［E3 2010］映像表現はマジパネェんすけど，参考にしたのはハリウッド映画じゃなくてYouTubeだって!?　「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」の開発者二人に話を聞いてきた

　それぞれに事情を抱える二人の凶悪な元死刑囚，ケインとリンチが主人公の「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」（PC / PlayStation 3 / Xbox 360）は，2007年にリリースされた前作「Kane & Lynch: Dead Men」（PC / PlayStation 3 / Xbox 360）の正統続編となる三人称シューティング（TPS）だ。
　長らくPCゲームをプレイしているゲーマーにとっては，Hitmanシリーズで有名なデンマークのデベロッパ，IO Interactiveの最新作といったほうが分かりやすいかもしれない。


　日本ではSQUARE ENIX EXTREME EDGES（スクウェア・エニックス エクストリームエッジ）レーベルから，2010年8月26日にPlayStation 3版とXbox 360版の発売が予定されている。

SQUARE ENIX EXTREME EDGES公式サイト

Karsten Lund氏（左）はシングルプレイ用ストーリー関連を担当，Kim Krogh氏（右）はマルチプレイ周りを担当したという

　今回，スクウェア・エニックスブースで，IO Interactiveの開発者であるKarsten Lund氏とKim Krogh氏のお二人に，本作について直接プレゼンしてもらうことができた。ここでは，その概要をお伝えしよう。

　「ケイン アンド リンチ 2」を作るに当たってまず決めたことは，評判の良かった部分であるメインキャラクターと暴力的なストーリーのテイストについては変えないこと。そして，それ以外の部分について，大きく手を入れたそうだ。
　お二人によれば，とくに気をつけたのは“信じやすさ”。これは，単にゲーム内の要素を“リアリスティックにする”のではなく，「これは本物らしい」と，“より臨場感を得られる”ことを追求したとのことだ。


　とくに力が入っているのはビジュアル面で，本作では，この作品にマッチした臨場感を作り出すために，ハリウッド映画ではなく，YouTubeにアップされている映像をお手本にしたそうだ。
　確かに本作の画面は，光の感じや画面のざらざらした印象，色味の管理がされていないように見える映り方，手ぶれや乱暴なカメラワークなど，プロの技とは思えないようなものになっている。
　これらは，町で起きた変わった出来事（たとえばケンカなど）を，素人が乏しい腕と機材でたまたま撮って，それをそのまま動画サイトにアップロードしたような雰囲気を出すため，意図的に採り入れられた技法だというわけだ。
　これは，実際に映像を見てもらったほうが分かりやすいだろう。以下にE3 2010で公開されたプロモーションムービーを掲載したので，ぜひ目をとおしてほしい。


　また，TPSとしてのシステム部分も，新しいものを作るつもりで大きく手を加えたそうだ。
　具体的なところでは，ボタン一つで障害物の裏に身を隠すことができるカバーリングシステムや，エイミングのメカニクスを刷新したそうだ。AIもかなり改善され，敵キャラクターはより自然に，かつ複雑で人間らしい動きをするようになっているとのこと。



　そしてマルチプレイ関連も，前作と比べるとだいぶ改良されている模様である。
　本作のマルチプレイモードは，前作にもあった「Fragile Alliance」に加え，「Undercover Cop」「Cops＆Robbers」の二つが増え，合計で3種類のモードが用意される。
　Fragile Allianceは，はじめは皆が泥棒役としてスタートし，協力して金を盗むことになる。しかしそのあとは，その金を独り占めするために裏切って，味方を撃つこともできる。モード名の「もろい信頼関係」が示すとおりである。
　なお，裏切りによって倒されたプレイヤーは警官役としてリスポーンする。つまり，裏切りの復讐ができるということだ。

　Undercover Copは「潜入捜査官」といった意味で，Fragile Allianceのルールに加えて，泥棒の中に一人だけ覆面警官役が混じることになる。覆面警官役は，仲間の後ろから撃つなど，泥棒の妨害を行っていく。周りに気取られないように，カムフラージュとしてたまに警官に向けて発砲する必要もあるが，実際に警官に当ててしまってはいけないのだそうだ。

　Cops＆Robbersは，警察側と泥棒側に分かれて戦うチーム戦で，いわゆるケイドロ（もしくはドロケイ）だ。泥棒の目的は金を盗むこと，警官の目的は金を守ることだ。

　これらのマルチプレイモードをデザインする際に念頭に置いたのは，Greed（強欲），Betrayal（裏切り），Revenge（復讐）の三要素であったという。
　そのおかげで，「ケイン アンド リンチ 2」のマルチプレイモードは，「周りの誰も信じられない」という，本作独特の緊張感と面白さを持つものに仕上がったと，Krogh氏は述べていた。

　最後にLund氏とKrogh氏は，日本のファンに向けて「コントローラを握って実際にプレイしてもらうことで，きっと面白さが分かるはずなので，ぜひプレイしてほしい」と，コメントをくれた。


　今回紹介したような，独自のチャレンジを多数盛り込んだ「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」は，冒頭でも書いたように，日本では2010年8月26日にPlayStation 3版とXbox 360版が発売される。
　筆者も，本作の映像の臨場感とユニークさは特筆ものだと感じたのだが，これは実際に見てみないとなかなか伝わりにくいものである。ぜひ今回の記事内に掲載したムービーをチェックしながら，今後の情報公開を待ってほしい。