インタビュー
4月24日から基本プレイ無料になる「ArcheAge」。新プロデューサーに就任した石元氏にこれからの運営方針や無料化の経緯を聞いてみた
会場の反応そのものは良さそうだと感じられたが,その一方で,正式サービス開始から約8か月が経過したこのタイミングでビジネスモデルを変更する理由は気になるところ。そこで,今後どのような方針でArcheAgeを運営していくのか,無料化に踏み切った経緯とは。ArcheAgeの新たなプロデューサーに就任したばかりの石元一輝氏(元GMルシウス氏)に,オフラインイベントの感想とあわせて聞いてみた。
「ArcheAge」公式サイト
基本プレイ無料化は必然?
このタイミングで発表された理由とは
4Gamer:
正式サービス後初となるオフラインイベントでしたが,終えてみての感想はいかがですか。
フレンドリーに接してくれる方が多くて,とてもやりやすかったですね。自分は普段のGM活動を通じてゲーム内によくログインしていたのですが,いつも皆さんが気軽に接してくれるんですよ。今回のイベントも,普段のGM活動の雰囲気がオフラインに続いているような感じで,個人的にも楽しめました。
4Gamer:
そんな石元さんは,今回のイベントで新プロデューサーに就任することが明かされました。ArcheAgeをどのようにしていきたいですか。
石元氏:
先ほどもお話しましたが,これまでGMとしてゲーム内に入り,プレイヤーの皆さんと接することで,ArcheAgeをより良くしていくためのヒントを多くいただけました。プロデューサーという立場になってもそのスタンスは崩さず,ゲーム内でのプレイヤーの方々の声を拾い,運営に活用していきたいと思っています。
4Gamer:
今回のイベントでは,次期大型アップデートについて,盛りだくさんの発表がありました(関連記事)。
石元氏:
大型アップデート“エアナード”の反応は,期待どおりの手ごたえですね。とくにレベルキャップの引き上げに関しては,現在熱心に遊ばれているプレイヤーの大半がキャップに到達していることもあり,待ち望んでいた人も多かったと思います。ただ,“基本プレイ無料化”発表の瞬間は,ものすごく緊張しました……。
4Gamer:
しかもArcheAgeをコアに遊んでいるプレイヤーに直接の発表でしたし。
石元氏:
重大な内容であるからこそ,誌面などでのご案内でなはく,リアルタイムで直接お伝えしたかったんです。これまで遊び続けてきてた方にとっては,「毎月1750円でコツコツと遊んできたのに,これからはタダなの?」と,不満に感じられてもおかしくないですから。ですが蓋を開けてみれば前向きな反応が多く,ほっとしました。
基本プレイ無料化に関する詳細ページ
ArcheAge公式サイト
4Gamer:
では,これまで定額サービスだったビジネスモデルを,基本プレイ無料に変更した経緯から教えてください。
すでに無料化を行っている韓国での反響や,日本でプレイされている多くの方々による無料化のご意見/ご要望をもとに,日本版もいつかは決断しなければいけないと思っていました。
ただ,韓国で実装されていた無料化バージョンそのままを実装するのは,ゲームバランス的にも,日本のプレイヤーの皆さんのニーズを考えても課題があると感じていました。そこで,日本で無料化を行う場合,どのような形で運営するのがプレイヤーの方々にとって一番良いのかという事を念頭に置き,開発元と協議/調整を重ねたうえで,ほぼ定額制の時と変わらないフルオープンに近い形で無料化が実現できました。
4Gamer:
ちなみに,現在の各サービス国におけるビジネスモデルは,日本版だけが定額課金なんですか?
石元氏:
韓国版は2014年1月に,定額課金から完全に移行していますし,(※2013年7月から制限付きで無料で遊べるようになっていた),ロシアに関しても現在はFree to Playです。各国のオンラインゲーム事情に詳しい方ならご存知のとおり,ArcheAgeに限らず,これは全世界的なトレンドです。
4Gamer:
Free to Playのトレンドは,ArcheAgeのサービス以前からありましたが,なぜ最初から選択しなかったのでしょうか。
石元氏:
日本版をサービスした当時のArcheAgeは,韓国版を含め定額課金のビジネスモデルでしたし,それを前提にしたゲームバランスで各種コンテンツが調整されていました。あのタイミングでArcheAgeを日本でローンチしようと考えた時点で,Free to Playの選択肢は実質的にありませんでした。
基本プレイ完全無料化=遊べるコンテンツに制限は無し
課金アイテムのバランスはどうなる?
