レビュー
近未来のハイテクマシン,異形のエイリアン,そして自称救世主の野望をも“ぶっ壊せ”
レッドファクション:アルマゲドン
本作は,2009年にリリースされた「レッドファクション:ゲリラ」(PlayStation 3 / Xbox 360 / PC)の続編にあたる作品だ。
しかしあるとき,地球と同様の環境を作る「テラフォーミング」に必要な,火星の天候をコントロールする装置が,アダム・ヘイルという元EDF大佐の息子とその狂信者達によって破壊されてしまう。地表はハリケーンや雷が多発する危険な場所となり,生き残った人々は地下に逃れるが,そこには新たな脅威が待ち受けていたのであった……。
プレイヤーはゲリラ組織「レッドファクション」の志願兵ダリウスとなって,アダムの野望を食い止めるために過酷な戦いに身を投じることとなる。ちなみにダリウスは,前作の主人公のアレックと妻サマンヤの孫にあたる青年だ。
ダリウスは物体を分子レベルまで分解できる「ナノフォージ」というハイテク機器をアレックから引き継いでおり,今作でもステージ内のオブジェクトの破壊ができ,さらにそれらの修復が可能となった。
前作はオープンワールドを舞台にしたアクションシューティングとなっていたが,今回は各チャプターをクリアして物語を進めていくという,ステージクリア型になっている。チャプターの間にはムービーが挿入されるという演出もあり,ストーリー色が強い印象だ。
なお,今回のレビューではXbox 360版を使用しており,ボタンの名称などもXbox 360に準拠している。
アダムの野望を食い止めるために
さまざまな任務を遂行せよ
ゲームのメインとなるのが「ストーリーモード」で,このモードでは難度を「カジュアル」「ノーマル」「ハード」「スーパーハード」の4段階から選べる。スーパーハードは敵の攻撃が激しく,耐久度も増しているようで,敵を倒すのがなかなか大変だ。
最初のミッションは,テラフォーミングに必要な装置を防衛するためにダリウス達が現場に向かうのだが,トラブルによってダリウスは車両から投げ出されてしまい,1人で行動することになるという内容。 ここは,S.A.M.という人工知能が随時アドバイスをしてくれるという,チュートリアル色の強いステージとなっている。
何か新要素が出ると,その都度ヘルプメッセージが出て教えてくれるほか,BACKボタンを押すとGPSが起動し,現在の目標や目的地までの進路がカーソルで表示される。
ストーリーモードは,全部で16チャプターある。1つのチャプターはそれほど長くなく,筆者は15時間ほどでエンディングに到達できた。昨今のゲームからすると,標準的なレベルだろう。
敵は,アダムを崇拝する狂信者達のほか,途中からエイリアンなどが登場する。狂信者はアサルトライフルやロケットランチャーなど,主人公と同じような武装で攻撃してくるが,エイリアンはひっかき攻撃,エネルギー弾での遠距離攻撃,ステルス能力で姿を消しての攪乱攻撃など,バラエティに富んだ攻撃を仕掛けてくる。なかには一定以上ダメージを与えると自爆するものもいて,戦闘はなかなかエキサイティングだ。
被弾してダメージを受け,瀕死になると画面が赤くなってくるが,遮蔽物などに身を隠し,しばらく放っておくと自動的に体力が回復する。このあたりは,昨今のFPSのトレンドを取り入れているという印象。
ゲーム内に登場する武器は,実弾を使用するアサルトライフルやロケットランチャーなど定番となる銃のほか,ブラックホールを生み出し,近くのものをなんでも吸い込んで爆発させる「重力キャノン」,壁を透過し,一方的に狙撃できる「レールドライバー」など,SF作品ならではのユニークなものも揃っている。
当然,強力な武器ほど入手のタイミングが遅いのだが,一度拾ってしまえばステージ内の各所に設置されている「武器ロッカー」にアクセスして,いつでも交換可能となる。なお,武器は一度に4種類まで持ち運べる。
