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[GDC 2010]Netbookでゲーム? Atom搭載PCは携帯型ゲーム機の夢を見るか
とはいえ,Netbookの売れ行きは凄まじく,すでに出荷台数は4000万台に達する。2013年中には1億4000万台近くに達するとの試算も出ているようだ。6か月ベースで見ると,この普及率はiPhoneやWiiをも上回るのである。
普通のWindows PCだと思うからダメな子なのであって,最初から別物のプラットフォームだと考えて,新たなゲーム市場を築こうというのが,このセッションの主旨となっている。
ゲーム用としてあらためて考えると,Netbookの抱える問題点はかなり多い。
キーボードが小さい
1024×600ドットと画面が狭い
CPUが遅い
グラフィックス機能が貧弱
普通のPCとはちょっと違うので,いくつかの問題点に注意して開発しなければならないということで,IntelらしくCPU部分から解説が行われた。
まず,Atomでは命令のOut of Order実行ができない。これは,CPUが命令の並び順を見て,実行効率が良いように自分で並べ換えて実行する機能で,CPUの特性が多少変わってもCPU側で最適化するので,CPUの種類ごとに実行ファイルを用意しなくても,最適なパフォーマンスが得られるというメリットがある。
とはいえ,ないものは仕方がない。Netbookをターゲットにしたゲームであれば,実行ファイルを作る時点でAtom用に並べ換えておくのが望ましい。これはIntel Compilerでサポートされている機能であり,これをやっておくだけで,プログラムの実行速度が1.2倍から1.3倍は高速化するという。
順番に処理していくとパフォーマンスが落ちてしまう |
命令の順番を入れ換えておけばパフォーマンスは落ちない |
グラフィックス機能でも注意が必要だ。GMA945や3150では,サポートされているのはShader Model 2.0まで。また,GMA500を除くと頂点処理をソフトウェアでやっていることや,テクスチャ圧縮方式において制限がある。GMA500であれば制限は少ないのだが,GMA945の存在を無視するわけにはいかない。
できるだけ不得意な部分を避け,得意な部分を生かしてやる方向でのプログラム開発が望ましい。
命令の順序はあらかじめ入れ換えておく,というのもそうだが,画面は狭いのだから必要最低限の情報以外は出さないとか,絶対座標でUIを表示するのはやめようとか,バッテリの状態は必ずチェックしようというのも,一般的なPCゲーム開発では見過ごされがちな点であろう。
米粒サイズ(ただしインディカ米)のCPUは,すでに携帯型PCのあり方を変革したことは間違いない。Intelが提供するLaptop Gaming TDKでは,アドホックなネットワーク接続ができるようにするなど,まさにニンテンドーDSやPSPのような方向を狙っているように思われる。
今後「Netbook」がゲームプラットフォームとして確立されるかは不明だが,ブラウザゲームや2Dゲーム以外にも楽しめるゲームが増えてくれば,Netbookユーザーには朗報となるだろう。今後の動向に注目したい。
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