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グラスホッパー・マニファクチュアの飯田和敏氏が演出を担当した,日本科学未来館の新規常設展示内覧会に行ってきた
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印刷2011/08/20 19:38

イベント

グラスホッパー・マニファクチュアの飯田和敏氏が演出を担当した,日本科学未来館の新規常設展示内覧会に行ってきた

画像集#001のサムネイル/グラスホッパー・マニファクチュアの飯田和敏氏が演出を担当した,日本科学未来館の新規常設展示内覧会に行ってきた
 東京・お台場にある日本科学未来館で,2つの新常設展示「2050年 くらしのかたち」「アナグラのうた〜消えた博士と残された装置〜」が,2011年8月21日から一般公開される。
 このうち「アナグラのうた」は,グラスホッパー・マニファクチュアのゲームクリエイター飯田和敏氏が演出を手がけた,“空間情報科学”をテーマにした体験型の展示となっている。なお,日本科学未来館の入場料は,大人600円/18歳以下200円(※土曜日は18歳以下入館無料)だ。詳細は,下記の公式サイトにて確認してほしい。
 ここでは,一般公開に先駆けて2011年8月19日に開催された,プレス向け内覧会の模様をお伝えしよう。


日本科学未来館
住所:東京都江東区青海2-3-6
開館時間:10:00〜17:00
休館日:毎週火曜日
※7月26日〜8月31日,12月27日,2012年1月3日,3月20日,3月27日は火曜日開館
※2011年12月28日〜2012年1月1日は休館
公式サイトURL:http://www.miraikan.jst.go.jp/


2050年の“いとおか市”に引っ越して未来の街の姿を考える「2050年 くらしのかたち」


日本科学未来館 科学コミュニケーター 嶋田義皓氏
画像集#002のサムネイル/グラスホッパー・マニファクチュアの飯田和敏氏が演出を担当した,日本科学未来館の新規常設展示内覧会に行ってきた
 「2050年 くらしのかたち」はそのタイトルのとおり,“2050年の暮らしを来場者に考えてもらう”ことを目指した体験型展示となっている。
 先に展示の概要を説明しておくと,展示スペースには,2050年の“いとおか市”という架空の都市の巨大なジオラマが設置されている。来場者は“いとおか市”の新しい住人として引っ越してきたという設定で,その街を実際に“歩き回る”ことで,衣食住,交通インフラ,エネルギー,医療・健康など,“いとおか市”のさまざまな科学技術に触れられ,それらの在り方はどうあるべきか考えられるというものになっている。

 「2050年 くらしのかたち」の概要については,日本科学未来館 科学コミュニケーターの嶋田義皓氏から説明された。
 嶋田氏は,今回の展示で取り上げている科学技術は,2050年になったとき,どういったものが生活で必要になるのかを考えて集めたと述べる。そして,これらの技術を来場者に紹介するうえでは,「展示は舞台,役者はあなた」をテーマに掲げ,展示を舞台装置に見立てて,お客さんに“演じてもらう”ことをコンセプトとしたそうだ。いわゆる(本来の意味での)ロールプレイングゲームといえる。

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 「2050年 くらしのかたち」は,「未来予創図」「いとおか市を歩こう!」「いとおか市民になろう!」の3つのカテゴリで構成されている。
 まず「未来予創図」は,「未来がどうなっているのか」を確認できるイントロダクションという役割で,舞台は架空の街「いとおか市」で,来場者はこの街に引っ越してきたという,設定の概要が映像で説明される。

 次の「いとおか市を歩こう!」では,ジェスチャーで操作をするディスプレイ端末を通じて,“実際に”街を歩き回ることになる。なお“いとおか市”のジオラマ上には住人の姿はほとんど見られない。住人達はAR(拡張現実)技術で再現されており,ディスプレイ端末を通じて住人達に会うことができるという仕組みだ。
 なお街では約60人の住人と会話が可能で,街の科学技術に関するさまざまな情報を得られるとともに,「わざカード」という科学技術を説明するカードを得られる。

 最後の「いとおか市民になろう!」では,街に“引っ越す”ための手続きを行うのだが,そのためには“この街で豊かな暮らしを作るための提案”をする必要があるという。
 これをクリアするには,「いとおか市を歩こう!」で入手したわざカードの中から,どの科学技術をどのように使いたいのかを提案する必要があり,このプロセスを終えることで,晴れて“いとおか市民”になれるというわけだ。

 なお,この展示はWebと連動しており,インターネット経由で来場して登録した住民票を閲覧したり,自分の活動によって街が変化した様子などを確認したりできるという。予習だけでなく,家に帰ってからも追体験できるそうだ。

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今回の展示では,ジェスチャー操作対応の端末,場内のWebカメラの映像にバーチャルな情報を重ねたAR(拡張現実)といった技術を取り入れることにもチャレンジしている。また“いとおか市”のジオラマ上には「超電導マグレブ」という,超電導を利用した鉄道模型が走っている
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“空想情報科学”でシアワセになる体験型展示「アナグラのうた〜消えた博士と残された装置〜」


