インタビュー
[TGS 2012]CCP Gamesの「DUST 514」「EVE Online」両担当者に,相互リンクした世界について聞いてみた
今回,CCP Gamesで「EVE Online」を担当するトルヴェ・フランス・オーラフソン氏と,「DUST 514」を担当するイヴァン・エミルソン氏のお2人に,この2作についての話を聞く機会を得られた。それぞれのゲームがどのようにリンクするのかなど,気になる部分を聞いてきたのでお届けしよう。
[TGS 2012]すでにバッチリ日本語化されていた「DUST 514」のプレイアブル版に挑戦
「DUST 514」公式サイト
「EVE Online」公式サイト
「EVE Online」を含む,すべてを包括した世界
「EVE UNIVERSE」。「DUST 514」は,その中の一部
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
トルヴェ・フランス・オーラフソン氏(以下,トルヴェ氏):
よろしくお願いします。最初に,「EVE Online」の世界を簡単に説明させてください。
このタイトルは宇宙を舞台にした壮大なSF MMORPGです。9年間も運営を続けている実績があり,来年は10周年を迎えるのですが,現在では世界第3位のユーザー数を誇るMMORPGにまで成長しました。そして今もなおユーザー数を伸ばしているというのは,他社のMMOのタイトルと比べても非常に珍しいケースと言えるでしょう。これは,私達が開始当初に想像していた以上の成功といえます。
4Gamer:
たしかに世界最大の某MMORPGでさえ,近年は頭打ちと言われていますからね。
トルヴェ氏:
私達には,宇宙空間で活動する「EVE Online」というゲームだけでなく,さまざまな派生タイトルやメディアミックス,そのすべてを含めた「EVE UNIVERSE」を構築し,SFとして最高のものを作ろうというビジョンがあります。そのビジョンに含まれるのが,今回ご紹介する「DUST 514」です。このタイトルは「EVE Online」と同じサーバーで遊ぶことができるだけでなく,同じコーポレーション(クランやギルドのようなもの)に所属し,お金を共有したり,コミュニケーションをとったりできます。
4Gamer:
“統一”にこだわりを持っているのは,「EVE Online」の頃から感じていました。
トルヴェ氏:
私達の思想として,一つの統一したユニバースの中でゲームをプレイしよう,というものがあります。「EVE Online」は国別のサーバーを用意せず,どこの国から接続しても同じサーバーでプレイすることになります。現在活動している最大級のアライアンス(コーポレーションを多数集めた連合)には,およそ6000人から7000人前後のプレイヤーが所属しており,ソーラー・システムやコンステレーション(星座)の領有権をかけて争っています。このアライアンス間の戦闘は,長ければ1か月から1年という長期の戦闘になることがあり,規模が大きい戦闘では,3000隻もの宇宙船が,戦場となるエリアに集結することもあります。
4Gamer:
6000から7000人規模のアライアンスというだけでも,かなり驚くレベルなのですが,1か月〜1年も続く戦役をゲーム内で実現しているというのは凄いですね。最初から,そういうスケールの遊び方を想定して開発していたんですか?
