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刑事が辿る道はひとつじゃない。「L.A.ノワール」で描かれる事件「天国で結ばれた夫婦」の先行プレイレポートを掲載
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印刷2011/07/06 13:34

プレイレポート

刑事が辿る道はひとつじゃない。「L.A.ノワール」で描かれる事件「天国で結ばれた夫婦」の先行プレイレポートを掲載

画像集#004のサムネイル/刑事が辿る道はひとつじゃない。「L.A.ノワール」で描かれる事件「天国で結ばれた夫婦」の先行プレイレポートを掲載
 ロックスター・ゲームスは7月7日,“クライムスリラー”「L.A.ノワール」PS3 / Xbox 360)を発売する。本作は1947年のロサンゼルスを舞台に,新入り刑事がさまざまな事件に立ち向かっていくという,ロックスター・ゲームス初の本格刑事アクションアドベンチャーだ。ゲーム内容についてはこちらの記事で紹介しているので,予備知識がない人は参考にしてほしい。
 さて,いよいよ発売日が迫ってきた本作だが,今回4Gamerは一足お先に「天国で結ばれた夫婦」というエピソードをプレイする機会に恵まれた。本稿ではその内容を紹介していくので,早くロス市警に入りたくてウズウズしているという人は,ぜひチェックしてほしい。ただし,記事の性質上,本稿には若干のネタバレが含まれているので,その点にはご注意を。

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実際の事件を元にしたシナリオ

不可解なひき逃げ事件の真相は?


 本作の主人公であるコール・フェルプスは,ゲーム開始時はパトロール課の制服警官。しかしさまざまな手柄を立てていくことで,交通課,殺人課,風紀犯罪課,放火特捜課と,徐々にステップアップしていくのだ。今回プレイさせてもらった「天国で結ばれた夫婦」は交通課のエピソードで,コール・フェルプスが刑事に昇進した直後に担当する事件だ。
 なお本作には,1940年代のロスで実際に発生した事件が,多く取り入れられている。「天国で結ばれた夫婦」も,1944年のジェイ・ディー・チットウッド氏の死亡事件を元にしており,非常にリアリティのある内容に仕上がっている。ちなみに,実際にあった事件の概要は以下のとおりだ。

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【ジェイ・ディー・チットウッド死亡事件】

 1944年8月10日,トーランスの203番街(事件後にデル・アモ大通りと改名)とウェスタン・アベニューの交差路で,ジェイ・ディー・チットウッド氏が死体で発見される。遺体と現場を検証した結果,交通課の刑事達はチットウッド氏がひき逃げにあって死亡したと結論付け,妻のヘレンは再婚後にサン・ペドロで新しい生活を始めた。
 しかし,それから2年半後の1947年1月,サン・ペドロの刑事達は,ヘレンの男友達が持ち込んできた情報に騒然とする。あの事件はひき逃げなどではないと,ヘレンが事件の真相を告白したというのだ。
 驚いた警察はヘレンを容疑者として拘束し,交通事故から一転,殺人事件として新たに捜査を開始するが,当時作成された検死報告書を確認すると,殺害を示すような記録は残っていなかった。結局チットウッド氏の死因は,自動車との接触による肺の破裂と結論付けられるが,ヘレンはなぜ,何年も経ってからこのような嘘をついたのか? 「ひどく酔っていて,自分でも何を言ってるか分からなかったの。今の夫を怒らせたかっただけ」…‥新聞によると,彼女はそう釈明していた。その後ヘレンは釈放され,ジェイ・ディー・チットウッド死亡事件の捜査は再び打ち切られた……。


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 このように,「天国で結ばれた夫婦」の元になった事件は,とても奇妙な顛末を辿っている。ならば,ゲームでは一体どのような結末を迎えるのか……? 現実の事件を元にしてはいても,結末まで同じにならないというのが,本作の面白いところである。

 さて,この「天国で結ばれた夫婦」事件は,路上に飛び出してきた男が車にはねられるというシーンから始まる。フェルプスは現場へと向かい,死体やその周辺を調査することになるのだが,ここではさまざまな行動を取ることが可能だ。
 死体の頭や腕を動かしてチェックしたり,懐を探ってみたり,血痕から事件発生時の出来事を予想してみたり……。ちなみに,現代では考えられないことだが,フェルプスは素手でガシガシと死体や証拠品に触れている。現代っ子的には「え!? 手袋とかしなくてもいいの!?」と思ってしまうところだが,1940年代当時はこれが普通。こういった細かい部分に“時代”が感じられて,プレイヤーは緻密に構成された世界観の虜になっていくのだ。

