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A列車で行こう9 連載 / 第3回:「224種類の収録車両と赤字対策です,社長!」
前回は,「A列車で行こう9」において都市の発展に欠かすことのできない「子会社」と,毎年容赦なくガッポリ持っていかれる「税金」についてレクチャーした。つい調子に乗って子会社を次々に建ててしまい,5月1日までに資金を工面できず倒産してしまった……などという悲しい状況は,これで格段に減ったことだろう。
さて第3回となる今回は,過去のA列車シリーズと比べても最多の収録車種を誇る「鉄道車両」の紹介,そして会社の資金を食いつぶしていく「赤字部門」の対策について触れていこう。
ちなみに前回の冒頭で触れたが,3月4日にリリースされたアップデートパッチ「Version 1.00 Build 096」は,ぜひダウンロードして適用しておこう。このパッチでは不具合修正やバランス調整だけでなく,ファンの間で賛否両論あった時間の流れについても手が加えられているのだ。
時間の流れについて簡単に書いておくと,これまでは,駅のホームから列車が出るだけで1時間が経過したり,発車した列車が始発駅に戻るのに2日間ほどを要したりといった具合で,時間の流れが非現実的なため細かいダイヤ調整を生かすことができなかったのだ。
これがBuild 096パッチを適用することで,「マップコンストラクションモード」で作成したマップに限り,時間の流れを「450倍 / 120倍 / 60倍 / 30倍」から選択できるようになる。これにより,(完璧にではないが)ある程度は緻密なダイヤ設定に意味が出てくるようになったのだ。とはいえ,ダイヤ設定についてはまだまだ融通の利かない部分が多いため,多くの列車をコントロールするのは難しい。この辺も今後のパッチで改善されることに期待したい。
なお,「ニューゲーム」でプレイできるマップでは時間の流れを変更できないが,大都市構想については60倍モードに設定された「大都市構想EX」という新マップが用意されているので,時間の流れの違いでどのくらいゲーム性に影響が出るのか,比較プレイをしてみるといいだろう。
A列車シリーズの主役は,いうまでもなく列車だ。「9」でも実在する日本全国の鉄道会社の車両が収録されており,その数なんと過去最高の224種類にもなる。過去のA列車シリーズからお馴染みの列車もあれば,前作「A列車で行こう8」には収録されていない車両も60種類収録されており,鉄道マニアの人も大いに楽しめることだろう。ここでは登場列車を鉄道会社別に見ていこう。
JR東日本 キハ40系(みのり)−陸羽東線等「リゾートみのり」
JR東日本 E259系−総武本線等「成田エクスプレス」
JR東日本 E751系−東北本線「つがる」等
JR東日本など C57形蒸気機関車+12系
JR西日本 381系(ゆったりやくも塗装)−伯備線等「やくも」
JR西日本など 285系0番代−寝台特急「サンライズエクスプレス」
JR西日本など C57形蒸気機関車+12系
JR西日本など D51形蒸気機関車+12系
これだけ収録車両があると,どの列車を使えばよいのか頭を悩ませると思う。一番いいのは,好みのものを使うことである。お気に入りの列車で街を埋め尽くす喜びを味わえるのが,本作の醍醐味なのだから。
しかし本作では,車両ごとに“列車タイプ”と細かいパラメータが用意されており,同じ路線でも車両によって運行費用などに違いが生じることも忘れてはならない。特定の車両にこだわりがないなら,効率重視で車両を選ぶのも手だ。
列車は,人を輸送する「旅客型」,資材を輸送する「貨物型」の二つに大きく分けられる。旅客型はさらに「通勤型(200%)」「高速通勤型(180%)」「旅客列車(160%)」「急行列車(140%)」「特急列車(120%)」「超特急(110%)」「地下鉄(200%)」「蒸気機関車(100%)」といった列車タイプがあり,列車タイプごとにラッシュ時の最大乗車人数ともいえる「最大乗車率(カッコ内の数値)」に違いがある。
