インタビュー
「白騎士物語 -光と闇の覚醒-」には「古の鼓動」を100%“以上”収録。アバターが変身するアークナイトの詳細も判明した,ディレクター楠田芳晃氏へのインタビューを掲載
今回4Gamerでは,「古の鼓動」および「光と闇の覚醒」のディレクターを務めた,レベルファイブの楠田芳晃氏にインタビューする機会を得た。
インタビュー中で話に出ているのだが,先に注目トピックをまとめておこう。
「光と闇の覚醒」は,ソフトに前作「古の鼓動」がまるごと収録されており,ソフト1本の価格(税込:6980円)で,RPG2本がまるまる遊べるようになっている。前作を未プレイという理由で手に取るのをためらっていた人は,悩む必要がなくなったといえるだろう。
また,前作のプレイ経験者にとっては,プレイヤーの分身である“アバター”が,レナード同様に“変身”できるようになるという嬉しい話も,具体的に教えてもらった。
「古の鼓動」プレイ経験者はもちろん,「古の鼓動」未プレイの人も,「白騎士物語 -光と闇の覚醒-」に興味を持っている人は,ぜひ目を通してほしい。
「白騎士物語 -光と闇の覚醒-」公式サイト
「光と闇の覚醒」には「古の鼓動」をまるまる収録
単なる再収録ではないニューバージョンに
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
「光と闇の覚醒」は,「古の鼓動」の1年後の物語と発表されています。RPGで続編タイトルとなりますが,「古の鼓動」を未プレイでもプレイできて,物語に入り込めるようになっているのでしょうか?
最初に説明しておきますと,僕らは“2in1”と呼んでいるのですが,「光と闇の覚醒」には「古の鼓動」を丸ごと収録しているので,初めての方でも問題なくプレイできます。
また,「古の鼓動」をプレイ済みの方には,クリア済みデータを引き継ぐことで,「光と闇の覚醒」の部分からゲームを始められるようになっています。
4Gamer:
全部入りですか! それはすごいですね。
普通であれば,続編ではあっても単独で楽しめる形にして,前作の内容はダイジェストで盛り込む,といった形になりそうなものですが。
「光と闇の覚醒」で,なぜ2in1の形を採用することになったんですか?
楠田氏:
「光と闇の覚醒」を作るときに,一番はじめに検討したのは,どういう商品形態にするか,ということです。
普通は続編であれば,それぞれ別々のパッケージで提供して,「続編だけ買っても遊べますよ」という形になると思います。
また,「白騎士物語」は,ライブパートというオンラインゲーム要素もあって,前作とは切っても切り離せない関係になるので,アペンドディスクにするといった形も含めて,いろんな案が出ました。
ただ,それだと「古の鼓動」を買ってくれた人で,さらに「続きを遊びたい」というユーザーさんしか獲得できないでしょう。
「古の鼓動」が出たときよりも,PS3の普及台数も増えて,新規のユーザーさんを獲得できるチャンスも大きくなっているので,2in1の形態が一番向いているだろうと,「光と闇の覚醒」の制作当初に決めました。
4Gamer:
確かに個人的には,プレイしていないシリーズものの続編だと,「前作をプレイしてからにしようかな……」と思ってしまうことがあります。
楠田氏:
また,新規でやりたいと思った方にとっては,ゲームを2本買うのは,けっこう負担が大きいと思います。
ですので,新規のユーザーさんも「光と闇の覚醒」1本だけ買えば,「古の鼓動」を含めて「白騎士物語」全部を遊べます,という贅沢仕様にすることで,両方のユーザーさんを満足させられるんじゃないかなと。
この「白騎士物語」という世界を,新しいユーザーさんも含めて一人でも多くの人に遊んでもらいたかったんです。
4Gamer:
なるほど。「古の鼓動」をプレイ済みなら,セーブデータを引き継いで遊べるんですよね。?
クリア済みのデータに限られますが,前作の装備品やアイテムなどを引き継いだ状態で,「光と闇の覚醒」の始まりの部分からからスタートできます。また引き継ぎでは,「光と闇の覚醒」から始めるか,「古の鼓動」の最初から始めるか,選ぶことができます。
「古の鼓動」の頭から始めると,アイテムなど全部引き継げるんですが,レベルは1になります。“途中から”を選択して「光と闇の覚醒」から始めると,レベル35以下に下がります。
4Gamer:
「古の鼓動」クリア済みのデータがないと,「光と闇の覚醒」から始めることはできないんですか?
