インタビュー
「LuviniaSaga」はギルド戦の導入で大きく変わる。運営チームが語る今後の展開とは
今回,4Gamerではゲームオン 第一事業部 部長 野田真央氏およびLuviniaSaga 運営チーム チーフ徳倉龍太氏に,今回の大型アップデートの概要と,2012年1月の正式サービス開始以降の動向を踏まえた同タイトルの今後の展望などを聞いてみた。
ゲームオン 第一事業部 部長 野田真央氏 |
ゲームオン 運営チーム チーフ徳倉龍太氏 |
予想を超える反響,そして今後を考えるうえで
2011年11月のLuviniaSagaのCBTは,最初に実施を告知/募集した2010年10月時点の参加希望者を優先するという形で行われた。1年ほど空いたために,運営チームとしてはどれだけの人がLuviniaSagaに関心を持ち続けてくれているのかが不安だったそうだが,予想以上の反響があり,追加募集を実施した。野田氏は,非常にいいスタートを切れたのではないかと述べ,「LuviniaSagaを支えてくれたテスターの皆さん,そして運営チームの提案を受け入れてくれた開発元のおかげです」と感謝の意を示した。
好調なスタートを切った本作だが,実際に遊んでいる人達の感想はどんなものだったのだろうか。それを知り今後に活かすためにリアルな意見を求めて,正式サービス開始から3か月経過した2012年4月に,特典などを用意せずにプレイヤーアンケートを実施した。野田氏は,その結果をもとに,以下のように分析した。
最初は声優きっかけでも,ゲームの中身自体を楽しむプレイヤーが多数
日本展開の大きなウリに据えたボイスだが,LuviniaSagaに興味を持ったきっかけとして,回答者の4分の1を超えるプレイヤーが声優陣を挙げていることからも,運営チームの思惑とターゲットに据えたプレイヤー層が合致したと言えるだろう。しかし,その一方ではゲームとしての面白さを伝えることができていなかったのではないかと,野田氏は言う。
ルビニアをプレイしたきっかけ | 割合 |
声優を起用しており,興味が湧いた | 27% |
ゲーム性に興味があり始めた。 | 10% |
友達からの誘いにより始めた。 | 17% |
WEB広告を見て始めた。 | 13% |
ゲームポータルサイの記事で興味が湧いた。 | 7% |
GameOnの他タイトルをプレイしており,プレイしてみた。 | 6% |
オンラインゲームを多数プレイしており,とりあえず始めた。 | 19% |
「声優陣や日本仕様のフェイスパターン,あるいはイメージイラストをプッシュするあまり,「LuviniaSaga」がゲームとしてどう面白いのかをお伝えすることがおざなりになっていました。そもそも私達は,面白いゲームだと自信があったからこそ日本でサービスしようと考えたわけですから,もっとゲーム的な側面もアピールすべきだったのではないか,と。
ところがフタを開けてみると,声優陣やイラストを目当てにしたプレイヤーが,レベル1からスタートしてレベル10,レベル20とプレイを継続してくださったのです。運営チームとしては,オープンサービス開始初日に多くのプレイヤーに来ていただけた半面,その直後に多くの人が離脱してしまう可能性もあるとの不安もあったのですが,オープンサービス開始1週間後の1月18日の正式サービス開始時にはワールド(サーバー)を増設するなど,プレイ継続率が他タイトルと比べても高い数値を記録するという結果となりました。これは『ゲームとしても面白い』と評価してくださった結果だろうと,私達は捉えています。なお,この3か月間の皆さまのプレイによって,新規プレイヤーに広く受け入れられるタイトルであるという自信を得られたので,5月18日に新ワールドをオープンさせます。」(野田氏)
ちなみにこのアンケートには,日々LuviniaSagaを遊んでいる人のおよそ5人に1人が回答したとのこと。特典などを用意せずにこれだけの回答率を得られたことを踏まえて野田氏は,「ゲームの現状に対する強い要望や,今後の展開に期待を抱いているプレイヤーが多い」からと話す。
さらにアンケートの結果から回答者がオンラインゲームに精通していることがうかがえ,人気の競合タイトルと比較してもゲームとしての内容やボリュームが満足できると評価されているという。その上で,他タイトルとの差別化を図った声優陣の起用(ボイスコンテンツ)とボリュームのあるクエストといったゲームコンテンツの充実が,LuviniaSagaが支持される要因となったのではないかと,氏は分析した。
これまでプレイしたオンラインゲームタイトル数 | 割合 |
1タイトル(初めて) | 5% |
2〜3タイトル | 21% |
4〜6タイトル | 21% |
8〜10タイトル | 14% |
10タイトル以上 | 38% |
可愛いキャラとPKの緊張感を両立させた独特のオンラインRPGに