4Gamer:
では,“基本プレイ無料”でどのように変わるのかを確認させてください。今回の発表を見る限り,ゲームコンテンツにほとんど制限がないのは大きな特徴ですね。
やはりMMORPGは人が集まってこそですから,そのためのハードルは可能な限り下げています。
でもこの仕様を決めるときは,内部で議論に議論を重ねました。無料でしかも無制限に遊べるというのは,ゲームを楽しむプレイヤーさんにとって歓迎すべき一方,例えば不正行為を行う業者に悪用される恐れがありますから。
4Gamer:
不正行為が発覚してBANされても,アカウントを再取得されて……という可能性もありますね。
石元氏:
実際,この仕様を検討したところ,即座にBOT対策チームから「ゲーム内の“取引”だけは制限してくれ」と言われました。ここさえ制限できれば,BOTがお金を稼いだとしても,それをすぐにRMTでさばくことはできませんから。
しかし,ArcheAgeというMMORPGの最大の魅力は,プレイヤーが自由に幅広く遊べることです。ここに制限をかけてしまえば胸を張って「基本プレイ無料」とは言えないですし,せっかく新規の方が来ても,ArcheAgeの良さが分からないまま離れてしまうかもしれません。ですので,ここは説得しました。
4Gamer:
これまで以上に不正への対策は重要になりますね。
石元氏:
はい。もちろん,そこはしっかりとやらせていただきます。
4Gamer:
有料部分に関しては,今回,さまざまなブースト効果をセットにした定額サービス「ArcheAgeプレミアム」(※1750JEWEL:1JEWEL=1円)が発表されました。いまの30日プレイチケットの価格を引き継ぐ形になるんですね。
石元氏:
プレイヤーさんにとってプレイを継続するためのハードルを上げすぎず,満足して課金してもらうための線引きを考えて,このようにしました。どこまでブーストさせるかという点は,かなり悩みましたけど。
4Gamer:
「ArcheAgeプレミアム」のほかにも,課金アイテムを販売しますよね。今回は「外見変更チケット」「性別変更チケット」が発表されましたが,今後はどのようなスタンスで販売していくのでしょうか。
石元氏:
そこは,内部でも本当にさまざまな意見があり,現在進行形で議論を進めています。
例えば,僕は課金アイテムに関しては基本的に,キャラクターのスペックに極端な影響を与えない品と,“消耗品タイプ”を中心に展開していきたい,という考えですね。また,高性能な装備品をガチャで販売することも控える方針です。プレイヤーが装備を製作する必然性が無くなり,経済が回らなくなってしまいますから。
4Gamer:
製作の必然性がなくなると,それらの素材を作る生産の根本的な部分で大きな影響がありそうです。
石元氏:
はい。ほかのMMORPGにとって“製作”そのものはサブコンテンツかもしれませんが,ArcheAgeではメインコンテンツの一角です。ここがぎこちなくなるとゲーム全体がおかしくなってしまいます。
4Gamer:
なるほど。とはいえ,オンラインゲームを運営するうえで,どこかで利益を得なければ,運営そのものができなくなりますよね。その一つが,「消耗品タイプ」のアイテムだと思うのですが,これは,どのようなものが該当するのでしょう。
石元氏:
そうですね。現在調整を進めているところですが,「ArcheAgeプレミアム」に含まれる各ブースト効果の一部をバラ売りできないかと考えています。例えば“キャラクター経験値増加”のブーストに関しては,レベルキャップに達したら不要になります。逆に,特定のブーストだけが欲しいという人もいるでしょう。欲しい項目だけをチョイスして課金できると,もっと良くなるのではと。
もちろん,ブースト効果を全部選ぶなら“ArcheAgeプレミアム”の方が金額的にお得になる予定です。
運営チーム一丸となってArcheAgeを盛り上げる
4Gamer:
これまで8か月間,ArcheAgeのサービスが行われましたが,これまでを振り返って,この作品をどのように感じていますか。
ArcheAgeというゲームが,まったりプレイを許容しているからでしょうけれど,ネチケットといいますか,オトナな人の割合が多いと感じます。僕はGMとしてもゲーム内によくログインしているので,プレイヤーさんの遊び方に注目しているのですが,全体的に前向きな人が多いです。今日のイベントの参加者を見ても同様に思いました。
4Gamer:
確かに,かなりアットホームな雰囲気だと思いました。そういった雰囲気が,基本プレイ無料化で変わってしまう懸念はありませんか?
石元氏:
無い,といえばウソになります。これまでの良い雰囲気をどうやって残していくか,これから運営チームにとって大きな課題の一つになりそうです。
4Gamer:
分かりました。そろそろ時間のようなので,最後に今後の運営への意気込みをお願いします。
石元氏:
先にも述べたとおり,ArcheAgeは4月24日を機に大きく変化します。その2日後に開催される“ニコニコ超会議3”ではブース出展(関連記事)するなど,より多くの人にArcheAgeの存在を知ってもらい,ゲーム内が活性化していくように頑張っていきます。これまで課金のハードルのためにプレイを尻込みされていた方も,この機会にぜひ一度,ArcheAgeに触れてみてください。
既存のプレイヤーさんに向けては,プロデューサーという立場でも今までどおりゲーム内にふらっとログインすると思いますので,見かけたら気軽に接してください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ArcheAge」公式サイト
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