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「5年先を考えてGPUを作っている」「でも消費電力高すぎる」〜NVIDIAのGPU担当者へ日韓合同インタビュー
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印刷2010/04/12 21:23

インタビュー

「5年先を考えてGPUを作っている」「でも消費電力高すぎる」〜NVIDIAのGPU担当者へ日韓合同インタビュー

画像集#003のサムネイル/「5年先を考えてGPUを作っている」「でも消費電力高すぎる」〜NVIDIAのGPU担当者へ日韓合同インタビュー
 別記事でオープニングイベントの様子をお伝えした,上海で開催されているNVIDIA主催のゲームフェスティバル「GeForce LAN / NVIDIA Game Festival 2010」(以下,NGF2010)。ここには,アジア太平洋(以下,APAC)地域の各国からメディアが取材に訪れている。このたび,日本メディアと韓国メディアとの合同という形ではあったが,NVIDIAのDrew Henry(ドリュー・ヘンリー)氏へ,インタビューを行うことができた。
 NVIDIAのデスクトップGPU部門を統括するHenry氏に話を聞けたのは,約1時間弱。それゆえ,筆者が質問できたことには限りがあったが,他メディアの質問の中にも面白いものがあったので,筆者の見解なども挟みつつ,まとめてみたい。

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電気代,発熱……厳しい質問にタジタジのHenry氏


Drew Henry氏(General Manager, Desktop GPU Business Unit, NVIDIA)
画像集#001のサムネイル/「5年先を考えてGPUを作っている」「でも消費電力高すぎる」〜NVIDIAのGPU担当者へ日韓合同インタビュー
 今回のメインテーマは,4Gamerでも「DirectX 11タイトルなら高速だが……」といった評価になっている「GeForce GTX 480」(以下,GTX 480)。欧米メディアも同様に芳しくはなく,それはAPAC地域でも同じようだ。質問の口火を切った韓国メディアから“GTX 480の設計の狙い”を聞かれたHenry氏は,次のように答えていた。

 「我々NVIDIAは,常に5年先のゲームを考えてGPUを作っている。例えば3D Visionがそうだ。我々は5年くらい前から立体視をやってきたが,いまようやく映画などで3Dが注目されるようになってきた。
 そして,GTX 480は我々が作ってきたGPUの中で最も速いGPUだ。テッセレーションのパフォーマンスでは競合の最大8倍のパフォーマンスを達成しており,CUDAやOpenCLのパフォーマンスも非常に素晴らしい。デモを見た人もいるかもしれないが,GTX 480ではGPUでレイトレーシングができるまでなっている。3D Visionと同じように,5年先にはこれが当たり前になっているだろう」

 要するに将来の技術を見込んだGPUがGTX 480だというわけだが,ゲーマーとしては5年先のゲームを語られてもピンと来ないわけで,すぐに遊べるゲームが新しいGPUによってリッチなグラフィックスになることを期待する,となるのが普通だろう。そのためには,テッセレーションが実装されたゲームタイトルが,いかに充実するのかがポイントになる。
 そこで筆者から,テッセレーションに対するゲームデベロッパの反応,その中でも「難しい」といった声はないのかとHenry氏に聞いてみたところ「そんなことはない」と一言で否定された。
 「DirectX 11でAPIが整備されたおかげで,ゲームにテッセレーションを実装するのは非常に簡単になった。それにテッセレーションは,かれこれ10年くらい前からハリウッドで使われ続けてきた技術だ。だからツールが豊富にある。実際,Stone Giantというデモを見てもらったが,あの開発には実は数か月しかかかっていない」と語り,テッセレーションのゲームタイトルが(DirectX 11が大前提ではあれ)すぐに充実することを示唆していた。

 しかし,テッセレーションを生かしたゲームを満足にプレイできるのが,トップエンドのGeForce GTX 400シリーズだけでは,普及は厳しいだろう。ミドルレンジ以下のGPUは,いつ頃テッセレーション対応するのかだが,その点については「ファイナンスの関係もあって詳しく話すことはできない」そうだ。ただ,「トップエンドからボトムへと,必ず今年中に展開するので期待していてほしい」とのことだった。

画像集#002のサムネイル/「5年先を考えてGPUを作っている」「でも消費電力高すぎる」〜NVIDIAのGPU担当者へ日韓合同インタビュー
 ところでGTX 480の,やや先走ったパフォーマンスは,日本よりむしろ中国,韓国のほうが受け入れづらいだろう。中国や韓国では依然として,インストールベースではWindows XPが圧倒的なシェアを持つと聞く。そうしたこともあってか,韓国メディアからは発熱や消費電力といったあたりに関連する厳しい質問が飛んでいた。例えば,「韓国ではWindows XPで動作する古いゲームが多くプレイされている。そんな韓国にはGTX 480の消費電力は大きすぎるように思う。韓国は電気料金がほかの国より高いので電気代が上がってしまう」という具合だ。
 それに対してHenry氏は「GTX 480は現時点でNVIDIAのトップエンドのGPUだ。出たばかりのトップエンドの製品はどうしても消費電力が高くなってしまうもの……どうしても消費電力が気になるということなら『GeForce GTX 470』をおすすめしたい」と,やや苦しそう。
 また,発熱に関しても「GTX 480ではテッセレーションが実装され,PhysXやCUDAアプリケーションでも,従来の何倍ものパフォーマンスを実現した。一般論をいわせてもらえるなら,高いパフォーマンスには大きな発熱が伴うものだ。けれど,実際にはそれほど熱くないでしょう……?」と,やはり苦しそう。
 とはいえ,「デモを見てもらった『剣侠情縁3』のように,APAC地域のゲームは非常に美しいゲームタイトルが多い。そうした美しいグラフィックスのゲームタイトルのために,GTX 480は最適なGPUだ。GTX 480のグラフィックスの美しさを訴求してきたい」と,Henry氏はAPAC地域でのGTX 480の普及戦略を語っていた。

NGF2010規模のイベントを今後も開催するかどうかについては……


 ところで今回のNGF2010だが,過去NVIDIAが主催してきたGeForce LANのようなゲームイベントに比べると,非常に規模が大きいものだ。「NGF2010」というイベントタイトルから推測するに,今後も継続されるのではないかとも思える。
 もしやるなら,中国のみならず韓国や日本でも開催されたりはしないのか,といったあたりも気になったので聞いてみたところ,「NGFほどの大規模なイベントを頻繁に開催できるかどうかは分からない」としつつも「我々はワールドワイドでゲーマーを後押ししていきたいと,いつも考えている。もし今後も開催するならゲーマーが集まりやすい夏がいいだろうね」と,今後の開催にも含みを持たせていた。
 で,日本で開かれるかについては「日本で開催するかどうか。それはNVIDIA Japan次第だよ(笑)」だそうだ。
 PCゲームオンリーのイベントは,日本ではこぢんまりしたものが多く,NGF2010の盛況ぶりを見ていると,少し羨ましいというのが筆者の本音だったりもする。ぜひ日本でも開催してほしいところだが,さて……。

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