このほか,接近戦用武器として登場するハンマーは敵を叩き潰すことが可能なほか,建物や壁を壊して道を切り開くこともできる。
銃に関しては,Lトリガーを引くとアシスト機能が働く。自動的に近くにいる敵をロックオンできるため,「エイミングが苦手」という人でもシューティングの醍醐味を味わえるだろう。
また使えるチャプターは限定されるが,「L.E.O.エクソスケルトン」というパワードスーツや,「スカウトウォーカー」という多足型の戦車,「インフェルノGX」という戦闘機など,いくつもの搭乗型兵器が存在する。いずれも強力な武器を搭載しており,しかも弾薬が無制限ということで,大いに暴れまわれる。
なお,ストーリーモードを一度クリアすると,「ニューゲーム(プラス)」というモードがアンロックされる。これはいわば“強くてニューゲーム”といったもので,習得したアップグレードを引き継いで遊んだり,一風変わった武器を使ったり,チートコードのメニューにアクセスしたりもできるようになる。
破壊と修復を司るナノフォージ
ダリウス自身のスキルもアップグレードさせよう
オブジェクトを破壊しまくるのは,レッドファクション:アルマゲドンの大きな魅力と言っていいだろう。例えば建物の柱をすべて破壊して崩落させ,その中にいる敵を一気に倒したり,燃料タンクを爆発させて敵を攻撃したりと,破壊そのものが攻撃手段となる。壊れ方はなかなかリアルで,電波塔の4本ある支柱のうち2本を倒すと,自重に耐え切れずに崩壊したりする。物理エンジンとも相まって,整備された施設が瓦礫の山に変わっていく様子などは,見応えがある。
また,特定の建物を壊したときなど,「サルベージ」というアイテムを見つけることがある。これはいわばゲーム内のお金で,主人公をアップグレードするのに必要になる。
アップグレードには,銃の連射時に命中率の低下を防ぐ「反動軽減」,所持できる弾薬の量を増加させる「ディープポケット」などがあり,全部で30以上用意されている。アップグレードは最初からすべてを入手できるわけではなく,ストーリーの進行に応じてアンロックされたり,下位のものを習得することで上位がアンロックされたりするものもある。
不要なアップグレードばかり習得してしまった場合,500サルベージを払ってリセットできる。この場合,それまでに消費した分のサルベージは戻ってくるため,やり直しは結構利く。
建物を壊すには,前述のハンマーを除くと,ロケットランチャーや,プラズマエネルギーの塊を放出する「プラズマキャノン」など,基本的には高威力の銃が必要。だがそれ以外の手段として,主人公の標準装備「ナノフォージ」によっても,オブジェクトの破壊が可能だ。ナノフォージの機能は全部で5つあるので,それぞれ紹介しよう。
●インパクト(RB)
前方に衝撃波のようなエネルギーを放ち,その力で壁や扉などを破壊できる。アップグレードすることで,ダメージ,リチャージ率などを増加させることが可能。
●ショックウェーブ(RB+Aボタン)
エネルギーを発生させ,それに触れた敵を宙に浮かせて一定時間,行動不能にできる。
●シェル(RB+Bボタン)
自身の周りにバリアのようなものを展開し,敵の攻撃を防ぐ。シェルの範囲内にいる敵はダメージを受ける。
●バーサーク(RB+Xボタン)
ナノフォージの力を自身に使い,一定時間,攻撃速度とダメージを強化できる。
●修復機能(LB押しっぱなし)
壊れてしまった建物,エンジンや通路を修復できる。パズル的な仕掛けの攻略にも使う。
以上がナノフォージの機能だ。インパクトと修復機能以外はアップグレードで購入する必要があるが,いずれも強力だ。なおナノフォージは,一度使うとリチャージが済むまで再発動できないという欠点がある。
とくにストーリーの中盤以降になると,敵の激しい攻撃でステージ内のオブジェクトがボロボロになり,身を隠す場所などが激減してしまう。修復機能でしっかり遮蔽物を修復していくというのは,攻略していくうえでも大事な要素となる。
サバイバルモードで協力プレイを楽しもう