楠田氏:
そうですね。「古の鼓動」のパートから遊んでもらうことになります。
ただ「光と闇の覚醒」では,「古の鼓動」パートも「光と闇の覚醒」のシステムで作り直しています。
ライブパートのオンライン最新バージョンより新しいだけじゃなく,「光と闇の覚醒」で作ったシステムである,「ライブトーク機能」「賞金首」「住民の依頼」など,もろもろのやり込み要素的なものも「古の鼓動」パートに入れているんですよ。
4Gamer:
おお,再収録ではなくニューバージョンということですね。それで引き継ぎに「最初から遊ぶ」の項目があるんですね。
楠田氏:
「古の鼓動」でやりにくかった,というご意見をいただいたところに関しては,改善して「光と闇の覚醒」のシステムで遊べるようにしています。
「古の鼓動」を買っていただいた方も,まったく新しい感覚で遊ぶことができると思います。もちろん,続きから遊びたい方は,セーブデータを引き継いで,そのまま「光と闇の覚醒」から遊ぶこともできます。どちらを選ぶかはユーザーさんの自由ですね。
もちろん,新規のユーザーさんであれば,相当なボリュームのRPGとして遊ぶことができると思います。
ストーリーパートのボリュームは「古の鼓動」と同等
やり込み要素を含めればオフラインで100時間遊べる!?
4Gamer:
ここで,ストーリーについて質問させてください。公開済みのプロモーションムービーに,「堂々完結」とありましたが,物語は「光と闇の覚醒」で一区切りつくと考えていいんですか?
そうですね。
「古の鼓動」では,“途中で終わっている感”があったんですけど,今回「光と闇の覚醒」で,物語を「古の鼓動」から引き継いで,イシュレニアとそのほかの勢力,グラーゼルとレナード,シズナ姫といった登場人物達の話は,決着が付く形で完結します。
ゲームとしては,アバター達の冒険が,オンラインのライブパートでその先も続くんですけど。
4Gamer:
新しいパーティキャラクターであるミウとスカーダインについては,どのような形で物語に絡んでくるんでしょうか?
ミウは,フォーリア公国のダラム大公の孫娘,という設定です。
ミウの両親は争いの中で命を落としているんですけど,さらに自分がすごく慕っていたお爺さまをウィザード軍の襲撃で亡くしてしまったので,戦いとか戦争とかに,すごくトラウマがあるんです。
本来は,大公の孫娘として,国に対して,政治に対して,ちゃんと取り組んでいかなきゃいけないんですけど,やっぱり幼すぎるところと,争いが怖いという感情があって,自分には何もできない,この場から逃げ出したい,って思ってしまうんですね。
それが,主人公のレナード達と出会い接することで,どんどん成長していくというのが,冒頭の部分ですね。
4Gamer:
スカーダインはどのような人物なのでしょうか?
スカーダインに関しては,本当に物語のキーパーソンなんですが,すごく謎が多い人物で,皆からスカーダイン将軍と呼ばれているだけで,その他の素性はまったく分からないというキャラクターなんです。
フォーリアでは内乱が起こっていて,ミウを擁護する派と革命を起こそうとする武闘派がそれぞれいて,スカーダインはミウ擁護派の人物です。彼が物語にどういう風に絡んでくるかは,実際にゲームを遊んでもらって,見てほしいなと思います。
4Gamer:
物語には大きく関わってくるんですね。
楠田氏:
そうですね。ふたりともキーパーソンになります。
4Gamer:
「光と闇の覚醒」全体としては,物語のボリュームはどのくらいあるんでしょうか?
楠田氏:
人によってプレイスタイルが違うと思うので,一概には言えないんですけど,ストーリーパートだけで言うと,「古の鼓動」で30時間程度を想定しています。「光と闇の覚醒」も関しても同じくらいで,クリアするのに30時間程度かかるくらいのボリュームはあると思います。
また,やり込み要素的なものを含めれば,プラスで20〜30時間は遊べるでしょう。そのあとに,サブクエストなどクリア後の世界も控えているので,かなりのボリュームになると思います。
4Gamer:
「古の鼓動」の制作時から,「光と闇の覚醒」に続くことが決まっていたんですか?
楠田氏:
「古の鼓動」発売前には,もう「光と闇の覚醒」を作ることは決まっていたので,「古の鼓動」と「光と闇の覚醒」で一つの物語というのは,もともとの設計ですね。
4Gamer:
ちなみに「白騎士物語」では,オフラインのRPGとオンラインゲームが融合した,あまり類を見ないコンセプトのタイトルですが,これは,「白騎士物語」の根本のコンセプトとして最初から存在したのでしょうか?