トルヴェ氏:
「EVE Online」というゲームの構想自体は13年前にスタートしていますが,当初はアライアンスが6000〜7000人の規模になったり,3000隻も宇宙船が集まるような戦闘が発生したりすることは想定していなかったし,私たちにとってもかなりの驚きですよ。今は,プレイヤーが円滑にコミュニケーションを取れるよう,コミュニティツールや場を提供するといったサポートなどで,宇宙空間で繰り広げられる大規模な艦隊戦を楽しめるように取り組んでいます。
4Gamer:
運営の仕事として,コミュニティのサポートが重要ということですか。
トルヴェ氏:
「EVE Online」には以前から日本人のプレイヤーも存在していましたし,約6か月前に日本語化されたクライアントがリリースされたことにより,よりコミュニティが大きく成長しています。だからこそ,今回の東京ゲームショウにCCP Gamesは参加したのです。少し話題がそれてしまいますが,TGS期間中に日本のプレイヤーとの飲み会を開催し,彼らと直接話し合うことも計画しています(笑)。
このように私達CCPにとって,コミュニティというものは本当に大切な存在です。CCPのように小さな会社が成功するためには,プレイヤーと良い関係を保ち続けることが重要ですし,ゲームの開発の大部分は,プレイヤーからのフィードバックで成り立っています。今後もプレイヤーを尊重し,EVE UNIVERSEの世界を成長させていきたいですね。
4Gamer:
ネット上で飲み会の告知していましたね(笑)。
トルヴェ氏:
とても楽しみです。※この飲み会は終了してます
イヴァン・エミルソン氏(以下,イヴァン氏):
それでは引き続き,私のほうから「DUST 514」について紹介しましょう。このゲームはFPSとなりますが,「EVE Online」の要素を深く受け継いでいます。例えば,スキルポイントを稼ぐことでキャラクターが成長しますし,プレイヤーが武器やビークルを購入できるマーケットプレイスは,EVEと同じものを使用しています。また,キャラクターの装備類を設定する画面も「EVE Online」と同じです。EVE UNIVERSEを構築するにあたり,同じインタフェースを利用することで,プレイヤーがスムーズにゲームに入れるようにしたのです。
イヴァン氏:
「EVE Online」では,それぞれのプレイヤーが異なる役割を持っていて,戦闘ではそれぞれの役割を果たすことが重要になるのですが,その点も「DUST 514」は同じで,異なるクラスを選び,戦うことが大事になるでしょう。
4Gamer:
つまり,対歩兵向きのクラスや,対車両向けのクラスといったものですね。
イヴァン氏:
はい。プレイヤーは「降下スーツ」というものを最初に選ぶことになりますが,選択する降下スーツごとに使用できる武器や主な役割が分かれており,最初はいくつかのプリセットから選んで遊ぶことになります。もちろん,この降下スーツは,カスタマイズも可能です。
4Gamer:
カスタマイズはどのように行うのでしょう。
イヴァン氏:
最初は4つの基本的な降下スーツしか選べませんが,カスタマイズ用のスロットを購入すれば,自分なりの装備をさせることができるようになりますよ。
ビークルと兵士達が入り乱れて戦う壮絶なバトル
「DUST 514」のゲーム内容について聞いてみた
イヴァン氏:
今回はデモンストレーションとして,実際に東京ゲームショウ内の試遊台とリンクしたゲームをお見せしましょう。ちなみに,東京ゲームショウで試遊できるバージョンでは,「アンブッシュモード」と呼ばれる,チームデスマッチモードがプレイ可能です。
プレイヤーはビークルの投入を要請することができます。要請すると,光学迷彩で身を隠した輸送機が上空から飛来し,プレイヤーの場所へとビークルを投下します。実際にやってみましょう。
4Gamer:
おっと,それは面白そうな絵が見られそうですね。
イヴァン氏:
あっ……。(画面が赤くなり,キャラクターが力尽きる画面を見ながら)えー,このように,敵味方が入り乱れているエリアでビークルを呼ぶと,待っている間に倒されてしまうことがあります。なので,敵がいない場所で要請することが大事になります(笑)。
4Gamer:
要請してから実際に投下されるまでの時間は,どれくらいかかるんでしょう。
イヴァン氏:
そうですね,だいたい15秒程度ですが,ほかのプレイヤーもビークルを投入しようとしていると,空が混雑してしまい,もう少しかかる場合もあります。なので,周囲の安全が確保できた状況下で要請することをオススメします。なお,ビークルには軽車両,重車両,降下艇といった種類があります。
プレイヤーキャラクターが倒されると,降下位置と降下スーツの選択画面に戻ります。直前にどういう状況で倒されたかを考慮し,敵戦車に倒された場合は対戦者装備のキャラクターで降下するといった,フレキシブルな対応が求められます。
4Gamer:
敵が使用したビークルに接近し,ハッキングすることで乗っ取ることができますよね。これは,丘の上で固定砲台と化した,乗員のいるビークルでも可能なんでしょうか。
イヴァン氏:
いえ,さすがに敵が乗っているビークルはハッキングできません。あまり見かけることはありませんが,誰も乗っていないビークルのみがハッキング可能です。
4Gamer:
となると,ビークルを要請している最中の敵プレイヤーを攻撃して,ハッキングしたほうが効率はよさそうですね(笑)。
イヴァン氏:
はい(笑)。なのでビークルを要請するときは,周囲に敵がいないか慎重に索敵し,味方に守られながらのほうがいいでしょうね。そのほかに,地上にある施設もハッキングできますよ。
4Gamer:
ちなみに,ほかのゲームモードはどういったタイプが用意されているんでしょうか。
イヴァン氏:
「スカーミッシュ」と呼ばれるタイプのゲームモードがあります。これは,マップ上にいくつかの施設があり,その施設をできるだけ多くハッキングすることで,モバイルコマンドセンター(MCC)と呼ばれる巨大な宇宙船を攻撃するゲームモードです。最初はシールドで守られていてダメージが通りませんが,制圧した施設が多くなるほど火力が高くなり,シールドが消え,最終的に撃墜させることが可能になります。まぁ早い話が,コンクエストタイプのゲームモードですね。
4Gamer:
そういえば,先ほどからプレイ画面を見ていると,敵に倒されても即死亡というわけではないのですね。
敵に倒されても,近くにいる味方がナノインジェクターと呼ばれる注射器を所持していれば,蘇生してもらい,戦線に復帰することができます。ちょうど目の前に倒されたばかりの味方がいるので,実際に蘇生してみま……(画面が赤くなり,力尽きる)。……えーっと,このほかにもナノハイヴと呼ばれるものがあります。これは,味方に対して武器や弾薬を供給するためのもので,マップ上に設置することが可能です。
4Gamer:
簡易の弾薬箱みたいなものですね。敵がこれに近づいた場合,敵にも弾薬が供給されたりはするのでしょうか?
