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コーエーテクモカナダが世に問う“新しい無双の姿”とは? 「TROY無双」ブロガー向け先行体験会レポート
体験会には,TROY無双の開発を手がけたコーエーテクモカナダから,ディレクターの門脇 宏氏,ゲームデザイナーのマイケル・ボンド氏と黒田氏の3名が参加し,ゲームの紹介とデモプレイを行った。
ディレクター 門脇 宏氏 |
ゲームデザイナー マイケル・ボンド氏 |
ゲームデザイナー 黒田氏 |
デモプレイ時,TROY無双では基本的に従来の無双シリーズと同じ操作体系が採用されているとしたうえで,従来の無双と異なる特徴がいくつか挙げられた。その1つが,ジャンプを廃し,代わりにシールドを使ったアクションを導入している点である。シールドで敵の攻撃を防ぐほか,シールドを使って敵のガードを崩すことで,一撃必殺の攻撃を入れるチャンスが訪れることも紹介された。
またTROY無双では,「無双奥義」の代わりに「Fury」(フューリー)と呼ばれる一種の覚醒状態が採用されている。この状態になると,ゲージがゼロになるまでのあいだ攻撃力が上昇し,流血などのバイオレンス描写も過激になる。
敵にはさまざまな種類が存在するとのことで,弓を使う部隊はプレイヤーが近づくと剣に持ち替えて攻撃してくることや,アサシンは二刀流による攻撃と頻繁な回避行動が特徴であることなどが紹介された。さらに,部隊を率いるキャプテンを倒すと敵の陣形が崩れるので,戦局に応じてどのタイプを優先して倒すかといったような戦略/戦術的な戦い方もできるという。
TROY無双では,敵が落とした武器を拾って使うこともできる。拾った剣は「壊れても構わない」という理由から,自前の剣よりも敵の盾を壊しやすくなっているそうだ。また拾った槍は,投げたり振り回したりして使うことができる。槍は攻撃範囲が広く,敵のガードを崩すこともできるが,あまり振り回しすぎると折れてしまうとのこと。
そして戦闘におけるもう一つの大きな特徴として「パーフェクトタイミング」も紹介された。同タイトルでは,攻撃を繰り出すと剣の切っ先が光るのだが,この瞬間に合わせてコンボを繋げると,通常の攻撃とは違った演出がなされる。そのままチャージ攻撃を繋げると,敵の盾を無視した強力な攻撃ができるのだ。
門脇氏曰く,従来の無双シリーズ同様にプレイしても大丈夫だが,パーフェクトタイミングを自由に使いこなすことで,より有利にゲームを進められるとのことである。
デモプレイの最後では,大型の敵「サイクロプス」との戦闘の様子も披露された。こうした大型の敵との戦闘はフェイズ制となっており,例えばサイクロプスの目を破壊すると,次のフェイズに進んでサイクロプスの背中によじ登れるようになる。そのように攻撃を重ねていくなかで,演出に伴って表示されるボタンを押していくと,最後にはサイクロプスにトドメをさせるというわけだ。
ボタンを押し間違えると振り落とされてしまうが,その場合でも再びサイクロプスの背中によじ登れば,失敗したところから再開となる。
そのほかTROY無双には,従来の無双シリーズよりもマップに高低差を付けているという。これはボンド氏をはじめとするコーエーテクモカナダの強いこだわりによって採用されたとのこと。ボンド氏は,無双シリーズのマップが平面的であることに,常々疑問を抱いていたそうだ。
体験会の終盤には,先行プレイを踏まえたブロガー達の質問に,3名の開発スタッフが答えるコーナーが設けられた。
まずストーリーモードでプレイアブルキャラクターの選択が不可能な点については,ストーリーの流れを重視しているからという返答がなされた。門脇氏曰く,当初は100人以上のキャラクターを用意し,ストーリーに沿ってある程度は自由に選択できる仕様を考えていたそうだが,複雑で難解な展開になってしまったという。そこで,よりシンプルかつドラマチックなストーリーになるよう,開発中盤で見直したそうである。
