プレイレポート
明日2月11日いよいよ出発進行! 「A列車で行こう9」ファーストインプレッション&絶景スクリーンショット集を掲載
そんなA9を今回,一足先にプレイできたので,新たに追加された点,前作などから大きく変わった点,ファンなら絶対気になる「あのへんはどうなってるんだ?」というポイントなどをピックアップして紹介していこう。
さらにスクリーンショット66枚(※新画像は006〜071)を4GamerにUpしたので,じっくり隅々まで見ていただきたい。
「A列車で行こう9」スクリーンショット集
最初に「A列車で行こう」シリーズについて,軽く説明しておこう。「3」以降のA列車シリーズは,鉄道会社の社長となってマップ上に線路を敷き,車両を配置して運行させ収益を上げていく,会社経営シミュレーションゲームである。実在する日本の鉄道車両が多数収録されており,自分がデザインした路線を自分の好きな列車が走っていく……鉄道観賞シミュレータ的な楽しみ方もできる。
そしてA列車シリーズの面白いところは,鉄道収益の源ともいえる「街」の開発/発展が,もう一つの重要なファクターとなっていることだ。たいていのマップでは,小さな街が存在しているものの,空き地が大半だ。プレイヤーはここに鉄道を走らせるわけだが,人の流れが生まれることで経済が活性化され,街が発展していくのである。何もない僻地に駅を建て列車を走らせると,その駅周辺に徐々に建物が建っていき,いつしか大都市へと成長していく。また,自分でビルやマンション,遊園地などを建てることもできる。A列車を「街作りシミュレーションゲーム」として楽しむファンも多い。
それではA列車で行こう9(以下,A9)を見ていこう。A9の第一印象は,ゲーム内容の大部分において従来のA列車シリーズのコンセプトを継承しつつ,主に3Dゲームとしての描画とインタフェースを強化した感じだ。3D版A列車として,ようやく一つの到達点に辿り着いたといっていいだろう。
A9では山手線が全部収まるほど広い,10km四方の広大な土地マップが舞台となり,この中で鉄道網を使った自由な都市開発を行える。グラフィックスはフル3Dで描かれているため,かなり自由なカメラ操作が可能だ。マウス操作のみでもプレイできるが,キーボードとマウスを使って,FPSなどと同様にWASDキーで前後左右の操作を行い,マウスカーソルを追うように視点が移動していく,「フライトモード」というカメラ操作も用意されている。
都市開発のベースとなるマップは,例のごとく,さまざまな地形上に多少発展した都市や街のある,難度の異なった11種類のマップが用意されている。いくつかピックアップすると,発展した都市を囲むように住宅,商業,観光に特化した街を交通網を使って連携を強める“大都市構想”,慢性的な電気不足に悩まされている城下町の風情を残す“古都再興”,島を縦断する巨大な橋を利用して島を発展させる“島の繁栄”などといった具合だ。
どのマップでも,プレイ開始時に都市の発展状況や開発指針となるいくつかの提案が書かれたガイダンスを見られるので,都市開発の参考にするといいだろう。A9には「これを達成すればゲームクリア」という明確な目標はないものの,とりあえずは資金を「10兆円」にすることでCongratulationsとなる。もちろんこれは,そう簡単に稼げる額ではない。
列車はこれまでに登場した車種のほかに,新たな列車が追加され,過去最大の224種類が収録されている。蒸気機関車「C57形」「D51形」も収録されており,ビル群の中を蒸気を上げて疾走する勇姿を眺められる。列車は種類によって異なるが最大10両編成まで可能だ。駅はホームの長さ(最大10両分),ホーム数(最大7番線)が設置できる。また,駅の種類は地上駅,高架駅,始発駅,地下鉄駅,操車場があり,種類により小型,中型,大型とバリエーションに富んだ駅舎が用意されている。
鉄道のほかには道路を自由に敷設して,バスとトラックの運行ができる。バスは鉄道よりも低コストで乗客を輸送でき,トラックは一度に最大2個までではあるが資材輸送ができる。コストがかかり小回りの利かない線路を敷設せずとも乗客や資材を運べるので,小規模な地域の発展サポートに便利だ。鉄道と合わせて運用することで,大きな利益確保に繋げることができるかもしれない。
道路上には,乗客がバスを利用するためのバス停(始発,側道,引込)やバスターミナル,資材工場や資材置場からトラックで資材を運搬するために配送所(始発,側道,引込),配送センター(同時に4台のトラックを停車させられる)を設置できる。バス/トラックは,道路上にあるすべての交差点でどの方向に進むかのルート設定が,バス停や配送所などでは出発時間といったダイヤ設定が可能だ。「ダイヤウィザード」を使って実際に走行しながらのルート&ダイヤ設定もできる。