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 現場検証が済むと,本作最大の特徴とも言える,関係者への尋問に移行する。本作では「MotionScan」というシステムを導入しており,実在する俳優の演技を完全スキャンしてゲームに取り込んでいるので,相手の表情や仕草を見て証言の真偽を判断することができるのだ。その完成度は凄まじく,目や口元の動きが気持ち悪いくらいにリアルだ。結果,シリアスなシーンなのにクスリと笑ってしまうほどである。
 ちなみに,尋問の結果によってその後の捜査状況が変わるため,プレイスタイルによってはゲーム展開が違ってくるのが本作の面白いところ。筆者の場合は順調に尋問を成功させていった結果,ひき逃げ犯をスピード逮捕することができた……カーチェイスの最中に一般人を巻き込みまくったけど。
 なお,一般人に危害を加えたり,車を壊したりすると,エピソードクリア時のスコアが減点されるので注意しよう。ついつい「Grand Theft Auto」スタイルでプレイしちゃうんだよね……正義の味方は辛いぜ。

 さて,ひき逃げ犯を逮捕したことで事件解決かと思いきや,どっこいそんな簡単な話では済まない。検死から連絡があり,被害者の死因は車による接触ではなく,刃渡りの長いナイフで刺された傷によるものだという。
 その後,捜査線上に浮かび上がってきたのは被害者と近しい女性と,ある男だった。早速現場へと舞い戻って,殺害に使用されたと凶器を探すことになるのだが,筆者はエアコンのリモコンなどをすぐになくすタイプなので,探し物が苦手でずいぶんとモタついてしまった。
 そこで使用したのが,「直感に頼る」というコマンドだ。これは一種のアシスト機能で,直感を使用すると,尋問では間違った答えがひとつ消え,現場検証では怪しい場所がマップに表示されるようになる。ただし使用回数に制限があるので,序盤のエピソードではなるべく使わないほうがいいかもしれない。直感の使用可能回数は,フェルプスがレベルアップすることで増えていくという。

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 とまぁ,直感で楽々と凶器のナイフを発見し,容疑者を逮捕しにいったところ……ヤケクソになった容疑者は突然バーカウンターの下からショットガンを取り出して発砲。フェルプス達のスキを突いて逃げてしまう。
 ここからがクライマックスだ。ショットガンを撃ちながら逃げる犯人と,拳銃を抜いてそれを追うフェルプス。相手は完全にこちらを殺害するつもりでいるため,無傷での逮捕は厳しいと判断し……結果的には犯人射殺という形で事件は幕を閉じることになった。

 プレイ終了後,事件を解決に導いたことで甘い満足感を味わっていた筆者だが,立ち会ったロックスター・ゲームスのスタッフさん曰く「捜査の進め方によっては,違う結末を見られたんですよ」とのこと。話によると,最初の現場検証で凶器のナイフを発見していれば,展開がガラッと変わったらしいのだ。ちなみに,これまでの体験プレイで最初にナイフを発見できなかったのは筆者だけらしい。スタッフさんから「逆に新鮮でした」と気を使われたが,それ微妙にフォローになってないです……悔しい……。

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 まぁ,とにかく! 捜査の過程によってさまざまな展開を見せてくれるのは,「L.A.ノワール」ならではの素晴らしい魅力だということだけは間違いない。一度クリアしたミッションは,その後に繰り返しプレイが可能なので,筆者のようなボンクラ刑事からコロンボ級まで,推理力に応じたゲームプレイを楽しんでほしいところだ。

 もう発売直前だというのに,止まらないこのウズウズ。今回の先行プレイで下手に触ってしまったため,余計に待ち遠しくなってしまった。とにかく本作の凄さを知ってもらうためには,実際に触ってもらうのが一番だろう。ここまで細かく刑事の仕事を再現したゲームは,過去に類を見ない。間違いなく,刑事モノではトップに位置する作品である。さすがロックスター・ゲームス。ならず者を描かせたら右に出る者はいないが,正義の味方も魅力タップリだ。
 従来の刑事モノとは一線を画す「L.A.ノワール」。過去に刑事に憧れた経験のあるゲーマーには,必ず遊んでほしい作品である。あ,あと映画の「L.A.コンフィデンシャル」とか観ていると,さらに楽しめると思うよ!

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