イヴァン氏:
いえ,さすがにそれはありません。ハッキングもできないので,銃撃して破壊するのみです。代わりといってはなんですが,マップ上に配置されているサプライデポをハッキングできれば,そこに接近するだけで弾薬が供給されるようになります。敵陣へと斬りこむ際に,弾薬切れを起こさないためにも,ハックしておくことが得策でしょうね。
4Gamer:
ゲームに入って早々でしたが,戦闘が終了してしまいましたね。
イヴァン氏:
すみません,日本語の表記なので勝敗の結果が分かりません(笑)。この試合はどうなったのでしょうか?
4Gamer:
残念ですが「敗退」と書いてありますね……。
イヴァン氏:
負けてしまいましたか……。でも,試合終了後にはすべての参加者に対して,スキルポイントとゲーム内通貨のISKが支払われます。なので,ショックを受けることはありませんよ!
電源オフ中も溜まり続ける「スキルポイント」と
基本無料&アイテム課金の「課金アイテム」について
4Gamer:
スキルについお聞きします。海外で行われているクローズドβテストでは,プレイヤーがスキルポイントを得る方法は2つありますよね。今回のように,戦闘終了時に戦闘報酬として与えられるケースと,「EVE Online」のように,電源をオフにしているときでも少しずつ増えていくケースと。後者は,EVE UNIVERSEゆえの親和性を持たせているということでしょうか?
はい,「EVE Online」と同様,オフラインの状態でもパッシブにスキルポイントを得られるものと,アクティブに(戦闘での貢献度に応じて)得られるものがあります。オフラインでもスキルポイントが増えるシステムは「EVE Online」で大きな成功を収めました。これは,実時間に合わせてスキルポイントが加算されるため,キャラクターが“成長している”ことを感じられたというのが好評だったようで,「DUST 514」でも採用しました。とはいえ,スキルポイントのシステムは現在もバランス調整中です。
4Gamer:
なるほど。では,スキルポイントの使い方を教えてください。
イヴァン氏:
スキルポイントの使い方は「EVE Online」と同じで,キャラクターを成長させるために使用します。また,マーケットプレイスで購入できるモジュール,武器,降下スーツといったものは,使用するためにスキルのレベル制限がかかっています。これをアンロックするためにも,スキルポイントを使用してキャラクターを成長させなければなりません。
4Gamer:
ちなみに,購入した武器は永久使用が可能なんでしょうか。
イヴァン氏:
武器には使用できる回数が設定されています。「DUST 514」の世界では,プレイヤーは幾度となく敵に倒されてしまいます。その都度,使用回数が1ずつ減っていき,最終的にゼロになると武器をなくしてしまうのです。
4Gamer:
確かに戦場で力尽きた場合,そこに武器を落とすというのは理にかなっていますね。で,クローン兵士が投入されるたびに残りの数が減ると……。だからこそISKの存在する意義が出るんですね。では,武器が使用できなくなった場合はどうなりますか?