なお,列車,バス,トレーラーは追跡視点と車載視点に切り替えることも可能
だ。真正面からしか見られなかった前作とは異なり,上下左右に視点移動できるの
で,ついに自分の作った都市を走行しながら眺められるようになった。これは嬉
しい。
ちなみに一つのマップの中に,列車は最大100編成まで走らせることができ,駅1000個,線路/道路がそれぞれ4000km,ポイントは2000か所,バス停/配送所は1000か所,交差点4000か所を配置可能とのこと。これだけあると,設置数の制限でプレイヤーが物足りなく感じることは,ほとんどないといってよさそうだ。
A9からの大きな新要素として「電力」が登場した。電力の供給には「発電所」の建設が必要となり,電力需要に対して総発電量が少ないと都市が活性化せず,逆に発電量が多すぎれば電力が余って発電所が赤字経営になる。発電所は火力発電所,原子力発電所,核融合発電所(!),風力発電所,風圧発電所,ソーラーパネル,潮力発電所,地熱発電所があるが,シムシティのようにメルトダウン的要素はなさそうなので(エコ発電という要素はある),核融合発電所を囲むようにマンションが建ち並ぶといった,非現実的な都市も不可能ではない。
各種発電所など,子会社として新たに登場した建物はあるものの,建設できる建物のラインナップに大きな変化は見られない。ただし,低資材かつ低コストで多くの利益を生み出せて,使い勝手の良かった「雑居ビル」を自分では建てられなくなっているのが悲しいところだ。前作までは収入の要として空いたスペースに雑居ビルを建てていた筆者は,A9で都市開発計画の大幅な修正を強いられている。
経済情報については,さまざまな要素が追加になったためか,鉄道利益,バス利益,トラック利益,資材工場利益,資材置場利益,電力会社利益,子会社利益と細かく分けられるようになり,何が赤字なのかを明確に把握できるようになった。とくに資材工場,資材置場それぞれの利益を個別に把握できるようになっており,今まで把握しにくかった他社の資材需要が掴みやすくなっている。
また余談だが,株は多少複雑なシステムになったものの,相変わらず稼げるようである。
さて,A列車ファンのなかで気になっている人が多いであろう時間軸について触れていこう。A列車シリーズは「鉄道」が主役なせいか,どうしても建物と列車の大きさが現実とは異なる比率で描かれてきた。このため,見た目は数時間もかからないような区間を走行するのに半日以上かかったり,環状線を一周するのに数日を要したりといった時間の流れになっており,現実のような細かいダイヤ設定が難しい。A9でも,このへんは解決されたとは言い難く,列車の移動距離と時間の流れには激しいギャップがある。
A9でもゲームシステム上は1分単位での詳細なダイヤ設定が可能なのだが,一日に区間内を何往復もするダイヤは事実上組めないし,1分単位で列車をコントロールする必要性が出てくることは少ない。筆者は極力ダイヤを気にしなくていいような線路敷設にしているせいか,ダイヤ設定はほとんど利用していないのが現状だ。今度こそ緻密にダイヤを組んでガンガン列車を走らせられるかも! と期待していたのだが,このへんは少々残念なところだ。
ともあれ,「A列車で行こう8」と比べてインタフェース周りは格段に改善され,新たな要素も追加されて,一段と奥の深い都市開発ができそうな印象だ。A列車シリーズならではの,経営状況にハラハラしつつ着々とこなしていく都市開発の楽しさを味わえることを,素直に喜びたい。グラフィックス面は一段とパワーアップしているので,更地だったマップが建物で埋め尽くされていく光景を最高画質で眺めてニンマリしたい。
それはそうと,相変わらず奥が深いゲームであるにもかかわらず,初心者向けのチュートリアルなどが一切用意されていない。本作で初めてA列車シリーズデビューを果たす人は,序盤で何をしていいのかサッパリ……という状況になることが大いに予想される。そこでA列車に初挑戦したい新人社長の都市開発をサポートする,初心者向け連載を4Gamerでは計画中だ。A列車を遊ぶうえで欠かせない常識,ゲームの流れや攻略ポイントなどを紹介していく。2月中のスタートを目指しているので,お楽しみに。
「A列車で行こう9」スクリーンショット集
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