プレイヤーから良い評価を得ているとはいえ,現状の「LuviniaSaga」には課題も多い,と野田氏は話す。大きなものは,2012年4月期のプレイヤー分布表に現れているとおり,レベルキャップに近い高レベルプレイヤーと,レベル41〜50ぐらいの中堅プレイヤーの割合だ。ほかのゲームとくらべるとプレイヤー分布図がいびつな形になっているのだという。
「コンテンツの消費速度は,我々の予想を超えるものでした。したがって高レベル帯向けコンテンツを続々と投入しないことには,せっかくそこまでキャラクターを育ててくださったプレイヤーがゲームに飽きて離脱してしまうことにつながりかねません。
また,中堅レベルのプレイヤーの割合が多くなっていることに関しては,レベル上げで詰まっている,あるいはレベルを上げるモチベーションが多少弱まってしまうといった要因があると予想できます。いずれにしても早急かつ適切なケアが必要と考えて,対策を練っています」(野田氏)
プレイヤー分布図(クリックで拡大します) |
PKに関するプレイヤーの意識・希望をどう捉えるか
もう一つの課題はPKに関するものだ。上記のアンケートでは,実に37%というプレイヤーがPKを嫌っており,同じ国家に所属するプレイヤー同士であってもPK可能な仕様に対しては,改善要望が集まっているという。一方で,「可愛いだけじゃなく,PKのように緊張感のある要素があるからこそ面白い」という意見も多く寄せられているそうで,運営チームとしてはPKのうまい落しどころを模索していると,野田氏は話す。
「開発元は,本国でのLuviniaSagaのコンセプトとして"PK"を掲げており,それを変えてしまうと,まったく別のゲームになってしまうという認識です。運営チームでも,開発上のコンセプトを無下にはしたくないので,なくす方向ではなく,ほかのタイトルにはないLuviniaSagaならではの魅力に転換したいという思いがあります。
しかし,実際に不満を抱いているプレイヤーも多いので,ゲームを運営していくうえで『仕様だから』と割り切ってしまうわけにはいきません。そこで2012年4月5日に,運営ポリシーとして,PK行為を制限することを表明しました。
またシステム的にPK撤廃とまではいかなくとも,例えば,レベル差のあるプレイヤーへのPKを制限する仕様について,開発元と協議を続けています」(野田氏)
ルビニアのゲームプレイで一番楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか |
ギルド・PTプレイ |
カード・レアアイテム・生産アイテム収集 |
キャラクターの成長 |
装備の成長 |
ダンジョン攻略 |
イベント・クエスト |
PvP |
ボイス |
ルビニアのゲームプレイで一番つまらないと感じる瞬間はどんな時ですか |
通常マップでPKされる |
クエストが途切れレベリングが遅い・狩りが単調 |
ゲーム内のラグ |
装備・カードドロップ率が低い |
レアアイテム・クエスト・生産アイテム収集 |
装備強化が失敗しやすい |
PvP |
仕様の不満 |
BOTや迷惑者がいる |
装備・職業バランスが悪い |
その他 |
オンラインRPGの王道を目指し,「3C」の要素を拡大していく
そうしたLuviniaSagaの課題と,ゲーム内の現状を踏まえ,今後はオンラインRPGの三大要素──すなわち"キャラクター育成""コレクション""コミュニティ"をより強化していくと,野田氏は力強く語る。
その第1弾となるのが,コレクション要素を強化するために2012年4月に実装した「ボイスコレクション」だ。これは声優1名あたり,挨拶など90種類以上のボイスを追加し,プレイヤーが自由に設定できるようにする機能で,今後も拡充していくという。
続いて,2012年5月18日に実施されるアップデートでは,コミュニティ要素の強化を図るため,中高レベル帯向けの2つのコンテンツが導入される。野田氏いわく「どちらもこれまでの消費型とは異なる,繰り返し楽しめるコンテンツ」とのこと。
その一つ「アルトー戦線」は,いわゆるギルド戦で,このコンテンツは中国では高レベル帯向けコンテンツとして実装済みである。
「今回実装するギルド戦は,高レベル帯のプレイヤーに育てたキャラクターの見せ場を用意し,それを見た中レベル帯のプレイヤーが『早くレベルを上げて活躍したい』と思ってもらえるようなものを目指しています。
現状ではレベルキャップに達したプレイヤーが,育成したキャラクターを活躍させる具体的なコンテンツがありません。ですので,実力が拮抗しているプレイヤー同士が競技的に勝敗をつける場として利用してほしいです。また,中レベル帯のプレイヤーが参加できる仕様の変更も,開発元と現在協議中です。」(野田氏)。
戦塵の岩 |
「戦塵の岩は採集した資源を奪い合う勢力対抗のPK発生確率の高いコンテンツです。実はこのコンテンツの人気が非常に高く,普通であれば同時接続者数がピークに達する週末よりも,戦塵の岩が行われる月曜日のほうが多いんですよ。その事実を鑑みると,潜在的に競技的な対人戦を好むプレイヤーも多いと考えられ,ギルド戦が大きく盛り上がるのではないかと期待しています」(徳倉氏)