楠田氏:
「白騎士物語」の一番は,「王道のRPGである」という点なんですけど,そのほかにも,「古の鼓動」を作ったときのコンセプトの一つに,「オンライン導入RPG」というのがあったんですよ。
4Gamer:
オンライン導入,ですか?
楠田氏:
オンラインの楽しさをやったことがない人に体験してほしいな,という考えがあったんです。
オンラインが好きな方は,それこそ何千時間とやり込んで,今でも遊んでくれていますが,オンラインに慣れていないコンシューマのユーザーさんって,基本的にはオフラインの部分だけやって終了なんです。
僕らの中では,「古の鼓動」を作ったときに,やり込みの部分をオンラインでやってくれたらいいな,と考えていたんですが,オフラインだけプレイした方からは,ボリュームがちょっと足りないという評価をいただいてしまって。
僕らの考えと,ユーザーさんの遊んでくれるところは違うんだなというのが,「古の鼓動」の反省点でしたね。
4Gamer:
「光と闇の覚醒」のコンセプトはどうでしょう?
楠田氏:
「古の鼓動」では,けっこうな数のユーザーさんがオンラインに入ってきてくれたので,オンライン導入RPGとしての役割は果たした,と思っているんですよ。
次は,もともと目指していた形とも言えますけど,オンラインでもオフラインでもちゃんと遊べるという,その一つ上の段階ですね。
4Gamer:
一つ上,というと,具体的にはどういったものでしょう?
ストーリーがあるRPGとしての,最大限のボリューム感です。
一人でプレイするというユーザーさんが多かったので,オフラインで遊べる要素をしっかり強化しつつ,途中からオンラインにもスライドで入れるような,そういう設計的な工夫ですね。
「光と闇の覚醒」に関しては,今までオンラインでユーザーさんが遊んできたもの,これから先もっとやり込めるもの,全部含めたうえで,ものすごいボリュームになっています。
オンラインでは,やはり一緒に遊ぶ人がいるとより面白くなると思います。ジオラマやコミュニティといった要素を準備していたり,「光と闇の覚醒」では一人でも遊べるように工夫していたりするので,興味があれば,ちょっとオンラインのほうにも足を伸ばしてもらいたいですね。
今回は理想にかなり近づいたというか,いい形になっていると思います。
ライブパートでは最大6人パーティ編成が可能に
個性演出・時間節約のための課金アイテムも用意
4Gamer:
先ほど話題に上がりましたが,「古の鼓動」では,オフラインのストーリーパートとオンラインにつながるライブパートがあって,物語の合間合間に,両方のパートを行き来できました。
先日,「古の鼓動」から「光と闇の覚醒」に引き継ぎできる事項が発表されましたが,ライブパートは,「光と闇の覚醒」でも,基本的には同じ仕組みになるのでしょうか?
基本的な仕組みは,ほぼ同じです。多少,引き継ぎ時に補正がかかる装備品などもありますが,ギルドランクなども含めて,基本的にはほぼそのまま引き継げます。
ただ,「光と闇の覚醒」では,戦闘システム,戦闘時のスキル,防具のパラメータなどすべて見直していて,新しく追加されているアイテムもボリュームがかなりあります。引き継ぎはできるものの,「WAVE」以上にけっこうがらっと変わりますよ。
今まで「古の鼓動」でも,「1st.WAVE」「2nd.WAVE」という大規模アップデートを実施してきましたし,戦闘システムなどの調整も行ってきました。そういう意味では,今回も大枠としてはバージョンアップとも言えるんですけど,僕らとしては新作という位置付けで考えています。
4Gamer:
「古の鼓動」では,発売後のアップデートで「1st.WAVE」「2nd.WAVE」と続いてきましたが,「光と闇の覚醒」でも,同様に継続的なアップデートを計画しているんですか?
楠田氏:
そうですね。クエストを配信しながら,大きなアップデートもやろうと予定はしています。
4Gamer:
データ引き継ぎで「古の鼓動」パートの頭から始めると,レベル1になるそうですが,それはライブパートでもレベル1から始めることになる,ということですよね?
楠田氏:
データは,ライブパートもストーリーパートもまったく同じものなので,レベル1からのスタートになってしまいます。
4Gamer:
ただ,アイテムとかを引き継ぐから,楽に進められると。
楠田氏:
そうですね。お金/装備品/アイテムは引き継げますから,通常のプレイよりは楽に進められると思います。
4Gamer:
ちなみに,前作「古の鼓動」のプレイしている人と,「光と闇の覚醒」の「古の鼓動」パートをプレイしている人が一緒に遊ぶことはできますか?
