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連載
海外ゲーム四天王 / 第30回:「Wings of Prey」
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敵機発見! てーっ! はずれ。グルーっと回って,敵機再発見! てーっ! はずれ。グルーっと回って……ああ,リアル系のフライトシミュレータって,なんて面白いのだろう! という気分を久々に味わえるのが,今週紹介する「Wings of Prey」である。
ゲーム紹介に入る前にまず驚きたいのが,開発したのがロシアのGaijin Entertainmentであるというところ。Gaijinといえば,もちろんあの「Xブレード」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)によって日本での認知度を一気に高めたメーカーで,露出の多い服を着たジャパンアニメ調のヒロイン“アユミ”が,鉄砲つきの大刀を振るってモンスター相手に大暴れするというゲームを作ったデベロッパの次のタイトルが,第二次世界大戦を背景にした戦闘機フラシムだったのである。これはビックリ!
もっともこのGaijin,日本に(北米もそうみたいだが)入ってこないので知られていないだけで,FPSからレーシングまで,けっこう多ジャンルにわたるゲームをいろいろ制作してきた会社のようだ。彼らが「薄着ギャルが当たったので,次はもっと薄着にしよう」という安直な方向に行かなかったのが,嬉しいやら悲しいやら。
2010年1月7日に掲載したデモ版記事にもあるように,本作はPlayStation 3/Xbox 360用ゲームとして2009年9月にリリースされた「IL-2 Sturmovik: Birds of Prey」をPC向けにしたものだ。PCにポーティングするに当たってタイトルが変更され,ついでといっちゃなんですが,NVIDIA SLIにも対応した(関連記事)。
IL-2 Sturmovikといえば,2001年に発売された「IL-2 Sturmovik」を元祖とするシリーズで,「IL-2 Sturmovik: Forgotten Battles」(2003年),「Pacific Fighters」(2004年),「IL-2 Sturmovik: 1946」(2006年)など,これまで数多くのタイトルがリリースされてきたフラシムファンおなじみのもの。ちなみに,PC向けのリアル系コンバットフラシムとしては,ほかにMicrosoftのCombat Flight Simulatorシリーズが高い人気を誇っていたが,2002年の「Combat Flight Simulator 3: Battle for Europe」で息切れしちゃったらしいので,IL-2 Sturmovikは,コンバット系のフラシムファンにとって唯一無二,まさに孤高のシリーズといえるだろう。そんなシリーズの最新作が本作になるわけだが,従来作がすべてロシアのパブリッシャ/デベロッパである1C Companyの手によって開発されていたのに対し,本作は上記したようにGaijin製。コンシューマ機向けのバージョンが出たのもシリーズ初なので,ゲーム性には微妙な違いがあるはずだ。それが吉と出るか,凶と出るか? 前置きが長くなったが,さっそく戦闘開始だ。
ゲームの難度としては,「Arcade」「Realistic」「Simulator」の三種類が用意されており,この順で難しくなっていく。違いは敵の堅さや機体の安定具合,ミニマップやブラック/レッドアウトの有無などだが,燃料と弾薬に制限をつけるかどうかは,どの難度でも選べる。
もちろん,オススメするのは,だんぜんArcadeだ。Arcadeになると機体は安定し,空中戦で激しい機動をしても全然平気で,敵機は数発の弾丸を食わせただけで飛散し,背もグングン伸びて女の子にモテモテになる。ここだけの話にしてほしいが,これまでのシリーズを半泣きでプレイしていた筆者も,エースパイロットの気分を満喫できたほどだ。
掲載したスクリーンショットからも分かると思うが,グラフィックスのレベルは非常に高く,時代が違うといえばそのとおりなのだが,PC向け従来作をしのぐデキだ。燃え上がるスターリングラードやベルリン,ドーバーの白い海岸など,一見の価値あり。
登場する機体はイギリス,ドイツ,アメリカ,そしてイタリアから46種類(搭乗できない機体も含む)で,シリーズでおなじみだが,読み疲れるほど詳細なデータが参照できる。ただし,シングルプレイの場合,機体はミッションに固定されており,「オレは今日Ar 234Bでロシア上空を飛びたい気分」というわけにはいかないのが残念だ。地上のグラフィックス同様,機体のモデリングやコクピットの描き込みも抜群である。
難度RealisticとSimulatorは,もちろん上級者向けで,従来作の熱烈プレイヤーはこちらをオススメしたいが,イヤならいいです。とはいえ,どのミッションでも離着陸の必要はなく,目的地のほぼ上空を飛んでいる状態でスタート。「一定数の敵機の撃墜」や「地上目標の破壊」といった目的を達成した時点で自動的にコンプリートになるのだ。そのため,橋は爆弾で壊したし,敵機も撃退したが,最後の着陸で墜落してミッション失敗という,泣くに泣けないが泣くしかない事態はおおむね避けられる。全体として,従来作に比べてかなりカジュアルになったという雰囲気だ。
結論としては,従来作の面倒な部分を適宜オミットして,ビギナーからベテランまで楽しく遊べる一本になっている。この手のゲームをほとんどプレイしたことがないという人でも,空中戦の面白さを十分に味わえる。玄人向けという印象の強いコンバットフラシムだが,これならオススメだし,新作がほとんど出てこないジャンルに,ここまで作り込んだ新作を投入してくれたGaijinの心意気を買いたい。私に買われても困るだろうけど。蛇足ながら,ジョイスティックは必須だと思うなあ,ぼかぁ。
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- 編集部:松本隆一
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