レビュー
6ピン補助電源コネクタ×1で,消費電力はどれだけ下がる?
Galaxy GF PGTX460/768D5 GREEN EDITION
今回は,Galaxy Microsystems(以下,Galaxy)から,そのなかの1つで,最も早く日本市場に登場してきた「GF PGTX460/768D5 GREEN EDITION」(以下,PGTX460/768D5 GE)の貸し出しを受けることができたので,「6ピン×1で何が変わったのか」に焦点を絞って,実機の検証を行ってみたい。
GTX 460 768MB専用に開発された独自設計
効率を高めることで消費電力の低減を図る
Galaxyによれば,同社はオリジナルの基板を設計することでGTX 460 768MBリファレンスデザインにある電力効率上のロスを低減し,それによってリファレンスデザインと比べて消費電力を最大で10%低減させることができたという。それをアピールすべく,製品ボックス上で比較的大きく「Green Edition」と謳っている。
6ピンの電源コネクタが1基となったことを除くと,外観上の違いは,そのコネクタがPCI Express x16スロットに差したとき,マザーボードに対して垂直方向を向くようになっていることと,GPUクーラーがGalaxyオリジナルのものになっていることくらいである。
そんなGPUクーラーを取り外すと,カードのレイアウトを確認できるようになるが,ぱっと見てすぐ気づくのは,メモリチップ用の空きパターンが用意されていないこと。GTX 460 768MBのリファレンスデザインは,グラフィックスメモリ1GB版GTX 460とカードデザインを共有しているため,メモリチップ2枚分の空きパターンがあったのだが,PGTX460/768D5 GEにはそれがなく,GTX 460 768MB専用設計になっているのが分かる。
電源は3+1仕様のPWMを採用しているようで,レギュレータ部には比較的大きめのヒートシンクが搭載されていた。
リファレンスカードと1対1で比較
ドライバは最新の260.89 Betaを利用
さて,今回のテスト環境は表のとおり。比較対象にはNVIDIAのGTX 460 768リファレンスカードを用意している。グラフィックスドライバは2010年10月18日時点の最新版となる「GeForce Driver 260.89 Beta」を用いた。
テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション10.0準拠。ただし,PGTX460/768D5 GEの動作クロックはリファレンス準拠で,3D性能に違いがないと想像できるため,テストは3DMark06と,「Battlefield: Bad Company 2」(以下,BFBC2),「バイオハザード5」のみに絞っている。テスト解像度はGTX 460のレビュー時と同じ1680×1050/1920×1200ドットだ。
また,いつものように,テストするタイミングなどによってその効き具合が異なることを避けるため,「Core i7-975 Extreme Edition/3.33GHz」の自動オーバークロック機能「Intel Turbo Boost Technology」はBIOSから無効に設定したことと,「Intel Hyper-Threading Technology」は有効にしたままとしていることも,あらかじめお断りしておきたい。
消費電力の低減は誤差レベル
「省電力版」ではなく「6ピン×1仕様版」だ
テストにあたっては,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の消費電力を取得する。消費電力は,アイドル時と合わせて,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い値を記録した時点を,各タイトルの実行時として採用することにした。
結果はグラフ1のとおりで,PGTX460/768D5 GEの消費電力は,GTX 460 768MBリファレンスカード(※グラフ中は「GTX 460 768MB Ref.。以下同)と比べて確かに低めの値を示しているが,その差は2〜6W。はっきり述べて,誤差レベルである。Galaxyがどういうテストで「最大10%」というデータを得たのかは分からないし,他社製品も同じ結果になるとも言えないが,アイドル時と,ゲームアプリケーション実行時で比較する限り,少なくともPGTX460/768D5 GEは「省電力版」ではない。
ちなみに,アイドル時と高負荷時の動作電圧設定をチェックしてみると,前者は両製品とも0.8750Vなのに対し,後者はリファレンスカードが0.9500V,PGTX460/768D5 GEが1.0000Vだった。この違いがカードデザインの最適化分を相殺する要因の1つになっている可能性はありそうだ。
続いてグラフ2は,GPU-Zからアイドル時と高負荷時のGPU温度を取得した結果だが,こちらもほとんど同じ。GPUクーラーは,リファレンスと同等の冷却能力を維持したまま静音化を実現した,という理解で間違いないだろう。
グラフ3〜5は3DMark06とBFBC2,バイオハザード5のテスト結果を並べたもの。当たり前だが,3D性能自体はリファレンスカードとまったく変わらない。
電源ユニットの要求を下げたモデル
という理解が正解
GTX 460 768MBのリファレンスデザインが定格450W以上の電源ユニットを要求していたのに対し,Galaxyは,PGTX460/768D5 GEなら400Wでも動作可能としている。もちろんこれは「マージンをどれだけ取っているか」という違いでしかないのだが,より低容量の電源ユニットでも動作が保証されている点,それ自体には相応の意味があるだろう。
PGTX460/768D5 GEは,手持ちのPCに搭載された電源ユニットのスペックに不安があるなかで,GTX 460 768MBを使いたい場合の選択肢,ということになりそうである。
- 関連タイトル:
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