楠田氏:
ロビーの中に一緒に入ることはできません。ただ,クエストやマイタウン以外は同じものを使うので,「古の鼓動」をプレイしている方のページ自体は見られます。たとえば日記を読んだり,フレンドリストを見たり,ビグロ通信を送ったりといった,コミュニケーションは取れます。
なるほど。ソーシャルネットワーキングの部分は共通だけど,一緒に遊べるのは「光と闇の覚醒」のソフトでプレイしている人同士だけなんですね。
あと,「光と闇の覚醒」では,最大6人編成のパーティを組めるようですが,すべてのクエストで6人パーティに対応するんですか?
楠田氏:
「古の鼓動」パートから収録されているクエストは最大4人のままですが,「光と闇の覚醒」にて新たに追加したオンラインクエストとサブクエストはすべて6人編成対応になります。
ストーリーパートに関しては,基本3人パーティという形から変わっていないです。「光と闇の覚醒」では,ゲストキャラクターが最大2人入ることがあるので,物語中,最大で5人パーティになるときはあります。
4Gamer:
そういえば,キャラクターレベルの上限は50から上がりますか?
楠田氏:
レベルの上限は上がります。また,転生についてですが,「古の鼓動」ではレベル50で転生できましたが,「光と闇の覚醒」での転生はもっと上のレベルになります。転生ボーナスは「古の鼓動」と同じで4回までですね。
それ以降は,スキルリセットしたかったら転生をする,という感じなのですが,実は,「光と闇の覚醒」では,課金アイテムでスキルリセット券というものを用意するんです。これは,転生しなくてもスキルリセットできるというものです。
4Gamer:
なんと。「光と闇の覚醒」にはそんな課金アイテムが用意されるんですか。ほかにもあるんですか?
今まではジオラマのアイテムと,アバター変更チケットだけでしたが,「光と闇の覚醒」では,段階的に出していくというプランです。ちなみに,ジオラマの課金アイテムについては,この先けっこうな数が増える予定です。
あとは,アバターの名前と性別が変更できるチケットを出そうと思っています。
以前から,「作り直したい」とか「男の子のキャラを途中で女の子にしたい」とか,といった要望がけっこうあったんです。機能的にはできることなので,要望があるなら入れようと思っています。
ただ,名前も性別も簡単に変えられると,オンラインでの「なりすまし」が出てくることが懸念されます。僕らとしてはなるべくやってほしくないことなので,少し値段設定を高めにさせてもらおうと思っています。
4Gamer:
なるほど。
楠田氏:
あとは,アバター用シンナイトのアークナイトのカラーリングもある程度用意しようと思っています。
アークナイトに関しては,本来はクエストをやり込んで素材などを集めないとカラーリングの変更などはできないんですが,そのうち何色かは,アイテムの制約を受けずに色変更ができる課金アイテムを準備していますね。
それから,プレイ時間の取れない社会人の方向けに,経験値/お金/ダリア/ギルドポイントなどの取得率が上昇するものを用意します。
4Gamer:
いわゆるブースト系アイテムですね。武器や防具といった装備品で,課金アイテムはあるんですか?
楠田氏:
性能の高いアイテムを直接売ることはできなくはないですし,そういったゲームの形もありだとは思うんですけど,僕個人としては,あまり前向きではないですね。
僕はやはり,ゲームをプレイして苦労した人が,皆から「すごい」と思われるのが,正しい形だと思っているので。
4Gamer:
なるほど。それで,アークナイトの色変更やジオラマのような個性を演出する方面と,時間節約の意味でのブースト系アイテムが中心なんですね。
楠田氏:
課金アイテムは,買わなくても「白騎士物語」の全コンテンツは楽しめます,買った人はユニークな楽しみができます,というのを基本に,これからも増やしていこうと考えています。
あと,今思い出したんですけど,課金アイテムであと一つプランがありました。ボイスと髪型です。これもあくまでも趣味嗜好の問題なので,なくても別にゲームのバランスに関係ないですけど,好きな人は使えるようにできますよ,というところですね。
たとえば,レナードやシズナ姫,ミウやスカーダインといったメインキャラクター達のボイスや髪型をアバターに使える,というものを販売しようと考えています。これもなるべく早い段階で入れようと思っています。
4Gamer:
「白騎士物語」は実力派の声優陣が揃っていますし,自分のアバターに使えるなら喜ぶ人は多そうですね。ちなみに,カーラもありますか?
楠田氏:
ありますね。ゲームに登場するパーティキャラクターは全員作成する予定になっています。
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白騎士物語 -光と闇の覚醒-
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