また,列車ごとに「定員数(旅客型)」「最大積載数(貨物型)」「巡航速度」「車両編成数」「運賃」「運行費用」「維持費」のパラメータがあり,このうち定員数,最大積載数,巡航速度,車両編成数は列車購入時に確認&設定できる。運賃,運行費用,維持費については直接確認できないが,列車ごとの「運行表示」を見ることで,一日の運行費用と売り上げを確認できる。
鉄道収入は,各車両の「運賃」「運行費用」「維持費」と,駅と駅の「区間距離」(線路の長さではなく駅と駅の直線距離),そして「巡航速度」(速いほど高くなる)によって自動で計算され,乗客が駅で降りる際に,乗客数分が売り上げとなって計上される。
列車を選ぶ際に注意したいのが「巡航速度」だ。車両ごとに巡航速度は決められているが,旅客型の一部,貨物型,蒸気機関車には,前進(牽引運転)と後退(推進運転)で大きく速度が異なるものがある。折り返し路線の場合,列車は後退することになるが,後退速度が遅いとそれだけ無駄に運行費用がかかってしまう。また,同一路線内で一部複線化して複数の列車を行き来させるときに,巡航速度が異なる列車では前の列車に追いついてしまうことになる。新米社長は,できるだけ前進/後退の巡航速度が同じ車両を使うといいだろう。
列車タイプは好みやシチュエーションに合わせて使い分けるといい。例えば住宅地域とオフィス街を結ぶような通勤利用者を目的とした車両ならば,通勤型または高速通勤型で最大定員数の多い列車を選ぶのがいいというわけだ。ダイヤ調整やポイント切り替えを使えば,通勤型を待避線に停車させて特急列車に追い抜かせるといった運行も可能
貨物型の場合,ズバリ言うと「Mc250系」だけで事足りる。理由は簡単で,貨物列車の中では前進/後退ともに巡航速度が同じで,結構速い列車だからだ。そのため,同一路線内でも同じ速度の旅客型と一緒に走らせれば,前列車に追いつくことなく運行可能で,資材運搬用の路線をわざわざ用意しなくても済む
超特急と聞くと「夢の超特急」なんて言葉が思い浮かぶ人は,筆者と同世代だろう。それはさておき,超特急とは「新幹線」や「リニア」(リニアモーターカー)のことである。新幹線とリニアを走らせるには“プロジェクト”の「新幹線駅誘致」「リニア駅誘致」が必要だが,プロジェクトで作った路線上は勝手に新幹線やリニアが走り,プレイヤーは一切関われない。ただし誘致後は,自分でも新幹線やリニアを購入して,自分の路線で自由に使えるようになる
駅を建てて線路を敷設して列車を走らせるには,莫大な費用がかかる。その点,バス/トラックを利用すれば,道路を利用して安価に乗客/資材の輸送を行える。バスには「コミュニティバス(200%)」「近距離用ノンステップバス(200%)」「中長距離用ハイデッカーバス(120%)」,トラックには「コンテナ用トラック」「ボンネット型トラック」「中長距離用トラック」がある。どちらも列車と同様に最大乗車率(括弧内の数値),最大積載数,巡航速度に違いがある。
会社社長としては,すべての部門で黒字を出せれば文句なしだが,ある部門は黒字でも別の部門が赤字で,結局はトータルで赤字決算……なんてことは少なくない。できるだけ赤字を最小限に抑えて,黒字経営に持っていきたいところだが,これがなかなか難しくて苦戦している新米社長も多いことだろう。
会社の経済状況がどのようになっているかは,[Report]メニューの[経営状況][決算情報]で確認できる。経営状況では,資金と全体の利益,そして鉄道会社利益と子会社別利益の内訳を見ることができる。各項目の一日ごとの利益がグラフ化されて流れていくので,どれだけ儲かっているかを把握するのに便利だ。
