不具合も出てしまいました。
 ただ,そういったトラブルが起きたわりには好意的に受け止めてくださる方が多く,開発一同喜んでいましたね。

廣田氏:
 コンシューマ版の牧場物語とはインタフェースも違いますし,どう受け止められるか不安はあったのですが,おおむね楽しめたという感想を多数いただけましたので,ホッとしているところです。

4Gamer:
 テスターは,コンシューマ版牧場物語の経験者が多かったんでしょうか?

廣田氏:
 クローズドβテストの募集では,あまり大きく露出しませんでしたから,やはりもともと牧場物語をお好きな方や,オンラインゲームに精通している方が中心でした。そういう方からご意見をいただけたのも,非常に参考になっています。

4Gamer:
 それでは,今後のサービススケジュールを教えてください。

平田氏:
 11月25日にオープンサービスを開始したあと,間もなく有料アイテムの販売も始まります。有料アイテムは,植物の成長促進や,木を切るときのサポートなど,基本的に時間短縮系のものがメインです。あとは設置物ですね。入手方法が購入しかないものも一部ありますが,主に設置物を簡単に手に入れるための手段と考えてください。

画像集#022のサムネイル/「みんなで牧場物語」は,どこが「牧場物語」で,どんなオンラインゲームなのか? 開発スタッフに聞いた

4Gamer:
 コロボックルは販売しないのですか?

平田氏:
 一時的に増やすアイテムがあります。
 設定的には,女神さまに頼んで別の島にいるコロボックルを召喚してもらうようなイメージです。

4Gamer:
 それでは最後に,みんなで牧場物語に期待している人に向けて,メッセージをお願いします。

稲本氏:
 牧場物語は多くのファンを擁しているシリーズですので,そういった方にもPCという環境で楽しんでいただけるよう企画・開発を進めてきました。
 また,牧場物語の名前を知っていても,まだ触ったことがないという方もたくさんいらっしゃると思います。そういう方でも入りやすいよう配慮していますので,ぜひ多くの方に遊んでほしいです。
 争いもなく,柔らかなタッチで,かつゲームとしての面白い要素を用意していますので,老若男女,さまざまな方に楽しんでいただけると思います。

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平田氏:
 コンシューマ版のファンの方は,戸惑う部分もあるかと思いますが,これは弊社がずっと温めてきたオンライン化の記念すべき第一歩です。ぜひ一度,試していただけると幸いです。
 今回,“みんなで”と付けたのも,牧場物語のオンライン版として,コンシューマ版のシリーズとは一味違うものになっていることを表しています。ぜひ,その違いを楽しんでみてください。

廣田氏:
 繰り返しになりますが,本当にプレイスタイルを選ばないゲームです。張り付いて遊んでくださってもいいですし,1日1回ログインして5分10分遊ぶこともできます。職場のお昼休みや帰宅して就寝前だけ遊んだり,あるいはほかのゲームに疲れたときにやってみたりしてもいいかもしれません。みんなで牧場物語は,PCとネット環境とブラウザさえあれば,いつでもどこでも気軽に遊べます。
 また例えば,一日中ずっとPCを相手にしているような方だと非常にストレスも溜まりますよね。コロボックル達の姿が,そういった方の癒しになるよう企画・開発しましたので,ぜひ一度,遊んでみてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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 牧場物語のオンライン版と聞くと,すでに多くの農園系ゲームがリリースされていることもあってイメージしやすく,「なるほど,楽しいんだろうな」とぼんやり想像する人も少なくないだろう。ただ一方,「ほかの農園系ゲームと何が違うのだろう?」という疑問も生まれる。
 そこで大きな差別化要素といえそうなのが,“癒しと安らぎ”や“動く壁紙”といったコンセプトである。開発元のONE-UPというと,ブラウザ三国志や戦国IXAのように,ほかのプレイヤーと競い合うシステムを積極的に取り入れた作品のイメージが強いが,本作においては正反対のものを目指しているのだろう。そう考えると,オンラインならではの仕組みとして,協力要素に重点を置いているのも合点がいく。
 マーベラスエンターテイメントも,同社にとって初めてのオンラインゲームで牧場物語という人気IPを持ち出してきたことから,本作にかける期待は並々ならぬものがあることがうかがえる。

 繰り返しになるが,みんなで牧場物語は,本日からオープンサービスが行われる。もちろん,無料でプレイ可能なので,どんな内容になっているのか気になる人は,気軽にプレイしてみてほしい。

「みんなで牧場物語」公式サイト

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    みんなで牧場物語

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