また,中レベル向けコンテンツとして新たに実装される「ザンタ狩猟祭」は,レアモンスターを討伐するクエストだ。クエストを受託すると,キーアイテムを収集することになり,それらをマップ上の特定の場所で使用することで大型のレアモンスターが登場する。そのモンスターを見事討伐すると,報酬としてベルト/マントと交換可能な「ザンタ勇者のエンブレム」を入手できるという流れだ。
なお,レアモンスターはレベル帯ごとに数種類が存在し,クエストを受託するまではどのモンスターがターゲットになるか分からない。そのため,繰り返しプレイしても飽きにくく,「レベル上げの作業感を軽減できるのではないか」と,徳倉氏は期待をのぞかせる。
結婚のメリットは専用バフのかかるリングや,結婚式用のアバターアイテムなどがもらえる,というのが中国版での仕様だが,日本で実装するときには専用クエストを用意するなど,何かしらのプラス要素が検討されている。
さらに,同性キャラ同士で結婚した場合も,同様の効果が得られるようなシステムの導入も,別途検討中とのことだ。
キャラクター育成については,レベルキャップが従来の83から89に引き上げられ,今後もゲーム内の動向に合わせて随時レベルキャップが開放されていく。
また今回のアップデートでは,レベル86までを対象とする新マップ「アビス城」が実装される。このマップで受けられる専用クエストでは,報酬として従来のレア等級「星屑」を超える最上級装備アイテム生産用素材が手に入るとのことだ。
2012年内にはまだまだ盛りだくさんの内容を予定
「ほかにも2012年内の予定として,すでに開発元と企画/検討しているコンテンツがあります。一つは,装備に装着するカード自体にレベルの概念や属性を持たせるシステムです。現状では,同じカードを装着した武器は同じ性能となってしまいますが,このシステムが実現すれば,今まで以上に個性を出せるでしょう。
もう一つは国家戦です。企画意図は基本的にギルド戦と同様,高レベルのお客様の活躍の場を作ることですが,加えてプレイヤーが二つの勢力のどちらか,あるいは6か国いずれかに所属するというゲーム上の設定を生かしたいという思いもあります」(徳倉氏)
“声に恋する”から“ゲームそのものに恋する”オンラインRPGへ
ちびルビ★サーガ |
またプレイヤーの意見と要望を汲み上げる機会としては,アップデートごとにアンケートを実施し,開発チームに向けた改善提案の材料としていくという。さらに野田氏は,2012年5月27日に開催される「ゲームオンフェスティバル 2012」のようなオフラインイベントのような機会には,氏自身が会場へ行き,来場したプレイヤーに直接話を聞きたいとも話していた。
最後に,両氏からのプレイヤーに向けたメッセージを掲載しよう。
「私は個人として,今後のLuviniaSagaに二つの野望を抱いています。一つは,せっかく豪華な声優陣を起用しているわけですから,それを生かしてアニメ作品とタイアップができないかということです。これはプレイヤーからもご要望をいただいていますので,ぜひ実現したいです。
そしてもう一つが,対人戦が好きなプレイヤーと,まったりオンラインRPGを楽しみたいというプレイヤーが共存できる環境の構築です。どちらを優先する,どちらに重きをおくということではなく,LuviniaSagaでは双方のお客様を大切に扱っていきます」(徳倉氏)
「LuviniaSagaがCBT延期を経て,なぜ現在に至ることができたのかと言えば,ひとえにプレイヤーが期待し,愛着を抱いてくださったからです。その点に関しては,言葉に表せないほど感謝しています。また,サービス開始から4か月しか経っていない新規タイトルであるにも関わらず,プレイヤーに楽しんでいただけているという意味において,日本の提案を受け入れ,仕様調整,新規開発を実施してくれた開発元の尽力にも感謝しています。
そこに私達が微力ながらエッセンスを加えることで,LuviniaSagaをより楽しいタイトルにしていきます。まずは2012年5月18日のギルド戦導入で大きな変化をお見せしますので,ぜひ期待してください。そのあとも,どんどんアップデートしていきます。これまでは"声に恋する"をキャッチコピーとしてきましたが,今後は声だけでなく,ゲーム内のさまざまな要素との自由な恋をお楽しみください。ほかのタイトルへの浮気はしないでください(笑)」(野田氏)
「LuviniaSaga」公式サイト
- 関連タイトル:
LuviniaSaga
- この記事のURL:
(C)2012 Shanda Games Limited All rights reserved.
(C)2012 GameOn Co., Ltd. All Rights Reserved.