また前回,税金の支払いのところで触れているが,決算情報でも会社の経営状況は把握できる。しかし,経営状況とは違って年間を通しての状況が表示されるため,細かい内訳を確認するのならば,経営状況を見た方が分かりやすい。
では,経営状況で確認できる「鉄道利益」「バス利益」「トラック利益」「資材工場利益」「資材置場利益」「電力会社利益」「子会社利益」において,それぞれ赤字を解消するために,何をチェックしたらいいのか見ていこう。
無駄に長い編成の車両を走らせたり,駅周辺に何もないような未開発の地域に列車を走らせたりしなければ,赤字になることは少ない。時間帯によって乗車率は変化するため,車両ごとにダイヤ設定で停車時間や運転時間を設定して,多くの売り上げが期待できるところを狙って走らせよう。
[Train]メニューの[列車]→[運行表示]で,すべての列車の「運行速度」「乗客数または積載数」「運行費用」「運賃収入」がリアルタイムに表示されるので,眺めていれば,どの列車が赤字路線か,収入が少ないかが簡単に把握できる。
同一路線上に新たに列車を走らせる場合に注意したいのが,ポイント設定のミスなどにより列車同士が向かい合い,停車状態になってしまうことだ。列車の動きは画面右上のミニマップの点でも分かるが,運賃収入の動きがなければ確認してみよう
バスは道路上にバス停さえ用意すれば自由に乗車&下車させられるお手軽さが魅力だが,そのぶん利益は少ない。もちろん,ある程度活性化の進んだ地域にバスを走らせればバス利用者も増えるし,混雑する時間は必ずあるので,運行時間や発車時間を調整して,できるだけ儲けの出る時間帯に運行させるといいだろう。
バスも鉄道同様に[Train]メニューの[バス・トラック]→[運行表示]で,「運行速度」「乗客数または積載数」「運行費用」「運賃収入」がリアルタイムに表示される。
路線上にない駅と駅を輸送する手段として,バスを利用すると比較的コンスタントに儲かる。すべての駅を循環するようにルート設定をして,数台のバスを巡回させるのもありだ。定員数が多く,最大乗車率も高い近距離用ノンステップバスがオススメ
鉄道を通せない or 通したくない地域へ資材を運搬する手段となるが,一度に運べるのは最大二つと少ないため,大量の資材を運ぶためには,それなりの台数のトラックを導入する必要がある。資材を一つ輸送すると30万円,最大で60万円の売り上げになるが,運行費用が予想以上に高いので,配送先まで行って戻るだけで,売り上げ以上の運行費用がかかることも多い。大量の資材の運搬は操車場+貨物列車のほうがいいかもしれない。
トラックも鉄道,バス同様に[Train]メニューの[バス・トラック]→[運行表示]で「運行速度」「乗客数または積載数」「運行費用」「運賃収入」がリアルタイムに表示される。
トラック利益の赤字の大きな原因の一つが,配送先の資材置場が満杯で,資材を降ろせない場合だ。活性化が衰退して資材の需要が減るようならば,その資材置場からトラックで別の資材置場に送るか,トラックの運行本数を減らすなどして対応しよう
配送所やバス停を設置する場合は「引込タイプ」がオススメだ。「側道タイプ」では停車中のバスまたはトラックがいると後続が詰まってしまうが,引込タイプならば追い抜いて運行できる。微々たるものかもしれないが,運行費用削減に繋がるのだ
資材工場は,貨物列車またはトラックで資材を出荷した時点で売り上げになるため,赤字の場合は出荷されない資材があるということになる。大量に資材が必要な時期が過ぎたら,思い切って資材工場を撤去したり,小や中などに建て替えたりするといいだろう。
全体の利益状況は[Report]メニューの[経営状況]の資材工場利益で把握できる。資材工場は子会社なので,[Market]メニューにある[不動産取引]の資材工場で,個々の資材工場の今期売り上げと利益率のほか,今期費用や累積利益,市場価格などの詳細データが見られる。赤字工場を簡単に特定可能だ。