イヴァン氏:
初期段階では4つの基本的な装備を選べますが,例えば戦闘中に「アサルト」の武器が使用限度を迎えた場合,現在のビルドでは,その装備を選べなくなり,残りの3つから選ばなくてはならなくなります。今後のビルドでは,基本的な4つの装備に関しては残るように改善される予定です。また,装備追加用の新たなスロットをマーケットプレイスで購入できます。
4Gamer:
マーケットプレイスの話題が出たので質問します。「DUST 514」ではプレイヤーがリアルマネーを投じて購入する,「AUR」という通貨が存在していますよね。恐らくマーケットプレイスで使用する通貨になるのだと思いますが,いわゆる「課金武器」が圧倒的に強いといったことはあるんでしょうか。
イヴァン氏:
そんなことはありませんよ。課金武器の場合,使用するのに必要なスキルレベルが,ISKで購入した同程度の性能を持つ武器よりも低くなるというメリットがメインになっています。AURを使用して購入した武器が圧倒的に強いということはありませんので,安心してください。
4Gamer:
オンラインFPS界では,課金武器に抵抗があるプレイヤーも少なくないので,それを聞いて安心しました。
イヴァン氏:
なお「DUST 514」では,マーケットプレイスで購入できるものが多くあるのですが,現状で使用できるすべての武器をアンロックして使用できるようになるまで,最短で7年ほどかかる計算になっております。
4Gamer:
な,7年もかかるのですか……。
イヴァン氏:
そうそう,マーケットプレイスに関連した話題で追加ですが,「EVE Online」と「DUST 514」は共通のコーポレーションを運営することができ,両タイトル同士でのチャットなどのコミュニケーションも可能となります。もちろん,ボイスチャットも可能になりますが,ボイスチャットを使用したい場合は,マーケットプレイスでAUR用のマイクを購入しなければなりません。あと,スキルブースターという,効率良くスキルポイントを稼ぐためのアイテムも販売していますので,手早くスキルレベルをアップしたい人にはいいかもしれませんね。
4Gamer:
ボイスチャットは課金必須なのですか。それはどうなんでしょう……。
イヴァン氏:
「DUST 514」で本当にボイスチャットを使いたいときは,恐らく戦場に出ているタイミングでしょう。同じ分隊内の味方と会話できなければ致命的ですしね。ということで,同じ分隊内のみという条件であれば,ボイスチャットは無料で使用可能となっています。
4Gamer:
ああ,ちゃんと無料のボイスチャットも用意されているのですね。安心しました。
話は変わりますが,「DUST 514」ではマウスとキーボードという,PCのFPSゲーマーにとって親和性の高い操作も可能となっています。実は直前にこの操作方法を試す機会があり,プレイしてみたところ,かなりマウスの視点移動速度が遅く感じられました。マウスにもよると思いますが,現状だと旋回すらままなりません。この点についてどうお考えでしょうか?
イヴァン氏:
そこは,コントローラを使うプレイヤーとのバランスを考えてのことです。ですが,厳しいという意見が多数あるので,よりベターな操作感を得られるように慎重に改善する予定です。
4Gamer:
かなり以前にお話を聞いたとき,「DUST 514」では コマンダーモードがあり,戦場で指示を与える司令官になることも可能とのことでした。また,当時は発表されませんでしたが,66人(両陣営のコマンダー+64人)での対戦が想定されていたと記憶しています。この2つは,どうなったのでしょう?
イヴァン氏:
コマンダーモードは現在も入れたい要素です。今はそれしか言えません。また,人数に関しては現在調整中となっており,続報をお待ちください。
4Gamer:
分かりました。
「EVE Online」と「DUST 514」の親和性について
EVEの大艦隊が惑星上空を制圧したらDUSTはどうなる?
4Gamer:
先ほどのお話では,「EVE Online」と「DUST 514」では共通のコーポレーションを運営できるとのことでしたが,コーポレーションの作成は,「DUST 514」でも可能なんでしょうか。
イヴァン氏:
はい,できます。「DUST 514」のプレイヤーが「EVE Online」のコーポレーションに参加するだけでなく,「EVE Online」のプレイヤーが「DUST 514」側で作成されたコーポレーションに参加することも可能です。
4Gamer:
「EVE Online」と「DUST 514」は,実際どのような影響を与え合うことになるんですか?