なお,別途用意されるチャレンジモードでは,自由にキャラクターを選べるとのこと。チャレンジモードは,シリアスなストーリーモードから逸脱した展開も見られるそうなので,ぜひ楽しんでほしいと門脇氏は説明した。
ジャンプを廃止した理由について,ボンド氏は,大げさでゲーム的な表現を避けたかったと説明した。むしろ,当時の戦闘の特徴でもある盾を駆使した重みのあるアクションを表現したかったと,ボンド氏は続ける。
また,そうした新たな要素が加わったことで,最初は従来の無双シリーズよりも若干難度が高めに感じられることもあるかもしれないと,門脇氏は述べる。難度は当初,3段階用意されているが,一度エンディングを見ると,最高難度のエキスパートを選択できるようになる。
エキスパートでは,敵の強さをはじめ,部隊のまとまりや攻撃頻度が上昇する分,レア度の高いアイテムを獲得できるチャンスも増えるとのこと。そうしたレアアイテムの中には,やり過ぎともいえる性能のものもあるそうなので,ぜひ入手を目指してほしいと門脇氏は話していた。
会場では,日本版と北米版/欧州版の違いについても質問がなされた。ボンド氏と門脇氏によれば,日本版は音声が日本語吹き替えオンリーになっていること,そしてムービーで2か所ほど過激なシーンを差し替えたこと以外に違いはなく,ゲーム中のバイオレンス表現はまったく同じだそうだ。さらにムービーの差し替えについては,年齢制限的なものというよりも,文化的な倫理観の違いに配慮したものとの説明がなされた。
なおバイオレンス表現に関して,ボンド氏は四肢損傷などの表現にも挑戦したかったそうだが,今回は無双シリーズのイメージを踏まえた落としどころになっていると述べた。
開発上で最も苦労した点は,日本と欧米で無双シリーズに求められる部分が違うところだったそうだ。例えば,日本の無双シリーズはアクション一つとってもゲームとしてのレスポンスを重視し,実際にはあり得ないスピードで動き出したりするが,コーエーテクモカナダの欧米人スタッフは,そこに違和感を覚えるという。
そこでTROY無双では,欧米人スタッフの意見を取り入れ,より自然な流れで動きを表現することに努め,これまでは修正していたモーションキャプチャ時の身体のぶれなども,そのまま残したという。
キャラクターデザインに関しては,基本的に欧米テイストだが,これも無双シリーズのイメージの沿ったデザインにしているという。ボンド氏は,女性キャラの「ペンテシレア」を例に挙げ,本来は“アマゾンの女王”という設定なので高身長の筋骨隆々とした体格で,衣装ももっとワイルドなものにしたかったと本音を明かした。
体験会の最後には,TROY無双に期待する人に向けて,3名の開発スタッフがそれぞれメッセージを述べた。
ボンド氏は,トロイという題材は日本ではあまり馴染みがないかもしれないが,分かりやすくなるよう丁寧に作ったので,ぜひ楽しんでほしいとコメント。またアクション部分に関しては,無双シリーズの問題点を洗い出し改善しているので,これまで馴染めなかった人や,もう飽きてしまったという人ももう一度プレイしてほしいと述べた。
そして門脇氏は,TROY無双が,欧米における無双シリーズのプレゼンスを高めるという使命のもと開発された経緯を説明し,これまでとは異なるコンセプトのタイトルとして,自信を持って世に送り出したと述べる。
とくにストーリー展開やドラマ表現の部分では苦労したが,そのぶん満足できるものに仕上がったと続け,TROY無双が多くの人にとってギリシャ神話の世界を知るきっかけになれば幸いであると締め括った。
「TROY無双」公式サイト
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(C)TECMO KOEI GAMES CO., LTD. All rights reserved.
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