プレイレポート
「龍が如く」の血脈をしっかりと受け継いだ,若き龍の物語。ついに発売された「クロヒョウ 龍が如く新章」のプレイレポートを掲載
今回は,「クロヒョウ」の序盤部分と,シリーズ初となる通信対戦を実際にプレイしたので,そのファーストインプレッションをお伝えしよう。
暴力の渦に巻き込まれた若い主人公の物語
主人公・右京龍也は,高校を退学して喧嘩に明け暮れている若者。龍也は東城会の組員を名乗って闇金融の事務所を襲撃するが,そこで出くわした東城会直系九鬼組の戸田を誤って殺してしまい,九鬼組から追われる身となる。そして九鬼組に捕われた龍也は,戸田殺しの隠蔽と引き換えに,地下格闘場「ドラゴンヒート」に出場する――というのが本作のプロローグだ。
ここまでで感じられるのは,「龍が如く」シリーズの主人公・桐生一馬には大人の風格が漂っていたが,龍也は未成熟で後先考えずに行動しているという,無鉄砲な凶暴さが目立つ点だ。今後の物語の中で龍也がどのように成長していくのか,それともその生きざまを貫き通すのか,気になるところだ。
「神室町」の自由度はこれまでのシリーズどおり
プレイスポットももちろん充実
本作では目的地の方角が矢印で表示されるので,「クロヒョウ」が初めての「龍が如く」という人でも,指示に従えば迷うことは少ないはずだ。プレイしているうちに,自然と神室町の地理を覚えられるだろう。
もちろん,神室町ならではの多彩な店舗やプレイスポット,それにサブストーリーで寄り道する楽しみも健在だ。「松屋」で牛めしを食べて体力回復とともに経験値を獲得したり,コンビニや「ドン・キホーテ」で買い物をしたり,「CLUB SEGA」でUFOキャッチャーの景品を狙ったり,バッティングセンターでホームラン数を競ったりと,無数の“寄り道”が用意されている。
また,主人公は未成年という設定ではあるが,キャバクラやポールダンス,マッサージといったオトナのたしなみも,しっかり体験できるのでご安心を。
登場するキャラクターの年齢が若いためか,それとも序盤だからか,普段の戦闘で手に入るお金が,従来のシリーズと比べると若干少なめに感じられた。いまのところまだ体験できていないのだが,本作の新要素としてミニゲーム形式でお金を稼げる「アルバイト」があるので,戦闘よりもアルバイトでお金を貯めることになるのかもしれない。
正直なところ,プレイ前は神室町の自由度がPSPでどれだけ再現されているのか不安だったのだが,実際に遊んでみるとその充実ぶりに驚かされた。サブストーリーも充分な数が用意されているようなので,本編を攻略しつつサブストーリーのコンプリートを目指せば,相当なボリュームが味わえそうである。
多彩な「格闘スタイル」が登場
ドラゴンヒートの容赦ない難度に注意!
ゲーム序盤ではデフォルトの「喧嘩」しか選択できないが,ストーリーの進行や成長に応じて「ボクシング」「プロレス」といった様々なスタイルが登場する。経験値を稼げばスタイルもレベルアップしていくので,お気に入りのスタイルで技を磨くといいだろう。
また,戦闘画面では体力ゲージが表示されない。そのため,キャラクターのふらついた足取りなどから,敵の残り体力を推測することになる。相手がいつになったら倒れるのかわからない,非常に緊張感のある状況での戦闘になるのだ。次回作の「龍が如く OF THE END」……では難しそうだが,次々回作を作るなら,ぜひ取り入れてもらいたいと,個人的には感じられた。
戦闘はシンボルエンカウントで,神室町をたむろしている不良に接触するとケンカバトルが開始する。相手を倒したさいは,相手を自分の仲間にできることもある。仲間にした不良は,通信対戦のプレイヤーキャラクターとして使用できるので,スタイルが優秀な不良を見つけたらぜひ仲間にしたいところだ。
そして,思う存分神室町を満喫したら,ドラゴンヒートでのボス戦に挑むことになる。龍也のデビュー戦の相手となるのは「空手界のモンスター」ことTOMOKIだ。
TOMOKIは,プロ格闘家デビューが決まっているほどの実力者というだけあって,神室町で相手にしてきた不良達とは比べものにならないほど強い。迂闊な攻撃はほぼ確実にカウンターで返され,あっさりダウンを奪われてしまう。
そのため,相手の猛攻を回避し,僅かな隙を見逃さずに反撃する必要があるのだが,言うは易し行うは難し。筆者は,初戦ではあえなくTOMOKIに敗れてしまい,コンティニュー後の2戦目でなんとか勝利した。ちなみにセガに聞いたところ,何度もゲームオーバーを繰り返すと,再戦時に難度を下げられるようになるそうだ。
さて,龍也の当面の目的は,ドラゴンヒートで10連勝すること。目的や初戦の難度の高さから察するに,今作ではこれまで以上に,ゲームにおける戦闘のウェイトが高そうである。もちろん,ゲーム開始時に難度設定ができるし,戦闘中に回復アイテムも使えるので,アクションが苦手でも対策をしっかり練れば,クリアできずに行き詰まることは少ない……と思う。
戦闘といえば,UMDからのロード時間を気にする人もいると思うが,メディアインストールをした状態でプレイすれば,戦闘開始前のロード時間はかなり短く感じられた。快適にプレイしたい場合は,メディアインストールできるだけの容量をメモリースティックに確保しておこう。
「通信対戦」敗者のペナルティは土下座!
そしてチーム解散も?
先にも述べたように,通信対戦での使用キャラクターはゲーム本編で仲間にした不良達となる。キャラクターごとに使用する格闘スタイルが違うため,格闘スタイルの相性も勝敗を左右するポイントになりそうだ。
「土下座バトル」の特徴は,その名の通り,敗者が勝者に土下座しなければならないことだ。しかも,土下座だけでも充分屈辱的であるにもかかわらず,勝者は敗者の頭を踏んだり罵倒の言葉をかけたりできる。
「タッグマッチ」では味方と協力してツープラトンの攻撃を繰り出すことが可能。敵の妨害もあるため実際に成功させることは難しいが,攻撃が決まった時の爽快感は格別だ。
まだそれほど長い時間遊んではいないのだが,通信対戦はかなり夢中になれるので,ぜひ友人と対戦してみてほしい。
「クロヒョウ」をプレイして感じたのは,「龍が如く」の醍醐味を抽出しつつも,PSPというプラットフォームに最適化すべく,「クロヒョウ」独自の魅力がプラスされていること。単に「龍が如く」をPSPに持ってきたのではないことが,はっきりと感じ取れた。
また,世界観は共通ではあるが,ストーリーは独立しているので,「龍が如く」シリーズ未経験の人でも,すんなりと入り込めるだろう。
4Gamerでは,「こちら」に「クロヒョウ」の体験版をアップしているので,興味を持った人は,ダウンロードしてまずは「クロヒョウ」の世界を垣間見てほしい。
「クロヒョウ 龍が如く新章」公式サイト
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クロヒョウ 龍が如く新章
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