現在「EVE Online」のプレイヤーは,「DUST 514」にたいへんな関心を寄せていて,すでにPlayStation 3を購入し,戦闘やスキルのトレーニングを行ったりしている人もいます。また「EVE Online」のプレイヤーが,現在行われているクローズドβテストで遊んでいるプレイヤーを,自分達の勢力にスカウトするといった現象も起きています。
4Gamer:
すでに水面下では熾烈な戦いが始まっているわけですね。
トルヴェ氏:
EVE UNIVERSEでは「ファクショナルウォーフェア」(国家間戦争)というのが重要な要素となっていて,「EVE Online」と「DUST 514」は,このファクショナルウォーフェアを軸としてつながっています。例えば「EVE Online」側のプレイヤーは,ISK(イスク)と呼ばれるゲーム内の通貨を「DUST 514」側のプレイヤーに供給することで,支援することができます。惑星上で戦っているDUST 514のプレイヤーが,その支援をもとに一定の領域を制圧することに成功すると,「EVE Online」側のプレイヤーにもボーナスが入るというわけです。
4Gamer:
「DUST 514」ではゲーム内で取得できるISKと,マーケットプレイスでリアルマネーを投入して購入できるAUR(オーラ)という,2種類の通貨がありますよね。このAURを「DUST 514」側のプレイヤーに提供することは可能でしょうか?
トルヴェ氏:
それはできません。現状ではプレイヤー間で共有できるのはISKや武器となります。また,最初にシェアできる額には制限をかけ,少しずつ扱えるお金を増やしていこうと考えています。これはローンチ後のバランス崩壊を防ぐためです。EVE Onlineの世界には,すでに莫大な額のISKが存在していますからね。
4Gamer:
そのへんのバランス調整は難しそうですね。バランスといえば,「EVE Online」側から「DUST 514」に対して直接攻撃ができるとのことですが,そこで少し気になることがあります。
トルヴェ氏:
まずは,そのあたりについて解説させてください。「DUST 514」で戦う傭兵達がいる惑星は,EVE UNIVERSEの世界にある一部の惑星という設定になっています。「EVE Online」のプレイヤーは,「DUST 514」のプレイヤーが戦っている惑星で発生した爆発をリアルタイムで視認することができますし,「EVE Online」のプレイヤーが操船する宇宙船から,「DUST 514」で“今まさにプレイヤー同士が戦っている”戦場に向けて,直接砲撃を加えることが可能です。
4Gamer:
以前開催されたイベントで実演されていた,軌道上からの攻撃には圧倒されました。ですが,ゲーム的には「DUST 514」のプレイヤーにリスクが集中しているような気がするのです。
トルヴェ氏:
「EVE Online」のプレイヤーが軌道上からの攻撃を加えるときには,「DUST 514」側から宇宙船に対して砲撃することも可能です。つまり「EVE Online」側のプレイヤーは,高価な宇宙船が撃墜されるリスクも考慮しなければなりません。
4Gamer:
もう一つ,巨大なアライアンスがおびただしい数の宇宙船で軌道上を制圧してしまった場合,一方的に攻撃を加えられてしまう恐れもあると思います。実際こういったケースは起こり得るのでしょうか?
トルヴェ氏:
ないとはいえませんね。ただ,軌道上から砲撃するよりも,地上から軌道上に向けて攻撃するほうが簡単な手順で済むように設定しているため,「EVE Online」プレイヤーのほうがハイリスクになっていると言えます。
4Gamer:
それを聞いて安心しました。ちなみに,「DUST 514」では「EVE Online」側から仕事を請け負うことができるそうですが,これはどういったものになるんでしょうか。
イヴァン氏:
まだ詳しくはお話できないんですが……。「DUST 514」の戦場は「EVE Online」と同様に,“ハイセク”と“ローセク”“ゼロセク”という3つのセキュリティステータス(セキュリティエリア)に分類されます。ハイセクで行われる戦闘は,2つのNPCコーポレーションとの契約で行われるタイプです。ローセクはファクショナルウォーフェア(国家間戦争)で,「DUST 514」のプレイヤーの戦闘結果により得た占拠権が,「EVE Online」に影響を与えるものとなっています。そしてゼロセクは,完全にプレイヤー主導の戦いになっています。さらに詳しい情報は,いずれご紹介したいと思います。
4Gamer:
相互ともに影響を与え合うシステムはユニークですね。今後の情報解禁に期待したいと思います。
イヴァン氏:
今回,東京ゲームショウに出展しているビルドは日本語化された最初のものとなっており,まだまだローカライズの不足している部分があります。ですが,日本でのクローズドβテストは11月から12月あたりに予定されているので,その時期までに完成度を高めていきたいと思っています。
4Gamer:
おお! 日本でもクローズドβテストを行うのですね!