資材工場の一日の操業は17時に終わるので,17時前後から貨物列車やトラックを運行させると運行費用の削減に繋げられる。また,工場は土日は稼働しないので,貨物列車やトラックも土日に止めることで,鉄道利益,トラック利益にも繋がってくる
資材工場から資材置場への折り返し輸送では,資材置場が満杯になっている場合,貨物列車やトラックは資材を積みっぱなしになるため資材工場の売り上げは伸びない。資材置場周辺に子会社を建てて資材置場を空けたり,資材置場を増やしたりなどの対応をしていくといいだろう
資材置場の赤字はあまり気にしなくて構わない。というのも,資材置場から貨物列車やトラックで資材が出荷されると売り上げになるし,他社が建物の建設で使った資材だけでなく,自社で使用した資材も売り上げとして計上されるため,純粋な利益はよく分からないのだ。
また,活性化が停滞すると資材は使われなくなってどうしても赤字傾向になるし,大量の資材を使う子会社(とくに超高層ビルやランドマークなど)を建てるには,資材置場の赤字を覚悟して次々に資材を送り続けなければならないので,資材置場は赤字が出て当たり前くらいに考えておいたほうがいいかもしれない。
活性化が続く地域には,どんどん資材を運び入れないと建物が建てられない。次々に資材を運び入れても他社が資材を使いまくるため,自社の建物を建てられない状況になる。建設費用が高くつくが,資材置場はできるだけ地下に作って,地上は子会社のために空けておこう
開発が停滞すると,資材置場に資材が溜まり,赤字の発生源になる。資材を大量に使う子会社を建てる予定があるなら仕方ないが,周辺の都市開発が終了した地域ならば,トラックなどで資材を必要としている別の資材置場に輸送しよう
都市の発展に欠かせないのが発電所。電力の需要に対して総発電量が少なければ都市は発展せず,逆に多すぎると活性化は進むが発電所自体が赤字になる。都市がどの程度の発電量を求めているかは[Report]メニューの[エネルギー情報]で確認できるので,ギリギリのところでバランス良く建設していきたい。
住宅,店舗,ホテル,オフィスビル,超高層ビル,娯楽施設,運動施設,文化施設,工業施設,ランドマーク,港,ヘリポート,空港,ゴルフ場,鉄道博物館などの利益を,まとめたものが子会社利益だ。[Report]メニューの[経営状況]を見ると,子会社別利益としてカテゴリごとに,どれだけ利益が出ているのかを把握できる。
分類ごとに赤字を出している子会社を見付けるには,[Market]メニューの[不動産取引]で確認できる。多くの子会社を持つと資産税も増えてしまうので,赤字経営の子会社は思い切って売却してしまうのもありだ
当然のことながら,子会社はできるだけ駅周辺に建てると利益を得やすい。すべての子会社を黒字にするというのは大変なので,一部の子会社は赤字経営でもトータルで見て子会社利益が黒字になっていれば,さほど気にする必要はないだろう
今回は,旅客車,通勤車,特急など224種類も用意された「列車紹介」,そして赤字解消のためにどこに気を付ければいいのか,何をすればいいのかを紹介してきた。
とくに赤字解消については,個々の分野ごとに簡単な解説を入れているが,実際はすべての分野がチョコチョコ関連しているため,鉄道を見直したら資材工場,資材置場,子会社の赤字も解消した,なんてこともある。あれもこれもと一気に手を入れるのではなく,一ついじったら数か月間から1年くらいは放置して,全体的な動向を見ていると改善(改悪)されたかどうかが分かるだろう。時間的な制限はないので,じっくりと会社経営に取り組んでほしい。
最終回となる次回は「マップコンストラクション」について紹介するので,お楽しみに。
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