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海外ゲーム四天王 / 第21回:「Gridrunner Revolution」
「Gridrunner Revolution」は,宇宙船を操って画面上を飛び交う敵を撃ち落としていくというシンプルなアーケードタイプのシューティングゲームだ。
自機はマウスで上下左右斜めへ自由に動かせ,攻撃用のビームは常に発射し続けているので,プレイヤーは敵の攻撃に当たらないように注意しながら自機を動かすことに専念すればいい。そしてときどき,画面の上から降ってくる羊を捕まえることで,発射するビームの数や,敵を自動攻撃する子機が増えるといったパワーアップができるのだ。
ゲームのスタイルとしては,ゲームの黎明期からある固定画面シューティングそのものといえる。筆者も調べて分かったのだが,本作は1982年にAtariのゲーム機やCommodore 64向けにリリースされた「Gridrunner」および1989年の「Super Gridrunner」,そして2002年にPC用として発売された「Gridrunner++」に続く,シリーズ第4弾にあたるようだ。
とはいえ,内容は画面が美しくなったこと以外,あまり変わっていないらしく,ひたすら撃って撃って,爆発してキラキラして,ノリのいいハウス系のBGMに身を任せ,さらに撃って撃ってキラキラして,次第に頭がボンヤリしてくるというのが,ある意味,正しいプレイスタイルなのかもしれない。
なにしろ,本作を開発しているのはイギリスのデベロッパLlamasoftであり,メインプログラマーは伝説のジェフ・ミンター(Jeff Minter)氏(下のコラム参照)なのだ。同社は本作のほかにも「Space Giraffe」というシューティングゲームを開発するなど,今までに20種類以上のプラットフォームで30本以上のゲームを開発してきた老舗ゲームメーカーで,さらには音楽再生とビジュアル表現をミックスさせたライトシンセ(LightSynths)というソフトウェアなども開発している。
ミンター氏の作品に共通しているのは,その抜群のデザインセンスだ。既存のゲームとは異なる,Llamasoftならではの独特なスタイルを持っており,3Dやリアリティなどどこ吹く風,ドット絵のような自機がビームを撃ちまくり,ハデハデなエフェクトとテンポの良さで「ゲームとしての気持ちよさ」をごく自然に実現しているのだ。
もう一つの特徴は,牛や羊,ラマといった偶蹄目(という分類法は最近ほとんど使われないようだが)の動物が出てくること。本作のパワーアップアイテムとしても羊が使わており,なぜ羊なのか? についてはっきりした理由は分からないが,ともあれ本人はユーモアのつもりではなく,かなり本気でやっているらしい。
そんなGridrunner Revolutionのデモ版が,Llamasoftの公式サイトからダウンロードできる。デモ版ではEasyモードを4面,Hardモードを1面,その中間あたりのモードが1面プレイできるので,ゲームも超えた,何か違うメディアになっているんじゃないかとさえ思えてくる本作に興味のある人は,ぜひ試してみよう。
イギリスのウェールズにあるLlamasoftは,ジェフ・ミンター(Jeff Minter)氏によって1982年に設立されたデベロッパだ。社員はミンター氏と,イヴァン・ゾルジン(Ivan Zorzin)氏の二人だけという小さな所帯の会社である。
伝説のプログラマーであるジェフ・ミンター氏は,20歳のとき,Sinclair ZX80(という名前のPCが昔あったのだ)向けゲームを作り始めたことをきっかけとして,この世界に足を踏み入れたという。
もう一人の社員のゾルジン氏はイタリアの出身で,コンピュータグラフィックスの世界からゲーム制作へ飛び込んだという人物。
ミンター氏は,しばらくピーター・モリニュー氏率いるLionhead Studiosに協力して「Unity」というゲームキューブ向けゲームの制作に携わっていた。Unityは2004年に開発中止となってしまったが,あの鬼才,モリニュー氏が認めたゲーム制作者といえるだろう。
ちなみに会社のシンボルマークであり,数々の作品にも登場する羊だが,会社のペットとして牧場に数頭飼われているらしく,彼ら(羊)なしのLlamasoftなどあり得ないとミンター氏が語るほど,愛されている。
Llamasoftの開発したライトシンセは,なんとXbox 360の標準機能として搭載されているから,同社の技術の信頼度の高さが分かる。
ご存じのように,Xbox 360で音楽CDなどを再生するとサイケデリックなグラフィックスが画面に表示されるが,これこそがライトシンセのテクノロジから生み出されたビジュアライザー,「ネオン」(Neon)なのだ。
ネオンは,コントローラによってさまざまに操作できるのだが,Xbox 360の取扱説明書には掲載されていない。だが安心してほしい。Llamasoft自らが日本語に訳して「こちら」(PDF形式)に掲載しているので,Xbox 360を持っている人は試してみよう。
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(C) Llamasoft Ltd; 2005