イヴァン氏:
はい,詳細はいずれお知らせしたいと思います。
そうそう,PS Vitaと連動する「DUST 514:NEOCOM」というアプリを紹介しましょう。これは無料で配布する予定となっていまして,キャラクタースキルの設定や,装備などの設定などができるだけでなく,ここからマーケットプレイスにアクセスして,武器を買うといったことも可能です。もちろんチャットもできる予定ですが,こちらは最初のビルドなので未完成な部分が多いんですよ。オープンβの時には,もっといいバージョンをお見せできるはずです。
4Gamer:
これはメチャクチャ便利じゃないですか! 出先でスキルを管理できるのは本当にいいですよ。メニュー画面を開いたときにできることが,全部可能じゃないですか。
イヴァン氏:
先日,SCEのパートナーの方にこれを見ていただいたのですが,かなり好評でしたね。……好評だったのですが,「PS Vitaでのゲームは?」と,何度も聞かれてしまいました(笑)。今はまだPS Vitaで何ができるかを考えている段階でして,キャラクターのマネジメント系のことが最も適しているだろうと思っています。ただ,まだ何ができるか考えている段階です(強調しながら)。
4Gamer:
それでは最後になりますが,現在PCで「EVE Online」を遊び,PS3で「DUST 514」を楽しみにしているファンに向けて,お2人のメッセージを頂けますでしょうか。
「EVE Online」を運営してきた10年間は本当に大きな冒険でした。お金を払ってプレイしても決して損はさせず,楽しんでいただける作品だと思います。おそらく多くの皆様は「EVE Online」ってどういうゲームなんだろう? と思っていることでしょうが,とりあえず一度は遊んでみてほしいですね。私達も日本人のコミュニティのために日本語のフォーラムなどといったコミュニティツールを用意していますし,皆様からのフィードバックを得ることで,今後もより素晴らしい世界を作り,楽しんでいただけるように頑張っていきます。
イヴァン氏:
「DUST 514」は,EVE UNIVERSEへの入口としては完璧な物となります。また,ハードコアなゲーマーだけでなく,カジュアルなゲーマーでも楽しめるタイトルになっています。基本プレイ無料のFPSなので,難しく考えずに飛び込んでみてください。このゲームの奥深さを少しでも理解できるようになってくると,どんどん面白くなってくると思います。また,日本でのクローズドβテストを開催できることも凄く楽しみで,より多くのフィードバックを得られることで,「DUST 514」がより良くローカライズされた作品に仕上がると思います。ぜひよろしくお願い致します。
トルヴェ氏:
もう一言いいですか? 今は「EVE Online」に入るための,本当にベストなタイミングとなっています。これから「DUST 514」が「EVE Online」とつながっていくことで,よりゲームプレイを奥深く感じられ,あなたにとっても,私達にとってもいいチャンスとなるはずです。また,「EVE Online」を遊んでいる日本人のプレイヤーの方は,優先的に「DUST 514」の参加権が得られるかもしれません。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
以上,「DUST 514」と「EVE Online」それぞれの担当者から,貴重なお話を聞くことができた。PC用MMORPG「EVE Online」とPS3用FPS「DUST 514」が,ゲーム内で密接につながっているというプロジェクトは非常に面白い。この世界の広げ方は,過去に例がないスケールで展開される壮大なスペースオペラの一つだと思う。
両氏は幾度となく「EVE UNIVERSE」におけるコミュニティの重要性を説いていたのだが,「DUST 514」と「EVE Online」のどちらかがバランスを崩してしまうと,世界に大きな歪が発生してしまい,世界そのものが崩壊しかねない。ゆえに,CCPは常にコミュニティからの声を聞くことを重要視しており,より良い世界を形成するのに役立てているのだろう。
いささか長くなったが,今冬に予定されている日本でのクローズドβテストでは,日本人の視点でのフィードバックが期待されている。ぜひ,「EVE UNIVERSE」という壮大なスペースオペラを形成する1人になってみてはいかがだろうか。
「DUST 514」公式サイト
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Copyright (C) CCP 1997-2017
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