スクラップモードでハイスコアの更新に挑戦
ストーリーモード以外のモードでは,オンラインかシステムリンク(LAN),ローカルで最大4人のCo-op(協力プレイ)ができる「サバイバルモード」と,ステージ内のオブジェクトを破壊しまくる「スクラップモード」が用意されている。
サバイバルモードには「サバイバル」「ディフェンス」という2種類のルールがある。サバイバルは,次々と現れる敵を倒していくというシンプルなものだ。もう1つのディフェンスは,敵を退けつつ,マップ内にある目標の施設を防衛するというもの。マップは全部で16種類(サバイバル用,ディフェンス用それぞれ8種類)用意されている。
敵の侵攻は「ウェーブ」という単位で表され,これは1から30まである。ウェーブが進行するたびに敵の数が増えるなどして厳しくなっていくが,一定数のウェーブをクリアすれば,マップや武器,上位のアップグレードがアンロックされる。
サバイバルモードでも,アップグレードを習得するにはサルベージが必要になる。サルベージは各モード共通なので,ストーリーモードで稼いだサルベージをサバイバルモード用に使ってもいいし,サバイバルモードでウェーブをクリアした報酬としてもらえるサルベージを,ストーリーモードで使ってもいい。
どちらのルールもライフが12あり,これを使い切るとゲームオーバーだ。ただしウェーブをクリアするたびに,上限までライフが回復する仕組みになっている。
プレイしたのが発売前だったこともあり,筆者はローカルで1人でプレイをしたのだが,Co-op前提ということで敵の数がかなり多く,難度ノーマルでも結構難しい印象を受けた。とくにディフェンスでは,敵を倒しつつ,建物の防衛・修復を行わないといけないため,なかなか大変。やはり4人揃って,役割分担を決めてプレイするのがゲームバランス的にも良いのかもしれない。
もう1つのスクラップモードだが,こちらはマップが5つ用意されており,ルールは「チャレンジ」「フリープレイ」の2つがある。おおまかに2つのルールの違いを説明すると,チャレンジのほうは制限時間内にどれだけオブジェクトを破壊し,スコアを稼げるかを競うモードだ。連続して破壊し続けていくとタイムボーナスが発生し,より高得点を狙える。
最初は5マップのうち1つしか遊べないが,標準スコアを更新するとマップが1つずつアンロックされ,5つすべてのマップでハイスコアを更新すると,さらに別の要素を利用できるようになる。
フリープレイは,時間制限なしで破壊活動を堪能できるルール。チートコードを購入し,さまざまな味付けをして遊ぶことも可能だ。
ハイスコアの更新は1分間という時間制限が設けられていることもあり,なかなか難しい。まずはフリープレイでどこに何があるかを把握し,効率よく移動できるルートを見つけるといいだろう。こちらは1人用のモードだが,オンラインにつながっている場合はスコアがアップロードされ,ほかのプレイヤーと競えるので,ハイスコアの更新がアツそうである。
破壊の爽快感を味わえるTPS
スクラップモードはぜひプレイすべし
惜しむべきは,地下世界を舞台にしているということもあり,全体的に暗いマップが多く,ほかのタイトルと比べて3D酔いを起こしやすそうなところだろうか。オプションで画面の明るさなどを調整できるので,そこは好みで変えてほしいが,かなり暗い場所ともなると,自分が今どのあたりにいるのか分かりにくくなった。
マルチプレイは対戦ではなくCo-opに重点が置かれているので,ぜひここはボイスチャットを利用して,声を掛け合いながらプレイしたいところだ。マップとルールも揃っているし,じっくり遊べることだろう。破壊の爽快感を味わいたい人や,Co-opに魅力を感じる人など,多くのプレイヤーに遊んでもらえるタイトルである。
「レッドファクション:アルマゲドン」公式サイト
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