 「アナグラのうた〜消えた博士と残された装置〜」は,“空間情報科学”をテーマにした体験型展示だ。今から1000年後という未来の世界で,空間情報科学の博士達の研究所だった“アナグラ”が舞台となる。
 ここは,来場者の動きがすべて情報になるという不思議な空間になっている。また,場内のさまざまな装置では,空間情報科学の技術がどのようなものなのかを可視化してくれたり,また自分が場内で“入力”した情報を処理して歌にし,それがアナグラに響きわたったりする。なお,会場内で流れる歌には,ヤマハのVOCALOID技術が使われている。
 この展示の制作にはさまざまなクリエイターや技術者達が関わっているが,演出については,「ディシプリン*帝国の誕生」「巨人のドシン」「太陽のしっぽ」などで知られる,ゲームクリエイターの飯田和敏氏が担当している。

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日本科学未来館 科学コミュニケーター 小沢 淳氏
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 「アナグラのうた〜消えた博士と残された装置〜」の概要の説明は,日本科学未来館 科学コミュニケーターの小沢 淳氏が行った。

 この展示のテーマは「情報技術と社会の新しい関係を考える」とのこと。情報技術(いわゆる“IT”),中でもインターネット技術とユビキタス・コンピューティング技術は,近年の社会に革新をもたらしたと小沢氏は述べる。そして2010年代以降,どんな情報技術が社会を支えることになるのか考えたとき,その一つとして挙げられるのが「空間情報科学」だという。
 これまでは,人間のほうから情報を求める社会だったが,これからは情報が人間に“さりげなく寄り添う”社会になり,それを可能にするのが空間情報科学なのだと,小沢氏は話した。

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 小沢氏はその考え方の一つとして,次世代GPSやレーザーセンサー,生体センサーやビジョンセンサーなど,さまざまな技術で人や物の振る舞いを計測し,コンピュータがその情報をもとに判断して人に情報を伝えることで,問題の解決を支援するという説明を行った。
 例えば,子供と自転車がぶつかりそうだとしたら,その両方に「危ない」「ぶつかりそう」といったアナウンスを送ることで,事故や怪我を未然に防げるといった感じだ。

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 今回展示される「アナグラのうた〜消えた博士と残された装置〜」は,こういった空間情報科学の考え方を具現化した空間になっていて,3つの特徴を持っている。そのそれぞれが,空間情報科学と社会の関係性を示しているとのことだ。

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●ビットちゃん

 アナグラの中では,人が行動することで情報が生まれる――簡単に言うと,場内の天井には20台のレーザーセンサーが設置されていて,来場者が場内をどのように移動したか,その履歴が記録される。それを可視化したものが「ビットちゃん」だ。
 場内にある装置でその履歴を確認できるほか,プロジェクタを使ってビットちゃんが“足あと”のように床に投影されることもある。
 小沢氏は,今後はさまざまなセンサーが環境に埋め込まれていけば,あらゆる物事が情報化され,「今」「どこで」「何」が起きているのかが分かるような世の中になるだろうと述べた。

●ミー
 2つめの特徴である「ミー」は,影のように自分の足元に表示される物体である。
 ミーは,「情報化社会に形成された自分自身の情報」が形となったものという意味合いで,場内では見ていない展示物があれば矢印で示したり,退出時間が近づいてきたら教えてくれたりと,ナビゲーター的な役割を果たしてくれる。
 これは,アンビエント・コンピューティング技術の進化を示したものでもあり,自らが機器に働きかけなくとも,環境が自分が置かれている状況を理解し,最適な情報を与えてくれるのだという。

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●うた
 特徴の3つめは「うた」。アナグラでは,「自分が生み出した情報を“価値”に変え,人の役に立てる」ことについて,価値を“うた”という音楽に“変換”している。
 情報を価値に変えるというのはデータマイニング技術を表していて,「多様なデータをたくさん集めると有用な価値が生まれるとのこと。例えば,医療における症例や処方などのように,データを共有すれば皆のために役立てられるというわけである。
 その歌詞は来場者のアナグラでの行動によって作られ,自分自身や他の人もハッピーになれるよう,「シアワセ」というスピーカーから生み出されるそうだ。なお,「情報」「共有」「パワー」というキーフレーズは,その歌詞の中にも出てくるようになっている。

 最後に小沢氏は「アナグラの中では人やモノとの出会い,別れがありますが,ご自身の目で体験してほしいです」と語り,プレゼンを終えた。


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 今回の展示では,どちらも自分自身が目で見たり,体を動かしたりなど体感することで,何かを感じることができるものだという感想を抱いた。とくに「アナグラのうた〜消えた博士と残された装置〜」は,体験してみるととても不思議な感覚が味わえる。
 文章で説明するのは難しいが,刻々と変化する“環境”を体験していると,ずっとその場にいたくなるほどだ。ぜひとも会場に足を運んで,この展示作品に込められた思いを少しでも感じ取ってほしい。

「日本科学未来館」公式サイト


  • 関連タイトル:

    ディシプリン*帝国の誕生

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